活動報告

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自動車不正/労働者犠牲開発やめよ/田村委員長が批判/参院国交委

 日本共産党の田村智子委員長は13日の参院国土交通委員会で、トヨタなどの大手自動車5社による型式指定の不正申請事件は自動車製造のもっとも基本的な法律と国際基準に違反する悪質で重大な事件だとして、豊田章男トヨタ会長らの反省を欠いた発信は日本企業の信用をおとしめるものだと批判しました。

 田村氏は「2016年にも三菱自動車による燃費不正事件がおき、17年に不正ゼロを掲げて道路運送車両法を改正した。しかし、その後もトヨタは20年発売のヤリスクロスで型式指定の不正をした」と指摘。「開発時間にゆとりがなく、ゆとりを無駄として排除し、開発企業や労働者に犠牲を強いて収益を上げてきたのがトヨタだ。この構造を変えなければ、また不正は起きる」と警告しました。

 斉藤鉄夫国交相は「不正行為を根本から防止するためさらなる施策を講じる必要がある」と認めました。

 田村氏は、不正車種の出荷停止でトヨタの大衡(おおひら)工場(宮城県)では派遣労働者が休業扱いになっているが、「今回は派遣先の自動車会社にのみ責任があることは明らかだ。休業扱いの派遣労働者の給与を100%保障するため、必要な費用を自動車会社が負担するとともに、派遣契約が解除されないようにすべきだ」と政府の対策を求めました。


2024年6月15日(土) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 トヨタ自動車など自動車メーカー五社による型式指定の不正申請について取り上げます。

 大臣は四日の会見で極めて遺憾と述べられましたが、まず改めて認識を確認したいんです。
 型式指定制度は、自動車の大量生産と安全性を両立するためとして道路運送車両法に定められた仕組みです。エンジンや安全装置など四十七項目の保安基準があり、そのうち四十三項目は国連の協定で定められた国際基準です。

 今回の不正申請は、自動車製造に関わる最も基本的な法律に違反し、かつ国際基準に反する極めて悪質で重大な法令違反だと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省では、ダイハツ工業等の不正事案を受け、ほかの自動車メーカー等八十五社に対し、型式指定申請における不正行為の有無等について調査し、報告するよう指示していたところです。その結果、五月末までに自動車メーカー五社から型式指定申請における不正行為があった旨の報告を受けました。

 委員御指摘のとおり、型式指定申請における不正は、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ自動車認証制度の根幹を揺るがすあってはならない行為であり、極めて遺憾です。

 国土交通省では、現在、不正の報告があった各社に立入検査を実施し、不正行為の事実関係等について確認を行っているところであり、その結果を踏まえ、道路運送車両法に基づいて厳正に対処してまいります。

○田村智子君 トヨタ自動車の豊田章男会長は会見で、正直残念な気持ちと、ブルータス、おまえもかという感じだ、トヨタは完璧な会社ではない、問題が出てきたことはある意味有り難いことだと思っていると、まるで人ごとの発言です。その上、審査制度に問題があるかのようなことも言われている。さらに、別のトヨタの幹部も、より厳しい条件の試験をしていたと主張し、国連の基準を踏まえた国の基準よりも自分たちの基準の方が優れていると言わんばかりの発言なんです。

 名古屋大学の水野幸治教授は、国際的な信用を失い、相互認証が得られなくなるかもしれないと朝日新聞の取材に答えておられますが、当然のこと、指摘だと思います。

 大臣、更問いなんですけど、こうしたトヨタ側からの発信をどう思われますか。重大な法令違反という反省を欠き、日本企業の信用をおとしめる発信、これ、いさめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 日本の型式指定制度は国連の自動車認証制度の枠組みと調和したものであり、試験方法についても国連基準の規定に沿った取扱いとなっていることから、自動車メーカー各社においてはこれをしっかり守っていただくことが前提と考えております。

 その上で、現在、各社への立入検査を通じて、経営層や従業員のコンプライアンスに関する意識や認証制度に対する理解に問題がないかという視点も含め広く調査を行っており、お尋ねの不正の背景についても今後その結果を踏まえて判断してまいります。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、立入検査の結果を踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対処してまいります。

○田村智子君 二〇一七年、その前の年に発覚した三菱自動車の燃費データ不正によって道路運送車両法が改正されました。今日もそのときの資料を配っています。この法改正当時の資料では、一番下ですね、改正による目標、効果に、型式指定に関わる不正行為ゼロと掲げているわけです。

 今回不正があったトヨタのヤリスクロス、発売は二〇二〇年。データ不正が大問題になっていることは当然分かっている、法改正されているのも当然分かっている、それでも自動車トップメーカーでデータ不正が行われていたということですから、この要因に深くメスを入れなければなりません。

 今回の問題が発覚する契機となったダイハツの不正申請について、第三者委員会から、まずもって短期開発の弊害を直視し、余裕を持ったスケジュール、あるいは多少窮屈でも問題発生時に柔軟に変更できるスケジュールが実現できるように開発・認証プロセスの見直しを行うべきであると指摘をされています。新型車の納期に間に合わせるため、もう試験期間が十分ない、その期待された数値が出ないとデータを書き換えてしまうと、これ何度も同じ問題が起きてきたのではないでしょうか。

 国交省は不正の要因についても調査をすると言われていますが、では、この企業体質ともなっている構造的な問題にはどう切り込むのでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省といたしましては、平成二十八年に発覚した燃費不正等を受け、道路運送車両法を改正し、不正に取得された型式指定の取消しや是正命令制度の創設など、不正行為への対策を強化してきたところです。

 しかしながら、こうした対策にもかかわらず、今般受けた不正行為の報告を含め近年相次いで不正行為が確認されていることから、メーカーの不正行為を根本から防止するための更なる対策を講じる必要があるものと認識しております。

 こうした認識の下、国土交通省としては、現在実施中の立入検査において、自動車業界の構造的な問題がないかという観点にも留意し、不正行為の事実関係や各社の組織体制等について確認しているところです。

 また、本年四月に外部有識者も招いて設置した自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会において、不正事案の抑止、早期発見のための手法等について幅広く検討を行っているところでございます。

 この検討会におきまして、今回の不正行為の原因や背景も勘案し、不正行為を防止するための対策を取りまとめることとしておりまして、その結果を踏まえて適切かつ厳正に対応してまいりたいと思います。

○田村智子君 この間のトヨタの発言に対しても、私はもっと厳しく、国交省、批判すべきだと思いますね。

 開発期間にゆとりがない、トラブルに対応するスケジュール変更が想定されていない、関連企業からの部品調達もジャスト・イン・タイムと、納期も在庫もゆとりを持たないことで収益を上げる、こうした構造が変わらなければまた不正は起きるでしょう。必要なゆとりさえも無駄として排除し、関連企業や労働者に大きな犠牲を強いて収益を上げる手法がトヨタ方式などといってもてはやされてきたこと、このことと今回の不正は深く関わっていると私は指摘せざるを得ないと思うんです。ここにどう切り込んでいくかということだと思います。

 ちょっとお聞きしたいのは、不正による出荷停止による影響なんです。労働者や取引先への悪影響が心配されます。
 先ほど、理事会の場で、生産台数がそれほどないので、別の車種を生産することでラインは動いているという説明があったんですけれども、私の事務所で聞き取ったところ、トヨタの出荷停止となった三車種を製造する宮城大衡工場では、派遣労働者が休業扱いになっているというんです。直接雇用の方は確かに別のラインに就いているけれど、派遣労働者が休業扱いになっていると。

 厚労省にお聞きします。
 労働者派遣法は、派遣先と派遣元に労働者の雇用の安定を図る義務を課しています。派遣先都合の休業や契約解除の場合には特別の規定を置いています。今回の場合、派遣先である自動車会社にのみ責任があることは明らかであり、派遣労働者の休業について、給与を一〇〇%保障するために必要な費用を派遣先である自動車会社が負担するとともに、不正によるライン停止を理由とする派遣契約解除が行われないよう求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(石垣健彦君) 委員にお答え申し上げます。
 御指摘のトヨタの関連工場における状況につきましては、必要に応じて国土交通省からも情報をいただきながら注視してまいりたいというふうに考えております。

 なお、派遣先の都合による労働者派遣契約の解除に当たりましては、労働者派遣法におきまして、議員も御承知のとおり、関連の規定がございまして、派遣先が派遣労働者の新たな就業の機会の確保を図ること、派遣元が派遣労働者に対する休業手当等の支払をできるよう派遣先が当該費用の負担を行うこと、派遣先が派遣労働者の雇用の安定を図るためにその他必要な措置を講じなければならないことなどが定められております。

 こうした規定も踏まえながら、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

○田村智子君 これ、通常の休業だと六割になっちゃいますからね。こんな物価高騰の中で、全く責任のない状態での休業ですから、派遣元にも責任がない状態ですから、ちゃんとトヨタなどの自動車会社がお金を出して所得保障すべきだと。

 そこで、経産省にもお聞きします。
 賃金相当額が確実に派遣元企業に渡るよう、経産省としても実態を調査し、五企業に責任を果たさせるべきではないでしょうか。
 で、併せてお聞きします。関連企業への資金繰りの支援も必要となる可能性があります。ダイハツの事案では、代金の仮払い等の対応が取られました。これも実態をつかみ、関連企業の経営不安が広がらないよう、相談窓口の設置も含め万全の対策を取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
 経済産業省といたしましては、この型式指定申請の不正行為があった自動車メーカー五社に対しまして、取引先も含めた幅広い関係者への適切な対応や十分な対外説明を行うよう指示してきました。

 今般の型式指定申請の不正行為に係るサプライヤーへの影響についても注視しておりまして、今回、型式指定申請の不正行為がありました自動車メーカー五社のうち、不正対象車種を生産中の三社、ここにつきましてサプライチェーンの影響の調査を開始しているところでございます。

 各社においては、取引先において足下で生じている損害の補償や、出荷停止となった車種以外を増産することで生産台数を維持する対応策などを検討していると聞いておりますが、経済産業省としましても、引き続きサプライヤーの影響の調査を進めまして、その結果も踏まえつつ、必要に応じて対応策を講じていきたいと考えております。

○田村智子君 国交大臣にもお聞きしたいんです。
 是非、厚労、経産大臣、各省と連携して、トヨタなど五社に対応していただきたいんですね。特にトヨタグループは、今年三月期決算、史上最高益五兆三千億を超えています。労働者や関連企業を支える体力は十分にある。しかも、不正の責任はひとえにトヨタ自動車にあります。派遣労働者も含め、正規、非正規にかかわらず、出荷停止の影響を受ける労働者、企業にきちんと補償するのは当然だと、この認識、是非お示しいただきたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 現行生産車につきまして不正行為の報告があったトヨタ自動車等三社の出荷停止が、労働者やサプライヤー等関係者の方々に与える影響について懸念があることは十分我々も認識しております。

 ただいま経産省、厚労省からも御答弁がありましたが、現行生産車に影響がある自動車メーカーにおいては、不正のなかった車種へ生産を振り替えることでできる限り工場の生産ラインを止めないよう対応しているほか、今後の影響も踏まえて取引先等への補償を行うことについても検討していると承知しております。

 国土交通省においても、不正行為が確認された車種について基準適合性の確認を速やかに行うとともに、関係省庁と連携して必要な対応を可能な限り速やかに行ってまいります。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、各社に対し、労働者やサプライヤー等関係者の方々への丁寧な説明や対応を行うよう、引き続き指導してまいります。

○田村智子君 最後に、先ほどダイハツの不正について、今、自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会、これ二回行われているという説明もありました。

 ところが、この検討会、資料が非公開にされています。企業秘密以外はこれ公表すべきではないのかと。また、トップメーカーを含む五社の不正が明らかになった以上、ちょっとこれは検討会も言わば出直し的なやり方が求められてくるのではないのかと思います。

 今までと同じことを国交省も続けるならば、いつまでも不正はなくならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(鶴田浩久君) 今御指摘のありました国土交通省が四月に設置しました検討会につきましては、平成十一年に閣議決定をされました審議会等の運営に関する指針、また情報公開法の規定に鑑みまして、資料を公開することにより率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、自動車メーカー等の企業秘密を扱っており、当該企業の利益を害するおそれがあることなどから資料を非公開としております。

 一方で、会議の透明性を確保することも重要であることから、会議後、発言者を特定しない形で議事要旨を公開することとしております。

○田村智子君 本当に繰り返されてきたということですから、本当に切り込んだ検討、そして対応がなされることを強く求めて、質問を終わります。

 


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