日本共産党の田村智子議員は24日の参院内閣委員会で、こども関連法案にかかわり、政府の姿勢をただしました。
田村氏は、子ども施策の予算について、岸田文雄首相が将来的に予算の倍増を目指すと答えたが、検討している間に、少子化による義務教育費国庫負担の減少などで子ども関連予算は減り続けると指摘。児童手当だけでも年間300億円以上減るとして「減少分は子ども施策の充実に充てると表明しなければ増額どころか減額が進む」と迫りました。
野田聖子こども政策担当相は「こども家庭庁で検討する」などとしか答えませんでした。田村氏は「予算を減らさないと明言すべきだ」と批判。消費税10%増税の際、子ども関連施策を充実する1兆円プランが示され、1歳、3歳、4~5歳児の保育士の配置基準を改善すると約束したが棚上げされたとして「いつ約束を果たすのか」とただしました。野田担当相は「予算編成過程で財源確保に取り組む」などとこれまでの答弁を繰り返すのみでした。田村氏は、子ども政策を消費税増税の理由にしたと非難されても仕方がないと批判しました。
財源について田村氏は、高齢者給付を抑制し、子ども政策に充てようとしていると指摘。厚生労働省の元幹部が講演で、「日本は高齢者にお金をかけすぎたのではなく、子どもにお金をかけなさすぎた」と発言したことを示し、子ども・若年世代向けの給付を充実するよう求めました。
2022年5月25日(水) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
子どもの権利条約は、生命、生存及び発達に対する権利、子供の最善の利益、子供の意見の尊重、差別の禁止という四つの一般原則を掲げています。こども家庭庁設置法第三条、任務は、基本的にこの四原則を盛り込んでいます。本会議で、こども家庭庁の所掌事務に限らず、教育行政を含めて子供に関する施策全般にこの四原則が貫かれるべきではないかというふうに質問したんですけれども、ここにも明確な答弁がなかったので、改めて確認をしたいと思います。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
こども家庭庁設置法第三条の任務規定でございますけれども、議員が今御指摘になりましたとおり、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とする旨規定するなど、児童の権利に関する条約の趣旨を踏まえたものとなっております。この規定自体はこども家庭庁の任務を規定したものでございますけれども、この規定の趣旨は、こども家庭庁が有する総合調整権限を通じまして、各府省が取り組む子供政策にも及ぶものと考えております。
また、昨年末に取りまとめました基本方針におきましては、今後の子供政策の基本理念といたしまして、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案、全ての子供の健やかな成長、ウエルビーイングの向上、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援などを掲げておりますけれども、これらの基本理念は、こども家庭庁が行う子供政策のみならず、政府の子供政策全体を通じた方針といたしまして閣議決定をしたものであるというふうに認識しているところでございます。
○田村智子君 こども基本法の提案者にも確認いたします。
衆議院では、こども基本法と教育基本法は別の法体系というような議論もあったんですが、この基本法第三条の基本理念で掲げられた四原則は、教育行政も含めて政府の子供に関する施策で貫かれるべき原則と考えますが、いかがですか。
○衆議院議員(塩崎彰久君) お答えいたします。
本法案に言います「こども施策」、これは「こどもに関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策」、これを言うものと定義されております。この定義上、教育施策も含めた幅広い施策が「こども施策」に含まれるということになります。そして、本法案の三条におきましては、こうした「こども施策」の基本理念として、先ほど委員も指摘のありました児童の権利に関する条約、これに相当する内容が定められております。
したがいまして、児童の権利に関する条約の四原則につきましては、この本法案の「こども施策」に関する基本理念、こうしたものを通じて、当然に教育行政につきましても一体的に講ずべき施策全般に及ぶということになると考えております。
○田村智子君 大臣にも確認をいたします。
そうすると、こども家庭庁の法案三条一項の観点で各府省の事務を点検するし、そこから外れた事態があった場合には大臣の勧告権も背景に強力な総合調整を行うということになると思いますが、それでよろしいでしょうか。
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
こども家庭庁は、今、田村委員御指摘の設置法第三条の任務を達成するために、第四条第二項において、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項などの企画立案、総合調整に関する事務をつかさどることを規定しています。
また、こども家庭庁の事務を担当する内閣府特命担当大臣を必ず置くこととしており、政府部内の総合調整に当たっては、まず、担当大臣の勧告権等を背景に、こども家庭庁職員が関係省庁と意見交換を行ったり働きかけなどを行います。そして、政府部内の統一を図るために必要があると認めたときには、内閣府設置法第十二条第一項に基づき、関係行政機関の長に対し必要な資料の提出や説明を求めることができます。さらに、特に必要があると認めるときには、同法第十二条第二項に基づき、関係行政機関の長に対し勧告を行うことになります。
この勧告権を行使する際には、まず何よりも子供や若者から直接意見を聞く、様々な取組を行い、子供や若者の意見を十分に踏まえ、子供の視点に立って実態の把握や情報収集を行います。さらには、有識者などからヒアリングを行うことも考えられます。
こども家庭庁において、常に子供の視点に立って、各省庁より一段高い立場から子供政策を主導するとともに、必要がある場合には、今申し上げたように適切に勧告権を行使していく考えです。
○田村智子君 今お聞きしてきたようなことは、具体にどういうことが進むのかということなんですけど、例えば、子どもの権利条約の四原則から保育施策を点検すれば、待機児童対策として、定員超過の詰め込み保育の転換、これ求められると思います。親の就労保障とともに、保育環境が家庭的で子供が安心できるものであること、子供の成長、発達の権利が保障される保育環境であることが同時に問われていかなければならないということになると思うんですね。また、開所時間の長時間化が進んでいるんですけれども、そのことが子供に与える影響は検討されて、長時間労働の更なる規制や家族的責任を本気で保障するような労働法制の規制強化へと向かわなければならないと。
これは、私は、子どもの権利条約の全面実施ということ、これすごく日本の社会も政治も変えていく力を持っているというふうに私は権利条約批准運動の頃から考えていました。
子供ど真ん中と言ってこども基本法を制定するということは、これまでの様々な施策を子供の権利の四原則に照らして検証、検討し、政策立案の在り方も変えていくということだと考えますが、それが立法の趣旨なのかどうか、提案者にお聞きいたします。
○衆議院議員(勝目康君) お答え申し上げます。
御指摘の児童の権利に関する条約のいわゆる四原則でございますけれども、先ほど塩崎委員からも御答弁させていただきましたとおり、この本法案三条におきまして、「こども施策」の基本理念として定められているところでございます。
この法案の四条、五条におきまして、国及び地方公共団体は、この基本理念にのっとって「こども施策」を策定し、実施する責務を有していると、このように規定をされているところであります。
したがいまして、政策を策定をして実施をしていく、この各段階におきまして、「こども施策」が基本理念にのっとっているかどうか、このことがこれまで以上に考慮されるようになってくるんだろうと、そしてその実現というものが図られていくと考えております。
○田村智子君 今のような施策が本当に進んでいくのかどうか、これはやっぱり政府が子どもの権利条約を批准して政府報告書をまとめる、このときに本来自己点検されるべきですし、それから、その政府報告書に対する国連子どもの権利委員会からの最終所見や勧告、これが本当にそういう政策立案になっているのかということを点検していく過程でとても大切になってくるわけですよね。
そうすると、国連子どもの権利委員会は、日本政府に対する第四回、第五回審査の最終所見で、生命と生存の権利について、社会の競争的な性格により子供時代と発達が害されることなく子供が子供時代を享受することができるようにすることを日本政府に求めた。私、このことを総理に本会議でお聞きしたんですけれども、総理は、子供が子供時代を享受する権利が法的に保障される権利かどうかは明文規定がないから答弁困難という答弁だったんですね。見解さえ示されなかったというのはとても残念だったんです。
それでは、聞き方を変えます。
社会の競争的な性格により子供時代と発達が害されることなく子供が子供時代を享受すること、これを大臣は必要だと考えますか。また、日本の子供たちが子供時代を享受することができなくなっているという認識があるのかどうか、お答えください。
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
児童の権利委員会から二〇一九年の政府報告審査の総括所見において、児童が幼少期及び発達を社会の競争的性質によって害されることなく享受できるよう確保するための措置をとることなどの勧告があったことは承知しています。
政府としては、昨年十二月に閣議決定した基本方針では、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態、ウエルビーイングで成長し、社会で活躍していく、社会で活躍していけるようにすることが重要であるとしています。
私としても、全ての子供の健やかな成長、ウエルビーイングの向上に向け全力で取り組んでいきたいと考えています。
いずれにしても、我が国としては、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策は我が国社会の真ん中に据えられる、こどもまんなか社会の実現に向けて、児童の権利条約の趣旨を踏まえ、子供政策を主体的に進めてまいりたいと考えています。
○田村智子君 今の答弁も政策の方向性であって、日本の子供の置かれた現状についての認識を示されないわけなんですよ。
やっぱりこれは、子供時代を享受するというのは、市民の皆さんが政府報告書に対するカウンターレポートとして子供期の喪失ということを何度も指摘してきたんですよ。これを踏まえた権利委員会からの勧告だというように私は認識をしています。
日本学術会議も二〇一三年に我が国の子どもの成育環境の改善にむけてという提言をしていますが、その中で、塾や習い事等による生活時間の分断化が進んでいる、このことを指摘して、ゆったりとした時間を確保する、これが大切だということを提言しているんですよ、休むこと、ゆったりとすること。
先週の質疑で、国際的に見ても十代の自殺率が異常に高いと、子供たちの置かれた環境がストレスフルになっているからではないのかというふうに質問したんですけれども、もう一貫して、そういう現状に対する認識が示されないんですね。これ、もう繰り返しても同じだと思いますので、要望しておきます。
子供時代が享受できなくなっている、やはりこの勧告に真剣に向き合うことがまず求められている。それはいかなる現状を指しているのか、何を変えることが求められているのか、そうでなければ何のために基本法を作るのか、何のためにこども家庭庁を設置するのかということになってしまう、このことは指摘しておきたいというふうに思います。
新たに設置されるこども家庭審議会についてお聞きします。
その事務として、子供の権利利益の擁護に関する重要事項の調査審議が掲げられていますが、総理大臣、こども家庭庁長官の諮問に応じて行われるというふうにされていて、審議会の職権による調査審議の開始、これは法文上規定がありません。
各委員が問題を認識したとしても、審議会のメンバーですね、調査審議はできないということなのか、それとも、こども家庭庁や総理からは一般的な諮問があらかじめあって、それで問題点は審議会の判断で点検してもらうということなのか、どうなんでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
こども家庭審議会でございますけれども、いわゆる国家行政組織法第八条に相当する機関といたしまして、内閣府設置法第五十四条に基づき設置されます。設置され、法律に定められた重要事項に関しまして、内閣総理大臣、関係大臣又はこども家庭庁長官の諮問に応じて、又は自ら調査審議し意見を述べるとともに、児童福祉法等によりその権限に属された事項を処理することとされております。
そのため、内閣総理大臣等の諮問がない場合であっても、こども家庭審議会は、各委員が問題を認識している場合など、自発的に法律に定められた重要事項に関して調査審議を行うことができます。
○田村智子君 では、諮問が行われた場合ですけれども、それは諮問があった場合もその範囲に限定されるのでなくて、それに関連する事項の調査審議も行うことができるということでよいのか、確認いたします。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
今議員がおっしゃいましたように、こども家庭庁の調査審議は諮問の範囲に限定されるのかというお尋ねでございますけれども、当然、その諮問された事項に関して調査審議するのは当然でありますけれども、当然、審議会に属される委員の方々の問題意識に応じまして、必要と思われたことにつきましては、そのこども家庭審議会におきまして調査審議を行うことができるというふうに解しているところでございます。
○田村智子君 そういう独自の調査というのは本当に大切だと思うんですね。特に、権利擁護に関するものは、権利利益侵害の個別の事例、権利侵害が隠されている事例、これをしっかり把握して、同じような事態が再び起こることのないように対策を取っていくことが求められていくわけですね。
そうすると、法案では、審議会には、資料の提出を求める権利、こういう定めがないんですね。だけれども、審議会の要請に応じてこども家庭庁が資料提出の要求権などを行使して審議会に協力をしていくということは当然に求められるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(野田聖子君) こども家庭審議会は、そもそも必要に応じて法律に定められた重要事項に関して自ら調査審議し、意見を述べることができ、これらの行為を行うために必要な資料の収集などについても当然行うことができるものと考えております。
なお、設置法案では、第五条に、長官は、こども家庭庁の所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができると規定をしてあります。御指摘の、こども家庭審議会から要請があったときには、必要に応じて長官がこの権限を行使してまいります。
○田村智子君 次に、子供の権利の実現のためには、子供のための政策を統一的に実施するだけでなく、その政策が子供の権利を侵すものになっていないか、政府から独立した立場で検証や勧告をする子供の権利擁護機関、いわゆる子供コミッショナーがやはり必要だと私も考えます。国連子どもの権利委員会からは、この子供の権利擁護機関の設置ということが何度も勧告をされています。
こども家庭庁を設置する一方で、ここに踏み込まなかったのはなぜなのか、大臣に是非御答弁いただきたいんですけど、あわせて、国連からの指摘、これをどう受け止めるのか、そしてこの子供コミッショナーの必要性についての見解というのも併せて御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
児童の権利委員会から、二〇一九年の政府報告審査の総括所見において、児童による申立てを児童に配慮した方法で受理、調査及び対応することが可能な、児童の権利を監視するための具体的メカニズムを含む人権監視のための独立したメカニズムを迅速に設置することとの勧告があったことは承知をしているところです。
いわゆるコミッショナーについては、これまでの質疑において様々な観点で皆様方から御審議いただいているところでございますが、こども家庭審議会は、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する重要事項等を調査審議し、当該重要事項に関し、内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に意見を述べるといった権限を持っています。また、内閣総理大臣等の諮問に応じるのみならず、諮問がなくとも自ら調査審議を行う権限を持ちます。
これらの権限に基づいて、子供の権利利益の擁護に関し政策の評価や提言についての議論を行い、内閣総理大臣や関係各大臣などに対して意見を述べることを想定しております。
こども家庭庁においては、国会での審議をしっかり受け止め、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことによって、公平性や透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、施策の充実に取り組んでまいります。
以上で私の答弁となりますが、御理解ください。
○田村智子君 これは、本当に子どもの権利条約を実施していく上での肝となる部分だと言われてきているんですよね。私も、権利条約の国連子どもの権利委員会の方が国会などに来たときにいろいろ意見交換をしたことがあるんですけれども、海外では、子供向けにその子供コミッショナーを知らせて、何か様々な問題とかぶつかったようなことがあったらいつでもここに電話をしてくださいねというのを子供に分かりやすく紹介するような発行物も作ったりしていて、これはすごいなということを感じましたね。本当に、子供の側の味方ですよということが、子供に分かりやすく伝える努力をして、これを機能させていこうという努力があるわけですよね。
そういうことに熱心だったからこそ、公明党の提案者にもお聞きしたいんですけど、公明党さんもそのことにすごく熱心だったというふうに理解しています。先週来ていただいたのに、済みません、ここまでたどり着かなかったものですから。
基本法の制定とともに、公明党も、子供の権利擁護機関、子供コミッショナーということを提案をされていた。この子供の権利擁護機関については自民党、公明党の間でも議論があったということも報道をされています。そうしますと、基本法に検討規定も盛り込まれなかったと、これとても残念なんですけど、それはどうしてなのかということを御答弁いただけますか。
○衆議院議員(中野洋昌君) お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、公明党の考えということで述べさせていただきますけれども、我が党といたしましては、やはり子供の声を代弁をして調査あるいは勧告などを行う、そういった組織であるとかそういった機能、こういうものは重要であるというふうなことを考えております。
他方で、今回こども家庭庁が設置をされましたら、先ほど来政府の方からも答弁ありましたとおり、こども家庭審議会が設置をされるということで、子供関連の政策の重要事項の調査の審議、あるいは関係各大臣、総理等に対する意見具申などを行っていくということでございます。まずは国会の行政監視機能の下、こども家庭審議会の運用状況、これについては注視をしていくべきではないかというふうに考えております。
その上で、やはり我が党といたしましても、こうした運用状況も含めまして、こども家庭庁、こうした全体の行政府の施策の実施状況というのは当然見ていくことになります。そして、基本理念にのっとった子供政策の一層の推進のために何が必要な方策なのかということは、当然今後も検討されていくことになろうというふうに思っておりますので、その中で必要な方策の実施というのはしっかりと訴えてまいりたい、このように考えております。
○田村智子君 例えば、子供の意見の尊重という基本原則が盛り込まれて、いろんな地方議会なんかでも子供議会とかというのをやっているんですよ。それで、子供が意見表明するでしょう、そうすると、中には、役所の担当者がそれに、まるでもう私たちが質問したときに答弁するように、なぜあなたの言っていることが実現できないかをとうとうと説明するという、こんな場面も私も見てきたんですよ。子供の意見を聞いてはいるけれども、聞き流していると。
子供の立場でその意見に対してどう対応するのかということをやっぱり大人が努力するという機関はやっぱり必要だし、これが権利侵害ということに関われば、より必要になってくるわけですよね。子供施策の推進に関わる有識者会議のヒアリングで必要性は何人もの方々からも出されたし、先日は日本弁護士会からも要請、要望書が郵送されてきました。
政府の政策によって、結果的に子供の権利侵害が起こるということは過去にもあったわけです。実際、子供に対しても隔離を行ったらい予防法、優生保護法による断種政策、これも子供をも対象とされたわけですよ。そうすると、職権で若しくは個別の子供からの訴えによってやはり政府から独立して事実関係を調査し、是正を求める機能、これは必要だと、必要だと、今回盛り込まれなかったけれども必要だということは、基本法の提案者の皆さんとは思いを共有するのではないかと思いますけど、いかがでしょうか。
○衆議院議員(塩崎彰久君) お答えいたします。
今委員から御提案のありました政府から独立して事実関係を調査し、是正を求める機能、まあ一般論ではございますが、新たな機能を具体化する際には、その担い手や権限、こういったものについて十分な議論が必要であるというふうに考えます。
今回の子供の権利擁護のための機能という観点からは、今まさに子供の権利利益の擁護に関する事務を行うということで、こども家庭庁、これが設置されまして、そしてまた、こども家庭審議会が設置されることになって、政府から提案されております。まずはこれらの実際に組織がどのように機能するか、これを見極めた上で基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のために必要な方策について検討すべきであるというふうに考えます。
○田村智子君 必要なんですよ。そこの思いは共有したいですよ、本当に。
だって、ここね、この私の質問の範囲だって、子供の自殺ということに対する政府の見解、認識さえ示されないんですよ。やっぱり政府から独立して、じゃ、なぜこんなに自殺率が高いのか、子供の立場で、子供擁護の立場で、政府から独立して、政府にとって都合の悪いことであっても言えるような、政策に切り込めるような、そういう機関がなければ本当の権利擁護にはなっていかないということは重ねて指摘をしておきたいと思います。
続いて、子供施策の予算についてお聞きします。
総理は、十八日の本会議で、予算についての質問に、取組を進める中で将来的に予算の倍増を目指してまいりますというふうに答弁をされました。野田大臣も同じ立場でしょうか。
○国務大臣(野田聖子君) 総理は、子供政策に関する予算について、十八日の本会議も含めて、従来から、今後はこども家庭庁の下で子供の視点に立って必要な子供政策が何かをしっかりと議論する、その際、期限、規模ありきではなく体系的な取りまとめを行う、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実にしっかりと取り組む、そうした取組を進める中で将来的に予算の倍増を目指していきたいという御発言をされております。
私としても、この方針にのっとり、子供政策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。将来的に倍増を目指していきたいと総理もおっしゃっているところであり、私としても、この大きな方向性の下、総理とともにしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
○田村智子君 そうすると、まずは政策検討、そして財源の検討と、これでは検討している間に実際には子供関係予算はどんどん減少していきます。昨年、児童手当法の審議で大分審議されました。特例給付が廃止されることによる減額だけでなく、そもそも子供の人数が減少しているので給付費、国庫負担とも減少を続けていると。コロナ危機によって少子化は更に急速に加速してしまったので、昨年の時点で、児童手当だけでも年間三百億円程度と思われていた減少幅は更に拡大することになるでしょう。
子供施策の充実、将来的には予算倍増を目指すというのであれば、まず子供に関わる予算を減らさない、自然減による予算減少分は子供施策の充実に充てるということを表明しなければ、増額どころか減額が進むと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(野田聖子君) 今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供視点に立って必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方と併せて子供政策の充実にしっかりと取り組むことが重要です。
子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保については、昨年十二月に閣議決定した基本方針において、政府を挙げて国民各層の理解を得ながら社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしております。この方針に従い、安定財源の確保策についての具体的な検討について、政府を挙げて進めてまいります。
田村委員御指摘のとおり、少子化でございまして、元々は少子化を想定していないお金のありようだったと思いますが、こういう急激な少子化、これまさにこども家庭庁の中で取り組むべき大きな国策であるわけですけど、そういうところも踏まえてしっかり検討していかねばと考えています。
○田村智子君 まずは減らさないというのは、これは、まだ何回か委員会ありますから、明言しましょうよ。だって、減らしちゃったら、どうして倍増できるんですかという話ですからね。自然減に伴って減らしませんと。しかも、その財源確保がされなければ施策が進まないというのも非常に危ういんですよね。
だって、約束された施策がいまだ実施されていないという現状ありますよね。消費税の一〇%への増税の際に、子供関係施策の質と量の充実だとして一兆円プランというのが示された。一歳児、三歳児、四、五歳児の保育所職員配置基準の改善、これ約束として示された。ところが、このうち行われたのは三歳児だけですよ。一歳児の職員配置、六人の子供に対して一人を五人に対して一人、ここに改善する。それから、四、五歳児の職員配置、三十人に一人を二十五人に一人、こう改善すると。この約束はいまだに棚上げされたままなんですね。
これ、児童手当の自然減の分、これ数年分を充てれば実施できるんですよ。だから、児童手当の分だけでも、自然減に伴って、人数の減少に伴うものを減らさない、減らさずに子供施策に回す、こういうことをやればできるんですよ。残念ながら、この児童数の減少というのは増加に転じるのに一定の年限掛かってしまうわけですからね、保育所職員配置の改善措置に充てることに問題ないと思いますよ。
これ、もう約束を果たすと、そう言うべきだと思うんですけど、いかがですか、一兆円プランの約束を果たすと。
○国務大臣(野田聖子君) 教育、保育の質の向上のためには、保育士等の職員配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えています。
職員の配置改善については、平成二十七年度から三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでいる一方で、今御指摘のいわゆる〇・三兆円超の事項である一歳児や四歳、五歳児の配置改善については未実施となっています。〇・三兆円超の事項については各年度の予算編成において財源の確保に努めることとされており、未実施となっている一歳児や四歳、五歳児の職員配置の改善についても、引き続き毎年度の予算編成過程において財源の確保に努めてまいります。
○田村智子君 消費税増税の理由にしておいてですよ、増税はしておいてやらないということですからね。ちょっと、本当にこれでは、子供施策を消費税増税の理由にしたと、それだけだというふうにそしられても仕方がないような事態だと思うんですよね。
先日、全国保育団体連絡会、都内で記者会見を行いまして、こども家庭庁を設置するのであれば、これまで不十分かつ問題のあった子供に関わる政策、施策の課題を洗い出し、その在り方を抜本的に転換すべきですというふうに求めています。その中で、七十年以上改定されていない四、五歳児の保育士配置基準などの改定と。七十年以上質の向上がないんですよ。あり得ないですね。
問題は、だから、消費税増税しておきながらその財源は事実上使っていないということになるんですよね。じゃ、どこから今度はその財源持ってくるのかなんです。
五月二十一日、全世代型社会保障構築会議が中間整理を公表しました。その冒頭で、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直し、」としています。高齢者の給付を抑制して、それを子供の政策に充てるということになるんですか。
○大臣政務官(宗清皇一君) 済みません、御答弁申し上げます。
先生今御指摘の全世代型社会保障構築会議におきましては、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての世代で安心できる全世代型社会保障の構築に向けまして議論を今進めているところでございます。
先日取りまとめられました議論の中間整理では、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直し、」「能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保することが重要」という提言もいただいているところでございます。
政府といたしましては、中間整理の内容を踏まえまして、男女が希望どおり働ける社会づくりや勤労者皆保険の実現による支え手の増加に向けて取組を進めていきたいと考えております。
○田村智子君 だって、負担は現役世代が中心って、就労所得があるんだから当たり前のことなのに、これを攻撃する。何というんでしょうね、高齢者にばかりみたいな議論になっちゃうんですよ。
実は、この中間まとめの給付は高齢者中心というこの考え方について、全世代型社会保障構築会議では注意を喚起するような発言があったんです。三月九日、第二回の会議、権丈善一慶応大学教授の発言、紹介します。
全世代型社会保障という言葉を使い始めた人たちは、日本の高齢者は他国と比べて恵まれ過ぎている、それに対して若い人たちはという意識を持っていた人たちが多くいました。この言葉は世代が年齢に読み替えられて、世代間対立をあおるという多少の危うさがありました。二〇一三年の社会保障制度改革国民会議の報告書には、全世代型の社会保障への転換は、世代間の財源の取り合いをするのではなく、それぞれに必要な財源を確保することによって達成を図っていく必要があるものであるという言葉が書き込まれることになります。メディアレベルになってくるとほとんど世代間対立の言葉になっていますので、このことは言い続けなければいけないと思いますと、おおむねこういう発言が権丈委員からあったわけですね。財務省を始め政府には、この発言をよく踏まえてほしいと思います。
二〇二〇年厚生労働白書から資料を配付いたしました。社会保障給付の国際比較をしているものです。高齢化率と、これ二枚目ですね、率と社会保障支出の関係についてこの白書の中でも説明をしていますけれども、どのような説明になっていますか。
○政府参考人(横幕章人君) お答えをいたします。
令和二年版の厚生労働白書におきまして、高齢化率と社会保障の給付規模につきまして、欧米五つの国との比較を行っております。その中では、引用いたしますと、社会保障の給付規模の推移を高齢化率の推移とともに見ると、いずれの国も高齢化の進行とともに給付規模は拡大する傾向にある、我が国は最も高齢化が進んでいるが、社会支出の対GDP比は我が国よりも高齢化率が低いフランス、スウェーデン、ドイツの方が我が国を上回っていると、こう記載されているところでございます。
○田村智子君 二ページ目の折れ線グラフですね、高齢化率を横軸にして、GDPに占める社会保障支出の割合を縦軸にしたグラフで、主要ごとにその推移を示しているんです。各国とも高齢化率の上昇に伴って社会支出は上昇傾向にありますが、同じ高齢化率で比べた場合、日本の社会保障支出が相当に低いことが分かります。
次のページの資料を見ますと、医療、介護、年金の対GDP比の年次推移なんです。高齢化に伴って高齢者への支出額は増えているけれども、高齢者への給付で比べても主要国より日本は低水準であることが分かります。
この三ページ目の資料は、厚生労働省の次官だった鈴木俊彦氏が保険局長のときに講演で使った資料なんです。この講演の中で鈴木氏は、日本は医療や介護などにお金を出し過ぎなのだろうか、実はそうではない、日本は高齢者にお金を掛け過ぎていたのではなく、子供に金を掛けなさ過ぎたということではないかと述べておられるんです。
高齢化率などを考慮に入れて国際比較してみると、高齢者向け給付は手厚いどころか国際的にはむしろ低い。そして、子供、若者世代向けの支出は更に異常に低い。高齢者に手厚いのではなくて、まさに子供にお金を掛けなさ過ぎたということだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(横幕章人君) お答えをいたします。
先ほど申し上げましたとおり、社会保障の給付規模、いずれの国でも高齢化の進行とともに拡大する傾向にあり、その中で、社会支出の対GDP比、我が国よりも高齢化率が低いフランス、スウェーデン、ドイツの方が我が国を上回っているという状況にございます。
また、子供、若年世代という御指摘ございました。社会支出のうち家族関係支出の対GDP比を見ますと、欧米諸国と比べると我が国低い水準となっております。この背景には国民負担率の違いなどもあるのではないかと考えているところです。
なお、我が国の家族関係支出の対GDP比、これは、これまでの子育て支援の拡充によりまして着実に増加をしてきております。例えば二〇一五年度には一・四一%でございました。二〇一九年度には一・七三%と増加をしているところでございます。
○田村智子君 資料の二ページ目のところの棒グラフも見てほしいんですけれども、別に日本の高齢者に対する社会保障の給付って本当は高いなんてなかなか言えないですよ。だけど、異様に少ないのが比較的若い世代への支出って厚労省がまとめている部分ですよね。これが余りに低いというのはもう一目瞭然なんですよね、住宅に対する手当であるとかね。そういう現役世代に対して本当に支援が足りないと。
こういう認識を前提として、基本法の提案者にもお聞きをしたいと思うんです。
こども基本法第十六条には、「こども施策」の一層の充実、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずる、その努力義務を政府に課しています。法律上こういう努力義務を課したということは私は大切だと思いますが、努力義務だからといって棚上げされないように監視をしなければならないし、その点での与党の責任はとても重いものがあるというように思います。
高齢者向け給付を削って若者に回すということをするのは、国際的な比較でも結局、GDP比での社会保障給付は低水準なままになってしまう。しかも、高齢者の大多数は低収入で、結局、その高齢者の子供さん、つまり子育て世帯、ここにしわ寄せが来る。親への仕送り、あるいはケアの負担の増加、これが介護離職とかあるいはヤングケアラー、こういう問題につながっていくわけですね。高齢者との分断をすると、そして高齢者を言わば苦しめれば、その苦しみは現役世代にそのまま跳ね返ってくる、これ多くの方の実感だと思います。それ、提案者の皆さんにはそういう認識があるのか。
そして、基本法十六条の措置というのは、高齢者世代の給付を削って財源を確保するのではなく、子供、若者向けの給付を抜本的に増加させるということの実現であるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(勝目康君) お答え申し上げます。
提出者といたしましては、この「こども施策」については、こども大綱において実施すべき施策をしっかり定めて、そしてそれに必要な予算を確保、充実していくと、これが基本的な立て付けであるということでございます。
委員御指摘の法案九条四項、こども大綱を定めるに当たっては、その「こども施策」の具体的な目標達成期間を定めるとともに、この委員御指摘の十六条ですね、済みません、こども大綱の定めるところにより、「こども施策」の幅広い展開その他の「こども施策」の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずると、こういうふうにしているわけであります。
「こども施策」を強力に進めるために安定財源を確保して、そして予算を充実させていく、その必要性につきましては、これは委員におきましても私どもにおきましても、まさに与野党で一致をしているんだと、このように考えているところであります。その安定財源につきましては、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方含めて幅広く検討を進め、その確保に努めていくと、このようにされているものと承知をしております。
○田村智子君 これ大切ですので大臣にもお聞きしたいんですね。高齢者の方を削って子供に回さなければ財源は生まれてこないのかと。私たちは、日本共産党は、史上最高益を上げている大企業はただただ内部留保を膨らませていますから、その利益に対して公正な課税をすべきだ、あるいは所得一億円の壁と岸田総理も言われた富裕層のところへの課税強化というのも求められているだろうと、こういうような財源というのは何度も何度も提案してきているわけですよね。だけど、そういう提案についてまともな検討が行われているとはとても思えないわけです。
高齢者を削ってそして子供に回す、少なくともこれは違うよねと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(野田聖子君) 将来世代の不安を取り除くためにも、社会保障の持続可能性を確保していくことは重要であります。
こうした観点から、骨太の方針においても、社会保障関係費については、その実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収める方針であるというのは認識しているところです。一方、子供政策については、これまでも、安定財源を確保しつつ、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など各種の支援を充実させてまいりました。
高齢者の予算を削って子供世代に回すのではなく、子供向けの支出の充実を図るべき、そういう御提案であります。
子供政策についての予算については、昨年閣議決定した基本方針でも、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしているところです。この基本方針に従い、期限とか規模ありきではなくて、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で、また、もう御議論を随分いただいておりますので、そういうところで体系的に取りまとめて、社会全体での費用負担の在り方など安定財源の確保の検討と併せて、子供政策の充実にしっかりと取り組むことが重要だと考えているところです。
○田村智子君 これ、ますます、一体いつになったら子供の施策の予算が倍増するのかなというのが本当に見えなくなるような議論だなと、ちょっと指摘をせざるを得ないんですね。
残る時間が本当に少なくなってしまって、今日、生活保護を受けながらの大学進学についてお聞きをしたかったんですけど、少しだけ聞きます。
今回、子供について、十八歳以下にこれまで子供の支援というのが限定されていたものを、基本法、設置法共に子供の定義を変更して、十八歳を超える若者に対しての支援強化を行っていくこととしたのはとても大切なことだというふうに思うんですね。それは、高校卒業後の支援策がほとんどないというのが現実だからです。
この四月、横須賀市が、十八歳から十九歳の大学生や専門学生のうち、横須賀市の児童相談所が関与して自立援助ホームに入所し、市が認めた生活困窮者に対して生活保護基準相当額を最長十八か月支給する制度、これを始めました。これは一人の大学生に対応するためにつくられた制度です。
この学生さんは、両親の虐待から逃げ出して、児童相談所を経てシェルターに避難をした。トラウマなども強くて体調が安定せず、アルバイトもできない、生活保護を受けられなければ大学をやめなくてはならないという状況にあった。横須賀市は、国と協議をした上で、病気療養の休学中に限り生活保護の受給を認めた。だけど、生活保護受給のままの復学は認められなかった。退学をするか、そのまま休学するか、どっちかでなければ生活保護の受給はできませんよということになってしまった。で、横須賀市は独自に制度をつくったんですよ、だから。
厚労省、この案件よく御存じだというふうに思います。私、やっぱり、これでは高等教育受ける権利が保障されるということは不十分だと思う。やっぱり、大学に通いながら生活保護受給を認めるように、この検討はもう始めるべきだと思いますけど、いかがでしょうか。
○大臣政務官(深澤陽一君) お答えいたします。
生活保護を受給しながら大学等に就学することについては、一般世帯で、高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や、奨学金、アルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等とのバランスを考慮する必要があるため、慎重な検討を要するものと考えております。また、生活保護制度が保障する最低生活を下回る場合には誰もがひとしく保護を受ける権利が与えられることから、御指摘のような虐待を受けて避難した場合など特定のケースに限って保護を適用することについても対応は困難と考えております。
一方、生活保護世帯の子供の大学等への進学を支援するため、平成三十年度から、進学準備給付金の創設や、自宅から大学等に進学する場合の世帯員の減少に伴う住宅扶助費の減額の取りやめなどの取組は行っております。
また、文科省では、令和二年四月から開始された修学支援新制度において、生活保護世帯を含む低所得世帯の子供たちを対象として、授業料及び入学金の減免や給付型奨学金による生活費の支給といった支援が実施されていると承知しております。
このように、生活保護制度のみならず、ほかの施策と相まって、生活保護世帯の子供の大学等への進学支援等を充実させることが重要と考えており、今後とも文科省と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○田村智子君 ちょっと今日もう時間が来てしまって、文科省さん、ごめんなさい、質問届かなくなってしまったんですけれども、次回につなげたいというふうに思います。
この横須賀市の学生さんの事例はNHKのニュースの中でも取り上げられましてね、どういう角度で取り上げられたかというと、生活保護を受けるためには退学しなければならないと、これでいいのかという問題意識からの取り上げ方だったんですよ。やっとこういうことが議論できる状況に日本もなってきたということを、私は非常に感動的にそのニュースを聞いたんですけれども、とても大切な問題ですので、次回引き続き質問したいと思います。
今日はこれで終わります。ありがとうございました。