感染症法
“感染したら罪”と差別に 抑止への協力難しく
田村議員は、内閣委員会・厚生労働委員会の連合審査会で、感染症法改定案が新型コロナ患者の入院拒否事例を調査する前に国会提出されたとして、まともな立法事実もないまま罰則導入を狙う政府を追及しました。
田村憲久厚労相が「世論に(罰則導入の)意見が多い」と述べたのに対し、田村氏は「感染したら罪というような差別や攻撃がある」と述べ、罰則導入がそれを助長することになると指摘しました。
感染症対策のうえでも、保健所の患者対応は最初から“うそをつけば罰則だ”となり、信頼関係や感染抑止への協力を得るのは難しくなると指摘しました。
厚労相 政府・与野党連絡協議会にまず(法案の)考え方を示した。異例の立法手続きを踏んでいる。
田村 協議会では野党の意見を聞き流した。感染をまん延させない責任は患者に押し付けるのではなく、国や自治体がどう対策するかだ。
さらに田村議員は、コロナ患者用の病床確保の勧告に応じない病院名を公表する社会的制裁で病床確保が進むのかとただしました。
田村議員は、▽小規模な医療機関ほど動線確保などが困難で患者の受け入れができない▽民間病院は小規模な200床未満が9割超で、新型コロナ患者受け入れの条件がないところが多い―と指摘。昨年の緊急事態宣言後に減収補填(ほてん)を行い、病床確保を進めるなど「政府自らの努力」こそが必要だったと批判し、民間病院をやり玉にあげるやり方はやめるよう迫りました。
特措法
「まん延防止等重点措置」曖昧な基準をただす
田村議員は参院内閣委員会で、緊急事態宣言前から出せる「まん延防止等重点措置」について追及しました。現行特措法でも「宣言」発令前から協力要請が可能である一方、「重点措置」では要請に応じない事業者に罰則を科すことができると指摘。措置を講じる基準について説明を求めました。
田村 (罰則を科すほどの)強力に措置を講じなければならない事態とはどういう状況か。
西村康稔経済再生担当相 基本的にはステージ3(感染急増)の段階でそういった措置をとることを考えている。
田村議員は、今回の「宣言」に至る過程で政府は東京に関しステージ3の判断をせず、いきなりステージ4(感染爆発)を出したとして、「去年のいつの時点が重点措置にあたるのか」と質問。西村氏は、ある地域で急拡大した感染が全国へ広がり病床逼迫(ひっぱく)を招く、さらに全国的かつ急速な蔓延(まんえん)につながるケースを想定していると曖昧な説明に終始しました。
地域の分断など起こりかねない
田村議員は、東京・新宿の飲食店などが昨年の緊急事態宣言以降、長期の営業自粛・時間短縮を強いられてきたと指摘。「ずっと悩みながら苦しんでやってきたところに、区域を限定して罰則をつけるのか」とただしました。
西村担当相は罰則の影響について答えないまま。田村議員は「宣言」後でも「重点措置」がとられれば「宣言」が続くのと同じだと指摘した上で、次のようにただしました。
田村 人の流れがぐっと落ち込み、罰則付きで要請すれば、地域の分断などさまざまな問題が起こりかねないではないか。
担当相 事業者の理解を得ながら丁寧に進める。重点措置でできるのは時短要請までだ。
田村 これまでは協力要請。罰則で取り締まることになれば自治体と事業者の関係も変わってしまう。
感染による休業 違法解雇は指導
田村議員は、昨年5月に営業店舗の110番通報が増えたとの報道にふれ、罰則を創設すれば自治体・保健所業務逼迫につながる恐れがあるとして、「感染症対策の実効性を失わせる」と批判しました。
田村議員は、感染や濃厚接触で休んだことを理由にした解雇が相次いでいるとして「違法であり是正指導すると明言を」と追及。厚労省の小林洋子審議官は「新型コロナの療養のために休業する期間、その後の30日間に解雇した場合は違反になる。法違反が認められた場合は是正指導する」と語りました。
田村議員は、感染などで休業した際、自営業者などは所得保障がなく困窮すると指摘。早急な対策を求めました。
田村 実効性ある感染症対策として検討すべきではないか。
正林督章健康局長 個人事業主は所得保障として妥当な支給額の算出が難しく、支給対象とするのに課題が大きい。
田村 対策がない。罰則ではなく不安に応えるべきだ。
家庭内感染が問題となる中、田村議員は、感染症法で行政による療養施設の確保を努力義務とするのは不十分だと指摘。「やるべきことをやらず『Go To』も続けた。その反省もなく患者や事業者に責任を押し付けるような法改定は間違っている」と強調しました。
2021年2月4日(木)しんぶん赤旗
【第204回国会 参議院 内閣委員会、厚生労働委員会連合審査会 第1号 令和3年2月3日】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
ちょっと質問の順番を変えます、これまでの議論を聞いていて。患者への罰則についてまずお聞きいたします。感染症法の患者に対する罰則です。
福島議員の質疑で、入院拒否など今回のこの罰則の対象となり得るような事例について、自治体に照会掛けて件数をつかんだのは、調査をしたのは一月二十五日と、法案提出の後だったと。それで、大臣の答弁聞いていても、立法事実は何かと、これは国民の中に罰則を求める意見が少なくなくあるんだと、それで知事会からも要望が出されているんだと。私の本会議での質問で菅総理も言ったのは、立法事実は何かというふうに聞いたら、知事会からの要望しか言わなかったですよ、答弁しなかったですよ。
それで、その知事会の要望について、厚労省は先ほど保健所長会、現場の保健所長会を含む知事会って言ったけれども、全国保健所長会の意見書を見ても、罰則作ってくれなんて書いてないんですよ。厚生審議会の感染症部会での発言も、罰則が必要だという、そういう発言ではないですよ。
こういう状況で、国民の中の意見と、ある一定の世論のようなものがあるんだと、それを受けての知事会の要望でしょう。知事会も、そういう世論を受けての要望だと思いますよ、現場というよりも。これで厚労省が感染症法に罰則、刑事罰まで付けていいっていう提案をしたのかということを、今日、今審議を聞いていて、ちょっと私は血の気がうせるほどショックを受けました。本当にショックを受けました。
二月一日にハンセン病市民学会の皆さんが声明を出しています。そこで、根拠となっているのは漠然とした不安感でしかない。有事の際、人々は、ともすれば不安感に駆られて極端な行動に走り、かつての無らい県運動のような人権侵害行為に走りがちである。政府のなすべきことは、これに法的根拠を与えることではなく、人々に対し冷静で合理的な行動を取るように呼びかけることである。今回の改正案はその逆の措置と言わなければならないと。こう指摘をされているんですね。
本当に、立法事実が何かということもまともな検証もなくですよ、こんな議論で罰則を規定するのかと。大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) まず、知事会からは様々な御意見もそれぞれ分科会やいろんなところでいただいております。
例えば、入院したけれども逃げ出すような事例もあるでありますとか、そもそも積極的疫学調査に応じてもらえない、こういう意見もありますし、これは直接聞いた話ではありませんけれども、法的根拠は何なんだと、こういうような意見もある。
そういうような意味の中で、私は、知事会がただ単にふわっとした世論ではなくて、いろんな事例をお持ちの中でそういう御意見を出されてきておるというふうに思いますし、一人二人の知事さんではなくて多くの知事さん、場合によっては知事会全体という話になると、それはかなり重い話になると思います。そういう中の御意見であると。
あわせて、世論はそのときそのときでふわふわしているものだというようなお話だったと思うんですが、私も世論が必ず正しいとは申しません。その時々でいろんな反省も我々もしてまいりました。しかし一方で、世論にそういうような御意見が多いというのも重い話でございます。
そんな中で、でありますからこそ、我々今回お出しするのに、感染症部会の中には罰則必要だと言われる方も、明確に言われている方もおられますが、感染症部会のお話もお聞きをしながら、国会にまずは政府・与野党協議会でお出しをするということは、多分これ異例なことであります。つまり、それだけ人権に制約を掛けるというような問題でありますから、今までのような手続でお出しをするというわけにはいかないという思いの中で政府・与野党協議会にお諮りをさせていただいた上で、しかも衆議院で、より多くの皆様方に御賛同をいただくということで修正を衆議院でしていただきました。これに関しては、私は、権利制限という意味からすると本当に感謝をいたしております。
そういう手続にのっとっての今回の参議院での御議論でございますので、決してふわっとしたものだけではなくて、それぞれ知事会の中にも話があった中で御提案をいただいたということであります。
○田村智子君 私が聞いているのは、厚労省の判断と大臣の判断なんですよ。様々な感染症の歴史を受けての厚労省と大臣の判断を聞いているんですよ。
不安に駆られると、そうなんですよ。それは、その不安感で、今感染者は危険な存在だと、隔離をしろと、逃げ出さないようにすべきだと、うそがないように全部プライバシーも明かして、全部報告しなかったら駄目なんだと、そういう圧力に今なっちゃっているわけですよね。
私が聞いているのは、さっき事例いろいろ知事会がつかんでいると言ったけど、厚労省つかんでいなかったわけでしょう、事例もほとんど。しかも、その個別の事例は、逃げ出したのが何件で、こういう被害がありましただけじゃ駄目だと思うんですよ。そういう個別の事例に対して保健所がどのように対応をしたのか、罰則がなければ解決できないようなことだったのか、これが立法事実じゃないですか。そういう検討がなされたのかということが問われているんですよ。それ、やっていないでしょう、だって件数だってつかんでいなかったんだから。やっていないですよ。やっているはずがないんですよ。
私が本当に危惧するのは、こういうハンセン病の訴訟をやった方々から、あるいはHIVの訴訟団の方、弁護団の方、薬害肝炎の方、様々な感染症や公衆衛生や医療や弁護に関わってきた方々がこの短期間で一斉に声明出しているんですよ。それは、何も歴史が踏みにじられたということじゃないんです。やっぱり今起きていることなんですよ。新型コロナに感染をしたら、あたかもそれが罪であるかのような差別や攻撃があるんだと、患者が現に追い詰められているんだと。そのときに罰則規定ということを、まともな検証もなく、罰則がなければならないという確かな立法事実もなく、こんなふうに作ることの社会的影響の大きさを皆さん本当に心配されているんですよ。
いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) だからこそ、これは特措法の方でありますけれども、偏見、差別等々に対してしっかりと国、自治体等々がこれ周知徹底していかなきゃいけない、広報していかなきゃならないというような項目が入っているわけでありまして、差別、偏見、こういうものは絶対あってはいけないわけでありますから、そのようなことが起こらないように我々もこれからしっかりと努力をしてまいりたいと思います。
○田村智子君 一般的な差別禁止の規定を置いて、一方で罰則なんですよ。患者に対する罰則なんですよ。
それで、やっぱりこれ保健所と患者の関係性をおかしくしますよ。私権の制限というのは、罰則が私権の制限じゃないですよね。本来、任意の入院でなければならないものが入院をしてくださいねと、言わば、さっきお話ありましたけど、入院の措置というようなことがとられる、行動の制限、これ自体が私権の制限ですよ。本来、プライバシーなんて言う必要ないんですよ。誰とどこで会って、何の食事をして、どのぐらい人と会っていました、そんなこと言う必要なんかないんですよ、私たちにプライバシー権あるんだから。だけど、そこが激しく制限されて、それを報告しなければならないという制限を受けるんですよ。だから、保健所はその患者の権利の擁護という立場に立って協力をお願いする。
今後、この罰則ということになったら、これ、あらかじめ言わなきゃいけないんじゃないんですか、うそついたら罰則ですよって。だって、あらかじめ知っていなかったら、私、そんなこと聞いていませんと、そんな過ち料払うことはできませんというトラブルになりかねないですね。
そうすると、いろいろ大変でしたね、だけど感染広げないためにどうか、いろんな私権の制限しちゃうんだけれども、だけれども協力をお願いしますじゃないんですよ。あなたがうそをつけば罰則ですよ、入院措置、これに応じなければ罰則になりますよと。これで患者との信頼関係や協力が得られるかということを保健所の側は心配されているんじゃないんですか。いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) いろんな御意見はあると思います。
ただ一方で、公衆衛生上、これ感染防止を、蔓延を止めていかなきゃならないということがあって、そういうまあ言うなれば公共の利益というものも一方であるわけでありまして、実際問題、従わない中でいろんな事例が起こっているというのは先ほど局長の中でも話がありましたけれども、そういうものを防いでいただきたいという思いの方々も多い。一方で、今委員がおっしゃられておられるような御意見の方々も多い。
そういう中での今回の国会への提出でございますので、ですから、我々も今まで以上にこれは非常に丁寧なというような思いがあって、政府・与野党協議会の方にまず考え方をお示しをさせていただいた上で、そして衆議院でしっかりと修正をいただいたということでありますから、今までとは異例のそういうような立法手続を踏んでの対応であるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○田村智子君 一月五日の連絡協議会、私、当事者ですけれども、政府から考えが示される前に与党側からそういう考えが示されて、私はその場から厳しく批判しましたよ。聞き流されただけじゃないですか。野党の意見を取り入れた、違いますよ、聞き流しただけなんですよ。
それで、やっぱり本当にこの感染症の政策って、やっぱり感染症法を作ったときに物すごい反省の上で作られていますよね。それでも権利擁護の規定が弱いという批判があるぐらいですよ。それでも患者を隔離することで社会を守る、そうじゃないと。患者を守って良質の医療を提供することで社会を守る。感染を蔓延させないという責任は、患者に責任を押し付けるんじゃない、行動をしないようにという患者の責任じゃない。あらかじめの対策を国と自治体がどう取るかと。反省すべきはそっちなんですよ。患者に責任を押し付けるような、しかも、いろんな御意見がありますと、それで採決しちゃうのかということですよね。
私、これ採決しても、だったらもう一回取り下げて、その部分削除の法案を今国会に出すような、そのぐらいのことも必要だということも申し上げておきたいというふうに思います。
それで次に、そういう不安の問題になっているのはやっぱり医療の逼迫で、緊急事態宣言がやっぱり解かれないというのも医療の逼迫の問題がありますので、ここお聞きしますけれども。
これ、民間医療機関に対する病床確保等の要請の勧告、正当な理由がない場合に病院名を公表。この改定で本当に患者への医療提供が進むのかということなんですね。
これ、資料の一でお配りしましたけれども、実際に患者の受入れの状況を見てみますと、これ病床数ごとに見ると、どう見たって大規模な病院が受け入れているんですよ。資料の二枚目ですね、資料二枚目見ていただきますと、五百床以上のところはもうほとんど全て受け入れていますよね。やっぱり、小さいところ、二百床未満、百床未満、こういうところがやっぱりゾーニングとか人の確保とかが難しくて受け入れることができないと。
もう一枚の資料は、では、その病院の規模別で見てみると、民間病院というのは二百床未満の小規模医療機関が圧倒的に多いわけですよね。じゃ、この法改定で本当に進むんだろうかと。いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 基本は協力であると思っております。今のお話であれば、やはり今、現状からいうと、やはり初めの頃、規模の大きな病院、例えば三次救急でありますとか救急を多く受け入れているような医療機関、こういうところが重症者を中心に受け入れていただいておりました。
ただ一方で、そういうところはそういうところで他の医療、専門医療、救急、いろんなものをやっておられますので、そこばかりというわけにはいかない、代替をしていただかなければいけないようなところがあればいいですけれども、となれば、中規模の医療機関にもお受けをいただかなきゃならないということで、今般、いろんな財政的な支援もお願いをさせていただきながら、お受入れをいただきたいという協力関係の下で進めてきております。
もちろん、小規模なところでどうしても動線が確保できないというところに関しても、回復した方で、高齢者が多いですから、そういう方々の、まあ受皿という言い方がいいかどうか分かりませんが、その後一定のリハビリ期間等々を含めてお受けをいただくというようなところもちゃんと対応いただかなきゃいけない。つまり、役割分担をしっかりやるというのがこれが基本だと思いますし、その前提は協力であるというふうに思っております。
でありますから、勧告、場合によっては公表と言っておりますけれども、それはよほどのことがないとそういうことにはならぬわけでありまして、それに関してどういう場合だというのはまた法律が通り次第お示ししますけれども、申し上げられるのは、例えば受け入れられないところあるわけですよ。だって、そもそもマンパワーがないと。それから、今、今受け入れたら今入っていただいている方々を出ていただかなきゃならないと、その出るところの転院する先がないと。こんなところを公表したって病床増えませんから。
あくまでも、そういう意味では病床を増やすための今回の話でございますので、基本は協力であるということだけはしっかりと申し上げたいというふうに思っております。
○田村智子君 これまた、こういう法律出してくることもあってなんですかね、報道の中で、だから民間病院が受け入れていないことがあたかも今の医療の逼迫を生んでいるかのような報道も散見されるわけですよね。今の聞けば、この法改定やっても実効性あるんだろうかという話になっちゃいますね。本当、分からないという話でしょう。分からないんですよ。この法改定で本当に病床増えるのか分からないっておっしゃっているのと同じですよ、今の答弁は。
国際医療センター感染症対策室長の忽那賢志医師、これ、新型コロナ診療を行えるキャパシティーがある民間病院は既に患者診ている印象だとお答えになっていますね。
菅総理が、病床が急速に逼迫した年末に、コロナ患者を受け入れる病院に最大一千九百五十万円支払うと、こういうインセンティブ打ち出したと。これで病床確保のために病院にお金を出せばあたかも進むようなことが、やっぱりその年末、私たちの元に振りまかれたわけですよ。
しかし、これに対しても忽那医師はこう指摘しているんですよ。今新型コロナ患者を診ていない民間の医療機関は、おっしゃるとおり、感染症専門医もいなければ感染対策の専門家もいない、こうした民間の医療機関に何のバックアップもないままにコロナの患者を診ろと強制しベッドだけ確保したとしても、適切な治療は行われず、病院内クラスターが発生して患者を増やしてしまうことになりかねませんと。もっともな指摘ですよね。
さらに、じゃ、そういうところにもっと専門家が出向いていけばいいんじゃないかということについても、現在は専門家もほかの病院に指導に回る余裕はありませんし、病院のコロナ患者の動線を確認し、コロナ患者を診療する病棟のゾーニングを行い、診療に当たる職員の個人防護具の着脱のためのトレーニングを行いといった準備は一朝一夕で身に付くものではありませんと。で、おっしゃっているんですよ、今更言ってもどうしようもない状態だと。
私、第一波の後、やっぱり大幅減収になっている医療機関に対してちゃんとお金を出して、夏とか秋のうちにもっと病床が増やせるかどうかと、そういう検討をやって病床確保に備えるという、その政府自らの努力がどうだったのかと。こういう議論をちゃんとやらずに、そういう議論もなく、民間病院が受け入れていないから駄目なんだと言わんばかりの公表、病院名公表という社会的制裁までも盛り込むような法案を出す、これはおかしいんじゃないですか。
○国務大臣(田村憲久君) そんなことは私申し上げていないんで、ちょっと誤解をいただかないようにお願いいたしたいと思います。
その上で、夏以降、これ補正予算含めて、予備費も含めてでありますが、三・二兆円、そして今般一・四兆円。もちろん届いていないというお声もありますので、私、大臣になってから、実際問題、執行するのには、一回執行してしまうと、あっ、申請してしまうと、その後、年度内もう一回申請できないという科目もございますので、遅れている、全部が終わるまで申請してこないという医療機関もあるんだと思います。その間は融資というものがあるので、そういうものをちゃんと回せるような相談窓口を厚生労働省でつくりました。それでちゃんと運営できるかどうか確認していただきたいと。
しかしながら、やはり急激に新型コロナウイルス患者が増えましたので、そういう意味ではもう一段ということで最大一千九百五十万というものも御用意をさせていただきました。これは、先ほど何かお金を出してという話でありましたけれども、急遽ベッドをつくっていただかなきゃなりませんので、大変な経費掛かるということでこういうものを御用意をさせていただきました。
あわせて、ちっちゃい病院というお話がありますが、小規模の病院、どうしても動線がつくれない、ノウハウがない、感染管理ができないというところもあります。
でも、そういうところに関しても、ベッドに余裕があるならば、どうか、その回復した患者の方、もう感染力のない患者の方々をお受入れをいただきたいということで、これも当初から比べると診療報酬、四倍、五倍ぐらいにしましたかね、四倍ぐらいにしたんですかね、したと思います。そういうようないろんなこと、あっ、もっとですね、もっと増えています、二百五十点が今千七百点になっていると思いますから。そういういろんなことをやって、とにかく、受け入れられる、役割分担していただけるところを何とかお助けいただきたいと。
重症化病床ばっかりあっても駄目なんです、中等症の一、二ばっかりあっても駄目なんです。その後それぞれが患者の方々がちゃんと移動できるような受皿を全体でおつくりをいただいて、どうか、国を挙げて、医療界を挙げて、今回の新型コロナウイルス感染症の対策、この対応にお力をお貸しをいただきたいということでお願いをさせていただいております。
○田村智子君 八月に感染の最大数というのを想定していろんな計画というのを作っているんだけど、その時点で既にその想定数を超える感染者が出ている自治体がたくさんあったんですよ、幾つもあったんですよ。あったんですよ。だから、そういう一つ一つのことへの反省もなく進めるのかということが問われなくちゃならないんですね。
もう一点、もう今更というその忽那医師の思いというのはそのとおりだと思うんですよ。だって、二〇一五年、医療費抑制のための地域医療構想が策定されて、高度急性期、急性期病床の削減、本当に進められてきましたよね。直近は、二〇一八年の報告見てみても、やっぱり二〇一五年当時の報告と比べて本当に数も率も病床数減っていますよ、高度急性期と急性期。
この高度急性期と急性期病床こそが新型コロナ受入れの中心となるベッドだったわけですよね。これを、国が旗振って、病床削減やったら補助金だと、診療報酬でもインセンティブ与えると、こんなことまで進めてきて、病院の役割分担も、あなたのところは回復期ねと、こういう役割分担も進めちゃった。今更それで受け入れろと言うのかというのがいろんな病院関係者の意見だと思いますよ。
もう一点、せっかく田村厚労大臣に質問できる機会なので、もう一点言いたいのは、これもう病院だけじゃないんです。
例えば、国立感染研。私、二〇一三年に厚労委員会で、定員削減やっていったら日本の安全保障が脅かされることになりますよと、定員合理化計画から外すべきではないのかと、増やすべきではないのかという質問もやりました。ところが、田村大臣の答弁は、厳しい財政状況の中でなかなか一律にシーリングというものを外せないと。結局、やっぱり定員合理化優先させて、感染研の人員は減っていったと。保健所も同じですね。独立行政法人の国際医療センターの運営費交付金もそうですね。こうやって弱体化を様々にやってきた。
これが、今新型コロナで病院が対応することができないような、あるいは、この日本で本当に感染症対策進めていく上での人的、マン的パワーが本当に欠如していくような、そういう事態つくっている。せめてそれぐらいの反省はこの場でお述べいただいて、反省の上に立った感染症対策進めていただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今般、国立感染症研究所の積極的疫学調査等々も強化していかなきゃならないということで、FETPの方もしっかりと更に枠を増やしながら対応できるようにということでありますし、さらには感染研の定員も三百六十一名の増員要求を行っており、定員七百十六名という形で今しっかりとこの新型コロナ感染症に対しての対応ということで、まあこれだけじゃないんですけれども、強化をしております。
確かに、こういう感染症、世界中本当に、まあ予想しないということ自体言ったら怒られるんですが、まさかこういうことになるというのは、多分、去年の今頃、世界中が多分思っていなかったんだというふうに思います。
そんな中において、我々としても、今、この感染症の司令塔をどうしていくのか、組織をどうしていくのか、国立感染症研究所とそれから国立国際医療研究センター、こういうところを、しっかりと協力をしながら、臨床と疫学、こういうものに対してしっかりと国民の皆様方に治療法でありますとかそういうものを示していく、こういうことと同時に、世界中でこれから感染症が起こった場合にちゃんとモニタリングしてチェックして、日本のリスク判断をしていく、こういうこともやっていかなきゃならぬと思っています。
そういう意味では、それが今できていないということは我々反省をしなければならぬと思いますし、それをしっかりとこれから整備をしていくということを進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 終わります。
【第204回国会 参議院 内閣委員会 第2号 令和3年2月3日】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
特措法に新たに加えようというまん延防止等重点措置についてお聞きします。
緊急事態宣言に至らなくても、新型インフルエンザ等のまん延を防止するためとして、特定の区域の特定の業態の事業者に営業時間短縮などの協力要請を行うということなんですけれども、これ、特措法、現行法第二十四条第九項でも要請ができるし、現にそういう要請繰り返されてきました。
第二十四条第九項、「都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。」。
そうすると、まん延防止等重点措置との違いは、要請に応じない事業者に罰則を科すということになりますよね。罰則を対置して強力に措置を講じなければならない事態ということを別に置くことになるんですよ。それはどういう状況なのかと。
衆議院の質疑の中で、西村大臣は、ステージ三相当、また、感染が拡大しているステージ二相当を想定しているという答弁をされていますが、確認いたします。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のとおり、ある都道府県において基本的にはステージ三相当で感染が広がってきている、しかも、あるエリア、ある地域、ある業態で広がっているような場合に想定をしておりますが、そうした場合に、そこの範囲で感染を抑えていく、県内にそれが広がることを抑えていくために、このまん延防止等重点措置を考えております。そして、これは、次のステップは、ステージ四になればもう緊急事態宣言ですから、緊急事態宣言のように幅広い私権の制約を行わないためにも、この段階でその範囲で抑え込んでいこうという考え方でございます。
ただ、もちろん、それより下の段階でも、急速に何か、あるエリアで急速な感染拡大が見られる場合はとり得ることはあると思いますけれども、基本的にはステージ三の段階でそういった措置をとることを考えております。
○田村智子君 今聞いていても本当によく分からないんですよね。大体、今回の緊急事態宣言も、政府は東京についてさえもステージ三という判断全然しないままにいきなり緊急事態宣言、ステージ四になったんですよね。
これまで一年間ぐらいの間に様々な知見を得てきたって西村大臣言われている。そうすると、この一年ぐらいの間の東京のいつの時点がその重点措置の事態になるのかと、こういうのを示す必要あると思うんですよ。だって、二十四条の九項に基づく協力要請に罰則はないんですよ。一方、重点措置は罰則が付くんですよ。
これ、もうちょっと、じゃ、去年のいつの時点、去年のいつの時点がこの重点措置に当たるようなことになるんですか、東京の場合だったら。
○国務大臣(西村康稔君) その時点時点の感染者の状況、あるいは病床の状況などを正確に確認をしていかなきゃいけませんけれども、その上で申し上げれば、例えば昨年の夏、東京都の新宿区から感染が拡大をし、五月二十五日で解除して、その後感染は比較的落ち着いていたわけですけれども、六月の半ばぐらいから新宿区で急速に感染が広がり、そしてそのことが都内全域に広がり、やがて全国への感染拡大につながったケースがあります。
もちろん、繰り返しになりますけれども、その基準について、水準について、そのときのレベルをもう一度正確に見なければいけませんけれども、念頭に置いているのはそういったケース、ある地域で感染が急に広がってきて、それが都道府県内に広がっていく、それで病床の逼迫につながり、また、全国的かつ急速なまん延につながるようなケースを考えております。
去年の夏は多くの事業者が時短に応じていただいて、これは名古屋でも大阪でもそうです、感染を抑えることができました。しかしながら、十二月の段階、これはまた繁華街の飲食、二十二時までお願いをしておりましたけれども、残念ながら守っていただける方が少なく、十二月という季節柄もあるのだと思います。多くの人が飲食で、場でクラスターが発生し、感染が拡大してきたという事実がございます。
こうしたときに地域や業態を限って、絞ってこのまん延防止等重点措置というものは使えると、そういったことを念頭に置いて考えたものでございます。
○田村智子君 その東京都が、緊急事態宣言が明けてから、昨年のですね、事業者に対してどのような協力要請してきたのか、一覧にしてまとめてみました。これらの期間は、感染状況をずっと見てみると、緊急事態宣言明けてからも、これ、ステージ二で感染者数は漸増、ステージ三で急増で、恐らく緊急事態宣言明けてから以降、この要請出されていた期間というのはほぼそれに当てはまることになるんですね。東京都は、酒類を提供する飲食店、カラオケ店など業種を特定したり、夜の繁華街という地域を特定したり、二十三区内と地域を定めるなどして営業時間短縮をずっと要請してきているんですよ。
これまでは、これらが東京都の判断で行ってきた。今度は政府が重点区域を指定して、事業者に罰則付きで要請することになる。今の御答弁でも、特にこの七月の辺りとか八月の辺りとかまさにそういうことになるという西村大臣の答弁だったというふうに思います。
今、大臣は新宿区の歌舞伎町を言われました。また、これまでの答弁では大阪市のミナミなどの地名も挙げてこられたわけですけれども、私も、科学的なエビデンスいろいろ見てみると、確かに感染が集積しやすくて、そこから拡散していくような場所があるということは否定はしません。しかし、そういう地域にこれまでと違って今度は罰則をちらつかせる、あるいは振りかざす、そして休業を要請するということになるんですね。できるだけ区域を限定されてと言われた。
私が大変危惧するのは、では、そういう地域に対して、社会的な分断、地域的な差別、これ持ち込まれることになりませんか。
○国務大臣(西村康稔君) 感染防止と、そして、そこで働いておられる皆さん方、事業者の皆さんや従業員の皆さん方や、もちろんそうした方々の人権、決して差別や偏見などあってはならないことでありますので、この両立は本当に難しいことだと思いますけれども、しかし今回は法律の中でも、そうした偏見、差別を何人も行ってはならない、受けてはならないという、そういう趣旨で書き込ませていただいております。
新宿区や大阪の例でも、行政と事業者の皆さんと言わば話合いをし、信頼関係をつくりながら、検査、重点的な検査にも応じていただいたり、そうしたことを積み重ねていくことによって、御指摘のような差別や分断やそうしたことにつながらないように対応していきたいと考えておりますし、また、住民の皆さん方にも是非冷静な対応をしていただければなというふうに考えているところであります。
○田村智子君 これまでは罰則なしですもの、罰則なしで協力をお願いしますと言ってきたのを今度は取締りもやるわけですよ、自治体が。営業していればそこ取り締まるんですよ、罰則付きで。その関係性変わってきちゃうでしょうということなんですよ。それが社会的な分断、地域的な分断、差別、これ助長することになると、私、本当にそれを危惧しますね。
一月三十日の「NHKスペシャル」、歌舞伎町の深夜営業の店長らが長期取材に応じておられた。御覧になられましたかね。本当、涙出てきますよね。あの中でも、その店主の皆さん、何人か集まって新宿区長のところにどれだけもう苦しいかということを訴えに行ったと。そのときに罰則を求める声があるということを区長から説明を受けて、本当にショック受けておられましたよね。自分たちはそういう対象になるのかと、今度は。
見てくださいよ、これ。もう緊急事態宣言からほぼこういう深夜の営業していたところはずうっとずうっと営業をできないような状態ですよ、これ、夜十時までと。区切りがあるのは六月と、九月から十一月の一定期間だけですよ。あとずうっとなんですよ。その中で、今、夜八時までと言われて、そうしたら潰れちゃうかもしれないと。悩んで悩んでどうするかと。それぞれのお店も一生懸命感染症の対策もやりながら営業ができないかと、そうやって悩みながらやっている。
あるホストクラブの方は、自分がもう感染していると、だから毎月抗体検査で協力、採血に協力して、医療現場の方に、頑張ってくださいね、やるわけですよ。これが自分にできる貢献だと、新型コロナを抑えるための。これ社会的、私、連帯だと思いますね。
そういうところに、ここまで苦しんでいる、そういうところに区域を限定して本当に罰則付きで要請掛けるということになるんですか。
○国務大臣(西村康稔君) 私も「NHKスペシャル」見させていただきました。新宿区長、本当に先頭に立って、ちょっと正確な数は覚えておりませんけれども、三百軒もの、程度のですね、数、そのぐらいの数のホストクラブなどを歩かれて、検査に応じてくれ、あるいは時短に応じてほしいと、こんな取組を彼自身が先頭に立ってやられてきたと思いますし、そういう意味で信頼関係をつくりながらやってこられたと思います。
そうした中で、今回、支援策もしっかり講じるということで明記をさせていただいております。
それぞれのお店がどのぐらいの家賃を払っておられるか分かりませんけれども、新宿の駅前で申し上げても、普通の飲食店で月額八十万円、九十万円というデータは私ども調べております。小さなスナックなどもありましたし、大きな箱の店もありましたので、差はあると思いますけれども、月額百八十万円までの最大の支援を行うことにしておりますし、従業員の方、従業員の給料も払えないよという言葉も中に出てきましたけれども、しかし、月額、パート、アルバイトの方も含めて三十三万円までは国が雇調金で支援ができますし、中小企業であれば休業支援金も今でもこれはできます。五人おられれば最大百五十万円程度は国が別途人件費として一〇〇%支援ができますので、こういったことを活用していただいて感染拡大防止に是非応じていただきたいと思いますし、もちろん抗体検査など協力されている方もおられます。
それから、それぞれのお店を支援する方で……(発言する者あり)ええ、ということで、私ども、そうした事業者の皆さんにも御理解をいただきながら、厳しい状況にあるところをしっかり支援しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 罰則について聞いているのに何も答えていないじゃないですか、そういうところに罰則付けるのかと。
それじゃ、その支援ですけど、こういうところって、これまでの答弁の中でも、衆議院の答弁でしたか、緊急事態宣言が明けても重点地域を指定すれば、そのままそこは自粛要請、要請を罰則付きで行うということもあり得るって想定、そういうことも想定していると答弁されているんですけど、支援は、規模はどうなるんですか、緊急事態宣言のときと重点支援措置のときと。
○政府参考人(奈尾基弘君) 今般の改正法案におきまして、国及び地方公共団体が新型インフルエンザ等の影響を受けた事業者を支援するための必要な措置を講ずる義務を明記したところでございます。
事業者等に対して必要となる具体的な支援措置につきましては、その時々の感染症の蔓延状況でありますとか社会経済情勢などによって随時変わってまいりますので、財源確保の在り方を含めて、状況に応じて適宜適切に対応していくということでございます。
特に今般におきましては、新設した支援規定の趣旨にのっとりまして、まん延防止等重点措置や緊急事態措置に係る要請に伴う支援については、要請に応じたこと、それから要請による経営への影響の度合い等を勘案し、公平性の観点や円滑な執行等が行われることに配慮し、要請に十分な理解を得られるようにするために必要な支援として取り組んでいくという方針でございますので、御指摘の緊急事態宣言下とまん延防止等重点措置ということでは、これ、施設の休業までの要請ができるかといったことで、要請による経営への影響の度合いというのは異なることがあり得ると思います。そういったことも踏まえて状況に応じて適宜適切に対応してまいりたいと思っております。
○田村智子君 これ、緊急事態宣言終わりました、だけど重点区域というふうになったら、重点措置のところとなったら、そこは延々緊急事態宣言が続くことになるんですよね。当然そこは人の流れじゃなくて、だって周辺は解除されているんだもの、人の流れはほかに行きますよね。そんな営業時間の短縮が例えば夜十時以降に限られたとしたって、昼間も含めて、もっと人の流れがその区域については落ち込むということあり得るんですよ。
私、さっき、地域的な分断あるいは業種に対する分断、これ心配すると言いましたけど、つまり、ここが危ない、だから抑えるというふうにやったら、じゃ、その地域だけお金出すのかという分断にもなりかねないじゃないですか。
そういうことも含めて、罰則付きでそういうことをやれば、二十四条の九項あるのに、別に政府が指定をして罰則付きでやれば様々な問題が生じますよねという、この危惧分かりませんか、大臣。
○国務大臣(西村康稔君) 二十四条九項、これまで、法改正が今まだできておりませんので、今まで一つの手段として、都道府県知事はこれを有効に活用して要請を行ってまいりました。しかし、強制力はない中で、要請にとどまりますので、そうした中で、去年の十一月から十二月、二十二時までの時短、首都圏でいえば行ってきたにもかかわらず、神奈川県では知事は二割程度しか応じてくれていないという中で、かなりの方が、かなりの人数の方が飲食を夜遅くまでやられて、そのことによって感染が広がったという事実がございます。これはクラスターなどの分析も行ってきております。
感染拡大を抑えるためにこの措置は私ども必要だというふうに考えております。しかし、何も違反したから直ちにその時点で罰則掛かるということではなく、丁寧に理解をしていただきながら、文書によるそうした発出によって理解をいただきながら進めてまいりますので、丁寧な運用を是非進めていきたいということで、そうしたことも含めてお知らせをしていきたいと考えております。
そして、まん延防止措置に、緊急事態宣言解除されて、まん延防止措置が必要かどうかは分かりませんけれども、そうした段階でも、まん延防止措置になったとしても、そのときの要請内容に応じて、事業者の皆さんへの影響をしっかりと勘案しながら支援策を講じていきたいと考えております。
緊急事態宣言の下では休業要請までできますけれども、まん延防止等重点措置では営業時間の変更というものは最も私権の制約が大きいものと考えておりますので、休業要請まではできませんし、それ以上のことを考えているわけではございません。
○田村智子君 その要請された時間以上の影響が出るんですよ。今だって、ランチもやめましょうと言われて、もう要請されている時間以上の影響出ているじゃないですか。
それで、この罰則が創設されれば、私は、今の危惧に何も応えてないですもの、社会的分断、業種や地域への差別が深刻になるんじゃないか。何も応えていないですよね。
例えば、昨年五月、ここは営業しているぞという一一〇番通報が増えたという報道もありました。今度、罰則ということにまでなっていくと、こういう通報が自治体や保健所に寄せられることになるんじゃないのか。それは、感染症の対策をやらなければならない自治体や保健所にとってはむしろ重荷になるんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のような誹謗中傷あるいは差別や偏見、こういったことにつながらないように、私ども、都道府県に対してはそうした旨は徹底をしたいと思いますし、都道府県知事会から、現場で対応してきたその知事会から、こうした緊急事態宣言の前に至るまん延防止等重点措置の、こうした措置が必要だという要望に私ども応えております。
その意味で、知事会ともよく連携をして対応していきたいと思いますけど、いずれにしても、国民の皆様には感染防止策に協力していただくと同時に、冷静な行動を是非呼びかけてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 私たちも議員団で知事会の方に来ていただいてお話聞きましたけど、これ、保健所や自治体担うことになりますよねと言ったら、いやいや警察がやるでしょうと答えたんですよね。
本当に知事会の中でどういう議論して、このことをやることで、通報を受けて自治体や保健所がどういうことになるのかという、そういう議論までして要望されたものなのかどうかも含めて、ちゃんと見る必要あると思うんですよね。それは、住民からの通報行きますよ、罰則付きでもっと、がんと営業を自粛するように求めるわけですから、協力要請するわけですから。これ本当に感染症対策の実効性をむしろ失わせるんじゃないかというように言わざるを得ません。
それで、ちょっと急がれている、いろんな対応しなきゃいけない問題があるので、残る時間、本会議でも指摘したことを質問したいんですけれども。
解雇、感染を理由に、自分は感染しましたと、あるコンビニの店員さんが店長さんに電話をしたら、もうあんた来なくていいよと、何て迷惑なことをしてくれたんだと、首だというふうに言われたというのはもう出回っているんですよ、ツイッター上でもね。で、総理に、これは違法でしょうと、是正指導しますよねというふうに質問したんですけど、問題だという答弁でしかなかったんですよ。
これ違法だと、必ず是正指導すると明言いただきたいんですけど、いかがですか。
○政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。
有期契約労働者の期間途中の解雇につきましては、その有効性は最終的に司法の現場で司法において個別の事案ごとに判断されることになりますけれども、労働契約法第十七条において、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間満了するまでの間において労働者を解雇することができないとされているところでございます。
また、労働基準法の第十九条では、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の三十日間、この期間は解雇してはならないということとされております。そのため、業務上、新型コロナウイルス感染症に感染したと認められる労働者が療養のために休業する期間とその後三十日間、当該労働者を解雇した場合には、一定の場合を除き、同条の違反となります。
労働基準監督署においては、労働基準法に違反して解雇されたとの申告が労働者からなされた場合には、監督指導を実施いたしまして、法違反が認められた場合には是正をするよう指導を行っております。
厚生労働省といたしましては、引き続き、労働関係法令に照らして問題のある事案を把握した場合には適切に指導等を行ってまいりたいと思っております。
○田村智子君 これ、最終的な司法判断というのはそれはやむを得ないんですけれども、これ、もっと言うべきですよ、現に起きちゃっているんだから。こういうことをやっちゃいけないよと、感染したということをもって解雇するようなことをしちゃ駄目だよと。雇用期間を途中で、雇用期間の途中なのに、感染した人、療養している人を解雇するようなことあってはならないですよと。これ、もっと是非広げていただきたいと思います。
それから、治療が終わって医師も外出を許可しているんだけれども、会社の方が、いやいや、ちょっと待てと、まだ危ないとか言って休ませるという場合も生じているんですよね、現に。これ、給料保障されるべきだと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。
労働基準法の第二十六条におきましては、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合には、使用者は労働者に平均賃金の百分の六十以上の休業手当を支払わなければならないとされております。
この規定に基づきます休業手当の支払義務が認められるか否かは個別の事案ごとに判断されるものではございますけれども、一般論といたしましては、お尋ねのように、新型コロナウイルス感染症に係る治療が終了し、医師も外出や就労等について問題がないと判断しているにもかかわらず、使用者の判断により労働者を休業させたような場合には、休業手当の支払義務が認められるものと考えております。
○田村智子君 それからもう一点、傷病手当の対象外の方、自営業者の店主はこれ対象外なんですね。雇用調整助成金も対象外なんですよ、雇主だから。本当に所得保障ない立場なんですよ。
総理は、私が、濃厚接触で二週間こういう方が自宅待機みたいになったときどうなるんですかというふうに聞いたら、緊急小口の貸付けだというふうに答弁をされまして、貸付けしかないのかという声が私のところにまた寄せられているわけですよ。
政府として、やっぱり新型コロナの特徴ですよね、無症状、軽症。普通の風邪だったら出社ができる、仕事ができる、だけど、それを止めなきゃいけないと。じゃ、そのときの所得が保障されなくなっちゃうような人が、制度から落ちこぼれる人をどうするのかと、これ検討すべき課題だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(正林督章君) お答えします。
傷病手当金については、国民健康保険において、様々な就業、生活形態の方が加入しておりますが、自営業者等については被用者と異なり、療養に際しての収入減少の状況が多様であることから、任意給付としております。
今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、国民健康保険に加入している被用者について傷病手当金を支給した市町村等に対し、国が特例的に財政支援することとしています。
ただし、個人事業主は被用者と異なり、療養の際の収入減少の状況が多様であり、所得保障として妥当な支給額の算出が難しいことなどから、支給対象とすることについては課題が大きいものと認識しております。
○田村智子君 だから、ないんですよね。こういう不安にどう応えていくんだということなんですよ、罰則とか議論するんじゃなくてね、と私は思いますよ。
もう一つ、今、入院できない、療養施設に入所できないと、これは本当に大きな不安になって、だから感染が怖い、差別も助長されるみたいなことにもなっていますよね。
実は私、八月の時点で、この内閣委員会だったと思いますけど、質問して、これ感染者の最大の想定が過少じゃないですかと、八月で既に感染者数の最大想定数を上回っているという自治体もありますよと見直しを求めたんだけれども、結局その見直しがないままにいろんな施策が取られてきたんですね。新宿区などでも、最大想定を策定する時点で既に感染者の数はその想定を上回っていたということも分かりました。何で必要な見直しをやらなかったのかなんですよ。
療養施設や接触追跡の体制不足、これも問題になっているんですけれども、これも感染者数の想定が低かったらそうなりますよ。本当にこういうところの反省が、午前中、田村厚労大臣に聞いたけど全然反省が述べられなかったんですけどね。こういうところの反省なく今後の対策を進めるというのは極めて危険だと思うんです。いかがですか。
○副大臣(山本博司君) 御指摘の患者推計に関しましては、三月から五月にかけて、国内感染実績や当時の対策の結果を踏まえた患者推計の手法に基づいて、各都道府県が地域ごとの実情を加味して推計を行ったものでございます。
この患者推計に基づいて必要となる病床数を算出した病床確保計画に関しましては、新型コロナウイルス感染症患者に対する医療のみならず、一般診療の十分な確保を考慮した上で、必要な病床を確保しながら、感染状況に応じて社会的な介入も行いながら段階的に病床、宿泊療養施設を確保していくオペレーションを具体化することを目的とするものでございます。
政府としても、その後の感染拡大を踏まえまして、コロナ患者を受け入れる医療機関を支援するために、これまで三・二兆円の医療機関支援に加えまして、第三次補正予算でも一・四兆円の追加支援を講ずることとしている次第でございます。これに加えまして、年末年始には予備費による思い切った医療機関への緊急支援実施いたしまして、新型コロナ患者を受け入れた医療機関に対しましては一床につき最大で千九百五十万円の補助を行うこととしている次第でございます。
引き続き、こうした各自治体と一体となって病床確保に向けた取組をしっかり進めていきたいと思います。
○田村智子君 反省なくしっかり進めるということはできないと私思うんですよね。こういう問題の検証ないままに、感染症法には、宿泊療養だけじゃなくて自宅療養も法的に規定をすると。で、宿泊療養を法的に規定するんだけれども、療養施設の確保というのは努力義務にとどまると。これは本当にいかがなものかというふうに思うんですね。
もちろん、自治体だけの思いで進まない、ホテルの側、旅館の側の事情もあって柔軟に対応するということが必要だというのは、まあそれはそうかもしれないんですけど、しかし、家庭内感染の広がりということが、やはり第二波、第三波、特に今の第三波のときは本当に問題になってきたわけですよね。そうすると、やっぱりちゃんと家族と別れて療養施設でちゃんと健康観察ができてということをやっぱり提供すると、それが良質な医療をちゃんと保障するということになっていくわけですよね。
こういうところの見直し必要だと思いますけど、いかがでしょう。
○政府参考人(正林督章君) お答えします。
現下の新型コロナウイルス感染症対策においては、軽症者等に係る宿泊療養の取組等を推進し、医療資源を重点化していくことが必要であり、また、宿泊療養の取組を実効的なものにするため、都道府県において十分な宿泊療養施設を確保いただくことが重要であります。
他方、宿泊療養施設の確保については、感染症指定医療機関の指定同様、公益的見地で行うことが必要であるため、宿泊療養の実施主体である保健所設置市自治体単位でなく都道府県知事が行うことが望ましいこと、また、地域の医療提供体制を踏まえつつ、受入先となるホテル等の事情、体制、入所者の健康管理や療養支援を行う人材の確保の状況を考慮する必要があることから、都道府県知事の努力義務として規定したところであります。
厚生労働省としては、必要な宿泊療養施設の確保を支援するため、新型コロナ緊急包括支援交付金に所要の予算を計上し、全額国負担を可能としているところであり、引き続き、こうした支援を通じて十分な宿泊療養施設が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○田村智子君 午前の、午前というか昼の審議のときにも、過去に振り返っても反省が必要でしょうということをいろいろ指摘しましたけれども、この新型コロナもそうなんですよ。
さっき指摘したとおり、夏の時点で、第二波で既に感染者こんなに増えていて、この想定ではパンクするよと指摘をした。だけど見直しが行われない。私、今も覚えています。十一月に入ってから、最初のあの臨時国会での内閣委員会で私は西村大臣に、これは第三波だと、重症者の数が減らないまま第三波がやってくると、とんでもないことになるという質問やりました。だけど、その危機感は全く共有されないまま、GoToキャンペーンも止まらなかった。
やるべきことをやらずにですよ、感染蔓延の防止というところに一番国が責任を持たなきゃいけない、それをやらずに、患者や事業者に責任を押し付けるかのようなこういう法改定やる。本当に間違った政治だということを申し上げて、質問を終わります。
【第204回国会 参議院 本会議 第5号 令和3年2月2日】
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、菅総理に質問いたします。
本法案の最大の問題は、新型コロナの感染抑制のためと称して、感染症法に患者への罰則、特措法に事業者への罰則を創設することです。自宅で何の治療も受けられないままに亡くなる方がおられる下で患者への罰則を議論するのか、客席を減らし、営業時間を削り、様々な感染対策を講じ、懸命に努力している事業者を罰則で脅すのかと、怒りを禁じ得ません。
その上、自民党松本純国対委員長代理が深夜、銀座のクラブを訪問していたことが先週明らかとなり、田野瀬副大臣と大塚衆院議運理事が昨日になって同席を認めた。一週間も事実を隠していたのです。自民党の自浄作用はどうなっているのですか。総理、国民の前で事実を明らかにし、謝罪すべきではありませんか。
法案について質問します。
菅総理は、昨年末、罰則と給付金はセットで必要ではないか、次期国会に提出して成立させたいと表明しました。年明け早々の一月五日、各政党からあらかじめ意見を聞いて法案をまとめるとの説明で、新型コロナ対策政府・与野党連絡協議会が行われ、八日、十三日と回を重ねました。
その場で私は、罰則が必要だという根拠、保健所が対応できるのか、患者への刑事罰は差別と偏見を助長するなど罰則に反対の意見を述べ、他の野党からも反対と懸念が繰り返し示されました。
こうした議論が報道される下、一月十四日、日本医学会連合が入院拒否などに対する罰則を厳しく批判する緊急声明、日本公衆衛生学会と日本疫学会も連名で同様の声明を発表。翌十五日には、厚生科学審議会感染症部会で罰則への反対、懸念の意見が多数出されていたことも、議事録の公表によって分かりました。
ところが、一月二十二日、国会提出された法案は、これらの意見を全く顧みないものでした。野党の意見を聞いてといいながら聞き流したのでしょうか。各学会、そして感染症部会での意見はいつ、どこで、どのように検討されたのでしょうか。多数の批判、懸念がありながら患者への刑事罰さえ必要だと判断した、それだけ重大な立法事実とは何だったのですか。これらは、菅政権の新型コロナ対応の基本姿勢にも関わる問題です。総理の明確な答弁を求めます。
衆議院本会議で菅総理は、罰則の創設について感染症対策の実効性を高めるためと答弁していますが、どのように実効性を高めることになるのか、具体に説明いただきたい。罰則の周知、要請に従わない者を実際に罰することで国民に恐怖心を持たせることが感染症対策の実効性なのでしょうか。併せて答弁を求めます。
罰則の周知もその運用も、直接担うのは保健所ではありませんか。時短営業の要請に応じていない事業者があった場合、どのような手続によって罰則を科すのでしょうか。また、正当な理由なく入院や積極的疫学調査を拒否したという場合、正当な理由の判断は誰がどのように行うのでしょうか。この場合も患者に罰則を科す手続について説明を求めます。
昨年の新型コロナウイルスの感染拡大によって、まず体制が逼迫したのは保健所でした。今も、入院の優先順位の判断など、命の懸かった業務に休日もなく懸命に対応されています。その上、罰則への対応を求めることは、感染症対策の実効を高めるどころか、まさに逆行、足を引っ張るものではありませんか。
全国保健所長会が一月二十七日、厚生労働省に提出した感染症法改正案への意見では、個々の保健所からの様々な意見や懸念を承っているとして、対応困難な患者に対する罰則規定を求めないという意見を紹介しています。この意見書は大変抑制的な書きぶりですが、患者の個々の事情に丁寧な対応を行ってきたこと、必要なのは保健所の人的体制であること、住民の立場であらゆる人の命と健康を守る使命を持続可能としてほしいなどの訴えが伝わるものです。
これまで保健所がどのような困難事例にどう対応してきたのかを政府として把握し、分析していますか。また、保健所の抜本的な人員増こそ患者の理解と協力を得る実効性ある施策ではありませんか。
感染症対策の実効性は、恐怖心を持たせる施策ではなく、国民が安心できる施策を網の目のように広げていくことです。
自営業の方が、仕事を休むと収入が減るため入院を拒否したという事例があります。新型コロナ感染者は仕事を休んだときに公的医療保険の傷病手当の対象となりますが、給与所得ではない自営業者やフリーランスは対象外です。この場合、所得保障の制度はありますか。
また、濃厚接触で自宅待機の場合、傷病手当の対象となりますか。時給や日給で働いている濃厚接触者は二週間無給状態となりますが、どのような支援策があるのか、お答えください。
無症状、軽症、濃厚接触で自宅待機となった場合、十日から二週間、一歩も外出しないための生活必需品の支援は現状でどれだけの自治体が行っていますか。今回の特措法改定でも、食料などの生活物資の支給は自治体の努力義務のままです。支給しない自治体があってもよいということでしょうか。
非正規雇用の労働者が新型コロナに感染したことを店長に連絡したら、もう来なくてよいと解雇を宣告されたという事例があります。感染や濃厚接触で仕事を休むと解雇する、これは違法ではありませんか。必ず是正指導すると約束いただけますか。
これらは氷山の一角です。不安定で弱い立場で働く方の中には、様々な不利益や差別、社会的制裁を恐れて、症状があっても検査を受けないということが現に生じています。その上、罰則で脅せば、更に追い詰められ、隠れた感染を広げかねないのではありませんか。必要なのは、感染しても、濃厚接触となっても、全ての人の生活を守るという支援策ではありませんか。
以上、総理の答弁を求めます。
本法案では、民間医療機関が厚労大臣及び都道府県知事による感染症患者受入れの要請に応じない場合に、受入れの勧告、勧告に応じない場合の公表という、医療機関への社会的制裁も行おうとしています。新型コロナ患者が入院できないのは民間病院の責任だというのでしょうか。民間医療機関の九割が二百床未満、人員配置上もぎりぎりの運営をしており、多くの中小医療機関は新型コロナ患者受入れは困難というのが実態ではありませんか。
条件のある医療機関は既に新型コロナ患者を受け入れており、それ以外も看護職員の派遣、他の疾病患者の引受け、発熱外来など、新型コロナ対応に貢献し、地域医療を守る役割を果たしています。政府はこのような地域の医療機関をどう評価しているのでしょうか。
そもそも、社会保障抑制のためとして、地域医療構想などで高度急性期や急性期の病床を減らし、医療機関が要望する人員配置基準の引上げに背を向けてきた、これら長年の政策こそが新型コロナ患者を受け入れる余力を医療現場から失わせてきた、その認識と反省はあるのでしょうか。
最後に、まん延防止等重点措置についてお聞きします。
要件は全て政令に委ねられ、国会の関与もなく、政府と知事の判断により、罰則付きで事業者への要請及び命令を行うことになります。今回の緊急事態宣言でさえ協力金は限定的、しかも、持続化給付金、家賃支援給付金を打ち切るということを見ても、これは、事業継続への補償もなく、罰則によって事業者を要請に従わせるというものではありませんか。
長期にわたるコロナ禍で国民の中に不安が沈殿している下で、罰則と社会的制裁によって不安をあおり、国民を分断させるなどあってはなりません。苦難に応える、誰も取り残さないと政府が宣言し、協力と連帯を築かなくてどうするのか、このことを厳しく指摘し、質問を終わります。
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕
○内閣総理大臣(菅義偉君) 田村智子議員にお答えをいたします。
自民党に所属していた議員の行動等についてお尋ねがありました。
昨日、田野瀬太道文部科学副大臣を更迭いたしました。また、自民党においては、松本純議員、大塚高司議員、田野瀬議員に離党勧告を行い、この三名は離党しました。さらに、この三名は会見を行い、謝罪したものと承知しております。
国民の皆さんに御苦労をお掛けしている中で、政治家は率先して範を示すべきところ、こうした行動はあってはならないことであると思います。私からも国民の皆さんに心からおわびを申し上げますとともに、いま一度身を引き締め、新型コロナ対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。
法改正における立法事実についてお尋ねがありました。
感染症法等の改正については、入院や積極的疫学調査に応じていただけない事例があり、罰則を設けることについて、その実施主体である全国知事会からも提言があったものと承知をしています。また、一月十五日の感染部会では、最終的にはおおむね了承が得られたと聞いております。
また、今般の法案については、先般の与野党の協議を得て、罰則を過料にするなどの修正が衆議院で行われたものであります。
政府としては、引き続き国会における御審議の結果をしっかりと踏まえ対応してまいります。
感染症法における罰則についてお尋ねがありました。
今回の改正案では、患者の人権にも十分配慮しつつ、まずは御本人の御理解を得ながら、入院患者を行うことを基本とするものであります、入院措置を行うことを基本とするものであります。
その上で、どうしても応じていただけない場合には、必要に応じて罰則を適用することで感染症の蔓延を防止するという感染対策の実効性を高めることができるものと考えています。その際、法律の運用に際しては、人権に配慮した適切な対応に努めてまいります。
今般の法改正に関する罰則の適用についてお尋ねがありました。
今回の改正法案により創設される行政罰の適用については、まず都道府県において判断され、最終的には、裁判により過料を科すかどうかについて決定されることになると考えます。
このため、実際の運用に当たっては、保健所などの現場において円滑な運用がなされるよう、国としても基本的な考え方や具体例をお示しするなど、必要な支援を行ってまいります。
保健所の困難事例への対応と人員増についてお尋ねがありました。
全国の保健所では、御指摘の困難事例を含め、現場の様々な課題に対し、職員の方々のきめ細かな御尽力により対処いただいているものと承知しております。
このため、今回の改正法案では、保健所が講じる感染防止の措置に関する理解を得やすくする観点から、自宅療養及び宿泊療養を法律上明確に意味付ける旨の改正を行います。
あわせて、保健師等の広域的な応援体制を約千二百名から三千名に増員するとともに、感染症対応業務に従事する保健師を来年度から二年間で約九百名増員することとしており、保健所の取組を強力に支援してまいります。
自営業者等の保障についてお尋ねがありました。
新型コロナ患者が治療に専念できるよう、その入院や宿泊療養費、自宅療養の際に必要な治療費については、全額公費により負担をしております。
また、自営業者やフリーランス等の方については、傷病手当の対象とはなりませんが、就業することができないことに伴って一時的に生活資金が不足する場合や生活に困窮される場合には、緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金の支給など、重層的なセーフティーネットにより支援を行っているところであります。
自宅療養者に対する生活支援についてお尋ねがありました。
生活必需品の支援を行っている自治体を網羅的に把握はしておりませんが、自宅療養に当たっては、外出する機会をなくすため、必要な方には食事の提供を確実に行うことを都道府県にお示ししており、その費用は、交付金として全額国費で支援をしております。引き続き自宅療養者への生活支援について適切に実施してまいります。
雇い止めの問題や検査を受けやすい支援策についてお尋ねがありました。
感染や濃厚接触により休業し、そのことで雇い止めになることは問題であり、そのような事案を把握した場合には、適切に指導などを行っています。
また、検査については、感染拡大防止の観点からも、受けやすい環境づくりを進めることが重要であると考えております。
このため、新型コロナの行政検査については実質的に全額国の負担で行うとともに、今回の改正法案の趣旨を踏まえ、感染者や濃厚接触者となった場合に、その人権が尊重され、不当に差別がされることがないよう、国と地方自治体で啓発活動を行ってまいります。
民間病院でのコロナ患者の受入れ等についてお尋ねがありました。
地域の医療提供体制については、地域の実情に応じて様々な患者に対して必要な医療をどのように提供していくべきか、地域で役割分担を協議し、地域全体として面で支えていくべきものと考えております。
そうした中、対応規模の小さい民間医療機関でも患者の受入れを行っていただいているケースもあり、国としても、体制確保に係る必要な支援を行ってきました。引き続き必要な方が必要な医療を受けられるよう病床確保に努めてまいります。
他の疾病患者の引受け等による新型コロナ対応に貢献している医療機関への評価についてお尋ねがありました。
地域の中の役割分担により、コロナ患者だけでなく様々な患者に対して必要な医療が提供されることが重要であると考えております。
このため、これまでも、感染症対策を徹底しつつこうした地域医療を継続いただくために、コロナ対応を行っていない医療機関への支援も含めて三・二兆円の支援を行っているほか、過去に例のない最大減収十二か月分を上限とする無利子、無担保等の危機対応融資も実施してきました。引き続き地域の医療機関の状況を踏まえ必要な支援をちゅうちょなく実施をしてまいります。
地域医療構想等についてお尋ねがありました。
地域の医療提供体制は、それぞれの医療ニーズに合わせ、効率的で質の高い体制の確保を目指して取り組む必要があります。こうした考えの下に、地域の医療提供体制については、感染症対策という観点も踏まえ、地方自治体とも連携をしながら検討を進めてまいります。
まん延防止等重点措置の実施と支援についてお尋ねがありました。
措置の公示については、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で行うこととし、国会へ速やかに報告することになっています。
また、罰則とセットで規定される支援については、改正法の趣旨に基づき具体的内容が決められることとなりますが、要請による経営への影響の度合いなども勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。