国会会議録

国会会議録
在庁してたら残業に/参院委 担当相が田村氏に答弁
写真

(写真)質問する田村智子議員=22日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は22日の参院内閣委員会で、国家公務員のサービス残業の解消を求めました。河野太郎国家公務員制度担当相は「恐らく多数の職員が、超過勤務命令がなくとも仕事をせざるを得ない状況にあった」「今後、在庁している場合には、超過勤務命令があったとみなして(残業)時間を付けろと申し上げている」と答えました。

 内閣人事局は中央省庁の昨年10、11月の在庁時間を調査。全職員平均で10月は約40時間、11月は約39時間になるとしました。過労死ラインの80時間を超える割合は10月が約18%、11月は約16%でした。河野担当相は、調査結果を受けて「国家公務員はかなりの時間サービス残業を強いられてきた」との認識を示していました。

 田村氏は、国家公務員でもサービス残業は刑事罰を伴う重大な違法行為だと指摘。河野担当相は「不法行為うんぬんではない。超過勤務命令なしに職員が残って仕事をしていたという状況があった」と答えました。

 田村氏は、民間でサービス残業があった場合、労働基準監督署は時効までさかのぼって残業代を支払うよう指導していることも示し、国家公務員職場でのサービス残業も遡及(そきゅう)して支払うよう求めました。



2021年3月29日(月)しんぶん赤旗
 
【第204回国会 参議院 内閣委員会 第5号 2021年3月22日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 三月十六日の本委員会で、霞が関の国家公務員約五万一千人の在庁時間調査結果について国民民主党の矢田議員が質問をされました。河野大臣は、これまで国家公務員はかなりの時間、サービス残業を強いられていたことがはっきり分かりましたと答弁をされました。大変感銘を受けました。
 私、これまで歴代大臣に不払の超過勤務について質問を続けてきました。実態をつかむために、パソコンのログイン、ログアウト時間の記録など勤務時間を客観的に把握するシステムを求めてきました。しかし、不払の超勤はあり得ない、ないという答弁がずっと続いていたんですね。私だけではないと思います。そういう質問でやり取りをした議員は何人もいたと思います。初めて河野大臣が、サービス残業が強いられていたと認め、勤務時間の客観的把握を進めることも明言をされた。内閣委員会の歴史に刻まれるほど画期的な答弁だと私は思います。真面目にそう思います。
 改めて確認します。業務を処理するため超過勤務をしたが超過勤務手当が支払われなかった職員がいる、それも僅かな時間ではなく、かなりの時間に上るということなんですよね。
○国務大臣(河野太郎君) 職員が超過勤務命令を受けなくとも、仕事を処理するために残って仕事をやらざるを得なかった。それは、恐らく多数の職員が、それなりの時間、そういう命令がなくとも仕事をせざるを得ない状況にあった。そういう認識でございます。
○田村智子君 つまり、一か所や二か所ではなく、一人や二人ではなく、まさに一定程度の規模で不払の超過勤務があったということなんですね。
 サービス残業というのは払われるべき手当が払われなかったということで、一般職の職員の給与に関する法律、いわゆる給与法第二十五条では、手当不払は一年以下の懲役又は三万円以下の罰金という刑事罰が科せられています。重大な違法行為が霞が関に蔓延していたことを意味するというふうに考えますけれども、この点でも大臣の認識をお伺いいたします。
○国務大臣(河野太郎君) 超過勤務手当の支払は、超過勤務命令を受けた者がその時間に応じて支払をされるということだと思います。私が申し上げたいのは、超過勤務命令がなくとも、仕事を終えるために職員が残って仕事をしていた、それが多数、長時間にわたる、そういうことでございますから、別に不法行為云々という話ではなくて、そういう状況があったということを申し上げているわけでございます。
○田村智子君 その超勤命令があって手当が払われるという問題については後でもう一度議論をしたいというふうに思うんですけれども、これ、サービス残業が国家公務の下で行われていても、だから、それが違法行為ではないということになってしまうというのは、私はこれは民間企業との関係でもそのままでいいのかなということを非常に思います。
 民間企業での不払残業、これは刑事罰の対象です。我が党、厳しく国会で追及してまいりました。例えば、私も二〇一七年の予算委員会で、ヤマト運輸の不払残業を取り上げました。個別の事業所だけでなく、不払残業が発生するシステムが認められる以上、本社への調査が必要だということも求め、当時の安倍総理も、一般論としてこれを認めました。その後、ヤマト運輸に対して、事業所に対して厚労省が立入調査と指導を行い、ヤマト運輸も全社的な調査を行うこととなり、時効となっていない過去二年分の不払残業、総額約二百三十億円が支払われて、大きく報道されたわけです。
 これ、霞が関の不払についても、予算との関係で調整をさせられた、一旦は超勤付けた、だけど予算との関係でそれが消されたなどの実態も報道されているわけです。それ事実であれば、私はこれは重大な法令違反だと思います。本来超勤命令が出されるべき業務があるわけですから、それが超勤命令も出されず、そして超過勤務をしたけれども手当が支払われない。
 大臣、会見の中で、今のように、超勤命令があって支払われるものが超勤手当だからという認識もあってのことかもしれませんけれど、今まで残業時間というものがきちんと付いておりませんでしたので、遡ってということはできないだろうというふうに会見でも述べられておられますが、やはり私は、民間との関係で見ても、実態としては違法行為だと言わざるを得ないと思うんですよ。
 やっぱり、ちゃんと過去のことについても調査をすることが必要なんじゃないのか、サービス残業に対する手当が、本来超勤命令も遡ってでも出してこれ支払うというような対応も求められてくるんじゃないのかというふうに思いますけれども、この点も、人事院にも後に聞きますけれども、まず大臣の認識をお聞きしたいです。
○国務大臣(河野太郎君) 超過勤務命令その他については人事院に仕組みをお尋ねをいただきたいと思います。
 超過勤務命令がないままに仕事をしていたわけですから、それは超過勤務手当の対象にこれまでなっていなかったわけです。
 今後は、在庁している場合には、これはもう超過勤務命令があったとみなしてきちんと時間を付けろということを申し上げておりますので、今後、超過勤務の命令がないままに在庁している職員に対しては速やかに退庁することを管理職が求めるということで、しっかりと超過勤務の時間を把握し、手当を払うようにしてまいりたいと思っております。
○田村智子君 今の、在庁していればあったとみなしてと、これも非常に画期的な答弁だというふうに思うんですね。
 人事院にお聞きします。
 民間企業では、不払残業が発見されたら、労基署への訴えがあった当事者にとどめずに、ほかの労働者についても調査をし、法令違反があれば厳しく是正指導を行います。また、企業全体で労働基準法違反が認められた場合には、本社に対して徹底的に調査をしなければならないという方針も厚労省は持っています。不払残業というのはそれほど厳密に是正されなければならない違法行為なんですね。
 人事院としては、今回、在庁調査が行われて、河野大臣から今のような御指摘もあった、これをどう受け止めて、どのような措置をとろうとされているんですか。
○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 人事院といたしましては、従来より、各府省に対して超過勤務予定の事前確認及び事後報告等によって職員の超過勤務時間を適切に把握、管理するように求めてきており、平成三十一年四月の超過勤務の上限の導入に併せまして発出した通知において、各府省に対して超過勤務予定の事前確認と事後報告を徹底することなどを改めて求めたところです。
 昨年の十一月から本年二月にかけて、勤務時間制度の担当課長が超過勤務の上限の運用状況について各府省人事担当課長等からヒアリングを行っておりますが、その際にも、正規の勤務時間外に職員に勤務をさせる場合には、適切に超過勤務を命じ、超過勤務手当を支給する、そのように改めて指導を行ったところです。
 人事院としても、引き続き各府省に対する必要な指導等を行ってまいります。
○田村智子君 民間企業では、そういうサービス残業、不払残業を今後発生させないためにも、起きた事例について徹底的に調査を行い、先ほどヤマト運輸で言ったように約二百三十億という残業代を、時効になる以前のものなんですね、約二年分払わせると。これがその後の残業代不払を抑えていく力になるわけですよ。
 だから、人事院は国家公務員法に定められた中央人事行政機関です。職員の利益保護のために、各府省に対して独立した立場で、証人喚問、調査対象職員への質問や喚問、立入検査、質問のこの権限を持っています。不払の、まあサービス残業がかなりの時間あったということがこの在庁の時間調査結果から見出されたのであるならば、私は、各府省に立入りも含めて調査をして、過去がどうだったのかということもきっちり把握していくことが必要だというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(合田秀樹君) お答えいたします。
 先ほど総裁から答弁いたしましたように、超過勤務の命令を行っているその勤務に対しては一般職給与法上超過勤務手当を支給しなければいけないということになっておりまして、これは法律上の義務でございますので、法律上の義務でございます。
 先ほど総裁申しましたように、平成三十一年度から超勤の上限を設定したことに併せまして、その旨を改め、徹底しておるとともに、その実施状況について、昨年秋から担当課長が各府省の人事課長、秘書課長を回らせまして、超過勤務命令をきちんと明らかにするように、で、その命令をした者に対しては払わなきゃいけないというのは法律上の義務であるということを改めて指導したというところでございます。
○田村智子君 私が求めているのは違うんですよ。例えば、この在庁時間調査が、結果が出た、じゃ本当に超勤手当が払われた時間数はどれぐらいなのか、こういう調査が必要じゃないかということも私は求めているんですけど、いかがですか。
○政府参考人(合田秀樹君) お答え申し上げます。
 超過勤務時間につきましては、平成三十一年四月から人事院規則で一定の上限時間というのを設定しておりまして、それを超える場合については、例えば非常の災害があるとかいう特別な事情に限定されておりますので、その遵守状況について改めて各府省がどのように取り組んでいるのかということは私ども把握し、先ほど申しましたように、課長レベルで改めてそれをなるべく少なくするような努力をしていただくとともに、命令をしているものに対してはきちっと払ってもらうということは法律上の義務であるということを改めて確認したというところでございます。
○田村智子君 そうしたら、その命令なき超過勤務という方に論を進めていきたいんですけれども、これまで国家公務員のサービス残業はないという前提での答弁ばかりだった。それは、給与法で超過勤務とは命令に基づくものであり、手当の支払も命令を要件としていた、超勤命令ですね。だから、法に基づかない命令なき超過勤務はない、サービス残業はあり得ないということがずっと答弁でやられていたわけなんですね。
 これ、改めて人事院にも確認しますけれども、国家公務員の超過勤務時間の上限規制、昨年度から導入されていますけれども、これは超過勤務命令によって働いた時間の上限であって、在庁勤務時間ではないというふうに思いますけれども、どうですか。
○政府参考人(合田秀樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、国家公務員の超過勤務でございますけれども、一般職の勤務時間法の十三条の第二項に基づきまして、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において職員に勤務をすることを命ずることができるということを定めておりまして、これに基づいて行います超過勤務について、人事院規則において上限を定めているというところでございます。
○田村智子君 先ほど河野大臣が、在庁していればもう超勤命令があったとみなすというふうに答弁されたのは非常に画期的だというふうに私思ったんですけれども、民間企業は確かにそういう運用なんですよ。指揮監督下で業務を行っていると客観的にみなされれば、これはもう労働時間にカウントされて、時間外であれば割増し賃金の支払義務が生じるわけです。待機の時間についても、判例法上、使用者の指示があればすぐに業務に従事できるように待機が必要だという場合には時間外手当が払われるわけですね。
 大臣、先ほど言われたとおり、もうみなすと、みなすということ、それから、残業を指示されなくても残業をやらざるを得ない状況になっているという実態がないがごとく、建前で振る舞うことはもはや許されないとも会見で述べられた。もうそのとおりだと思うんです。
 つまりは、客観的に見て明示又は黙示の指揮監督下での業務に従事したと言えるのならば、これはもう超過勤務命令が行われ、手当が支払われるべきだというのが大臣の認識だということでよろしいわけですね。
○国務大臣(河野太郎君) 正規の時間を超えて残っていて、そこで食事していたりなんなりというのは別ですけれども、仕事をしていれば、それはもう仕事をしているわけですから、残業の必要が発生しているというならば、それはもう直ちに管理職はその超過勤務命令をそこで出して超過勤務を命ぜなければならぬと思っておりますし、万が一それが発せられなくとも、そこにいて仕事をしているというのが明らかであるならば、それはもう超過勤務を行っている、超過勤務時間の中に繰り入れるということは、これはもう当たり前のことだろうと思います。
○田村智子君 そうしますと、是非、これ給与法のこの仕組みそのものの見直しということも私求められてくると思うんですよね。やっぱり法律が、超勤命令に対して手当を払うという法の条文になっているんですよ。だから、これまで闘われた裁判、不払のその超勤をめぐる裁判ですね、例えば、二〇〇三年八月、広島高裁岡山支部で判決が出されていますけれども、やはり国側の、被告である国の主張というのは、超過勤務命令を出していないから支払の義務はない、こういう主張だったんですね。これ、被告である国は敗訴をして、超過勤務手当払われたという判例なんですけれども。
 やはり国家公務員制度の企画立案を職務とする担当大臣としても、これ、法の解釈の変更とか給与法そのものの改正ということも踏み込んでいくことが求められるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 制度については人事院にお尋ねいただきたいと思います。
○田村智子君 では、人事院、いかがでしょうか。
○政府参考人(合田秀樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、現行の超過勤務というのは、勤務時間法において、正規の勤務時間、一週間当たり三十八時間四十五分と定めていますけれども、これの例外として、これを超えて仕事をさせるということについて、公務のための臨時、緊急の必要があるという要件を掛けて、その場合に、各省各庁の管理者において必要性をしっかり認識した上で例外として命じるという立て付けになっているところでございます。
 これまでのところ、実際仕事をさせているときにそれを超過勤務命令を出しているのかどうかということに対して、必ずしもはっきりしていないというようなことがあって今問題になっているというところはあるかと思いますけれども、この点については、先ほども総裁申しましたけれども、これまでも、事前にはっきりと、超過勤務命令というのをはっきりさせるとか、それが見込みを超えた場合には事後に確認をするとかいうことを累次私どもも求めてきているところでありまして、要は、超過勤務命令を出しているということをはっきりさせるということについて私どももこれまで累次指導はしてきたところでございますけれども、この点について改めて必要な指導等を行ってまいりたいというふうに思います。
○田村智子君 これ、事前に超勤命令を出すというのが物理的に困難な場合もあると思うんですよね。そうすると、黙示の命令、そういう状況であった、超勤命令が本来出されるべき状態であった、そこも含めて認めていかなければ、これ、不払残業はなくならないですよ。この問題は引き続き議論していきたいというふうに思います。
 それで、手当が払われればそれでいいということにもならないわけで、やはりいかに長時間のこの残業、少なくしていくかということが求められると思います。やはり業務量に必要な人の手当てが欠かせないというふうに思うんですよ。
 今回、この調査結果見ますと、平均で一か月当たり四十時間程度の勤務時間外の在庁時間、一月当たりの所定内労働時間というのは約百六十時間として見てみると、人を二五%増やせば残業時間はほぼゼロにできるという、計算上はそうなるわけです。
 本省、本府省の関係で見ると一万人強になろうかと思いますけれども、やはりそこまで増やすかどうかは別の問題としても、マネジメントだけでは、マネジメントは大切ですよ、だけど、マネジメントだけでは私は限界ではないのかと。職員を増やすということを行わなければ抜本的な解決策につながらないのではないかと思いますが、河野大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(河野太郎君) 超過勤務手当が払われるというのは、マラソンでいえば、スタートしてスタジアムを出ていくぐらいのものなんだろうと思います。これからやらなければいけないのは、やはり霞が関の職員がやりがいを持って仕事をすることができるようにするというのが最終的なゴールであるんだろうと思います。
 今、委員はマネジメントのことをおっしゃいましたけれども、これまで霞が関は、マネジメント研修、マネジメントの手法をしっかり管理職に身に付けさせて管理職にしていたかというと、どうもそこは大きな疑問符が付きます。しっかりとマネジメントのツールを教えて、マネジメントの手法を分かった上で管理職にしていく、あるいは業務の、それぞれの職員の業務量の平準化ということをそれを使って行っていく、あるいは業務を効率化していく、あるいは不要な業務については業務を廃止するということをやっていくということが必要なんだろうと思います。
 そうした業務の見直し、効率化ということをやった上で必要な定員を措置するということにしませんと、今のままでただただ定員を措置するだけでは、結局、やりがいのない仕事をやらされる職員の数が増えるだけで、霞が関全体としてはプラスにはならないんだろうと思います。
 最終的に定員の措置が必要な部分はあると私も思いますが、その前に業務を効率化していく、そこが求められているわけで、我々としても、立法府の御理解を含め様々な関係者の御理解をいただく部分もあると思いますが、霞が関の中の効率化、こうしたことも真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。
○田村智子君 私は、マネジメントの大切さも否定しませんし、業務内容によって必要な効率化を行うことも否定しません。
 ただ、今、政府が取り組んでいることというのは、まず定員合理化計画が先にあるというやり方に思えるんですよ。定員合理化計画によって、今もまず毎年機械的に前年比で二%の減、これを各府省に義務付ける、その上で新しい仕事に必要な人を配置する、こういうやり方が行われているわけですよね。これが延々延々、もっと激しく減らされた、減らされてきたのが過去ですけれども、やられてきて、どうなっているのかと。
 資料の一枚目、常勤職員数というのは、二〇〇九年度の約二十九万人から、二〇一七年度は二十六万五千八百三十五人にまで減少を続け、その後も微増にとどまっています。そして資料の二、大きく見てみると、この定員数の減少の下で超過勤務時間が、人事院が認めた時間数、つまり超勤命令が出た時間数でも増加傾向になってしまったということは明らかだというふうに思うんですね。
 この定員の合理化というのが求められるものですから、部署の再編統合的なことも行われていて、結果として業務量が増えるというところも出てきているのが実態なんじゃないのかなというふうに私には思えるんです。
 そうすると、こうやってまず数字を各府省に割り当てる、これを続けていくことは、河野大臣が指摘したサービス残業が恒常的に行われている、かなりの時間だと、かなりの規模だと、こういう実態を変えていくことにならないんじゃないのか。この定員合理化計画そのものも見直すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山下哲夫君) お答えいたします。
 今御指摘いただきました定員の合理化計画につきましては、国家公務員の業務が多岐の分野にわたり、それぞれの分野におきましてそれぞれ行政に対するニーズや業務量も変化するということから、いずれの分野、部局であっても、一旦定員合理化に取り組んでいただいた上で、それを原資としてその時々の行政需要に対応できるように定員を再配分すると、そういう仕組みになっているというものでございます。
 以上であります。
○田村智子君 いや、業務によってじゃないですよね。先にだって府省に全部人事局が割り振るじゃないですか、これだけ合理化してくださいねって。それが実態と合っているのかということなんですよね。
 この新型コロナの対応で、厚生労働省の本省、検疫所、国立感染研など、来年度大幅人員増ですけれども、それでも定員削減した上で新たに増えた仕事に対して人を付けるというやり方なんですよね。じゃ、その減らされたところは本当に大丈夫なんですかということを問われてくると思うんですよ。まず数字を割り振る、このやり方はもう限界です。やめるべきだということを改めて指摘したい。
 業務量に見合う定員になっていない、だから非常勤職員が年々増え続けているということにもなっているんじゃないでしょうか。
 もう一度、資料の一枚目見てください。非常勤職員、二〇一五年度は五万四千六百六十一人、二〇二〇年には八万二千三百九十六人にまで増加しています。業務量の増加を、常勤職員の長時間勤務と給料の安い非常勤職員への置き換えでこなしてきているとみなされても仕方がない状況だと思いますね。
 そして、これは二重の意味で私は女性に影響を与えていると思います。一つは、常勤職員の多忙化です。長時間勤務が深刻になっていけば、家庭的責任をより大きく担っている女性は常勤職員として働き続けることが困難になってしまう。そして二つには、給料が安く不安定雇用の女性の増加を国家公務の職場がもたらしているという問題です。
 資料の三枚目、期間業務職員の総数、女性が占める割合の推移、示しました。これ、女性の割合というのは二〇一六年度からしか数字がないんですね。二〇一六年六九・九八%から、二〇一八年度は七七・六九%、今年度も七五・八六%と、圧倒的に一年契約の期間業務職員、女性なんですね。人数も、二万九百五十七人から二万八千八百八十人にと大きく増えているわけです。
 常勤職員の国家公務員を純減させる、その穴を非常勤職員で埋める、定員合理化の政策を進める、これはジェンダーギャップを政府が広げるという結果をもたらしているんじゃないかというふうに思いますけれど、河野大臣、いかがでしょうか。ちょっと認識をお聞かせください。
○国務大臣(河野太郎君) 非常勤職員というのは、柔軟に職務に対応するために採用しているのであって、常勤職員を置き換えているわけではありません。そういう意味で、必要が応じて、必要が高じて非常勤職員の数が増えている、そういうふうに認識をしております。
○田村智子君 これまで私、何度も取り上げてきたのが厚生労働省のハローワークですけれども、約半数の職員が今や期間業務職員なんですね。コロナ禍で業務が増えている下で、ところが、大量に今年度末、任用を打ち切って、その職を公募に掛けるということが行われたようですね。ハローワークで大量雇い止めという報道もありました。
 厚生労働省としては、雇い止めを避けるべく人事院に働きかけたと聞いていますけれども、人事院は全て公募に掛けるということを求めたというふうにも聞いています。期間業務職員、三年に一度公募に掛ける。しかし、仕事に習熟して能力も実証された職員は引き続き雇いたいのが政府の側の本音ですよ、それぞれの府省の。だから、公募に応募してもらう、だから、雇い止めとなる人も公募にもう一回応募してもらうわけですよ。で、ほかの応募者と一緒に選考する。
 これが国民への公平な機会の提供になるのか、業務上の効率が良くなると言えるのか。いろんな府省から意見が人事院にも寄せられているんじゃないですか。もうこのやり方見直すべきだと思いますけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(西浩明君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の件につきましては、府省から御相談を受けたことはございます。期間業務職員の採用につきましては、国家公務員法が定める平等取扱いの原則及び成績主義の原則の下、国民に対して官職を公開し、広く応募の機会を付与することにより公平公正な任用を確保することが必要であることから、公募によることを原則としております。その際、能力の実証を面接及び従前の勤務実績に基づき行うことができる場合については、例外的に公募を行わないで再採用することができることとしております。
 しかしながら、公募によらない再採用を何度も繰り返すことにつきましては、国民に対する官職を公開する機会を狭めることになることから、連続二回を限度とするよう努めることとしております。公募を行った結果、過去二回連続して公募によらない再採用をされた職員につきましても、公募の結果、勤務実績を検証した上で再採用されるということは現実にあることでございます。こうした考え方は、公平公正な任用の確保の観点から適切なものと考えております。
○田村智子君 ハローワークの業務というのは、相当な知識を必要としますよね。相談に来る方にどういう支援策があるのか、それから職場の開発というのもあるわけですよね。なかなか困難事例を抱えている方を、例えば長く引きこもっていたような方に就職をしてもらおうと、こういうのも期間業務職員担っているんですけどね、こういう方がいるんだけど雇ってもらえませんですかということを事業所に働きかけるような仕事も期間業務職員やっていたりするわけですよ。これは経験を必要としないのかということなんですよね。
 これ、是非、せっかくサービス残業を認めるところまで来た。そうしたら、今度はこの非常勤という働き方が女性に対して何をもたらしているか。ベテラン非常勤なんということが果たして公務の職場で許されるのか。そういう非常勤職員の問題についても大きく一歩踏み出すような検討が行われることを心から願いまして、質問を終わります。


 |