国会会議録

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命守る責任投げ出し/田村智子議員 五輪中止 政府に迫る/参院内閣委
写真(写真)質問する田村智子議員=29日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は29日の参院内閣委員会で、新型コロナの感染者が急増しているにもかかわらず、菅義偉首相が危機感を共有していないことを厳しく批判し、「政府の対策本部で五輪中止を含めた議論を行い、菅首相出席のもと国会できちんと質疑を行うべきだ」と迫りました。

 田村氏は、五輪の開会式に合わせ、航空自衛隊の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」のテスト飛行・展示飛行を強行し、長時間の密集・密接状態をつくったことをあげ、政府は人流を抑えるつもりがあるのかと追及。さらに、東京で救急搬送困難事例が既に増加しているにもかかわらず、菅首相は27日の記者会見で医療逼迫(ひっぱく)に一言も触れず、人流は減っているなど楽観的な言葉を並べ、またも誤ったメッセージを発信していると菅首相の姿勢を批判。「新規感染者を懸命に抑える努力が今すぐ必要だと危機感をもって発信する最も有効なメッセージは、五輪中止を表明することだ」と強調しました。

 しかし、西村康稔経済再生担当相は「不要不急の外出自粛、自宅でテレビ観戦してもらうなど、さまざまな呼びかけを行い、危機感を共有していきたい」と、まともに答えませんでした。

 田村氏は、五輪の開催によって、アスリートやボランティアらの感染リスクが高まり、コロナ感染実態を伝えるニュース報道は十分流されなくなっているとして、「いったい新規感染者がどういう規模に達したら五輪中止を議論するつもりなのか」と迫りましたが、西村担当相は答弁する意思さえ示しませんでした。田村氏は「命を守ることへの責任を投げ出している」と厳しく批判しました。



2021年7月30日(金)しんぶん赤旗
 

【第204回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 令和3年7月29日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 東京都への四回目の緊急事態宣言から二週間以上が経過しました。効果が現れる時期のはずが、昨日は二日続けて過去最多、新規感染者数は三千人を大きく超えました。オリンピックの開会と重ねた四連休の影響が八月にどう現れるのか、私は今危機感でいっぱいなんですけれども、それを政府と共有できているとは感じないんですね。そもそも政府に人出や人流を抑制するつもりが本当にあるのか、このことをまず問いたいんです。
 オリンピック開会式前日、ブルーインパルスがテスト飛行を行いました。あした見に来てくださいねと大々的に宣伝したのと同じですね。事実、国立競技場周辺は、昼間から深夜まで長時間の密集、密接状態となりました。四月二十九日、プロ野球公式戦で予定されていた展示飛行、これは埼玉県へのまん延防止等重点措置が適用されたことで中止されています。
 東京に緊急事態宣言を発令し、連休の人出をどう抑えるかが問われたにもかかわらず、なぜ二日続けてブルーインパルス飛ばす、こういうことになったんですか。
○副大臣(中山泰秀君) ありがとうございます。
 東京二〇二〇オリンピック競技大会の開会日におけるブルーインパルスの展示飛行は、東京都からの依頼に基づき、防衛省・自衛隊として、この飛行を通じて大会の成功に最大限寄与すべく実施したものであります。
 展示飛行に当たっては、新型コロナウイルス感染症の状況に配慮をし、三密の発生を避ける観点から、当日の飛行直前に具体的な飛行時間を公表するとともに、航空自衛隊のSNSなどを通じて感染拡大の防止を呼びかけたところであります。
 防衛省・自衛隊としましては、東京オリンピック・パラリンピックが成功するよう引き続き協力を行ってまいりたいと、かように考えてございます。
○田村智子君 いや、二日続けて飛ばしちゃったら、いつ飛ぶかって分かるじゃないですか。自衛隊の最高指揮官は総理ですよ。菅総理が人出を真剣に抑えようと、そのつもりがあったのならば、私は中止の判断できたはずだと、そう指摘せざるを得ないんです。
 東京の一日の感染者数過去最多、これが連続した二十七、二十八日、関係閣僚会議が行われています。しかし、その後の説明がなされていない。昨日は、菅総理は一切記者の呼びかけにも応えずに立ち去ってしまった。おととい二十七日は、ごく短いコメントを述べただけです。しかも、その中身は、高齢者の感染の割合は二%、人流は減っている、こういう楽観的な言葉を並べたんですね。驚いたことに、医療逼迫については一言も触れませんでした。
 東京都の資料を見てみますと、新規感染者のうち無症状という方は一割程度なんですよ。二十六日に東京都は医療機関に対して、最大確保病床数での受入れを可能とするため、救急医療の縮小、停止、予定手術の延期、一部診療の停止、診療機能の縮小等を求める文書も発出して、その二十七日には会議も、医療機関との会議も持たれているんですね。
 医療従事者からは、救急搬送が一層困難になれば救える命が救えなくなると、こういう危機感が噴出しましたよ。消防庁も既に、救急搬送困難事例が増えていて、二十五日までの一週間で東京都では一千件超えていると、こういうプレスリリースもしていましたよ。ところが、このことについて何のこと述べてない。
 一体、この二十七日の会見前、五大臣の会議、ここには、新規感染者が急増していると、このことが極めて危険な状況にある、こういう報告行われたんでしょうか、こういう議論はあったんでしょうか。西村大臣、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) お答えを申し上げます。
 この足下の新規感染の状況、あるいは各都道府県における医療提供体制、この状況、病床の状況など、ここにつきましては、御指摘の閣僚間の会議でも当然御説明し、議論を行っておりますし、また、私からも様々な形で総理に日頃から状況を報告しているところであります。今般のまさに足下、このような数になっていること、そして一般病床が厳しくなってきていること、このことについても十分その危機感を共有しているところであります。
 御指摘の二十七日の総理のぶら下がり会見でありますが、総理からは、まさに四十代、五十代の方の入院が増えていること、デルタ株が急速に増加していること、その上で強い警戒感を持って感染防止に当たるという趣旨を述べられております。また、これに先立つ二十一日の関係閣僚会議の後も、総理から国民の皆様に対し、テレビでのオリンピック観戦、あるいはテレワークへの協力、不要不急の外出を控えることなど呼びかけられたというふうに承知をしております。
 いずれにしましても、総理のリーダーシップの下、政府内、関係閣僚、危機感を共有しながら、そして専門家の意見もしっかりと聞いて、聞きながら、感染拡大を抑えるため一体となって取り組んでいきたいというふうに考えております。
○田村智子君 総理の会見に危機感なんか感じられなかったですよね。翌日、新聞の報道を見れば、総理が言った新薬のことが大きく報道される、こういう事態ですよね。
 私、是非、二十七、二十八日、この関係閣僚会議、一体どういう資料で報告されたのか、また、どういう議論が行われたのか、資料と記録、求めたいと思います。
○委員長(森屋宏君) 後刻理事会において協議いたします。
○田村智子君 新規感染者数が増え続けていくと、これ本当に抑え込まなければ、高齢者の感染の割合が減っても実数は増えるんですよ。重症者も同じです。酸素吸入が必要な中等症患者が入院できない、こういう危険性、さらには新たな変異株が発生し、その感染リスクと、こういうことも高まる一方になってしまう。
 ここで、総理が、重症化リスクを七割減らす新たな治療薬、これ強調したんですね、二十七日。確かに、状況を変える可能性は否定しません。しかし、その証明にも至っていないんですよ。
 資料でお配りした一枚目見てください。その総理の言った新薬の添付文書なんです。酸素投与を要しない患者を対象に投与を行うこと、症状発現から八日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていないと書かれています。つまり、中等症、重症、こういう患者への治療薬にはならないということですね。さらに、変異株に対しては本剤の有効性が期待できない可能性がある、こうも書かれているんですよ。
 ワクチン接種が進んでいるとか、新たな治療薬を徹底して使うとか、医療の逼迫は冬ほどではないとか、これらの発信はまたも誤ったメッセージとなってしまうんですよ。新規感染者を懸命に抑える努力が今すぐ必要だと、この危機感を持って発信すべきです。その最も有効なメッセージは、私は、オリンピックの中止と、少なくとも政府がこのオリンピックをやっていていいのかどうかと、こう議論するということを私は一刻も早く表明すべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 新たな治療薬の件につきましては、必要であれば厚労省からでも御答弁いただければと思いますが。
 まさに御指摘のとおり、新規陽性者の数がこれだけ増えてきております。もちろん、この連休、四連休ありましたので、検査件数が四連休で低かったものが、月曜日、火曜日、急激に検査件数も増えて、受診される方が増え、まとまって数が報告されているということはありますので、そういったことの分析は必要でありますが、さらに、足下の人出が減ってきていることも、これもそうはいいながらまだ緩やかな減少にとどまっておりますので、こういったことを踏まえれば、分析をしっかりした上ではありますが、必要が、分析の必要がありますけれども、そうだとしてもこれだけの数が新規報告者数で出ておりますので、まさに一般医療、特に四十代、五十代で酸素吸入を必要とする方々の入院が非常に増えておりますので、この点、極めて強い危機感を持っているところでございます。まさに、そうした中で対策を強化しなきゃいけない、取組を徹底していかなきゃいけない、この認識を強くしているところであります。
 オリンピックの関係でいえば、多くがもう無観客ということでされておりますし、これは経済界のテレワーク、時差出勤の協力、あるいはこの期間中は高速料金を千円引き上げるということなど、取組を進めている結果、例えば四連休で見ても、流入する車の量も減っておりますし、人流も足下、緊急事態宣言以前ほどではないにしろ、足下減ってきておりますので、そういう意味で皆さんの御協力の下でこうした大会がなされているものというふうに思いますが、引き続き不要不急の外出自粛、そして、できればテレビで、御自宅でテレビで、家族かあるいはいつもいる仲間と少人数で観戦、応援をしていただければと。外出しても、できるだけ都道府県をまたぐ移動も控えていただきながら、どうしても行かれる場合には検査をしていただくとか、そういったことも含めて様々な呼びかけを行い、危機感を共有していければというふうに考えております。
○田村智子君 選手村の食堂やトイレが足りないという情報も聞こえます。猛暑の中でマスクを密着させることも困難な様子を見れば、私はアスリートの感染リスクも高まっていると言わざるを得ないと思います。
 メディアセンター、我が党の議員が視察したところ、報道関係者は外出時ノーチェックなんですよ。ゆりかもめなど公共交通機関も利用して、どこでも行かれる状態です。選手や大会関係者を輸送するバスの乗務員、オリンピック記念青少年センターで集団生活しています。全国から警備のために集められた警察も集団生活で、既にクラスターが発生しています。ボランティアやアルバイトは他県からも集まっています。検査やっているというんでしょうかね、毎日。そして、テレビは一日中オリンピック中継で、コロナ感染の実態を含め、ニュース報道はほとんど姿を消しています。これら全てが感染拡大のリスクしかないんですよ。
 じゃ、一体、新規感染者数がどういう規模に達したらオリンピックの中止ということも含めた議論をすることになるんでしょうか。
○政府参考人(梶尾雅宏君) 済みません、オリパラ関係のことでございますけれども、承知している範囲で申し上げますと、来日する選手や大会関係者に対しましては、行動範囲を宿泊施設と用務先に限定するとともに、常にマスクを着用し、人との接触を最小限に抑える、東京大会に必要な用務が終了後すぐに帰国する、特定区域から出る際につぶさに検査を実施する等のルールが決められておりますし、あと、アスリート等につきましては毎日の検査、また関係者についても必要な頻度で行うというふうな形での検査が行われて、そういった中で、一定のそのルールの下での陽性者が判明しているというような状況で機能しているというふうに承知しているところでございます。
○田村智子君 何千人になろうと、もう全然議論しないということですよね。大臣、手も挙げないんだもの。この命を守ることへの責任を投げ出していることになりますよ。
 一体何のために今飲食店我慢重ねているのか、国民はいつまで我慢続けることになるのか。オリンピックを中止し、政府が行動変容を真剣に国民に呼びかける、飲食店などに持続化給付金のようにまとまったお金を迅速に支給して休業などの要請に応えてもらう、私たちこういう提案ずっとやっていますよ。
 菅政権は、今や緊急事態宣言が意味を成さなくなっていると、こうまで言われている下で、新規感染者の急拡大、どう止めるつもりなのか。まあ、ここで聞いてももう出てこないと思いますね。あした対策本部行われるでしょう。是非オリンピック中止含めた議論をやってほしい。そして、対策本部長たる菅総理が国会に出てきてきちんと質疑をやってほしい、これ与党にも政府にも強く求めておきます。
 それで、医療に対する支援もちょっと余りにお粗末なので質問をしたいと思うんですね。
 新型コロナウイルス感染拡大防止・医療提供体制確保支援事業、五月十三日にも取り上げました。二〇二〇年度中の申請件数が十万件を超えていますよと、交付決定は僅か一万四千件だということも明らかにしました。今、交付決定は六万件、手続中七・五万件ということなんです。今年度申請しているところもあって、これは五千件程度で、交付決定ゼロだというんですね。これは本当に遅いんです。しかも、この補助事業は、持続化給付金と同じで一回こっきりなんですよ。一回申請して支給受けたら終わりになっちゃう。
 それから、先ほどデルタ株に対して検査が重要だって西村大臣強調されたんですけれど、その検査を安全にやるため発熱外来の体制を取るこの国直轄の補助金、これはもう打ち切られていますよね、昨年度で。インフルエンザとの同時流行に備えた補助金だからだという理由でしたよ。だけど、今、熱中症への対応も必要になってくる、デルタ株を警戒して本当に感染がそこから広がらない体制取る必要がある、だったら今年度も補助金出すべきですよ。
 加えて、病床確保事業などを含む医療包括支援交付金、感染拡大防止等支援事業、この医療提供の体制確保するための特例措置も九月終了という政府方針ですね。
 今年度、新型コロナ対策をこれ予備費に押し込んでしまった。私は、この政策判断、本当に問われていると思います。少なくとも、医療機関に対しては、昨年度実施したもの、これは感染収束まで続ける、新たに補助金出す、約束していただきたい。いかがですか。


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