原発立地自治体や隣接自治体の公共事業への国の補助率のかさ上げなどを行う原発立地地域振興特措法の期限を10年延長する同法改定案が26日の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成で可決・成立しました。日本共産党と立憲民主党は反対しました。
同日の参院内閣委員会で反対討論した日本共産党の田村智子議員は、東電福島第1原発事故によって、原発の「安全神話」が崩壊したにもかかわらず、10年もの延長を行う改定案は、原発再稼働と核燃料サイクル政策推進につながるものだと批判しました。
田村氏は同法に基づく各県の振興計画は参院審議の開始後に初めて提出されたと指摘。原子力防災や避難の具体的な記載が皆無で、どのような財政支援が行われたのかが分からないことや、2002~04年にかけて策定されてから一度も見直しが行われていないことなどを示し、「事業所集積、基幹道路やハコモノの建設への財政支援が原発推進とともに行われ、立地周辺自治体の原発依存を温存してきた」と強調しました。
また、多額の原発推進財源が過大な公共事業や施設整備に投じられ、その維持管理費が自治体財政を圧迫するゆがみをもたらしていると指摘。「原発立地地域に求められるのは、原発を廃炉にすることで住民の命と故郷を守り、現実的な避難計画をもつこと、原発に頼らずに地域と産業の振興を支援することだ」と主張しました。
2021年3月28日(日)しんぶん赤旗
【原子力発電施設等立地地域の振興に関する特措法の一部改正法案 反対討論 2021年3月26日 内閣委員会】
私は、日本共産党を代表して、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特措法の一部改正法案に反対の討論を行います。
本法案は、二〇〇〇年に成立、二〇一〇年に期限延長となった本特措法を更に十年延長するというものです。
二〇一一年に起きた東京電力福島第一原発事故によって、原発をめぐる状況は一変しました。とりわけ、安全神話が崩壊し、原発は事故が起きることを想定した立地地域の対策が求められています。その認識に立った検証を何もせずに、原発が電力の安定供給に不可欠とする法の目的もそのままに十年もの延長を行うことは、原発再稼働と核燃料サイクル政策の推進につながるものだと言わなければなりません。
本特措法に基づく各県の振興計画は非公表とされていて、参議院での審議が始まってから初めて一部の議員に提出されました。質疑では、振興計画によってあたかも避難のための道路や施設の整備が行われているがごとくの答弁がありましたが、振興計画には原子力防災や避難についての具体的な記述は皆無です。この計画に基づいてどのような財政支援がなされたかも全く分かりません。
しかも、各県の計画は、二〇〇二年から二〇〇四年にかけて作成された後、一度も見直しが行われていないことも明らかとなりました。事故が起きないという安全神話の上に、事業所集積、基幹道路や箱物の建設への財政支援が原発推進とともに行われてきたと言わざるを得ません。これらは、立地周辺自治体の原発依存を温存し、いわゆる原発麻薬から抜け出す妨げにもなっています。
これまでも、原発立地交付金など多額の原発推進財源が過大な公共事業や施設整備に投じられてきました。この維持管理費が、今や自治体財政を圧迫しています。福井県高浜町の元助役が長年関電役職員に金品を送っていたという原発マネー還流が明らかになりましたが、原発立地自治体にゆがみをもたらすやり方はやめるべきです。
柏崎刈羽原発でテロ対策が行われていなかった問題で、東京電力は原発事業者としての資格がないと言われる事態です。東海第二原発は、避難計画に実効性はないとして、運転差止めの判決が出されました。 原発立地地域に求められるのは、原発を廃炉にすることで住民の命と故郷を守ること、現実的な避難計画を持つこと、そして原発に頼らずに地域と産業の振興を支援することです。そのために我が党も力を尽くすことを表明し、反対討論を終わります。
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