ともここらむ

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公共事業関係費が38%も増えた! ――2013年度決算からみえてきた消費税増税の目的  

2013年度決算の審査が参議院で始まっています。決算委員の私は、通常国会開会からすぐの1月28日、まず本会議での代表質問に立ちました。質問準備のために資料に目を通して驚きました。

 公共事業関係費が2012年度比で38.0%増(2.1兆円増)となっているのです。予算編成の時も、前年度比15%増ということが問題になりましたが、決算ベースではそれどころではない伸びだったということです。

一方で、高齢者人口の伸びから、毎年8000億円~1兆円の増額が必要といわれている社会保障関係費は0.1%、わずか300億円の伸びにとどまった――これがなぜかは、ただいま解明中。

他の分野をみると、地方交付税交付金3.9%増、文教科学関係費3.0%増、防衛関係費0.6%増(私たちのいう軍事費)。公共事業の伸びの異常さは際立っています。

 大門美紀史さんの言葉を思い出しました。「アベノミクスの前に、アソウミクスというのがあった。これは選挙で自民党を勝たせてくれたお礼として、公共事業の大盤振る舞いを麻生財務大臣が決断したことを指します」

2012年12月の総選挙、自民党は建設業界に政治献金の請求書を送りつけたことが「赤旗」で報道されました。この選挙で民主党政権は倒れ、自民党・安倍政権が返り咲き、その直後2013年度予算が編成された・・・なるほどです。

 公共事業がすべて悪い、という立場ではありません。必要な生活道路、保育所や高齢者施設、公営住宅など暮らしに直結する公共事業は、たしかに景気対策としても有効でしょう。

しかし、「アソウミクス」は違います。大規模ダム建設、整備新幹線、高速道路、国際コンテナ港湾、超高層ビルが立ち並ぶ大規模開発、リニア新幹線に伴う再開発など、ビッグプロジェクトが目白押し。第2次安倍政権がぶちあげた大型開発の計画だけで、総額50兆円を超えるのです。その財源のほとんどは、建設国債でしょう。大丈夫、将来、消費税率を引き上げて返済にあてればいいのです。

「消費税増税は社会保障のため」という言葉が、実に虚しく、空々しく見えてきます。

 医療の保険料も窓口負担も、高齢者を狙い撃ちした値上げがすでに始まっている、介護保険は改悪に次ぐ改悪、年金減額も歯止めがない――消費税8%で今年度5兆円、来年度8兆円の増税をしながら、現行制度の水準さえ維持できない。高齢者人口が増えることに伴う社会保障費の増額も認めないというのが「社会保障制度改革」。ということは、高齢者人口がピークと言われる2025年まで、社会保障制度の改悪は延々と続くということです。

 2013年度に始まったのは、生活保護制度への攻撃でした。自民党議員があからさまな攻撃の先頭に立ち、支給基準の見直しが断行されました。

「物価が下がっていたのに、保護費をそれに見合うように下げてこなかった」「生活保護を受けていない低所得世帯の消費はもっと少ない」――この理由には、「政治の貧困」の深刻さを痛感しました。

低所得世帯を比べて、苦しい方に合わせるとは何事か。物価指数下落の原因は、液晶テレビやコンピューターの価格が下がったこと。そもそも物価指数には、変動が大きいという理由で、生鮮食料品は入っていない。まさに数字のマジック、机上の空論。

 質問では、特に「子どもの貧困」に焦点をあてました。生活保護基準の見直しは、子どもが2人~3人という世帯での減額幅が大きかったのです。しかもこの改悪は、生活保護世帯を「蔑む」風潮に拍車をかけました。保護申請をためらう、あきらめる、行政が保護申請を回避しようとする――その一番の犠牲は子どもたちではないのか。

 貧困対策を求めると、「自己責任」「働いて収入を得るのが当然」などの議論にぶつかることが少なくありません。しかし、子どもについていえば、絶対に「自己責任」を押し付けてはならない、保護者の生活が崩れていたとしても、それを理由に子どもを放置することは許されない――これは私の信念です。この立場で何度も論戦に挑んできました。

「貧困状態に置かれた子どもたちを探し出してでも救い出す、それこそが国と自治体に求められているのではないか」、この一文に思いのたけを込めました。

 安倍総理の答弁は、「社会保障への関心がないのか」と思わせるようなものでした。「いまここにある貧困」への危機感は全く感じられませんでした。ビッグプロジェクトの足元で、格差と貧困が広がっていく、それで「美しい国」はつくれるのですか?超高層ビルの上階からは、国民の暮らしは豆粒よりも小さくしか見えないということですか?


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