日本共産党の田村智子議員は23日の参院内閣委員会で、デジタル関連5法案の関係資料に45カ所もの誤りが生じたのは、菅政権が自らの看板政策を無理押しした結果だと批判しました。
デジタル関連法案の立案作業に従事していた法案準備室の職員の昨年の在庁時間を尋ねた田村氏の質問に、内閣官房の冨安泰一郎内閣審議官は、昨年10月の勤務時間外の平均在庁時間は108時間で、最長の職員は184時間、11月はそれぞれ100時間と171時間だったと述べ、異常な長時間労働を強いていたことを明らかにしました。
田村氏の、いったいどれだけの法律を変えるのかとの質問に、冨安氏は、「今般の関連5法案では新法として4本。整備法案の本則で59の改正を行っている。このほか引用・条番号ずれなどを連動して改正するいわゆるハネ改正を合わせると(法改正だけで)217本だ」と明かしました。
田村氏は、政府がこれだけの法案を昨年12月25日に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定してからわずか1カ月半後の2月9日に国会に提出したことにふれ、「物理的に無理なものを推し進めようとしているなかで生じた45カ所もの誤りではないのか」と指摘。一国会で十分審議ができるような内容でもないことを明らかにし、「職員にどれだけ無理を押し付け、立法府をどれだけ軽視しているか。やり方自体が大問題だ」と批判しました。
2021年3月24日(水)しんぶん赤旗
【第204回国会 参議院 内閣委員会 第6号 2021年3月23日】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
デジタル改革関連法案準備室、九月末に発足したと聞きますが、昨年十月、十一月に行われた在庁時間調査はどのような集計になっていますか。
○政府参考人(冨安泰一郎君) 内閣人事局からの調査依頼に基づきまして、昨年の十月及び十一月の在庁時間について調査を行っております。
デジタル改革関連法案準備室に勤務する職員は、その大半が他省庁を本務とする職員、あっ、失礼いたしました。ちょっと、申し訳ありません。この過程で把握されましたデジタル改革関連法案準備室に所属する職員等の法案立案作業に従事していた職員の在庁、内閣人事局からの調査依頼に基づきまして調査いたしまして、その過程で把握されましたデジタル改革関連法案準備室に所属する職員等の法案立案作業に従事していた職員の在庁時間につきまして集計を行いましたところ、昨年十月における平均在庁時間は百八時間、勤務時間外の平均在庁時間は百八時間、時間外在庁時間が最も長かった職員の時間外在庁時間は百八十四時間、昨年十一月における平均在庁時間は百時間、時間外在庁時間が最も長かった職員の時間外在庁時間は百七十一時間でございます。
○田村智子君 異常な長時間ですね。
提出されたデジタル改革関連法案の関係資料というのはこれなんですね。(資料提示)現行法の条文をどう変えるか、関係する法律が、条文がこれだけある。この中に四十五か所の間違いがあったということなんですけれども、これ一体、何本の法律に関わるんですか。
○政府参考人(冨安泰一郎君) お答え申し上げます。
今般のデジタル改革関連五法案におきましては、新法として四本、それから整備法案の本則で五十九本の改正を行っております。
○田村智子君 関係する法案入れれば、二百本超えるんじゃないですかね。
○政府参考人(冨安泰一郎君) 今、本則での改正につきまして五十九本と申し上げましたが、このほかに、例えば今回の改正で個人情報保護法と行政機関個人情報保護法を例えば統合いたしまして個人情報保護法となっておりますけれども、その場合、これまでほかの法律で行政機関個人情報保護法を引用していた法律の条文などは、その改正に連動いたしまして見直しをしなければいけないというものがございます。
このような改正ですとか、条番号がずれるとか、そういった連動して改正するもの、改正が行われておりまして、こうしたいわゆるハネ改正と呼んでいますけれども、そういったものを合わせますと二百本を超えまして、二百十七本でございます。
○田村智子君 これまでの法案審議の在り方に照らせば、例えばこの基本法そしてデジタル庁設置法、これをまず議論して、成立させて、で、基本計画に基づいて様々に何実施していくのかと、そういうやり方が私は普通だと思いますよ。
これだけの法案にするというふうに取り決めたのはワーキンググループだというふうに聞いていますけれども、じゃ、ワーキンググループの取りまとめ、政府としての基本方針の閣議決定、それぞれいつですか。
○国務大臣(平井卓也君) 今回のデジタル改革関連法案については、令和二年十一月二十六日のデジタル改革関連法案ワーキンググループの取りまとめ及び十二月二十五日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針等を踏まえ、今年の二月九日に閣議決定及び国会に提出させていただいたものでございます。
○田村智子君 これ、閣議決定でこういう方針でって決まってから事実上一か月ぐらいでしょう。物理的に無理なものを推し進めようとしている、その中で生じた四十五か所もの不備ではないのかと。
どれだけ無理を押し通しているのかの一例としてお聞きします。
マイナンバー法の改正法案、これ第三十一条の新旧対照表の中に、現行法の条文としてデジタル庁という記載があります。この資料の三百九十五ページなんですけど、まだ設置されていないデジタル庁がなぜ現行法の扱いで出てくるんですか。
○政府参考人(冨安泰一郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘の資料につきましては、整備法案における新旧対照表かと存じます。そこでは、その整備法における改正法の内容がそれまでに規定されている法律のどの部分を改正するかということを明らかにするために新旧対照表がございます。
したがいまして、今現在、新旧対照表の作り方といたしましては、改正欄には、その改正法による改正の内容、それから現行のところには、その改正法が施行されている時点において施行された、ほかの法律においても改正施行されている内容を記載するということになっています。それによりまして、この整備法の改正法がどの部分を改正するかが分かることになります。
この委員御指摘の整備法の五十五条の規定によるマイナンバー法の改正につきましては、これは九月一日が施行日でございまして、新旧対照表の現行の欄には九月一日時点において改正施行される内容を記載することになります。具体的には、九月一日に施行されているデジタル庁設置法によりましてマイナンバー法第三十一条の中の総務省がデジタル庁に既に改正されておりますので、現行の部分にはそのデジタル庁という記載をさせていただいています。
何を申し上げたいかと申しますと、総務省からデジタル庁に改正するのはそのデジタル庁設置法で改正しております。この整備法では、そのマイナンバー法を、整備法で改正するマイナンバー法の部分を新旧で明らかにするために、既にほかの法律で改正されているデジタル庁というのは現行に置かせていただいているところでございます。
○田村智子君 分かった方いらっしゃいますかね。
これ、施行期日も一緒なんですよ。デジタル庁設置の日に、今のマイナンバー法の改正も同じ日に施行されるんですよ。だけど、施行期日一緒だけれども、その同じ日にまずデジタル庁が設置されたということの前提の上にマイナンバー法が改正されているという仕組みだと。だから、今はないはずのデジタル庁が現行法の旧法の方に出てくるんですよ、ないのに。
これ読み解けますか、皆さん。だから私は、最初に基本法とデジタル庁の設置を本国会でやると言うんだったら分かりますと言ったんですよ。
大体、私なぜこれを問題にしたかというと、重要法案と言われるものは、私はできるだけ新旧対照表も読むようにしています。条文の何がどう変わって、それが変わることによって国民生活にどういう影響を与えるのか、そのことをしっかりと見極めて審議をすることが立法府の役割だと、そう自覚するからです。これだけのものですよ、これだけのもの。申し訳ないけど、これ本当に押し通そうというんだったら、今国会これで終わりですよ。ほかの法案なんかできるわけないじゃないですか。
平井大臣、どうですか。こんな分量で出してきて、この法案だけでいいというお考えだったんですか。ほかの法案はどうでもいいということですか。
○国務大臣(平井卓也君) ほかの法案に関しては、私担当しておりませんので、何とも申し上げようがありませんが、この法案に関して言えば、先生が大変すばらしい御指摘をいただきました。確かに、この新旧対照表の条文にデジタル庁が記載されているというのは、ちゃんと見ればおかしいなと思われる方はいらっしゃると思います。ただし、今政府参考人の方から説明させていただいたとおりに、全部の法律、特に今回、IT基本法を廃止してデジタル社会の形成の基本法を今回制定するということで、いろいろな条文にはねたりしているわけです。実はそこのところが、さっき言った二百か所を超えるというようなことにつながって、その作業が実は本当は一番煩雑で大変というところもありました。 ただ、今回密接に関連している国民の要請に応える、特にこのコロナ禍で大変な中でこのデジタル化というものが本当にまさに必要なときに、これだけスピード感を持って取り組んでまいりましたので、確かに法案としては五本、総務省も入れて六本という形になりますが、速やかに国会で御審議いただいて、制定、スタートさせていただきたいと、そのように思っております。
○田村智子君 先ほど、在庁時間で平均で百八時間でしょう、一か月で。勤務時間外が百八時間ですよ。職員にどれだけ無理を押し付けているか、そして立法府をどれだけ軽視しているか。このやり方自体が大問題だということを指摘して、質問を終わります。