活動報告

活動報告
物価急騰、年金減らすな/田村氏、消費税減税検討迫る/参院決算委

 日本共産党の田村智子副委員長は28日の参院決算委員会で、物価高が暮らしを直撃するなか4月から公的年金が0・4%減額される問題を取り上げ、「物価が上がっても年金が減るという制度の欠陥を認めて、減らない年金制度へと変えるべきだ」と主張しました。

 ロシアのウクライナ侵略戦争によって、さらなる物価急騰が危惧されています。田村氏は、ウクライナ侵略に対する2度目の国連非難決議が採択されたことをあげ、戦争被爆国の日本は、ロシアに「核を使うな」と迫る国際世論を喚起する外交が求められていると主張。同時に、広がる物価高への対策として「消費税の緊急減税を検討すべきだ」と迫りましたが、岸田文雄首相は「消費税については触れることを考えていない」と開き直りました。

 田村氏は、直近6カ月の消費者総合物価指数が前年同月比で軒並み増加し、賃金指標は消費税増税やコロナの影響でマイナスとなっていると指摘。「これほどの物価急騰のときに年金支給額を減らすのか」とただしました。岸田首相は「(現行年金制度の)仕組みは尊重しなければならない」と述べるだけで、まともに答えませんでした。

 田村氏は、年金支給額を減らしながら自公が年金生活者に5000円の臨時給付金を政府に要望したことも「あまりに筋が通らない」と批判。「大企業・富裕層に税金も社会保険料も応分の負担を求めて、年金・社会保障を立て直す。それこそが暮らしも日本経済も立て直す道だ」と主張しました。

 また田村氏は、国立大学が独立行政法人化された2004年度以降、国からの運営費交付金が毎年減らされ続けたことが「大学の財政基盤を切り崩し、日本の研究力低下をもたらした」と追及。労働契約法に定められた無期雇用転換権の発生前に多くの研究者の「雇い止め」が懸念されている問題も指摘し、「基礎的経費を国が削ってきたことに大きな責任がある」と述べ、政策の抜本的転換を求めました。

 

論戦ハイライト/田村副委員長の質問/参院決算委/年金の減額/研究力後退

 日本共産党の田村智子副委員長は28日の参院決算委員会で、物価高のなか4月から減額となる公的年金の制度的欠陥を指摘し、減らない年金制度へと変えるよう提案しました。また、大学の財政基盤を掘り崩したことが日本の研究力を危機的状況に追い込んだことを指摘。「任期付き」研究者が大量に「雇い止め」されようとしている問題も取り上げ、政府の姿勢を追及しました。

 

年金の減額/田村「減らない制度へ変えよ」/首相「この仕組みは政府として尊重」

 ロシアによるウクライナ侵略戦争でエネルギーや穀物価格など、さらなる物価急騰が懸念されています。

 田村氏は物価について、ウクライナ侵略の影響が出る前から食パンはプラス8・2%、食用油はプラス29・8%、電気代はプラス19・7%となり「価格転嫁できない」「これ以上食費をどうやって節約するのか」などの声が寄せられているとして、国民全体に届く暮らしの支援策をどのように検討しているかと追及。岸田文雄首相は「緊急対応策を4月末までに取りまとめたい」としか答えませんでした。

 田村氏は、今後の物価高によって年収300万円未満の世帯では消費税8%への引き上げ時と同程度の負担率になるというみずほリサーチ&テクノロジーズの推計を示し、消費税の緊急減税を検討すべきだと迫りました。

 さらに、物価高が暮らしを直撃している時に岸田政権は4月から公的年金を0・4%減額しようとしていると批判。直近6カ月の消費者総合物価指数は前年同月比で上がり続けているにもかかわらず、岸田首相は1月の本会議で「物価・賃金がマイナスとなったことを反映した」などと述べたとして、次のようにただしました。

 田村 物価のどこがマイナスなのか。
 首相 2021年の物価変動率がマイナス0・2%。計算に基づくものだ。
 田村 年金引き下げのもとになった21年の物価指標は、スマートフォン料金値下げの影響だ。

 田村氏は、物価高に加え、実質賃金は消費税増税で下がり、賃金指標はコロナの影響でさらにマイナスとなっており、生活実態と大きくかい離していると指摘。年金を減らしながら自民・公明党が政府に、年金生活者へ5000円を支給する臨時給付金を求めるのは筋が通らないと批判しました。

 田村 物価が上がっても年金が減るという制度の欠陥を認め、減らない年金制度へと変えることではないのか。
 首相 この仕組みは政府として尊重しなければならない。

 田村氏は、この20年間、年金は名目で3・3%も減り、政府のモデル世帯(夫婦2人で月22万円)で、年9万円も減額したと指摘。一方、年金から天引きされる医療・介護の保険料などは驚くほど負担増だとして、大企業・富裕層に税金も社会保険料も応分の負担を求め、年金・社会保障を立て直すことこそ暮らしも経済も立て直す道だと訴えました。

 

研究力後退/田村「研究者雇い止め放置か」/文科相「法人が適切に定めたものだ」/田村「文科省が指導監督しなくては」

 田村氏は、日本の研究力が20年近く低迷しているとして、大学への運営費交付金の削減を止めるよう求めました。

 田村氏は、研究力を図る指標の一つとされる論文数が日本は2000年代半ばから減少していると指摘。「運営費交付金が減らされ、04年度と比べて自由に使える研究予算、人件費などは1割以上減ったままだ。大学の財政基盤を掘り崩したことが日本の研究力の低下をもたらした」と強調しました。

 小林鷹之科学技術担当相は「外部資金獲得の経営基盤の強化や資金の効率的・効果的な活用を促す」などと答弁。田村氏は「ごく一握りのトップだけ強化しても全体の強化にはならない。一部の大学や研究を『選択』して予算を『集中』させる、安倍政権以降やってきた結果が今日の低迷だ」と批判しました。

 そのうえで田村氏は、国立大学に勤める40歳未満の研究者のうち7割近くが非正規だと告発しました。

 田村 運営費交付金の削減がそのまま人件費の削減にもつながっている。
 末松信介文部科学相 運営費交付金のみならず、競争的な研究費や民間から人件費をねん出する取り組みの周知をはかりたい。

 田村氏は競争的な資金は期間限定だと指摘。「基盤的経費を削減したままでは若手研究者は育たない」との科学者の声を無視した科学技術政策では、研究力の低迷は克服できないと訴えました。

 さらに、いま国立大学や国立研究機関の任期付きの研究者が大量に雇い止めされようとしています。

 田村氏は、13年4月改定の労働契約法特例で研究者は通算10年を超えると本人の申し出で無期雇用に転換されるため、理化学研究所では10年を超える手前で多くの「任期付き」研究者を雇い止めしようとしていると指摘。「上限10年」とされた研究者296人の中には研究チーム(ラボ)を率いるリーダーが60人以上おり、チームリーダーが「雇い止め」になればラボそのものが消滅し、約600人が「雇い止め」の危険があると告発しました。

 田村氏は、理研で新型コロナウイルス関連の研究も行う神戸市の生命機能科学研究センター(BDR)では24のラボが解散、うち17は移転先も決まらないとして「これまでの研究、何年も積み重ねてきた研究設備もすべて廃棄となったらあまりにも大きな損失だ」と批判しました。

 田村 こんな乱暴な研究者の「雇い止め」、研究チームの廃止を放置するのか。
 文科相 労働関係法令に基づいて、法人において適切に定めたものと承知している。
 田村 文科省が指導監督しなくてどうするのか。

 田村氏は、国立大学でも理研と同じことが起こっているとして、国立大学で18年勤務してきたテクニカルスタッフが「いったん辞めて半年明けて、クーリングオフして戻ってきたら、また10年雇えるから戻ってくるように」と言われたことも告発。「人件費を抑える、雇用の流動化だという政策が研究にまでもちこまれた。この新自由主義政策こそが日本の成長する力を奪っている」と、政策の抜本的転換を求めました。


2022年3月29日(火) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 国連では、ロシアによるウクライナ侵略戦争に対して、二度目の非難決議が再び圧倒的な賛成で採択をされました。新たな決議は、市民を犠牲にし、病院や避難所、原発をも攻撃することは国際人道法に反する戦争犯罪だという圧倒的な国際世論を示す力となっています。

 今、ロシアの核兵器使用への警戒が大変強まっています。核兵器は、戦争を抑止するどころか、世界を恐怖に陥れる悪の存在だということがいよいよ明らかになりました。戦争被爆国の日本政府が核兵器を使用することの残虐さを世界に知らしめて、絶対に核兵器を使うなとロシアに迫る圧倒的な国際世論を喚起する、その目に見える外交が求められていると思いますが、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、二月二十七日、プーチン大統領は核抑止力部隊の態勢の引上げを命令しており、これは情勢の更なる不安定化につながる危険な行動であると認識をしております。これを受けて、三月二十四日、G7の首脳声明においても、核兵器の使用に関するいかなる威嚇に対しても警告を発すること、これで一致をしたところであります。

 委員御指摘のように、唯一の戦争被爆国として、核兵器の威嚇、ましてや使用、これは絶対にあってはならない、これを引き続きしっかり訴えていかなければなりません。そして、その際に基本となるのは核兵器の非人道性であると思います。こうした核兵器の非人道性、そして核兵器の実相をしっかりと訴えていく、これこそ唯一の戦争被爆国日本の役割だと認識をしております。

 この基本的な考え方に基づいて、様々な、国際会議等様々な場においてしっかり日本の考え方を訴え、核兵器のない世界に向けて取組を進めていきたいと考えております。

○田村智子君 その点で、是非、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加ということも真剣に検討いただきたい、強く求めておきます。

 この戦争によって、エネルギー、穀物価格など、更なる物価の急激な上昇が懸念されています。ガソリン価格の激変緩和補助金、トリガー条項の凍結解除、こうした原油の元売価格を抑える対策は必要ですけれども、これだけでは消費者にどこまで届くかが不透明です。しかも、物価高の影響は生活全般に広がっています。

 今年二月時点、ウクライナ侵略の影響が出る前から、食パンでプラス八・二%、食用油二九・八、電気代一九・七%という上昇です。事業者からは、価格に転嫁ができない、また、シングルマザーからは、これ以上食費をどうやって節約するのかという切実な声が寄せられています。
 国民全体に届く暮らしの支援策、どのように検討されていますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、ロシアによるウクライナの侵略の影響によりエネルギー価格等が高騰していることを受けて、既に我が国においては、このガソリン価格を百七十二円程度に抑える激変緩和措置、また漁業、農林水産業、運輸業など業種別の対策など当面の対応を決定し、この対策をお届けしているところですが、今後、状況をしっかり把握しながら、原油価格の高騰のみならず、この食料品など生活必需品を含めた物価上昇にも機動的に対応していかなければならないと考えています。

 そのためには、まず、先般成立した令和四年度予算、これを一日も早く執行し国民の皆さんに届けることが重要であると思いますし、そして、その上で、今後の状況の変化にも対応できるよう緊急対応策、四月末までに取りまとめたいと存じます。これを明日、総理としましても指示を出したいと考えております。

○田村智子君 その四月末までにという検討で是非やっていただきたいことが、やっぱり消費税の緊急減税ですよ。

 みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートでは、今後の物価高によって、年収三百万円未満の世帯では消費税が五%から八%に引き上げられたときと同程度の負担率になると、こういう推計も出されています。

 国民全体に届く対策、これ消費税の緊急減税、是非検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、緊急経済対策においては、予備費あるいはコロナ予備費をまず利用する形で機動的な対応を考えなければならないと思います。その上で更に何が必要なのか、しっかりと検討を行っていきたいと思っています。

 ただ、その中にあって、消費税ということについては、これはもう従来から申し上げておりますが、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から社会保障の財源として位置付けられており、当面消費税について触れることは考えていない、これが今の政府の考え方であります。

○田村智子君 これ、もうコロナへの対策としてもう多くの国が踏み切っているということを何度も言ってきました。生活必需品に対する対策としてこれほど有効な対策ないと思うんですよ。検討していただきたい。

 加えて、物価高が暮らしを直撃しているときに、四月から公的年金〇・四%の減額が決定されているんですよ。

 まず、総務省に確認いたします。
 直近六か月の消費者総合物価指数、前年同月比でどうなっていますか。

○政府参考人(井上卓君) お答え申し上げます。
 消費者物価指数の結果によりますと、二〇二一年九月から二〇二二年二月までの総合指数の前年同月比は全て上昇となってございまして、その上昇幅は、二〇二一年九月は〇・二%、十月は〇・一%、十一月は〇・六%、十二月は〇・八%、二〇二二年一月は〇・五%、二月は〇・九%となってございます。

○田村智子君 六か月ずっと上がっていると。

 一月の本会議で我が党議員が、生活必需品の価格が高騰するさなかに年金を減額するのは生活実態を無視するものではないかと質問いたしました。総理は、物価、賃金がマイナスとなったことを反映していると答弁をされたんですが、これ、物価、どこがマイナスなんですか、総理。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これは、令和三年の物価変動率、これがマイナス〇・二%となっています。そして、直近三年度平均の実質賃金変動率がマイナス〇・二%となっています。これらを合わせて、令和三年度の名目賃金変動率はマイナス〇・四%。結果として来年度の年金額改定率はマイナス〇・四%となっていますが、これは今申し上げた計算に基づくものであります。

 この公的年金制度については、将来世代の負担が過重になることを避けつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保する仕組みとなっており、この仕組みの下で年金を支給していくことが制度の持続可能性、信頼性という観点からも重要であると政府としては認識をしております。

○田村智子君 今回の年金の引下げの基になったのが、今お話しされた令和三年、二〇二一年の物価指標。これマイナスになったのは、スマホの料金値下げの影響なんですよ。賃金指標は二〇二〇年度までの三年間を見ていますが、消費税増税の影響で実質賃金が下がった、そしてコロナの影響でのマイナスなんですよ。

 こんな生活実態と乖離した机上の計算で、これほどの物価急騰のときに本当に年金減らすんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 年金制度については、今申し上げたように、将来世代の負担が過重なものにならないようにするため、長期的な給付と負担のバランスを確保するため、ひいてはこうした年金制度の持続可能性を維持するため、こうしたルール、システムを取っているということであり、この仕組みは政府として尊重しなければならないと思います。

 その上で、こうしたこの仕組みの中で様々なコロナ禍に対する政策が講じられている、こうしたその政策、重層的に講じている政策の中で、恩恵を受けていない方々がおられないかどうか、これをいま一度しっかり考えた上で更なる対策が必要なのかどうかを考えていく、こういった姿勢で国民生活、そして日本経済を支えていくことが重要であると考えます。

○田村智子君 年金というのは、高齢者にとって生活の基盤ですよね。この年金支給額減らしながら、与党の自民党、公明党が年金生活者に五千円の臨時給付金と政府に要望する、これは余りに筋が通らないですよね。マイナス改定ごまかすようなやり方ですよ。

 総理ね、やっぱり四月からのマイナス改定の中止、物価が上がっても年金が減るという制度の欠陥を認めて、減らない年金制度へと変えるということこそ求められているんじゃないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 年金制度の持続可能性、将来世代の負担軽減、こういった観点から、今の制度は維持していかなければならないと思います。そして、こうした制度の下で年金額改定率がマイナスとなった、そのときに、今コロナ禍という我が国にとって戦後最大の国難に直面している、この状況に対して政治としてしっかり責任を持って、国民生活あるいは日本経済を支える政策を総動員していかなければならないと考えます。

 是非、こうした政策を総動員する中で、その恩恵にあずかっておられない方がいないかどうか、こういった点についてはしっかりと政府として見ていかなければならないと考えております。

○田村智子君 年金制度から論点そらしていますよね。

 この年金は、この二十年間、名目で三・三%も減っているんですよ。政府のモデル世帯、夫婦二人で月二十二万円の年金という世帯で見ると、二十年前と今とでは年九万円もの減額です。その上、この年金から天引きされる保険料は軒並み上がっていった。所得税、住民税も負担増、医療も介護も自己負担は驚くほどの負担増と。手元の年金は大きく減っていくんですよ。これは、高齢者世代の消費を冷え込ませただけではなくて、年金への信頼を失わせて、将来への不安から現役世代の消費も冷え込む、日本経済を停滞させる大きな要因になっています。高齢世代と現役世代を対立させるんじゃなくて、大企業、富裕層に税金も社会保険料も応分の負担を求めて年金、社会保障を立て直す、それこそが暮らしも日本経済も立て直す道だということを述べておきたいと思います。

 次に、今日は、中心的に取り上げたいのは日本の研究力なんです。

 自然科学、人文・社会科学の発展、社会全体の活力となって、人類が直面する問題だけでなく、二十年、三十年後の問題への解決の力にもなります。ところが、日本の研究力は危機にあります。科学技術立国日本にとって、二十年近くも続く研究力の低迷は国の将来を左右する深刻な事態、これは、二〇一九年、菅総理の施政方針演説なんです。
 研究力の低迷、岸田総理も同じ認識ですか。

○委員長(松村祥史君) 小林鷹之国務大臣。(発言する者あり)
 では、岸田内閣総理大臣。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御質問が私の認識ということでありましたので、具体的にはまた小林大臣にも答弁してもらいたいと思いますが、私の認識で申し上げるならば、我が国の研究水準の状況、この二十年近く、論文数などの実数は大きく低下して、我が国の論文数の実数などは低下していないものの、中国やアメリカの論文数が著しく増加している、こういった形で相対的に我が国の立ち位置が低下している、これが現状であると認識をしています。これは深刻な事態であるという認識、これは私も同様に持っているところであります。

○田村智子君 グラフを示します。
 研究力を何で測るかは単純ではないんですけれども、総理も言われた論文数、これ指標の一つとされています。中国や韓国は九〇年代後半から急速な伸び、アメリカはもはやグラフに入り切りません。ドイツ、イギリスも右肩上がり。ところが、日本は九〇年代にぐっと伸びた後、驚いたことに、二〇〇〇年代の半ばから減少に一時期転じるんです。その後もこの低迷状態から抜け出せていません。どこに原因があるのかを更に見てみたいと思います。

 次の資料です。
 論文数が劇的に減少に転じたのが国立大学なんです。一九九八年から二〇〇三年の五年間は日本全体の論文数の伸びを支えていた、ところが、二〇〇三年以降の五年間で劇的な減少に転じる。特に、ここには出していないんですけど、引用数の多い質の高い論文は年を追うごとに大幅な減少となっていったんですよ。一体国立大学に何が起きたのか。

 二〇〇四年度、独立行政法人となって、十三年間にわたって国からの運営費交付金が毎年減らされ、今も自由に使える研究予算、人件費などが二〇〇四年度と比べて一割以上減ったままの状態なんです。中国などは研究投資で大学の財政基盤が強化されてぐんぐん成長した。同じ時期、日本は国が大学の財政基盤を掘り崩した。この政策こそが日本の研究力の低下をもたらしたと考えますが、いかがですか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 国立大学法人の運営費交付金につきましては、法人化以降減少傾向にございましたが、平成二十七年以降は前年度同額程度は確保されているところでございます。

 政府としては、第六期科学技術・イノベーション基本計画に基づきまして、大学などにおける研究活動を安定的、継続的に支える運営費交付金等の基盤的経費と、また優れた研究や目的を特定した研究を支援する競争的研究費、この両者のバランスに配慮しながら、大学における外部資金獲得の経営基盤の強化や資金の効率的、効果的な活用を促すことによって安定的な研究環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えます。

○田村智子君 十三年間減らしたままの状態だと。それで、一方で、外部からお金取ってきなさいよというやり方なんですよ。

 今、大学ファンドということもしきりに旗振っているんですけれども、これで財政支援の基盤を強くするんだということを政府言ってきましたが、これ、僅か五つか六つの大学にしか入らないお金になるんですよね。ですから、政府が打ち上げた新たな経済支援についても、大学ファンドで日本の研究が活性化すると思ったら大間違いだと、運営費交付金を増やした方がよい、これ山梨大学の学長さんですけれども、こういうふうに厳しい声が大学の学長から次々に上がっていて、与党席からも今そのとおりという声が上がるほどなんですよ。

 研究もスポーツも文化もごく一握りのトップだけを強化する、これでは全体の強化にはなりません。まして、研究は今や共同研究の時代です。一部の大学や研究を選択して予算を集中させる、これ安倍政権以降ずっとやってきた。だけど、その結果が今日の低迷なんですね。

 もうちょっと示していきたいんです、なぜ私が基盤的経費ということを言うか。
 運営費交付金の削減は、そのまま人件費の削減につながるんですよ。これ、国立大学の常勤職員と書いてありますが、教員です、常勤教員のグラフなんです。任期なしというのは、下の方の緑色のところなんですけど、これは民間企業でいえば正規雇用ですね、いわゆる。この教員が二〇〇一年には六万人弱いました。ところが、二〇二一年、四万人にまで減少します。そして、任期付きの教員、民間でいえば非正規雇用ですね、これは二万人以上増えているんですよ。特に四十歳未満ではこの任期付き、言わば非正規、この教員が七割近くにまで今なっているんです。多くの若手研究者は安定したポストも研究予算もない。

 先ほど大臣が、科学技術担当大臣が言われたとおり、各省庁が持っている研究予算を競争して取ってこいと、こっちの予算は増やしましたよというのが政府の言い方ですから、それを取ってこいというふうにされてしまいました。そうするとどうなるかなんです。研究予算を取ってくるためには申請しなきゃいけない、中間報告もしなきゃいけない、予算が終了する前に次の研究費の獲得のための活動もしなければならない、研究時間が削られる、そして、予算が取れそうな研究テーマに偏重していく、短期での成果が求められて長期的な研究が困難になる、そして、何より、任期なしのポストがこれだけ減ってしまったので将来が見通せないと。日本で研究者になろうという若者が減ってしまうのは、これ当たり前だと思うんですよ。

 もう一度お聞きします。この運営費交付金の削減で大学の財政基盤を掘り崩した。ここを変えなければ日本の研究力の向上などあり得ないと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(末松信介君) 田村先生に重要な点を御指摘をいただいたと思います。
 国立大学の大学法人の運営費交付金、人件費、物件費の区分のない渡し切り予算でございまして、おっしゃるとおり、平成二十七年度以降、前年度同額程度は確保はしております。令和四年度予算で一兆七百八十六円を計上しておりまして、対前年度四億円の減となっておりますけれども、これは特殊要因経費が減ったものであり、各大学の基盤的な教育研究活動に活用できる基盤運営費交付金は対前年度実質十四億円増の額を確保したところでございます。

 それで、国立大学の法人の人事は各法人の経営判断で決定されるものですが、文部科学省としては、引き続き、国立大学が我が国の人材育成、学術研究の中核として継続的、安定的に質の高い教育研究活動を実施して研究力の向上に資するように、運営費交付金の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。もうこの辺で下げ止まっておかなきゃならぬと、私はそう思います。

 それと同時に、この任期付教員の増えていることでございます。
 国立大学の任期付教員には、競争的な環境においてテニュア審査、終身雇用ですね、目指すテニュアトラック期間にある教員、そして、多様な人材の受入れに、教育研究の活性化を図るため、大学の教員等の任期に関する法律に基づき任期を付して採用される教員、そして三つ目は、外部研究費により一定の期間プロジェクト研究に従事する研究者など、様々な態様がございます。任期付教員が増加した理由というのは、あくまで各国立大学法人の経営方針を踏まえた人事によるものと考えております。

 他方、若手研究者が安心して研究に打ち込めるテニュアポストを増やしていくことは重要であると思います。各大学においては、運営費交付金のみならず、競争的な研究費や民間から人件費を捻出してテニュアポストを増やしていく取組も行われておりますが、こうした取組の周知も図ってまいりたいと、そのように考えているところでございます。

 いろいろとまた御指導いただきますようお願い申し上げます。

○田村智子君 だから、その競争的な資金は期間限定だから、これ若手研究者が育たないよと、基盤的経費を削減したままじゃ駄目だって、これはノーベル賞を受賞した科学者の方々始め、さんざんたくさんの学者の皆さんが何年にもわたって指摘をし続けてきたんですよ。こういう科学者の声も意見が届かないような科学技術政策でどうして日本の研究力の低迷、これの克服ができますかということだと思いますよ。

 今、この国立大学や国立研究機関の中で、任期付きで、だけど頑張ってきたという研究者が大量に雇い止めもされようとしている。これも看過できないので取り上げたい。

 雇用の安定を図るためとして労働契約法が改定されて、非正規雇用の労働者は、二〇一三年四月一日を起点として、雇用契約が通算五年を超えると本人の申出によって無期雇用に転換をされます。ところが、研究職は通算十年だという特例法が後から作られたんです。来年四月、実はこの任期付きの研究者は無期転換の権利が発生するんです、改正労働契約法が施行されて十年がたつので。

 ところが、理化学研究所では、この十年を超える手前で多くの任期付きの研究者を雇い止めしようとしています。文科省はこのことを把握していますか。

○国務大臣(末松信介君) 御指摘の点に関しまして、先週二十五日付けで理化学研究所労働組合等から私、文部科学大臣に対して要請書が提出されました。

 その中で、二〇二二年度末の研究職員の雇い止めを撤回するよう理化学研究所に求めること等も要請がなされていることを承知をいたしてございます。先週金曜日でしたかね。

○田村智子君 もっと詳しくつかんでいると思うんですよ。これ、契約通算期間の上限十年以内っていう人が二百九十六人いて、ここが二百九十六人切られてしまうという危険性が今非常に強まっているんです。

 これは、理化学研究所は、この労働契約法が改正された後に任期付きの研究者に対する就業規則を変えました。通算十年以内しか雇いませんという上限を付けたんですよ。なぜそんな変更を行ったか。それは無期転換を避けるためでしかないわけですね。研究者の方のほとんどが、この変更に同意をしなければ契約更新はできないと言われて泣く泣く了承しているんですよ。

 厚生労働大臣に二点お聞きします。
 この無期転換の申出をさせないために雇用契約に新たに上限を設けるという就業規則の変更、これは違法な不利益変更ではないですか。また、労働契約法第十九条、雇い止め法理に照らせば、これまで上限なく雇ってきたその労働者は、たとえ雇い止めというふうに通告されても契約更新を要求することができると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 個別の事案についてのお答えは差し控えますけれども、一般論として申し上げれば、今委員の御指摘のあった就業規則の変更により新たに更新上限を設けることの有効性については、労働契約法第十条の労働契約法の就業規則に関する定めに基づきまして、また二番目の点の更新上限による雇い止めの有効性については、労働契約法第十九条の雇い止め法理に基づきまして、それぞれ最終的には司法において判断されることとなります。このため、使用者が更新上限を一方的に設けたとしても、当該条件に基づいて雇い止めを行うことは許されない場合もあると。

 いずれにしても、厚生労働省としては、こうした内容について引き続き周知に取り組むとともに、労働契約法等に照らして問題のある事案を把握した場合には都道府県労働局において適切な啓発指導等を行ってまいりたいと思います。

○田村智子君 これ今司法において判断と言われたんですけど、この労働契約法の雇い止め法理というのは、幾つもの裁判例で、これまで非正規だったとしてもずっと雇われてきたと、今後も雇われるという期待があるんだから、それは雇い止めは無効だという判例が幾つもあると、これを条文に落としたんですよ。

 理研だって、今切ろうとしている人たち、裁判やれば勝てますよ。でも、研究者が何年も掛けて裁判闘うのかということなんですよね。そんなことをやらせずに解決をしなければ駄目なんです。

 先ほど文科大臣おっしゃったとおり、先週二十五日の金曜日、理化学研究所の労働組合は文科大臣への申入れも行い、そして記者会見も行いました。その中身よく聞いてみますと、先ほど上限十年とされた研究者、二百九十六人と。だけど、その中には、研究チーム、ラボといいます、これを率いるリーダーが六十人以上いて、このチームリーダーが雇い止めになるとラボそのものが消滅して、約六百人が雇い止めになる危険性があると。このラボには博士課程の学生もいるんですけど、学位取得が困難になって行き場を失うことになってしまうと。

 理化学研究所には十二個の研究センターがあります。特に神戸に本部を置く生命機能科学研究センター、これBDRと訳しますけれども、二十四の研究チーム、ラボ、これが解散の危機にあって、そのうち十七は移転先も決まりません。もう研究棟、ビル一つがこのまま行くと廃止されるんじゃないかという事態なんです。ここでは基礎研究の技術基盤の開発、科学の手法での生物科学研究を行って、コロナウイルス関係の研究も現在進行形で行っています。来年から三年間のプロジェクト研究予算が決定しているラボもあります。廃止する合理性はどこにもありませんね。

 研究者の方は、これまでの研究、育成してきた人材、外部との共同研究の成果や取組、何年も掛けて積み上げてきた研究設備、一億から二億するといいます、これらも全て廃棄となる可能性があると、余りにも大きな損失だと。ちなみに、この分野で中国は今巨額の研究投資を行っています。

 文科大臣、研究上の合理性、何もないですよ。こんな乱暴な研究者への雇い止め、研究チームの廃止、これ放置できないと思います。理研を監督指導すべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(末松信介君) 田村先生にお答え申し上げます。
 まず申し上げておかなきゃならないことは、一般論として申し上げましたら、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らしまして全く望ましくないと承知をいたしてございます。

 それで、今の理化学研究所におきまして、国家的、社会的なニーズの高い研究を機動的に進めるため、プロジェクトの廃止も含めた見直しを適時適切に行っております。このプロジェクトの見直しに当たっては、研究者の入れ替わりを含む人材の高い流動性の確保が不可欠でありまして、平成二十八年、二〇一六年の就業規程改正によりまして、研究者には原則七年、最大十年の雇用上限を設けているものと承知をいたしてございます。

 また、理化学研究所におきましては、労働組合との協議を重ねまして、労働者に周知されてきた就業規程に基づき雇用契約を結んでおりまして、雇用上限についても労働者との対話を重ねてきているものと、そのように聞いております。

 いずれにしましても、独立行政法人であります理化学研究所において、先生から今御指摘あって、もっと監督すべきじゃないかということですけれども、ただ、法人の自主性とか自律性の下に業務運営は行われることが基本ではございます。雇用上限については、労働関係法令に基づきまして法人において適切に定めたものと承知をいたしております。

 引き続き、理化学研究所において、職員との対話を継続しつつ、適切な人事の運用を行っていただくことが重要と考えております。丁寧な話合いを継続してもらいたいと、そのように、私はそのように考えております。

○田村智子君 これね、研究の成果を分析しての組織改編なんかと全然違いますよ。先ほど紹介したBDRというのは外部の評価も受けていて、国内外の大学研究者による外部評価では大変高い評価がされているんですよ。差し迫った問題はこのラボが閉鎖されてしまうことだと、雇い止めに対して厳しい指摘をしているんですよ。これが足下でちゃんと文科大臣が、文科省が指導監督しなくてどうするかということですよね。研究上の必要性じゃないですよ。無期転換したくないから機械的な十年なんですよ。これでいいのかと。

 実はこれ、国立大学でも理研と同じようなことが起きようとしているんですね。雇い止めの対象は、任期付きの教員、非常勤講師、研究をサポートするテクニカルスタッフなど広範囲に及びます。東北大学では約二百四十人が十年以内とされて、来年四月までに切られるんじゃないかと、こういう事態です。

 ある国立大学に十八年勤務してきたテクニカルスタッフの方から、私の事務所にメール寄せられています。
 先日、上司に、このまま仕事を続けてもらいたいが、大学に何度聞いてもこれ以上は難しいと言われた。一旦辞めて、半年空けて、クーリングオフして戻ってきたらまた十年雇えるから戻ってくるように言われましたと。国の教育機関が脱法のようなことをしているのもとても残念ですと。職場には同じタイミングで雇用期限が付いた人がたくさんいますと。

 厚労大臣、これね、一旦辞めて半年置けば継続じゃないから、無期転換の申出できないから、だから半年後にまた来てねと、これは違法な雇い止めではないですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきますけれども、雇い止めが有効か否かについては、雇い止め法理に基づきまして最終的には司法において判断されることになります。

 その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のような契約更新上限を設けた上でクーリング期間を設定し、期間経過後に再雇用を約束した上で雇い止めを行うことなどは、法の趣旨に照らして望ましいものではないというふうに考えます。

 いずれにしても、厚生労働省としては、無期転換ルールの制度の内容、趣旨や円滑な運用を周知等していくとともに、労働契約法等に照らして問題のある事案を把握した場合には都道府県労働局等において適切に啓発指導等を行ってまいります。

○田村智子君 実は、この方からはその後もメールが寄せられているんですよ。今この研究機関や大学での雇い止めというのがだんだん問題になってきて、私も内閣委員会でも質問しました。

 その後にもメールが寄せられていて、同僚と二人で教授に呼ばれたと。大学から、期待を持たせるなとその教授に、教授が大学から言われたと。二人が優秀なのは分かっているが、もうこれは仕方がない。ほかの人を募集するのでしっかり引継ぎしてねと言われてしまいましたと言うんですよ。教授は引き続き雇いたいから、大学に雇えないかと相談を何度も掛けている。だけど、また雇えるかのように期待を持たせるなと、だからきっぱり切れというやり取りだったということですよ。十八年働き続けてきたと。この方は就職氷河期の就職で、とてもやりがい持ってこの得た仕事を、たとえ短期契約の積み重ねであっても本当にやりがい持って働いてきたんですよ。しかも優秀で、現場では働き続けてほしいと、そう思っているんですよ。それでも雇い止めが仕方がない、こういう理由は私はどこにもないと思いますよ。

 文部大臣、来年三月までにはまだ時間があります。先ほどの理研の問題も含めて、本当に研究上必要な雇い止めと言えるのかどうか、大学で何が行われようとしているのか、これは調査をして、相談窓口も設けて、実態をつかんで、機械的な雇い止めはこれは止めるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(末松信介君) 先生から今、国立大学のこの雇い止めの話が出ましたんですけれども、各、平成三十一年二月でも、独立行政法人、特殊法人、国立大学法人における無期転換ルールの円滑な運用についてということで細かく指示はしております。どういう結果でなっておるかということについては定かではありませんけれども、先生からは今日、理化学研究所のお話をよく伺いました。そういうことでございます。

 答えとしましては、国立大学の法人の教職員の雇用形態というのは、労働関係法令に基づきまして、各法人が経営方針等に基づいて適切に定めた運用にすべきものであると考えております。文科省としては、国立大学法人の学長が参加する会議において、労働契約法の趣旨を踏まえて適切に対応いただくよう繰り返しお願いしてきたところでございます。先ほどの読んだこのペーパーがそうだと思います。

 引き続き、厚生労働省と連携しながら、本日田村先生からも御指摘のあった事例も含めまして、国立大学法人に対して改めて無期転換ルールの適切な運用について周知徹底を図りたいと考えております。

○田村智子君 人件費はコストで、抑えるのが当たり前だと、安定した働き方では組織が停滞すると、雇用の流動化が必要だと、こういう政策が経済だけでなく研究分野にも徹底されて、今や日本が成長する力が奪われているということだと思います。

 最後、総理に聞きたかったんですが、ちょっと時間が来てしまいました。
 私は、やっぱりこういう新自由主義そのものの政策の抜本的な転換が必要だと思う、そのことを申し上げて、質問を終わります


 |