日本共産党の田村智子委員長は4日、国会内で記者会見し、沖縄県内での米兵による性的暴行事件への政府の対応を厳しく批判し、政治的思惑による事件の隠蔽(いんぺい)との疑念があると指摘しました。
田村氏は、3日に政府に抗議した玉城デニー知事に連帯し、事件に強く抗議するとともに、政府の対応を厳しくただしていくと述べました。
田村氏は「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」の日米合意(1997年)は、95年の少女暴行事件を受けたもので、米兵犯罪の発生を迅速に関係自治体に通報するための手続きだが、2023年以降の米兵による5件の性的暴行事件はいずれも県に通報されていなかったと指摘しました。
田村氏は3日に外務、防衛両省に説明を求めたが、外務省は通報する米兵犯罪の基準を何も説明できなかったと指摘。5件のうち立件された2件(昨年12月と今年5月)は米側から外務省に通報があったが、残る3件は通報の有無も回答せず、防衛省も外務省からの通報の有無を「回答できない」としたと明らかにしました。
田村氏は、外務省が「被害者のプライバシーを考慮した」と繰り返したが、全く理由にならないとして、「明らかに日本政府による通報手続き違反であり、日本政府が米兵による性犯罪を隠したもので断じて許されない」と強調しました。
また、衆参両院の予算委員会での閉会中審査で岸田文雄首相や首相官邸、外務、防衛、法務各省と警察庁などの出席のもと、事実関係と政府対応の全容を明らかにするよう強く求めると強調しました。
田村氏は、昨年12月の米軍辺野古新基地建設の「代執行」強行、今年4月の日米首脳会談、5月のエマニュエル米駐日大使の沖縄訪問、6月の沖縄県議選と、重要な政治日程が相次いだと指摘。日米同盟強化と新基地強行、そのための県議選での自民党など県政野党の勝利のため事件を隠蔽し、県民の怒りの表面化を回避しようとしたのではないのかと強調し、「このような目的のために国民の命と安全、女性の尊厳を犠牲にすることは絶対に許されない」と述べました。
県民の怒りが爆発した1995年の少女暴行事件から30年近く経過したが、同様の事件が相次ぎ発生しているのは、事件を受けて県民総意となった「基地の整理縮小」「日米地位協定の見直し」の要求に日米両政府が背を向けているからだと指摘。いまや空前の日米軍事一体化が推進され、辺野古新基地建設の強行でさらに人権と安全が危険にさらされており、辺野古新基地建設中止、基地の縮小・撤去、地位協定の抜本的改定実現に全力を挙げると表明しました。
2024年7月5日(金) しんぶん赤旗