活動報告

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バス運転手不足対策を/田村委員長「財政的措置が必要」/参院国交委

 日本共産党の田村智子委員長は30日の参院国土交通委員会で、路線バスなどの運転手不足問題について、処遇改善を目的とした新たな財政的措置が必要だと求めました。

 田村氏は、バスは公共交通として「国民の移動の権利を守っている。また、専門的な職業。今までの国などの取り組みで人手不足の解消は見込めるのか」と質問しました。

 斉藤鉄夫国交相は「公的な関与を深めた上で支援を行っていく。今の状況で足りるとは思っていない」と述べました。

 田村氏は、東京都内でもバス路線の廃止、減便が相次ぐ中で、「障害者が作業所に通えなくなった」「通院の回数を減らした」など、生活への悪影響が出ていると強調。「運転手の待遇改善につながる新たな財政措置が求められている」と迫りました。

 斉藤国交相は「予算の獲得は必要だ」とする一方、「基本的に民間企業の努力で成り立ってきた産業。民間のインセンティブ(動機)を引き出すような予算でないといけない」とも述べ、民間任せの姿勢に固執。田村氏は「今まで常識とされてきたことを踏み越えることが必要だ」と訴えました。

 また田村氏は、大阪・関西万博工事の関係者輸送に従事するバス運転手の募集実態についても取り上げました。来年2月までの残り9カ月のうち、6カ月は試用期間として時給わずか1200円だと明らかにし、「低賃金構造をどうするかというさなか、逆行することが行われている」と批判しました。


2024年5月31日(金) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今日、こういうふうに、バスの運転手が非常に不足しているというところにテーマを言わば集中させるようにして質疑が行われているのはとてもいいことだと思います。今後も是非、請願署名で出されているようなテーマでこのような質疑が行えたら、非常に国民の声に応える質疑になるのではないかと思います。

 せっかくこうやってやっていますので、通告しているんですけれども、やはり議論を発展させたいというふうに思います。テーマから大きく外れることはありませんので、少し闊達に互いに議論を深めたいと思います。大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 もうこれまでお話あったとおり、やはりバスの運転手の不足が非常に重大な影響を与えてきていると。今、メディアなどの取り上げ方は、今年四月からの労働時間規制始まったと、このことが一つの要因というふうに言われているんですけれども、私は根本的に、低賃金であり、平均年収が四百万円前後ですか、そして拘束時間が長いという、やはり過酷な労働条件が改善されていないと。しかも、公共交通ですから、これは国民の移動の権利を守るという大変大切な役割を負っています。そして、専門的な職業でもあります。そこがこういう低賃金の働き方という構造のままでいいのかということが問われていると思うんですね。

 大臣、これまでの取組の中身はいろいろ御答弁いただきましたので、これはやっているということを前提で、その取組で果たして人手不足解消ということが本当に見込まれるのか、ここをちょっと御答弁いただきたいと思うんです、率直に。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 質問通告に対して、これまでこういう努力しておりますということを御答弁申し上げようと思っていたんですが、それは要らないということですので、大変、今ちょっと、瞬間、困っておりますが、長時間労働、低賃金、これが最も大きな運転手不足の原因だと思います。それを解決するために今の状況の中でどうしなくてはいけないか、そのために公共交通リ・デザインの会議でも議論をしてまいりました。

 基本的には、しっかりとした公的な関与も深めた上で、補助金、またいろいろな形での補助金等、またいろいろな形でのバス会社の支援、体力を増す支援等を行って待遇を改善、運転手の待遇を改善させていく、そのことによって人手不足を解消していくというのが基本的な方向であるということをリ・デザイン会議でも確認したところでございます。

 その方向性に向かって、これから一つ一つの具体策をしっかりやっていきたいと思いますし、今の状況で足りるとは私も思っておりません。しっかり拡充していきたいと思っています。

○田村智子君 その一つ一つやっていくということなんですけれども、ただ、事態はかなり切迫していますよね。
 今、悪循環にもはや陥っちゃっていると思うんですよね。労働条件が悪い、だから人が集まらない、で、ますます長時間労働になっていくような過酷な労働条件になっていくと。これ、悪循環が構造的に起きているときには、やはり事業者の責任任せではこの構造を変えることはできないというふうに思います。

 しかも、このことがやはり、例えば乗り合いバスでの健康起因事故の報告件数、毎年百件超えると、高止まり状態というふうに国交省も認めるような状況になっているわけですね。私も現場から状況をお聞きしましたけれども、十分な休憩時間取れない、睡魔と闘いながら運転して追突事故を起こしてしまったと。あるいは、公休のうち一月、一日は休日出勤がもう常態化していると、断るとボーナスに影響が出てしまうと。こういう、もう本当に悪循環だと思うんですよ。これがバス路線の廃止というような、あるいは減便というような悪循環もつくり出してきていると。

 そうすると、今も様々な補助金でということがあったんですけれども、やはり公共交通である以上、私、国交省が持つべき方針は、事業者の責任でと、だからバス料金の値上げでと、このバス料金の値上げに頼るような方向だと、また悪循環が違うところで起きていくと思うんですね。そこによらない方向でのこの構造の解決が求められていると思いますが、ここも認識、共通するでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) もちろん、そういう認識は我々にもございまして、全て運賃に頼らせるということでは、非常に運賃が高いものになってきて、バス離れを招いてしまうかもしれません。

 ということで、先ほど来、もう具体、一つ一つは申し上げませんけれども、いろいろな形でその運行会社を、バス会社を支援をしているということでございます。例えば、将来の設備投資費用も見込んだ上で運賃改定率を算定する新しい制度ですとか、キャッシュレスを進める場合についてはそのための取組への支援とか、二種免許取得に対する支援などでございます。

○田村智子君 今、減便が起きている、あるいは廃止が起きているということもちょっと指摘をしておきたいんですけれども、本当に人口の多い東京都内でも問題になっていますね。

 足立区では、今年三月で五つの路線が廃止、ほかの路線も減便が相次いで、一日一から二便というところも出てきてしまったと。障害者の方から、利用していたバスがなくなり、作業所に通えなくなった。代替措置がなくて、移動の足が奪われた地域があるわけですね。隣の県が運行するバスは走っているんだけれど、そうすると東京都がやっているシルバーパスが使えないと。負担が重くなるので、引きこもりがちになってしまうと。

 あるいは、荒川区、二〇二二年にコミュニティーバスの一路線が廃止になった。今年三月には三路線で大幅な減便。先月、荒川の住みよいまちづくりを考える会がアンケート調査を行いまして、回答した四百六人のうち八四%が二年前に廃止になった路線の復活を望んでいると。住民から様々な声が私どものところにも寄せられていまして、家にこもりがちになった、友人に会う機会が減った、病院への通院の回数を減らしたと、こういう生活への悪影響が明らかにもなっています。

 こうした事態に対応する国の施策、特に予算措置、まあ大臣は現行のもので足りているとは思わないというふうに言われたので、私もそう思うんです。例えば、予算でいうと、地域公共交通確保維持改善事業ぐらいしか見当たらないわけですよ。二〇二四年度の予算規模は二百八億円。これはバスだけじゃありません。地方鉄道、離島航路、バリアフリー、全部丸めて二百八億円と。今言ったような大都市部、こういうところで何で使っているかと見ると、デジタル化の推進以外はほとんど適用がないというですね、適用の実績見てみると、こういう状況なんですよ。

 これでは、路線バスの廃止、減便を止めることにやっぱりなっていかないし、運転士の待遇改善にもなっていかない。やはり新たな財政措置が、そして規模も増やしてということがどうしても求められているというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私も、先ほど、今の予算で十分であるとは思っておりません。これ、今行っているいろいろな施策がもっと効果を上げるように、予算を獲得して頑張らなくてはならないと思っております。

 ただ、これまで、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、基本的に民間企業の努力で成り立ってきた産業でございます。その民間企業の努力、インセンティブを引き出すような、そういう予算でもなければならないと、このように思っております。例えば、赤字分はそのまま補填しますということでは、民間企業の努力、インセンティブがなくなります。

 このような、その民間企業とそして公的部門とが官民協力して、そして地域の皆さんも一緒になってこの地域公共交通を守っていくような体制をつくっていきたいと思います。

○田村智子君 今ある危機で今の深刻な構造を変えるには、やはりそこの常識とされてきたものも私は踏み越えること必要だというふうに思います。直接的な、やっぱり待遇改善に直接つながるような補助や助成と、これ考えていかなければ、この危機を打開することはできないんじゃないかと。

 先ほど、特定技能のお話があって、やはりその低賃金構造のまま外国人労働者入れたら、本当ますます外国人の方に対する差別ということがこの国内で起きかねないんですよ。この低賃金構造をどうやって打破するかというところに本気で取り組まなきゃいけないということを強調したいというふうに思います。

 


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