日本共産党の田村智子議員は22日の参院予算委員会で、来年度予算案に21億円が計上されているロシアへの8項目の経済協力プランを批判し、協力に踏み出した当時の安倍晋三首相と岸田文雄外相(現首相)の責任を追及しました。
経済協力プランは2016年に、安倍首相とプーチン大統領間で合意。安倍氏は、同年の「東方経済フォーラム」で、「先般ソチでお会いした時(14年)、日本がロシアに協力できる分野を八つに絞り込んで提案した」とスピーチ。19年には、ロシアの国家プロジェクトと経済協力プランが「赤い糸でつながる」などとアピールしました。
田村氏は、「14年の安倍首相の提案が8項目のプランになった経緯と、同氏の力の入れ方がよく分かる」と指摘。当時は、ロシアによる国際法違反のクリミア併合に対してEUが経済制裁を科し、日本も制裁を支持していた最中で、大規模な経済協力は「国際的に筋が通らないと考えなかったのか」と迫りました。
岸田首相は、欧州も日本も「ロシア、ウクライナ両国に働きかけていた」と当時の言動を正当化しました。
田村氏は、無反省な態度を批判し、「経済協力プランとともに合意した『北方4島』での共同経済活動では、『ロシアの実効支配のまま、ロシア主権のもとで行われる』と繰り返したロシア側に抗議もしなかった」と強調。「わが党は、歯舞・色丹は北海道の一部で即時返還すべき、択捉・国後を含む全千島が歴史的な日本の領土だという立場だ」とした上で、「安倍政権のロシア外交は、政府のいう『北方4島』の返還さえあいまいにし、事実上の2島返還に後退したとまで言われた。これの破綻は明らかだ。真剣な総括が求められる」と厳しく指摘しました。
日本共産党国会議員の質問/国民の声とどけ/解決の道示す/学術会議人事介入/政権として調査せよ/田村智氏が違法性示し迫る
田村智子議員は22日の参院予算委員会で、菅義偉前首相による日本学術会議会員候補任命拒否問題をめぐり、2018年に官邸が補欠会員の推薦名簿の順位を変えるよう介入していたことを示し、岸田政権として調査するよう求めました。
田村氏は、18年8月の学術会議選考委員会の議事要旨で、官邸から補欠会員の推薦順位の変更を求められたが、理由の説明もなかったと報告されていると指摘。結果として推薦そのものが見送られた経緯を示し、「会員の選定と推薦は学術会議が行い、任命権者には法律上なんの権限もない。推薦名簿の変更を求めるのは違法な介入ではないか」と迫りました。
松野博一官房長官は「名簿の提出前に学術会議と政府との間で意見交換が行われてきた。推薦への介入にあたるとは考えない」などと繰り返しました。
田村氏は「名簿を変更しろ、理由は示さない。これが意見交換か。介入以外の何物でもない」と批判。ところが岸田文雄首相も「正式な推薦が行われる前の意見交換だと認識している」などと述べるだけ。田村氏は、違法な介入がなぜ起きたのか岸田政権として調査することを強く求めました。
2022年3月23日(水)、2022年3月31日(木) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
まず、ロシアのウクライナ侵略についてお聞きします。
三月十六日、国際司法裁判所が、ウクライナからの提訴を受けて、ロシアに対する仮処分の命令を行いました。これはどのような内容ですか。
○国務大臣(林芳正君) 三月十六日でございますが、ICJは、ロシアに対して、本年二月二十四日にウクライナの領域内で開始した軍事作戦を直ちに停止し、また、軍隊や非正規部隊等が軍事作戦を更に進める行動をしないよう確保することなどを求める暫定措置命令を発出をいたしました。ICJの暫定措置命令は当事国を法的に拘束するものでありまして、ロシアは今般の暫定措置命令に従う必要があります。
我が国としては、国際社会と連携し、ICJによる暫定措置命令を支持するとともに、ロシアに対し、直ちに暫定措置命令に従うことを強く求めるところでございます。
○田村智子君 この判断について岸田総理からも見解をお願いいたします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ICJの暫定措置命令についての私の考え方どうかという御質問かと思いますが、我が国としては、国際社会と連携し、ICJによる暫定措置命令を支持するとともに、ロシアに対し、直ちに暫定措置命令に従うこと、これを強く求めていきたいと考えております。
○田村智子君 ロシアは、病院、原発、子供たちが避難している学校や劇場、こういうところへも攻撃を繰り返して、多数の子供や女性たちが犠牲になっています。
国連総会でも新たな人道支援決議の採択に向けた動きがあるとお聞きしますが、承知していますか。
○政府参考人(岡野正敬君) ニューヨーク時間の二月二十八日、ウクライナの人道状況に関する安保理会合の中で、フランス及びメキシコが、ウクライナにおける人道状況の悪化を背景に、戦闘の停止や文民保護、人道のアクセスの保証等を求める安保理決議案を提出し、採択することを表明いたしました。それとともに、二週間たった三月十四日の段階で、フランス、メキシコの国連常駐代表は記者会見を開催し、過去二週間、全ての安全保障理事国と協議をしてきたけれども、安保理での決議採択は困難であるとして、本件を可能な限り早期に国連総会で取り上げる旨表明がありました。
現在、フランス、メキシコを含む関係国でこの総会決議案の中身及び取り進め方について調整を行っているところであります。政府としても、こうした動きに引き続き強い関心を持って注視しているところでございます。
○田村智子君 国際司法裁判所の判断、また、新たな国連総会での決議採択の動き、これらはロシア軍の攻撃が市民を対象とした国際人道法に反するまさに戦争犯罪であるとロシアに迫るものとなると思います。
三月二日のロシア非難決議に棄権、退席した四十七か国にも働きかけて、更にロシアを包囲することが重要になってきます。日本政府としての外交努力が求められると思いますが、総理、いかがでしょう。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国は、三月三日の国連総会の緊急特別会合における決議においても、できるだけ多くの国がこの決議案に賛成し、その共同提案国入りするよう働きかけを行いました。
そして、今、さらにウクライナの人道状況に関する総会決議案の採択に向けて議論が行われています。我が国は、この新たな総会決議案の共同提案国になり、そして、この同決議に賛同を得られるよう、関係国と緊密に連携しつつ、私自身や外務大臣が先頭に立って積極的に働きかけを今、今も行っており、引き続き働きかけの努力を続けていきたいと考えております。
○田村智子君 次に、ロシアへの経済協力である八項目の協力プランについてお聞きします。
まず、二〇一六年九月三日、東方経済フォーラムでの安倍総理のスピーチを紹介してほしいと思います。
○政府参考人(宇山秀樹君) お答え申し上げます。
二〇一六年九月の東方経済フォーラムでの安倍総理のスピーチにつきまして、委員からあらかじめ御指定のあった部分を御紹介申し上げます。
まず、安倍総理から、二〇一六年五月のソチでの日ロ首脳会談に言及しつつ、八項目の協力プランについて以下のとおり述べられました。
プーチン大統領、先般ソチでお会いしたとき、私は大統領に、日本がロシアに協力できる分野を八つに絞り込んで提案しました。その一つに、快適、清潔で、住みやすく、活動しやすい都市づくりを挙げています。これを両国で実施するためのモデル都市として、ウラジオストクくらいふさわしい町はないと思われませんか。世界でもまれなことに、ロシアは、平均寿命の着実な向上と人口の増加を成し遂げつつあります。就学期の子供が増えて学校が足りないという、日本から見ると羨ましい現実が生まれました。しかし、生産年齢人口はこれから顕著に減っていき、しわ寄せは今の十代に集中して及ぶでしょう。彼らが働き盛りになる頃には、老人医療の負担が重くのしかかります。私たちはそこに目を留めて、最先端の健康、医療施設を整備して、ロシア国民の健康寿命を延ばすという提案を八項目の第一に掲げました。
その上で、安倍総理からプーチン大統領に次の提案を行いました。
ロシア産業の多様化を進めて生産性を上げ、それを生かしながら、ロシア極東地域をアジア太平洋に向けた輸出の拠点にしましょう。先端技術の協力と人的交流に弾みを付け、つまりは未来への投資を共に進めようではありませんか。そこで、プーチン大統領に新しい提案をいたします。年に一度、ウラジオストクで会い、この八項目の進捗状況を互いに確認しませんか。
以上、委員から御指定のありました部分を御紹介申し上げました。
○田村智子君 これ、資料でもお配りをしていますので、是非見ていただきたいんですね。
これ、ソチでお会いしたというのは二〇一四年です。このときの安倍総理の提案が八項目の協力プランになったという経緯がよく分かるスピーチなんですね。毎年ウラジオストクで会って進捗状況を確認しようという言葉どおり、安倍総理はそれ以降毎年、東方経済フォーラムでスピーチをしています。
もう一点、資料でもお示ししています二〇一九年のスピーチも、ごく一部ですけれども、紹介をしてください。
○委員長(山本順三君) 田村さん、これ、答弁者に読ますというのは余り多く使わない方がよろしゅうございます。(発言する者あり)いやいや、余りよろしい手法ではないと思いますよ。じゃ、そのことだけは頭の中に入れておいてください。
田村さん。
○田村智子君 それでは、まあいいです、もう今日は早く進めたいということでしょうから。
これ、一九年のときには、十二の国家プロジェクトについて、ロシアのプーチン大統領の計画をよくよく日本は検討をしたんだと、そこに合わせるようにして八つの協力プランというのをまとめたんですよと、そしてビデオまでプロモーションを行って、このように、ロシアの国家戦略と私たちの八項目の協力プランというのは赤い糸で結び付いていますということも、安倍総理はプロモーションを行うわけですよ。当時の安倍総理の力の入れ方がよく分かります。
しかし、同じ時期、EUはロシアに対して経済制裁行っていたのではないでしょうか。その理由も含めてお答えください。
○政府参考人(宇山秀樹君) お答え申し上げます。
二〇一四年、ロシアがクリミアを併合いたしました。これに対して、ウクライナの主権と領土の一体性をこれは侵害するものであることから、EUも我が国も深刻な懸念を表明して対ロ措置を課してきたというふうに理解しております。
○田村智子君 ロシアによるクリミア併合、EUの経済制裁、岸田総理は当時外務大臣でした。外務大臣としてどう対応されたんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般のロシアのウクライナ侵略、これは国際法違反の暴挙であり、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、強く非難をしています。
そして、御質問の、当時どう対応したかということですが、まず、当時は今とは状況は異なっていたと思います。二〇一四年、御指摘のように、クリミア併合によって、国際社会はロシアに対して制裁措置、一連の措置を講じたところでありますが、あわせて、当時国際社会はロシア、ウクライナ両国に対して働きかけを続けてきました。ヨーロッパ諸国も、ミンスク1、ミンスク2、二回にわたるミンスク合意を成立させるなど、両国に働きかけて事態の緊張緩和に努めていた、こういった状況であります。
日本においても、ロシア、ウクライナ両方に働きかけて、この事態の安定に向けて努力をしてきた。ロシアに対しても御指摘のように様々な働きかけを行っていたわけですが、同時、同じ時期に安倍総理も一回、私も外務大臣として二回ウクライナを訪問して、ウクライナと話合いを行う中で、様々な両国の、両国関係を安定させるために、そして、より充実させるために努力をした、こういったことであります。国際社会全体が両国に、ロシア、ウクライナ両国に直接働きかけることによって事態の安定を図っていた、こういった事態であると思います。
今委員が御指摘のように、ロシアが大規模な一般市民を巻き込む軍事行動を行っている、さらには原子力施設を始めとする重要施設に攻撃を行うなど重大な国際法違反を積み重ねている、こういった事態とは当時の状況は異なっていたということであります。
○田村智子君 二〇一四年、ロシアはクリミア共和国の独立を一方的に認めて、その直後に併合をしました。EUが経済制裁を行いました。岸田総理、このEUの経済制裁は支持されたんじゃないですか、当時。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど外務省からも説明がありました。国際社会もこうしたクリミアの事態に向けてこの制裁措置を行ったわけですが、我が国もそうした措置に合わせて、我が国として一連の措置を行った次第であります。
○田村智子君 ところが、全く同じ時期に安倍総理がロシアへの経済協力を熱心に売り込んで、日本の大企業、中小企業を参加させる国家プロジェクトに踏み出したと。当時、外務大臣として、これは国際的に筋が通らないというふうにお考えになりませんでしたか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたが、当時は、国際社会が制裁を行うと同時に、ロシア、ウクライナ両方に直接働きかけを行い、事態の緊張緩和に努めていた、こうした状況にありました。ヨーロッパ諸国もミンスク合意等の合意に向けて努力をした。そして、ヨーロッパ諸国も、ロシアとの様々なエネルギー協力を始め、そういった取組を通じて緊張緩和に向けて努力をした、こういった状況にありました。
日本も、先ほど申し上げました、ロシアに対して様々な経済協力の議論をするのと併せて、ウクライナに対しても、総理大臣、外務大臣、直接訪問する中で様々な関係構築に努めた、両国に対して働きかけることによって緊張緩和に努めた。これは、日本の外交も、そして国際社会の取組も共通した姿勢であったと振り返っております。
○田村智子君 紛争の解決のために両国に働きかける、それは分かりますよ。だけど、経済協力をその紛争の一方の国に対して国家プロジェクトとして進めるんですよ。東方経済フォーラムで安倍総理、四回にわたってスピーチしている。全部読みました。ウラジーミルと何度も呼びかけて、君と僕は同じ未来を見ているとまで言った。クリミア併合という国際法違反の領土拡大と同じじゃないですか、一方的に併合するんだから。こんな外交をしたこと自体、ロシアに対してですね、その紛争国に対して経済協力、国家プロジェクトで、これは真剣な反省、総括が求められると思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 当時の状況は、国際社会全体が両国との関係を安定させる中で両国と、両国の間の緊張を緩和していく、こうした取組を続けていました。
ヨーロッパにおいても、当時、エネルギーを始め様々なプロジェクトを進める中で両国への働きかけを続けていたということであります。日本においても、日本独自の立場から両国に働きかけ、結果として、このロシア、ウクライナ両国の間の緊張緩和に努めてきた。こうした点で共通していたと思っております。
○田村智子君 それは全く道理がないとしか言いようがないですね。
この経済協力とともに日ロ首脳会談で合意したのが北方四島での共同経済活動を前に進めるということ、ロシアが実効支配したままロシアの主権の下で行われるとロシア側が繰り返し表明したのに抗議もしなかった。
我が党は、歯舞、色丹は北海道の一部であって即時返還すべき、択捉、国後を含む全千島が歴史的な日本の領土だという立場ですが、政府の言う北方四島の返還という立場さえ曖昧にし、事実上二島返還に後退したとまで言われたのが安倍政権のロシア外交です。
これはもはや破綻していますよ。真剣な総括が求められていると思う。いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど申し上げました、当時、二〇一四年後の国際的な動きの中で、日本もこの事態の安定のために努力をした、その中にあって、御指摘のこの北方領土問題あるいは平和条約問題についても取り組んだ、こうしたことであります。
ロシアとは、平和条約締結交渉を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させるべく、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、粘り強く交渉を進めたということであります。
この北方四島における共同経済活動の議論についても、ロシアとの平和条約交渉が継続する中で行われたものであります。ロシア側には、平和条約に関する日ロ双方の立場を害することなく実施すべきであるということをしっかり伝えつつ、その具体化に取り組んできたものであります。御指摘は当たらないと考えています。
○田村智子君 資料の一枚目は、在ロシア日本大使館特設ページの八項目の協力プランで、ウラジミールさんと安倍総理がにこやかに握手をしたままの写真がこんなふうに載ったままでいいのかということなんですよね。こういう総括、反省、これ是非しなければ今の事態に対して国際連帯ということになっていかない、このこと厳しく指摘いたします。
最後に、菅政権による日本学術会議会員任命拒否についてお聞きします。
二〇一八年八月二十二日、日本学術会議第二十四期選考委員会の議事要旨を資料配付しました。これと第四回の議事要旨について、何が協議されたのか、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(三上明輝君) お答え申し上げます。
第二十四期選考委員会における御指摘の会合でございますけれども、補欠の会員候補者の選考について議論が行われたものでございます。
まず、平成三十年八月二十二日に開催された第三回の議事要旨でございますが、これは配付資料にお配りいただいております。政府とのやり取りに関しまして事務局から報告をしているところでございまして、任命権者に候補者の現状について説明をしたということ、それから、事後に連絡があって、任命権者側として原案の一位と二位を入れ替えるべきとの発言があったこと、理由について特段の説明を受けていないとの報告があったということが議事概要に、議事要旨に記載されているところでございます。
また、第四回、九月十二日に開催された会合でございます。こちらについては、同じくその補欠の会員選考、補欠の会員の候補者の選考について議論が引き続き行われまして、これ、政府とのやり取りに関して委員長の方から、補欠候補について推薦順位を逆転した方がよいとの話が来たと、その理由について明示されないということであったと、その後、再度感触を伺ってみたが総合判断であると言われたと、云々といったことが議事要旨に記載されているところでございます。
以上です。
○田村智子君 これは、学術会議の会員の補充、つまり補欠の会員の推薦が必要だったんです。ところが、推薦名簿を総会で決定する前に任命権者、つまり官邸が一人について推薦名簿を変更すべきだと強く要求をしてきた。しかも、その理由が示されない。理由も分からずに名簿を変更することはできない。変更せずに推薦すれば政府との対決構図が明らかとなり、大ごとになってしまう。こうした判断で推薦そのものが見送られたということなんですね。
確認いたします。学術会議の会員の推薦は法律上どう定められていますか。
○政府参考人(三上明輝君) 日本学術会議法第七条第二項におきまして、「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」旨が規定されております。この規定を受けまして、第十七条でございますけれども、「日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。」、このように規定されているところでございます。
○田村智子君 会員の推薦と、選定と推薦は学術会議が行う。任命権者には法律上何の権限もありません。
推薦名簿の変更を求める、これは違法な介入ではありませんか。総理、いかがですか。
○国務大臣(松野博一君) 田村先生にお答えをさせていただきます。
これまで、日本学術会議から推薦名簿が提出される前に、日本学術会議と政府との間で任命に当たっての考え方などについて様々な意見交換が行われていたのは、国会で答弁されてきたとおりと承知をしております。
○田村智子君 答えていない。
名簿の変更を求める、これは違法な介入ではありませんか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
経緯については先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますが、会員の推薦はあくまで日本学術会議自らの判断で日本学術会議法の定めに沿って行われてきており、推薦への介入や推薦権の侵害に当たるとは考えていません。
○委員長(山本順三君) 田村智子さん。(発言する者あり)じゃ、もう一回行きましょう。
田村智子さん。
○田村智子君 推薦名簿の変更を求めた、理由も示さない、こんなの考え方のすり合わせじゃないですよ。これは推薦に対する介入ではないですか。違法な介入ではないですか。そんな権限がありますか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
先ほど答弁をさせていただきましたけれども、日本学術会議と政府の間で任命に当たっての考え方などについて様々な意見交換が行われていたのは国会で答弁をされてきたとおりと承知をしております。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 松野内閣官房長官。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
先ほど日本学術会議と政府の間で様々な意見交換はあるというお話をさせていただきましたけれども、意見交換にはいろんなレベルがあると思いますが、これ何をもって意見交換かどうかというのを一律に定義はできないんではないかと思います。
しかし、会員の推薦はあくまで日本学術会議が自らの判断で日本学術会議法の定めに沿って行われておりますので、推薦への介入、推薦権への侵害に当たるものではないというふうに考えております。
○田村智子君 選考をするのは学術会議の権限なんです。名簿を変えろというのはその選考への介入ですよ。違いますか。
○国務大臣(松野博一君) 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、推薦前にですね、推薦に当たっての考え方等々の意見交換はございますが、しかし、その後です、会員の推薦はあくまで日本学術会議自らの判断で法にのっとって行われているわけでありまして、推薦への介入、推薦権の侵害には当たらないと考えております。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 松野内閣官房長官。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
先ほど来ですね、日本学術会議から推薦が上がってくる前の意見交換として、学術会議と政府は様々な意見交換が行われているというのは今までも答弁をさせていただいたとおりでありますが、その意見交換を経て、会員の推薦といいますのは、日本学術会議自らの判断で法律の定めに沿って行われてきたものでありますから、推薦への介入や推薦権の侵害に当たるとは考えておりません。
○田村智子君 名簿を変更しろ、理由は示さない、これが意見交換ですか。これは介入以外の何物でもないですよ。
官邸からの会員選考への介入が問題になったのが二〇一八年八月二十二日。九月十二日に推薦見送りの結論を出さざるを得なかった。学術会議事務局が内閣法制局に、内閣総理大臣の任命手続について、推薦名簿のとおりの任命をしないことが法的に許容されるかと最初にお伺いをしたのは同じ年の九月五日ですよ。全ては官邸による違法な、何の法的根拠も持たない、会員の選考、推薦、これへの介入だったんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
先ほど来お話、答弁をさせていただいておりますが、推薦に関しては、あくまで日本学術会議の判断で推薦をされております。それは法律にのっとった行為でございまして、法律にのっとった推薦行為ではないかあるかというのは、まさに日本学術会議が日本学術会議法の定めに沿ってこの推薦が行われたかどうかという点であるかと思います。
○田村智子君 総理にもお聞きしたいんですよ。
これ、もうこうやって選考会議の審議録が出てきているんですから、これよく読んでくださいよ。これが正常な選考の在り方ですか、名簿の順位を変えろと。その理由はと学術会議側が聞いても答えない。指示に従えと言うだけではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本学術会議が法律に基づいて推薦を行う、これは大事なことであります。しかし、その前に意見交換が行われる、これを、この意見交換も大切なことであります。
この意見交換については従来から行われてきたということ、国会において答弁をさせていただいていると申し上げています。御指摘の点につきましても、正式の推薦が行われる前の関係者の意見交換であると認識をしております。
○委員長(山本順三君) 時間が来ております。
○田村智子君 なぜこういう介入が起きたのか、誰がどういう理由でこういうことになったのか、是非、岸田政権として調査をし、本委員会に報告することを求めて、質問を終わります。