国会会議録

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困窮外国人に支援を 参院内閣委 田村議員が追及


(写真)質問する田村智子議員=9日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は9日の参院内閣委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大で困窮する外国人の実態を示し、「外国籍の方への差別をなくさない限り、感染症対策にならない」と適切な支援を求めました。

 田村氏は、実習期間を終了した外国人技能実習生がコロナ禍で帰国できず、事実上、解雇状態で生活保障もなく放置されていた問題を指摘。「帰国できない実習生の生活保障、帰国までに必要となる手続きなどの措置は、監理団体がその義務を負っている。法務省、厚労省、外国人技能実習機構は協力して、監理団体を指導すべきだ」とただしました。

 法務省の宮﨑政久政務官は「監理団体や実習実施者が必要な措置を講じるべきだ。各関係機関と連携して、技能実習生の支援、保護をはかる観点から適切に対応する」と答弁。田村氏が「まずは、実習生を受け入れてきた企業に、期間終了後も雇用継続を強く呼びかけ、雇用調整助成金の活用も周知すべきだ」と述べると、厚労省の井内雅明審議官は「実習生への特例措置や支援策の周知はさまざまな機会を通じて適切に実施する」と答えました。

 さらに、田村氏は、外国籍の人を含め、国の特別定額給付金の対象外となった人に、自治体が独自の給付金制度をつくった場合、地方創生臨時交付金の活用はできるのかと追及。内閣府の長谷川周夫地方創生推進室次長は「各自治体の判断で使える」と答えました。

2020年7月11日(土)しんぶん赤旗より

 

【2020年7月9日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 次に、これも急がれている外国籍の方への支援についてお聞きします。
 愛知県のトヨタ自動車系部品メーカー、フタバ産業では、外国人技能実習生二十四人が、五月八日までの実習計画だったんですけれども、ゴールデンウイークに入ってもう仕事も休みになるからということで、四月末で技能実習の期間満了の扱いになってしまったんです。監理団体であるJプロネットは、八月の航空便は準備しました。八月までは短期間なので失業給付はもらえないという虚偽の説明をし、フタバ産業も離職票を出さない、こういう対応でした。フタバ産業は、三年間の貢献に報いるとして、六月、七月の滞在費分として五万円を支給するけれども、そのうち寮費と水光熱費として四万円を差し引くので、生活費として振り込まれたのは二か月分一万円でした。特別給付金十万円を生活費に充てるようにというふうに言われましたが、実習生の皆さんは、帰国すると二週間の滞在費用が必要になると、そこから自宅までの交通費も掛かるというので手を付けることができない状態で、困り果てて私たちの党の市会議員に相談がたどり着いたということなんですね。
 衆議院の本村伸子議員や支援団体が協力をいたしまして様々に交渉をした結果、失業給付は七月からは受けられることになりました。本当は五月から受けられるはずですけどね。また、Jプロからは五万円が今週になって支給されたというふうに聞いています。今事態動いています。しかし、SOSが届いた時点ではですよ、食料の寄附で急場をしのぐということにもなっていて、果たして相談がつながらなかったらどうなっていたのかと大変危惧をいたします。
 まず、法務省に確認します。
 外国人技能実習生のうち、同じように実習期間が終了しても帰国できない状態にある人、そのうち事実上の解雇状態にある人はどれだけになるのかつかんでいますか。

○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
 出入国在留管理庁におきましては、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により本国への帰国が困難な技能実習生につきまして、帰国できる環境が整うまでの間、特定活動六か月等の在留資格により本邦での在留を認めているところでございます。また、その間、技能実習を修了した技能実習生が従前と同一の業務で就労することを認めております。
 なお、帰国できない事情が継続している場合には、在留期間の更新許可を受けることが可能でございます。
 お尋ねの事実上解雇されているような人数につきましては当方でお答えすることは困難ではございますが、本年七月三日時点におけるこれらの許可を受けて在留する外国人の数につきまして、速報値ですが、概数で申し上げますと、帰国が困難であるため在留資格「技能実習」から特定活動の在留資格に変更し在留している方については、特定活動就労可の方が約一万五千五百人、特定活動就労不可の方が約一千人となっております。

○田村智子君 今の就労可というのが実習が修了した後も仕事が見付かっている方なんですね。一千人という方が仕事も見付かっていない状態でおられるということなんですよ。
 帰国できない実習生の生活保障、帰国までに必要となる手続などの措置は、技能実習法施行規則五十二条の九に照らせば、監理団体がその義務を負うのではないでしょうか。また、これが適切に行われていなければ、法務省、厚労省、外国人技能実習機構が協力して監理団体を指導するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(宮崎政久君) 御指摘いただきましたとおり、技能実習法の施行規則五十二条の第九号によりますと、監理団体は技能実習生の技能実習の終了後の帰国が円滑にされるよう必要な措置を講ずることとされております。
 この法の趣旨からいたしますと、技能実習が修了して帰国するまでの期間についても、その間の生活に係る必要な支援については監理団体や実習実施者が必要な措置を講ずるべきでありまして、このように解することが、技能実習生の保護を図って、もって技能等の移転を図る技能実習法の理念に沿うものであると私どもも考えているところでございます。
 法務省としましては、こういった支援が適切に行われますように、制度を共管しているのが厚生労働省そして外国人技能実習機構でございますので、これら各関係機関と連携をいたしまして、技能実習生の支援、保護を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

○田村智子君 今のは大変大切な答弁で、つまり、在留資格も技能実習じゃなくなるんですよ。技能実習期間中にその会社が倒産とか何か仕事ができない状態になると、技能実習期間中で在留資格も技能実習で、だから監理団体は法的に明確に義務を負っているんですよ。仕事も探さなきゃいけない、生活どうするのかと。だけど、在留資格も変わって技能実習生じゃなくなったと、このときに、技能実習修了したからと誰も責任持たないような事態というのは絶対あってはならないんですね。
 これ、監理団体が一人の生活困窮者も出さないという支援に力を尽くさなければ、何のために技能実習法を制定し、何のために機構をつくったのか分からないと思いますからね。是非、しっかりと調査もしていただいて、機構を通じての指導も適切に行っていただきたいと思うんです。
 それで、この経済悪化の下では、私は、実習生を受け入れてきた企業が期間終了後もまずは雇用継続を積極的に行うということが本当に求められているというふうに思うんですね。
 厚労省は、新型コロナの影響で経営状態悪化した場合でも雇用調整助成金活用して外国人技能実習生の雇用維持、これできるんですよと、雇調金使えますよということをやっと周知をされておられるところだというふうに思います。
 これ、実習期間終了して、さっき言ったように、特定活動というふうに在留資格が変わると、もう自分で求職活動するしかないんですよ。普通の求職活動になっちゃうんですよ。誰も面倒見なくていいという状態になっちゃうんですよ。
 これ、言葉の壁もあるし、そもそもそういうことを予定せずに技能実習で来ていますから、自分で仕事探さなきゃいけないなんということを想定していないわけですから、これは相当に、実習で受け入れてきた企業に対してまずは引き続き雇用を帰国するまで継続してほしいと強く呼びかけるべきだと思います。その際に、雇用調整助成金活用できるということもこれ周知すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。厚労省。

○政府参考人(井内雅明君) お答えいたします。
 技能実習生が技能実習期間の終了後、新型コロナウイルス感染症の影響により帰国が困難な場合には、出入国在留管理庁において、当該実習生の在留資格を従前と同一の受入れ機関等で雇用される場合に引き続きの就労を可能とする特定活動に変更する特例措置を実施しております。この措置につきましては、外国人技能実習機構のホームページで公表するとともに、全ての監理団体に対して直接メール等により案内するなど周知に努めておりますほか、監理団体や実習実施者から相談がある場合にも御紹介しております。
 また、先ほどお話ありました雇用調整助成金につきましても、支給要件を満たす事業主に雇用される労働者であれば、国籍を問わず対象となること等について厚生労働省のホームページで公表しております。また、リーフレットを外国人技能実習機構のホームページとSNSへ掲載しますとともに、全ての監理団体に対して直接案内するなど周知に努めておりますほか、監理団体や実習実施者から技能実習生の雇用継続が困難であるなどの相談がある場合にも御紹介しております。
 新型コロナウイルス感染症の影響により帰国が困難な状況にある技能実習生の方々への特例措置や支援策の周知につきましては、ただいま申し上げた様々な機会を通じて引き続き適切に実施してまいります。
 以上です。

○田村智子君 紹介しましたフタバ産業は大企業なんですよ、トヨタ系の。そこでも実習期間終了したからと、生活困窮になることが目に見えているのに、もう法的義務はありませんという対応になったわけですね。やっぱり、強く企業に対する指導、これが必要だということを強調しておきます。
 技能実習期間終了後、次の仕事が決まっていないと、働く意思があっても特定活動(就労不可)という在留資格になるんですね。この就労不可というのが誤解を受ける表現なんですよ。
 資料でお配りしました出入国在留管理庁から技能実習生へのお知らせ、これ法務省のホームページから取ったものですけれども、何と書いてあるか。就労不可、働くことができない、仕事ができませんと書かれていて、これでは今後も働けないというふうに私も読んでしまいました。支援団体の中でも、仕事をすると不法労働になってしまうんじゃないかという誤解があったというふうに聞いているんですね。
 働く意思があれば求職活動ができる、就労可の在留資格に変えられる、失業給付も受けられる、こういうことをちゃんと説明すべきだというふうに思うんですよ。これは機構のホームページも含めて、是非、支援団体などからのアドバイスも受けて、分かりやすい情報提供、監理団体やあるいは受入れ企業に何を求めることができるのかという情報提供、これやるべきだと思います。いかがでしょう。

○大臣政務官(宮崎政久君) 技能実習を修了した技能実習生が本国に帰国できるようになるまでの間、従前と同一の業務での受入先が見付からないような場合には特定活動就労不可への在留資格変更を許可しているところでございますが、先生今御指摘がありましたとおり、求職活動の結果、受入先が見付かった場合には、就労が可能な特定活動六か月就労可への在留資格変更許可申請手続を経てその許可をするというようなことになっております。
 今日資料としてお出しいただいたもので分かりやすい日本語で表記をしているところでございますが、こういった手続について分かりやすい周知を更に図っていくべきだということは御指摘のとおりだと思っております。先生からの御指摘も含めて、また皆様からの御意見も取り入れながら、技能実習生及び制度に関係する皆様にとって更に分かりやすい内容になるように、ホームページ等の記載についても十分に考慮をした上で広報にこれからも努めてまいりたいと思っているところでございます。

○田村智子君 是非お願いします。
 そしてもう一つ、日本は、こういう技能実習生以外も、例えば難民申請をしていても認定が本当に遅いですから、というか、されないですから、そのまま入国管理センターに収容された方が多数いて、今、感染防止のために積極的な仮放免行われている。だけど、仮放免はするけれども働くことはできない。特別定額給付金も支給はできないと総務省が頑張る。支援者の方々の募金と支援物資でどうにか命をつないでいるという方がどんどん増えているわけですね。
 それで、ちょっと時間がないので先にお聞きしますけれども、これ、例えば埼玉県の川口市や蕨市ではクルド人の方々のコミュニティーがあるんですよ。支援している団体の方が市と交渉もやっていて、何らかの給付金が出せないのかと。一番は定額給付金、十万円出せないのかということなんですけれども、市の方は、国が駄目だというから出せないと、国が何か考え方を示していただけたら、私たちもこのままほったらかしというわけにいかないと思っているんだというふうには言っているんですね。
 そこで、内閣府にお聞きしたいんですけれども、今度、地方創生臨時交付金、これは国の足りない施策について自治体の裁量でコロナ対策として使うことができるという説明を受けています。では、外国籍の方を含め、国の給付制度の対象外となっている方に自治体独自の給付金、これを出すという使い方はできるんでしょうか。

○政府参考人(長谷川周夫君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、感染症対応として必要な地域の実情に応じた自治体独自の取組の財源に高い自由度で活用できる仕組みとしております。
 具体的な施策に本交付金を充当できるかどうかについては、自治体に実施計画を作っていただいて、それを確認してということになりますが、新しい生活様式への対応等、新型コロナウイルス感染症対策という目的に対して効果的な対策であって、地域それぞれの実情に合わせて必要なものであれば、委員御指摘のような外国籍の方に対する独自の給付も含め、各自治体の御判断によってお使いいただけるものと考えておりますが、いずれにしても、地域に暮らしている方々に真に役に立つような用途を検討していただいて、先ほど申し上げた実施計画を策定していただければというふうに考えております。

○田村智子君 日本に入国している外国人というのはほとんど不法入国じゃないですよ、圧倒的に。入国のときに別に不法に入国したわけじゃないんですね。
 例えば、コートジボワールから二〇〇八年に日本に入国した方。当時、内戦状態。空港で難民申請をしました。二〇一四年に認定しないという判断が出されたので、すぐに異議申立てを行った。最後のヒアリングは二〇一七年。その後、何の連絡もなかったけれど、今年五月十二日に異議申立てが認められて難民認定になったんです。極めてまれなケースです。
 ところが、このケースでさえ総務省は給付金の対象じゃないというふうに頑張るわけですよ。四月二十七日に住民登録がないからだというんですけれども、この異議申立て、二〇一四年に行っている、難民認定のね、されなかったことについて、それが認められたということは、その二〇一四年に遡って行政処分が取り消されたんですよ。二〇〇八年の難民申請の認定が行われたということになるんですね。単に行政判断が遅れただけなんですよ。これでも給付金の対象にならないというんでしょうか、総務省。

○政府参考人(森源二君) お答えいたします。
 特別定額給付金については、御指摘のとおり、日本国内に在住する外国人についても、基準日四月二十七日において住民基本台帳に記録されている方については給付対象者としているということでございまして、委員御指摘のような方が基準日において住民基本台帳に記録されていないケースについては、特別定額給付金の給付対象者とはならないものと考えるところでございます。
 難民認定に係る判断の是非につきまして総務省としてお答えする立場にはないわけでございますけれども、過去に一旦不認定になった事実があることによって給付金の給付について判断するというようなことについてはできないものではないかというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 済みません。一言だけ、済みません。
 外国籍の方の差別ということをなくさないと感染症対策にならない、このことを申し上げて質問を終わります。

○委員長(水落敏栄君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。

 


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