民間事業者に宇宙資源の所有権を認めることを目的とした宇宙資源法が、15日の参院本会議で賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の田村智子議員は14日の参院内閣委員会で反対討論し、「国際法上、明確に定められていない宇宙資源の取り扱いを国内法で一方的に定め、宇宙の探査・開発能力のある一部の先進国だけでのルール作りを狙うものだ」と指摘。「宇宙資源の扱いは、途上国も含めた合意を得た国際ルールに基づくべきで、本案は早いもの勝ちの開発競争を促進する」と批判しました。
田村氏は、宇宙探査の実施状況や結果の可能な限りの公開を求める宇宙条約の下、宇宙の科学的探査の結果は、他の天体の地質分布なども含めて基本的に全て公開されていると述べ、「早いもの勝ちの宇宙開発競争により、全人類に成果を還元すべき宇宙の科学的調査、探査結果の公開が後退しかねない」と強調しました。
その上で、同法案の背景には、月面での継続的な探査の実現をめざす米国主導のアルテミス計画への参加があると指摘。「軍事面を含め、米国と一体の宇宙政策の推進は宇宙の平和利用からいっそう逸脱するもので、容認できない」と主張しました。
2021年6月16日(水)しんぶん赤旗
【宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案 反対討論】
私は、日本共産党を代表して、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案に対して反対の討論を行います。 本法案の目的は、民間事業者が採掘した宇宙資源の所有権を認めることです。国際法上明確に定められていない宇宙資源の取扱いを国内法で一方的に定め、一部の宇宙の探査、開発の能力のある先進国だけでルール作りを狙うものです。 宇宙条約では、宇宙空間の探査、開発は人類共同の利益であり、全ての国の利益のために開発を行うとされています。そのため、条約では宇宙空間の領有権主張を禁止しています。そのため、国際的な調整の下で進めることが想定されています。 実際、二〇一五年、米国での宇宙資源探査利用法制定を受けて、二〇一六年から宇宙空間平和利用委員会法律小委員会での議論が始まっています。宇宙探査、開発において最も力のある米国でさえ、民間事業者が採掘した宇宙資源に対して所有権を認めるにとどまり、本法案のように認可申請の手続や基準を整備するところに至っていません。宇宙資源の取扱いは、途上国も含めた合意を得た国際ルールに基づくべきです。 提案者は、国内法整備によって国際ルール作りを先導すると言いますが、早い者勝ちの開発競争を促進することは明らかです。宇宙条約は、宇宙の探査についてその実施状況や結果の可能な限りの公開を求めており、宇宙の科学的探査の結果は他の天体の地質分布なども含めて基本的に全て公開されています。本法案が促進する早い者勝ちの宇宙開発競争によって、宇宙の科学的調査、探査結果の公開などが後退しかねません。 本案の背景には、月面での持続的な探査の実現を目指す米国主導のアルテミス計画への参加があります。軍事面を含め、米国と一体になって宇宙政策を推進することは、宇宙の平和利用から一層逸脱するものであり、容認できないことを述べて、反対討論を終わります。
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