日本共産党の田村智子参院議員は25日の参院国土交通委員会で、レオパレス21の違法建築問題について質問しました。
同社は、屋根裏の壁(界壁)を設置しないなど大量の違法建築を行った事実を2018年以降公表しました。田村氏に国交省は、建築基準法違反の建物の数が昨年末時点で1万5779棟に及ぶと明らかにしました。
田村氏は「全ての欠陥住宅をレオパレスの責任で修繕するよう国交省は指揮監督すべきだ」と主張。斉藤鉄夫国交相は「24年末までに全て修繕するよう指導している」と答弁しました。
田村氏は、同社が独自の試験による「監査結果報告書」を示して「安全性は確保された」と主張し、オーナーに修繕しないことへの了承を求めていると告発。国交省の塩見英之住宅局長は「法律上は、大臣認可の手続きが必要だ。レオパレスが独自に示した調査により修繕しなくてもよいことにはならない」と同社の主張を否定しました。
田村氏はまた、同社が一部オーナーに「お宅の建物は修繕しない。会社の判断だ」と通告したと指摘。斉藤国交相は「国交省の指導と異なる」と述べ、同社への事実確認と厳しい指導を約束しました。
2023年4月27日(木) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。質問の順番に御配慮いただき、ありがとうございます。
サブリース大手のレオパレス21の欠陥住宅問題について質問いたします。
レオパレス21は、屋根裏の壁である界壁のない集合住宅を建築し、二〇一八年にオーナーの皆さんからの告発によって社会問題化しました。隣の部屋の音が響いてくるなど、防音だけでなく、防火、耐火上も重大な建築基準法違反の欠陥住宅で、国会でも何人もの議員の方が取り上げてきた問題です。
この問題で、国交省が現時点で把握している建築基準法違反の物件数、また改修が必要な物件のうち改修済みはどれだけか、示してください。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
株式会社レオパレスが二〇一八年に建築基準法上の不備が発覚するまでに供給してきた共同住宅は、全部で三万九千八十五棟ございます。このうち、二〇一八年と二〇一九年に小屋裏の界壁などに不備があるとして同社が確認したものにつきましては、当該共同住宅が立地する地域の特定行政庁にその旨の報告がされております。各特定行政庁におきましては、同社からの報告に基づきまして建築基準法に違反する事実がないかの確認を行いました上で、違反が認められた物件につきましてはその旨の報告が国土交通省へされているところでございます。その件数は、二〇二二年十二月末の現在で一万五千七百七十九棟となってございます。
また、先生お尋ねの改修済みでございますけれども、これはレオパレス21社の方で改修済みの戸数の集計、把握をしてございますが、令和五年三月三十一日時点で五万七千二百八十八、これは住戸の戸数でございます、戸となってございます。
○田村智子君 一つの会社で分かっているだけで約一万六千棟なんですね。しかも、いまだ調査も不十分で、被害者のオーナー会からは独自調査をすれば必ず欠陥が見付かるというふうにもお聞きしています。問題発覚から五年が経過していますが、調査も改修も遅い。レオパレスが真摯に対応しているとは到底思えません。
大臣、違法建築、欠陥住宅、これは当然修繕によって解消されるべきで、レオパレスが責任を持って全ての物件を修繕するよう指導監督するということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省では、レオパレス21に対して、同社が施工した小屋裏界壁などに不備のある共同住宅の全てについて改修等を行うよう指導しております。
界壁などの準耐火性能が建築基準法に定める基準に適合しているとするためには、国土交通大臣が指定した性能評価機関が大臣認可を受けた方法により試験を行い、これに合格の上で大臣認定を取得する必要があります。したがって、これによらない調査結果があったとしても、改修をしなくてよいということにはなりません。
○田村智子君 レオパレス21は二〇二四年末までに修繕するというふうに言っているんですけれども、今も欠陥住宅の状態で居住している方がおられるんです。オーナーからは、修繕済みの部屋に転居してもらうということも含めて、もっと早く修繕をしてほしいという声が上がっています。
これは居住者の安全確保からも一刻も早い修繕が必要ではないかということをまず一点確認したいのと、今、少なくないオーナーが二〇二四年末までにレオパレス21との建物賃貸借契約の期限が到来をいたします。レオパレス21は、未修繕のまま契約期限が切れる物件のオーナーに他の不動産業者との新たなサブリース契約をと勧めているということも聞いているんです。これは法令違反の勧めに当たるのではないのかというふうに考えます。この二点、確認したいと思います。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
国土交通省におきましては、株式会社レオパレス21が施工いたしました共同住宅のうち、小屋裏の界壁などに不備が認められるものにつきましては、現在お住まいの方がおられる物件も含めまして、同社において建築基準法に適合させるための改修等を行うよう指導しております。この改修につきましては、二〇二四年末までの完了、明らかな不備があるものについての改修完了を目標に進めるように指導をしておりますが、この目標についてもできるだけ早く実現できないかということについても併せて指導をさせていただいてございます。
この改修がまだ終わっていない物件につきまして、その管理の業務を株式会社レオパレス21から別の不動産業者に引き継がせるということにつきましては、この引継ぎが行われました場合でありましても、これまで国土交通省が指導をしてきた改修等、これは引き続き株式会社レオパレスが行うことを求めることになります。このため、管理業務を引き継ぐこと自体に特段法令上の問題はないものと考えますけれども、後々、建物所有者と管理会社との間でトラブル等が生じないようにする必要がございます。
株式会社レオパレス21においては、新たに管理業務を引き継ぐ場合には、引継ぎ先となります不動産業者に対しまして、必要な改修等が未了であるということについて丁寧に説明を行っておくことが求められるものと考えます。
○田村智子君 通常、欠陥住宅のままで新たな業者とサブリース契約結ぶなんというのはあり得ないことですからね。ここは厳しくレオパレスに対して私は指導監督をやっていただきたいというふうに思うんです。これは、法令遵守のためにはやっぱり契約期間内に修繕するように強い指導が必要だと思いますので、これ重ねて求めます。
また、今年五月、六月にも契約期限が切れるオーナーもおられます。これは、修繕が終わるまでレオパレスとの契約延長をしないと、賃貸事業に利用することのできない違法物件をただ押し付けられてしまうということになってしまうんです。そうすると、緊急策として修繕終了までレオパレスとの契約、これを延長するようレオパレス21に対して指導すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
サブリースの契約は、共同住宅の建物所有者の方と株式会社レオパレス21との間で締結をされているものでございます。これを変更しようとする場合につきましても、両当事者でこれは合意をするということが必要になります。
このため、国土交通省がサブリース契約の期間を延長させるということは困難ではございますけれども、株式会社レオパレス21には、建物所有者等の不安を解消するために丁寧に説明、対応するようこれまでも指導を行っておりまして、その際は個別物件のサブリース契約の状況など、それぞれの建物所有者が置かれている個別の事情についてもよく踏まえる必要があるものと考えてございます。
個々の物件ごとの改修時期につきましても、建物所有者への丁寧な説明、対応を行う中で、同社において適切に設定すべきものと認識してございます。
○田村智子君 とてもレオパレス21の対応はひどいんですよ。今レオパレスは、修繕を約束せずにサブリース契約の終了を示した承継合意書という書面をオーナーに提示し、サインせよと迫っています。資料の一枚目を見てください。この特約事項には、施工不備対応を中断している、防耐火性の検証を行い、居住に特段の支障がないことを確認していると書かれています。つまり、物件に問題がないので修繕しないということへの了承を求めているんです。
この防耐火性の検証というのは、物件一つ一つを検証したものではありません。レオパレスが一級建築士事務所の立会いの下、燃焼試験なるものを行い、安全性は確保されているものと言えるという監査結果報告書を作らせているんですよ。それが資料の二枚目です。
確認いたしますが、この監査結果報告書はレオパレス側の一方的な主張にすぎないと考えますが、いかがでしょうか。これによって、違法建築物件が違法でなくなるとか、修繕の必要ありとされた物件がその必要がなくなるということにはならないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
委員がお示しになられた承継合意書の中に、この乙、乙というのは、このレオパレス21社が防耐火性の検証を行い、居住に特段の支障がないことを確認しているという記載があることは承知をしてございます。
ただ、この記載は、レオパレス21社が独自に調査を行ったことをお示しになられているものと思われ、先ほど大臣からも答弁がありましたとおり、建築基準法に基づいてこれが適合しているというふうに言うためには、国土交通大臣が指定をした性能評価機関が大臣認可を受けた方法によって試験を行って、これに合格の上で大臣認定を取得しなければなりません。したがって、これによらない今御指摘のような調査結果があっても、その改修をしなくていいということには全くならないということでございます。
○田村智子君 今、レオパレスはこの監査結果報告書を示して、おたくのアパートは修繕しないという宣告が始まっているんですよ。オーナーが修繕しないと判断したのは誰かというふうに聞くと、会社の判断という回答だということです。社として建築基準法違反のアパートを修繕しなくて構わないという方針を出したということにもなります。
大臣、これ、レオパレス21に対して事情聴取を直ちに行い、オーナーへの対応を是正させる、全戸修繕の計画を改めて出させることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほど来申し上げまして、申し上げているとおり、国土交通省では、レオパレス21に対して、同社が施工した小屋裏界壁などに不備のある共同住宅について改修等を行うよう指導しているところです。
このため、仮に修繕をしないとの方針が同社にあるのだとすれば、国土交通省が行ってきた指導とは異なる方針と考えられますので、同社に対し修繕しないとの説明をした事実があるか確認を行った上で、同社において改修等を着実に進めるよう、厳しく指導してまいります。
○田村智子君 是非お願いしたいと思います。これ、不動産事業が信頼揺らぎかねないことになりますので、厳しい対応をお願いしたいと思います。
オーナーとの賃料支払の契約についてもトラブルが多発しています。レオパレス21が一方的にオーナーへの支払賃料の減額を決め、オーナーとの合意がないまま減額賃料しか振り込まないという事案が起きています。
借地借家法は、三十二条第一項で賃料減額請求権を認めています。その上で、第三項で、建物の借賃の減額については、当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は減額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができるとしています。
賃料減額請求は、第一項にある経済事情の変動などによって賃借人の居住権を守るために必要な権利です。しかし、協議が調わないときは、裁判確定まで減額前の額での請求権があるので、協議なく一方的な減額賃料を押し付けることまで法律で認めてはいないという理解でよろしいか、確認したいと思います。
○大臣政務官(高見康裕君) 個別事案についてはお答えを差し控えますが、その上で、一般論としてお答えをいたしますと、借地借家法上、建物の賃借人が賃貸人に対して賃料の減額を請求した場合において、賃料の減額について当事者間で協議が調わないときは、賃貸人は、減額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額の賃料の支払を請求することができるとされております。
そのため、賃貸人は、賃料減額請求を受けたとしても、減額を正当とする裁判が確定するまでは賃借人に対し相当と認める額の賃料の支払を請求することができるのであり、賃借人がその額を支払わない場合には債務不履行に当たり得るものと考えられます。
○田村智子君 この件も、是非国交省として、少なくとも協議のないままの減額賃料の振り込み、これはさせないよう指導監督すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(長橋和久君) お答え申し上げます。
国土交通省として、賃貸住宅管理業法の観点から御答弁申し上げますが、賃貸住宅管理業法の観点からすると、賃貸人への事前の説明がなく一方的に契約変更となる賃料の減額を行うということは、これは法律で定めました重要事項の説明等の義務に違反するというふうに該当いたします。
レオパレス21については、一方的な減額を行った事実が確認されたため、国土交通省としては重要事項説明を丁寧に行うよう指導してきたところでございまして、現時点においては、一方的な減額を行っておらず、契約の相手方の状況に応じて必要な対応を行っているものと認識しておりますが、今後、違法な行為が確認された場合には賃貸住宅管理業法に基づき適切に対応したいと思っております。
○田村智子君 終わります。