国会会議録

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国民の協力 政権自ら崩す 支援金で酒販に圧力 田村氏が追及/参院内閣委
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(写真)質問する田村智子議員=15日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は15日、参院内閣委員会で、酒類販売事業者向け支援金の給付要件として酒の提供をやめない飲食店とは取引停止する旨の書面提出を政府が求めていた問題をとりあげ、「一連の問題は(政府が)飲食店をいかに取り締まるかに問題意識をおいて動いてきたことを示している」「これでどうして国民の協力が得られるのか。感染対策の土台を菅政権が自ら瓦解(がかい)させている」と追及しました。

 政府は、酒の提供をやめない飲食店との取引停止などを金融機関や酒類販売事業者に求める方針を相次ぎ撤回。加えて、政府が6月11日に各都道府県宛てに発出した「事務連絡」文書にも支援金の給付要件として同様の内容を記載していたことがわかり、7月14日に撤回しました。

 田村氏は「事務連絡」について、各都道府県に配分される地方創生臨時交付金の運用解釈を示すものとして内閣府と内閣官房の連名で出されていると指摘。東京都は政府の「事務連絡」に基づいて、支援金の申請の際、酒の提供をやめない飲食店との取引停止を行う「誓約書」の提出まで求めていたことをあげ、「西村担当相は知らなかったというのか」とただしました。

 西村担当相は「確認したら、国から『事務連絡』で方向性を出し、都がさらに厳しく対応し誓約書の提出を求めていたので、昨日、事務連絡は廃止した」としか答えませんでした。

 田村氏は、西村氏が飲食店の感染対策の取り組みについて一般市民に“密告”させる仕組みまでつくろうとしていることを批判。「マスクを」と客に声をかけるのにも苦悩し、「もう限界」との悲鳴が飲食店からあがっていることを指摘し、「西村担当相が発するメッセージが国民、とりわけ感染対策で大きな協力を求められる飲食店に届くとは到底考えられない」と述べ、西村担当相の辞任を求めました。


2021年7月16日(金)しんぶん赤旗
 

【第204回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 令和3年7月15日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 昨日の質問通告以降、状況の変化がいろいろありますので、西村大臣、ちょっとそういう質問への御答弁よろしくお願いしたいと思います。
 まず、昨日の東京都の感染者数、第四波のピークを超えて一千百四十九人、デルタ株の蔓延、これまでにない速度での感染急拡大が起きているのではないかという事態です。
 この下で東京オリンピック開催なのかがやっぱり問われると思うんですよ。海外から数万人規模の入国、夜遅くまでの開会式、応援キャンペーン、深夜までの競技。また、今日のしんぶん赤旗では、オリンピック関係者の送迎バス乗務員の宿泊先、シャワーが個室にないんですよ。共用のシャワーで数が不足している。食事の提供もなくて給湯や電子レンジスペースも共有、かつ狭い。感染症対策が不安だという声とともに報じています。プレーブック、これ全く徹底されていない。この実態も連日明らかになっています。これらは感染の波を高める要素しかもうあり得ないんですよ。
 一方で、ワクチン接種でやっと感染を抑えていくという方向も見え始めているときでもあります。今、波が高くなればなるほど命が奪われる、医療提供の危機が迫る、事業者への営業規制も子供たちの我慢もどんどんどんどん長引いていくと。それが分かっていてもオリンピックをやるのかということなんです。
 酒類提供をめぐる事務連絡について、西村大臣は、とにかく感染を抑えたいという思いだったという答弁を繰り返しておられます。ならば、オリンピック開催の是非を私は対策本部で議論すべきだ、これこそ直ちにやるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) オリンピックの件につきましては丸川大臣にお聞きになった方が適切かと思いますけれども、私の立場で感染を何とか抑えていくということに全力を今挙げているところでありまして、今般の様々な事務連絡、撤回した、させていただきましたけれども、これも何とか抑えたいという強い思いから様々な検討の上で発出させていただいたものではございました。
 いずれにしても、撤回をいたしましたけれども、引き続き感染拡大を抑えるために多くの皆さんの御協力を得ながら、全力を挙げていきたいというふうに考えております。
 その中で、オリンピックにつきましては、こうした状況を踏まえて、緊急事態宣言ということもあり、一都三県無観客で行う、あるいは、御指摘のような様々な取組、多くの方がワクチン接種を済ませてこられる、あるいは、いわゆるシャボン玉の中にあるバブルの中でしか行動しないといったことを含めて感染防止策の徹底を、組織委員会、そして丸川大臣、連携しながら対応されているものというふうに認識をいたしております。
 いずれにしましても、私の立場で、何とかこの感染拡大を抑えていけるように全力を挙げていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 いや、感染を抑えたいという強い気持ちならば対策本部で議論しましょうと言うべきですよ、言うべきだと思いますよ。もう飲食店への取締りばかりが西村大臣の問題意識なのかというふうに思えてくるんですよ。
 昨日の衆議院内閣委員会では、酒類販売事業者への支援給付金について、申請の際に提出が求められる誓約書に、直接、間接に飲食店が要請に応じていないことを把握した場合に取引を行いませんという事項がある、このことが指摘をされました。西村大臣は、東京都の上乗せ分だから自分は関与していないかのような答弁を行った、今日の質疑のやり取りでもそうですね。
 今日は、各紙報じていますけれども、六月十一日、各都道府県宛てに内閣府地方創生推進室と内閣官房コロナ対策推進室の連名で事務連絡が発出されていた。その中に、要請に応じていないことを把握した場合には取引を行わないよう努める旨の書面の提出を求めるなど取組を行うようにとちゃんと書かれていますよ。
 この事務連絡というのは、五月二十日の事務連絡、地方創生臨時交付金における協力要請推進枠の取扱いについて(酒類販売事業者に対する支援)、この事務連絡のバージョンアップなんですよ。都道府県の上乗せ分というのは国の臨時交付金が入ります。補助金の適正、補助金適格化法にのっとってその運用解釈を政府が示す、そういう事務連絡ですよ。だから、国の方針にたがえば交付金の返還を都道府県に求めることもできるわけですよ。こういう事務連絡で誓約書出させていた、出させようとしていた。
 コロナ対策推進室が連名でこうした事務連絡を発出していて、西村大臣、知らなかったということなんでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 国と東京都はこれまで連携してこうした感染防止策、取組で来ているところでありますし、都は時短要請や酒類停止の要請に応じていただけない店に対して、見回り、呼びかけを行いつつ、既に命令、過料なども実施しているという中で、そうしたお店にお酒を出さないようにとの都の考え方は理解できる面があるということを、昨日、私、答弁でも申し上げております。
 他方、昨日、通告がない中で突然の御質問でありましたので、正直に東京都の誓約書自体は私初めて見たということを申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、こうした考え方は理解できる面があるということも申し上げていたところであります。
 その上で、確認をするということを申し上げて、質疑終了後、確認をいたしましたら、国から六月十一日にこうした同趣旨の通知を出している。ただ、その内容は、飲食店が要請に応じないことを把握した場合には取引を行わないよう努める旨の書面という言い方をしておりまして、そうした方向性を出させていただいておりましたけれども、都として誓約書の形で、更に厳しい文章でそうした誓約書を提出を求めていたということでありましたので、昨日、この事務連絡は廃止をいたしまして、そして東京都にも取組を変えるようにということでお願いをしたところでございます。
○田村智子君 これ、一般的な都道府県への依頼文書じゃないんですよ。交付金の運用に関わる事務連絡なんですよ。まさに政府の方針として飲食店いかに取り締まるかと。そこに西村大臣に相当な問題意識があって、コロナ対策推進室も動いてきたんじゃないのかと。一連の動きはそのことを示しています。
 もう一点お聞きしたいのは、七月二日の大臣の記者会見です。飲食店が、手指消毒の呼びかけ、席の間隔一メートル以上、食事以外でのマスク着用の呼びかけ、換気、この四項目の感染対策をきちんと講じているか、大手グルメサイトを通じて利用客から政府が直接情報を収集する仕組みと、これつくっていきたい、また、コールセンターも置いてそういう情報の提供も呼びかけるというふうに述べておられる。まん延防止等重点措置の地域では、これらの対策が取れていれば酒類提供を認めるとも述べておられるんですよ、この会見の中で。
 これ、一般市民からの密告で言わば飲食店取り締まろうと、これやるわけですか。コールセンターに予算も付けて行うんですか。
○国務大臣(西村康稔君) 四項目ですね、それぞれのお店にこういったアクリル板とか換気、手洗い、あっ消毒、それから会話のときのマスク着用を奨励していく、こうしたことの認証制度、これは各都道府県と連携をして今進めているところであります。それぞれのお店に感染防止策を徹底していただくということで、委員長の山梨県であるとか多くの県で取組が進んでいる、これを後押ししていこうと。
 こうしたしっかり感染防止策を徹底しているお店は、時短とかあるいは酒類提供とか、ほかの店よりも、それはしっかり感染防止策が徹底されているから、より柔軟に対応できるのではないかと、こういう判断の下で、それぞれの都道府県で、そうした要件の下、お酒の提供を認めたりしているところでありますので、このことをしっかり確認をしていく中で、こうしたグルメサイトなども連携をしてできないかということの、そうした方針を先般お示しをしたところであります。
 まだどういう形でいつから始めるかというところは具体的に検討を進めているところでありますけれども、都道府県とも連携をしてこうしたことを進めていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 飲食店の相談に乗りながら徹底するなら分かりますよ。だけど、今言った、認証を受けておきながら守っていないという情報が来た場合には改善指導を行っていくんだと、都道府県に情報提供するんだと、そういうことを述べておられるんですよ。
 飲食店がお客さんにマスクをと声を掛けるのにも苦悩しているんですよ。楽しい時間を過ごしているときに、お客さんに声掛けようかどうかと。席の間隔一メートル。それ、売上げを諦めろということですよ、狭い店ならばなるほど。酒類提供も同じですし、時短営業も同じですよ。身を削って削って削って削って飲食店が努力している。そこに対してもう取締りという観点しかないんですよ、この間の発言は。
 八日、問題となった記者会見は、尾身会長と一緒の記者会見でしたよね。そこで尾身会長が示した資料を資料の一枚目で配付しています。
 尾身会長は、緊急事態宣言四回目が出されると、その効果を発揮するために求められること、人々の気持ちとしてということを述べている中に、飲食店の営業制限などによる経済的、心理的な限界、これを指摘しています。そして、政府、自治体に対して、一般市民の気持ちに向き合い、これまで以上に配慮の行き届いた支援をと求めたんですよ。その同じ場で西村大臣は、金融機関や販売事業者を使って酒類提供停止に従わせようという方針を示した。気持ちに向き合い、これまで以上の配慮どころか、飲食店の取締り。飲食店は取締り対象だと、こうみなしているんですよ。
 これ、私は、もう政府への不信、もう政府の言うことなんか聞いていられるかと、こういう感情を国民の中に噴出させてしまったと思いますよ。感染症対策に大きなマイナスが今もたらされている、そういう認識はありますか。
○国務大臣(西村康稔君) まず、御指摘のあったこの認証制度ですけれども、きちんと感染対策をやったお店にはそうした時短なり酒類提供なり柔軟に対応できるのではないか、やっているお店に報いていくための仕組みでありまして、そのために各都道府県と連携をして進めているものであります。何か投稿された情報だけをもってその認証が取り消されるわけでもありませんし、もちろん認証受けたけどやられていないところは改善を求めますけれども、他方、ライバル企業からとか一部の利用者から悪意ある書き込み、こうしたことを心配する声もあるとも聞いておりますので、具体的な運用方法については検討を進めているところであります。
 その上で、しっかりと守っていく、いただいているお店、これは本当に有り難い、感謝を申し上げたいと思いますが、一方で、守っていただけないお店がある。そして、そこに人が集まり、夜遅くまで人が出る。それによって、これはもう、夜の、夜間の人口、人流と感染状況、関係があるということは多くの分析がなされておりますので、何とか多くのお店に守っていただきたいと、その思いから進めているところでありまして、飲食店の皆さんに守っていただけるよう、今回の協力金の早期支給、こういったことを含めてしっかりと寄り添いながら対応していきたいと思いますし、特措法がなかなか、強制力がそれほど強くはないという中でなかなか有効な手段がない、そうした中で、協力に応じていただける仕組みをより丁寧に、より寄り添いながら考えて対応していければというふうに考えております。
○田村智子君 いや、飲食店の見張りや取締りですからね。私は、このコールセンターの設置だとか大手グルメサイトを利用してとか、これも撤回すべきだと思いますよ。支援ですよ、必要なのは。しかも、オリンピックの開催は強行なんですよ。もう、何というんでしょう、この矛盾。
 私、今、国民の協力が得られるかどうかと、得られなくなっていくんじゃないかという、そういう事態だと思うんですよ。感染対策の土台を菅政権自らが瓦解させるようなもの。西村大臣が今後記者会見やら何やらでメッセージ発する。それ国民に届きますか。とりわけ協力を本当に求められる飲食店の皆さんに、あなたのメッセージ届きますか。私は届かないと思う。一度離れた人心を取り戻すということは、相当なことをやらないとできないと思いますよ。
 大臣は、私、まず辞任すべきだと。そうやって政府への信頼をやっぱり回復するということ、これ以外に私ないと思いますね。加えて、オリンピックの開催の是非は本当に検討していただきたいというように思います。


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