日本共産党の田村智子政策委員長は2日、NHK「日曜討論」に出演し、3日から始まる臨時国会で山積する重要課題にどう対応するか各党政策責任者と討論しました。
安倍晋三元首相の「国葬」問題で田村氏は、岸田文雄首相が有識者から意見を聞き検証を行うと言っていることについて「問題を認識しながら強行したということだ」と批判。最大の問題は、法の下の平等や思想・良心の自由などを定めた憲法に反することを閣議決定だけで決めた点にあると述べ、国会での徹底検証を求めました。
統一協会をめぐる問題で田村氏は、選挙支援の依頼までしていた自民党の萩生田光一政調会長に対して「今後は関係を持たないと言っているが何を反省しているのか。協会のだましの手口に加担してきたことをどう認識しているのか」と追及。萩生田氏は「われわれの関与が結果として教団の信頼を高めることに寄与してしまったのではないかと反省している」との認識を示す一方で、統一協会と安倍氏の関係に関しては「(安倍氏が)亡くなっており、反論の機会がない」と述べ、調査を拒みました。田村氏は、協会と自民党の関係の徹底解明を求めました。
物価高への対応では田村氏は「一時的な措置だけでは生活も日本経済も立ち行かなくなる。消費税5%減税をなぜ決断しないのか」と与党に迫りました。
公明党の高木陽介政調会長が「消費税減税は、高額所得者も恩恵を受けるので、(国民が)不公平感を持つ可能性がある」などと発言したのに対して、田村氏は「消費税が所得の少ない人ほど負担が重いことはみんな知っている。消費税の減税は必ず、所得の少ない人や中小企業への支援になる」と強調。大企業の内部留保に5年間課税し、10兆円の税収を中小企業の賃上げ支援にあてる党の政策も紹介しました。
政府が狙う軍事費の2倍化について田村氏は、政府の最大の狙いは「敵基地攻撃能力」の保有だと指摘。安保法制の下でかえって戦争を呼び込みかねず、大軍拡が国民の暮らしも脅かすと批判し、東アジアに包括的な話し合いの枠組みをつくる外交努力こそ現実的な戦略だと主張しました。
NHK「日曜討論」での田村政策委員長の発言
日本共産党の田村智子政策委員長は2日のNHK「日曜討論」で、「国葬」の検証や統一協会問題、物価高・円安、安全保障政策などについて各党政策責任者と議論しました。
「国葬」の検証
安倍晋三元首相の「国葬」について田村氏は、岸田文雄首相が検証を行い論点をまとめるとしていることに対し「首相自身が問題を認識しながら『国葬』を強行したということだ」と指摘。憲法14条による法の下の平等や憲法19条の思想・良心の自由に反すると強調しました。
田村氏は、天皇が絶対的な権限を掌握していた大日本帝国憲法から国民主権の日本国憲法に大転換するとともに「国葬令」も廃止になったとして、「首相は今後の『国葬』のあり方について検討するというが、そもそもいまの憲法とは相いれない。憲法に反することを閣議決定だけで決定した。この検証を徹底的に国会で議論する必要がある」と主張しました。
統一協会との関係
自民党との深いかかわりが指摘されている統一協会の問題で田村氏は、自民党の萩生田光一政調会長が統一協会の関係者に選挙支援を依頼したと報じられていることをあげ、「今後関係を持たないと言っているが、いったい何を反省しているのかが全くわからない」と厳しく批判しました。
その上で統一協会は正体を隠して接近し、マインドコントロールして身ぐるみをはぐように金銭を収奪すると指摘し、「(統一協会などの)イベントや集会にメッセージを送れば、自民党の国会議員、総理や閣僚経験者が応援しているとなれば安心感を与えることになる。まさに統一協会のだましの手口に加担してきたことになる」と強調。自民党は選挙での集票や緊急事態条項などの憲法改定、学校の性教育への介入など政策的にも利用してきたとして、「なぜそのような関係になったのか、何を反省しているのか。徹底的に明らかにすべきだ」と求めました。
萩生田氏は「われわれの関与が結果として教団の信頼を高めることに寄与してしまったのではないかと反省している。一方、この20間、旧統一協会の霊感商法などについてはもうすでに被害がないという認識もあった。実際にはいまだに高額の献金や霊感商法の返済が続いていた。ここは私自身も心配りが足りなかった」と述べました。
立憲民主党の長妻昭政調会長は「被害の防止と救済が急務だ。実態を解明していくと同時に統一協会の解散請求についても国会で是非を議論していきたい」と発言しました。
物価高と経済政策
円安の影響などによる物価高で、1世帯あたり年間7万円の負担増との試算が紹介される中、今後必要な経済政策について議論が交わされました。
消費税減税を求める意見に対し、公明党の高木陽介政調会長は消費税減税について「高額所得者も恩恵を受けるので、(国民が)逆に不公平感を持つ可能性がある」として減税を拒否。田村氏は「消費税5%への減税をなぜ決断しないのか。消費税は逆進性が強く、所得の少ない人ほど負担が重いことはみんな知っている。消費税の減税は必ず、所得の少ない人や中小企業への支援になる。インボイス制度も必要がなくなるので、小規模事業者・フリーランスの方への支援にもなる。ここでまだ決断を遅らせるのか」と厳しく批判しました。
日本維新の会の音喜多駿政調会長は「雇用の流動化」や原発再稼働を訴えました。
田村氏は「異常円安や日本経済の行き詰まりは、アベノミクスや雇用流動化などの新自由主義がもたらした」と指摘し、「ここへの反省と政策の転換なしには経済の立ち直りはない」と強調しました。その上で、岸田政権による賃上げ減税は黒字企業にしか恩恵がなく、4カ月連続で実質賃金はむしろ下がっていると批判。日本共産党が提案する、大企業の内部留保課税で生み出した財源を活用した中小企業の賃上げ支援をあげ、「都道府県の最賃審議会も直接的な支援、新たな助成金が必要だと要望している。最賃1500円を実現する思い切った支援を早急にまとめていただきたい」と強く求めました。
軍事費GDP比2%
最後に、軍事費のGDP(国内総生産)比2%への増額が議論となりました。
田村氏は「政府の最大の狙いは『敵基地攻撃能力』の保有にかじを切ることで、専守防衛という日本の基本政策を完全に投げ出すもので、認めるわけにいかない」と厳しく批判。集団的自衛権の行使を可能にした安保法制のもとでは、日本が攻撃を受けていなくても米軍の軍事行動によって相手国への敵基地攻撃が可能になるとして「長距離ミサイル配備などに踏み出していけば際限のない大軍拡となって国民の暮らしが脅かされる」と指摘しました。
田村氏は、憲法9条を持つ日本が「東アジアに包摂的な話し合いの枠組みをつくる外交努力をすることこそが国民の命、平和を守る現実的な戦略だ」と主張しました。
2022年10月3日(月) しんぶん赤旗