日本共産党の田村智子議員は、22日の参院決算委員会で、在日米軍内の新型コロナウイルスの感染拡大について、市民の命と安全を守るため、米軍に感染状況の情報公開を求めました。
米国防総省によれば、16日現在、米軍関係者の感染者は1万2152人に上りますが、3月30日以降、基地別・部隊別の人数や詳細について非公表としたため、日本政府からの情報提供も途絶えました。
田村氏は、17日に米軍三沢基地で複数の感染者が確認されたにもかかわらず、保健所を通じた迅速で詳細な情報提供はなく、米軍側は当初「公式フェイスブックに情報をアップした」としただけで、20日に新たな感染が確認されても、感染者数さえ報告されていないと指摘。これが「適切な対応なのか」と批判しました。
田村氏は、米軍基地を抱える都道府県知事で構成する渉外知事会が、基地における感染状況や米軍の措置について情報収集し、公開を米側に働きかけるよう政府に緊急要請(5月27日)したことをあげ、「要望に応えるべきだ」と迫りました。外務省の有馬裕大臣官房参事官は「米国防総省の指針に従う」などと述べ、米側への働きかけを拒みました。
田村氏は、韓国では米軍が感染状況について基地ごとに詳細な情報をホームページで公表していることを指摘。一方、日本では「フェイスブックを見てくれ」という対応をされていることについて、「これが主権国家の姿なのか」と批判。茂木敏充外相は、日韓の対応の違いについて、まともに答えることができませんでした。
田村氏は「日米地位協定を見直し、米軍に韓国のような対応をさせるために、政府が動くべきだ」と強調しました。
2020年6月23日(火)しんぶん赤旗より
【2020年6月22日 参議院決算委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
在日米軍の新型コロナ感染の問題について伺います。
米国防総省によれば、六月十五日現在、新型コロナウイルス感染者は、米兵八千九十四人、軍属一千九百三十四人、家族や請負業者を含めると一万二千人を大きく超えます。
在日米軍の感染者について、河野防衛大臣は三月三十一日の記者会見で横須賀海軍施設と嘉手納飛行場に所属する計八人の感染を明らかにしましたが、米国防総省が感染者の基地別や部隊別の人数や詳細について非公開とする方針を発表したことから、これ以降、政府からの情報公表は一切行われていません。
四月三日、衆議院安保委員会で我が党の赤嶺議員が、感染発生を隠すことは日本の感染症対策上問題であると質問しましたが、茂木外務大臣は次のように答弁をされています。新型コロナウイルス感染症対策については在日米軍と緊密に連携している、日米合同委員会合意に基づいて米側から適切に連絡を受けている、感染者が発見された場合、在日米軍の各病院の責任者からその地域を所管する日本の保健所長に通報され、日本の衛生当局間で対応を協議していくと。この答弁は資料としても配付しましたので、繰り返していただかなくて結構です。
二点、お答えいただきたいんです。
一つは、それでは日本政府は米軍基地ごとの感染者数を公表はしていないが全て把握しているということなのか、そして二つ目に、米軍各病院から保健所への通報を外務省及び厚労省は把握をしているのか、お答えください。
○政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策につきまして、日本政府としては、在日米軍と緊密に連携しており、これまでも日米合同委員会合意に基づいて国内における在日米軍関係者の感染者数や感染者の出た施設・区域などの必要な情報について米側から情報提供を受けております。
その仕組み等につきましては、平成……(発言する者あり)分かりました。それでは、先生から御指摘がありました三月三十一日、米国防省は米軍関係者の新型コロナウイルス感染症に関する情報の公表についての指針を策定しております。
この中で、各地域において米軍と地元の保健当局との連携を改めて指示する一方で、感染状況の個別の事案の詳細、個々の部隊、基地における感染事案の総数について対外的に明らかにすることは、安全保障上、米軍の運用に影響を与えるおそれがあるとの理由から、軍種別を含む世界における感染者の総数のみを公表するとの全世界的な統一の指針を示しました。同時に、この指針は、透明性と運用上の安全のバランスを保てるように最善を尽くすとも述べております。
日本政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、国内における在日米軍関係者の感染の数や感染者の出た施設・区域などの必要な情報については、その時々の状況について緊密に米側から提供を受けております。他方、各施設・区域の詳細を公表することにつきましては、我が国の安全保障や米軍の運用に影響を与えるおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、公衆衛生上の観点から、日米合同委員会合意に基づきまして、米軍施設・区域の医療機関と地元の保健所との間で、感染者の行動履歴等の追跡を含めて必要な情報共有を行い、感染拡大防止のために緊密に連携していくことを確認していくこととなっております。
在日米軍関係者の感染に関する個別事案の状況につきましては日米間で調整の上公表されることでございまして、御指摘の点につきましても厚生労働省からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○田村智子君 つかんでいるかどうかもお答えできないというのはちょっといかがなものかと思いますし、これは外務省にお聞きしましたら、保健所にいついつ通報が行ったというのはつかむシステムになっていないというふうに言っているんですね。そうすると、本当に保健所にちゃんと連絡が行っているのかどうか、私たちチェックもできないんですよ。
アメリカ海軍協会の四月二十三日付けニュースでは、横須賀基地に整備のため停泊中の空母ロナルド・レーガンで十六人が感染していると報じています。これは誰でも見ることができる情報です。インターネットで今でも見ることができます。ところが、横須賀基地の感染者として公表されているのは六人です。
外務大臣、外務省はこの十六人、全て情報をつかんでいるんでしょうか。そして、横須賀市保健所には十六人の情報は全て報告されているのかどうか、分かりますか。
○国務大臣(茂木敏充君) まず、田村議員御指摘の米海軍協会、USネーバル・インスティチュート、これ米政府とは直接関係ない非営利研究機関でありまして、様々な研究機関、様々なレポートを出しているわけでありまして、そのニュースレポートの一つ一つに対して政府としてはお答えする立場にございません。
○田村智子君 それは、でも、米軍から情報を得なかったら、こんなの出せるわけない情報ですよね。誰でも見ることできるんですよ、十六人感染。空母や戦艦でクラスターが起きていますからね、そういう情報としてあるんですよ。これも答えられないんですかね。
六月十七日、朝日新聞デジタル版、米軍三沢基地で複数人がコロナ陽性、県側に詳細伝えずと報じています。県によると、十七日早朝、米軍三沢基地から、米軍関係者の感染が確認され、基地の公式フェイスブックに情報をアップしたとの連絡が危機管理局にあった、三沢市を所管する上十三保健所を通じて詳しい情報提供を求めているが、夕方までに回答はなく、基地外での濃厚接触についての情報もないと。こういう報道なんです。
フェイスブックを見てくれと。これは三月に嘉手納基地で感染が確認されたときも同じような対応が行われたんですね。保健所が問い合わせてもなかなか回答をよこさない。外務大臣、これが適切な対応なんですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 先ほど申し上げましたのは、そのニュースレポートを見ることができないと私は申し上げておりません。あたかも委員が、米海軍協会、これが政府の機関であるような御質問をされたので、このUSネーバル・インスティチュートは米政府と関係のない非営利研究機関でありまして、そのニュースレポートの一つ一つについてお答えすることは政府の立場としてはできない、このようにお答えをしたところであります。
また、三沢飛行場の件につきましては、六月十五日に三沢飛行場に到着した一時展開部隊に所属する複数の軍人が新型コロナウイルスにウイルス感染症の陽性反応を示したと。いずれも症状は示していないものの、米軍の指針に基づき、施設・区域内で医療隔離されていると発表したと承知をいたしております。
また、三沢市は、隔離施設外におけます感染者の行動履歴はなく、接触者は一部に限られていることから、感染拡大の可能性はないものと考えていると発表したと、そのように承知をいたしております。
米側からは、現在、当該感染者の三沢飛行場到着後の行動については調査中であり、その結果、必要となれば統一軍法典に基づいて処罰をする、他方で、当該感染者は米軍施設・区域外には出ていないと、そのように説明を受けております。また、感染者の濃厚接触者の追跡調査及び施設の消毒を行うため、全ての関係者について原則二十四時間自宅待機とするなどの感染拡大防止措置をとったと承知をいたしております。
なお、この事案につきましては、保健所、さらに三沢市にも通報が行われていると、このように承知をいたしております。
○田村智子君 いや、フェイスブック見てくれというのが最初の通報ですからね。これが適切なんですかとお聞きしたのに、それもお答えにならないんですね。私、適切じゃないと思いますよ、フェイスブック見てくれ。保健所に連絡が行ったのは保健所が問い合わせて半日以上たってからなんですよ。
これ、報道見てみますと、十五日にアメリカの本土から三沢基地に航空機で到着をしたと。アメリカの部隊で感染者が確認されたことから、十六日にPCR検査を行い、十七日未明に陽性者が数名いると。人数分かりません。この間、基地の中の一部施設を利用していたことから濃厚接触者の確認を急いでいるという記事なんですよ。これは三沢基地の司令官の説明に基づく報道なんですけれども。隔離と言いながら基地の中の一部施設は利用していたんですね。だから、基地の中の濃厚接触者の確認を急いだということです。
奥本菜保巳三沢市議、我が党の三沢市議から、じゃ米軍から市への通知、その後どうなっていますかということで資料をいただきました。六月十九日には濃厚接触者を隔離、移動制限、二週間の経過観察を行うという通知があったとあるんですね。日本では濃厚接触者は今PCR検査全部やるんですけれども、これやっていないのかなという疑問も浮かびます。それから、六月二十日にはまた新たな感染者が数名出たと。十五日にアメリカ政府のチャーター機で到着した別の部隊で感染者がいたようなんですね。それについての通知は、機内で近くに座っていた人を検査した、結果は陰性だったと。そうすると、チャーター機全部をすぐにPCR検査するわけでもないのかなと。
これ、相当に日本と検疫のやり方、検査の仕方が違うんだろうかという疑問も湧いてくるわけですね、まあアメリカにはアメリカのやり方あるかもしれませんけれども。もちろん、アメリカ軍だって自分のところで感染拡大がしたら大変ですからね、適当なことをやっているとは思いませんよ。だけども、そういう情報が、一体どこで何人感染していて、どういうふうな隔離やどういうふうな検査やっているのかということを、私は当該自治体にさえちゃんと通知していないということは大変問題だというふうに思います。
大体、アメリカ軍は、パンデミックで国際的に人の移動が厳しく制限している中でも、日本の検疫当然なしに自由に国境を越えて基地の中に入ってきていました。このことも、四月三日、外務大臣は安保委員会で聞かれて、衆議院の安保委員会で聞かれて、六十日間あらゆる国との移動を禁じているというふうに答弁されたんですけれども、米空軍機機動軍団の公式トラベルページで確認できるものだけでも、アメリカ本土、グアム、ハワイ、韓国、ディエゴガルシアなどから日本への移動は、四月から六月八日で三沢基地で十七回、横田基地で二十七回、嘉手納二十一回、岩国十回と。全然制限、まあこれでも制限なのかもしれませんけどね。じゃ、その制限が終わったら一体どれだけ移動しているんだろうということにもなるわけですよ。
これ、地元では、やっぱり基地の中に日本人の従業員も入るわけですから、不安が広がっているという声もお聞きしています。もっとちゃんと基地ごとの感染者、それに対する対応、詳細な情報をやっぱり求めるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 六十日間の話については、今突然お話しになりましたが、答弁の中で、恐らく私として、原則とか必要がない限りとか、きちんとそれは注釈を付けて申し上げていると、そのように思っております。
そして、在日米軍からは、米軍関係者によります我が国への入国については水際対策を含む日本政府の方針に整合的な措置をとることとしており、厳格な渡航制限措置を維持している旨の説明を受けております。
○田村智子君 それで国民の不安に応えることができるのかということなんです。
さっき基地の中での日本人の感染が不安という声紹介しましたけれども、では在日米軍基地で働く日本従業員の感染の状況はどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 在日米軍従業員、これまでに七名が感染し、全員が回復し職場復帰しております。
○田村智子君 もう少し詳細にお聞かせいただけませんか。キャンプ座間ではクラスターが起きたんではないですか。
○国務大臣(河野太郎君) 米軍の横須賀海軍施設所属の二名、米陸軍キャンプ座間所属の五名が感染をし、いずれも回復して既に職場に復帰しております。
○田村智子君 私が防衛省にお聞きしましたら、このキャンプ座間の五人というのは基地の中の感染だと。基地の中の消防隊の活動をしている方だというふうにも聞いているんですけれども、そこには米軍の方も入ってきている活動なんですよ。だから、そういう感染がどうなっているのかということをなぜちゃんと知らせないのかなんですよね。
横須賀の場合、六人の感染者のうち、これは公表されているものです、三人が米軍施設外に居住をしていて、二人が池子住宅地から基地に通っていたということ、これ横須賀市のホームページで分かるんですね。
やっぱり、在日米軍に対して、どのように検疫が行われているのか、感染者が何人なのか、それすら当該自治体も詳細に知ることができない。国会でも、こうやって答弁求めても、ほとんど詳しい答弁得ることができない。どうやって私たちは日米合意がちゃんとやられているということを確認することができるんでしょうか。
ちょっと先に進めますけれども、今アメリカ軍の基地がある十五都道府県知事、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会は、外務大臣と防衛大臣に、五月二十七日、新型コロナウイルス感染症に係る感染者情報の取扱い等に関する緊急要請、提出をしています。その中に、在日米軍基地における新型コロナウイルス感染症の発生状況や米側の措置について、積極的に公表されるよう米側に働きかけるとともに、国の責任において情報収集に努め、適時適切に公表することと、こういう要望書も提出をされているわけですよ。
これはアメリカ側に求めるべきだと思います。そして、日本側だって場合によっては適切に公表すると、これやるべきだと、要望に応えるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。
先ほど御説明申し上げましたとおり、三月三十日、米国防総省は、米軍関係者の新型コロナウイルス感染症に関する情報の公表についての指針を作成しております。その際に、この指針の中で、透明性と運用上の安全のバランスを保てるように最善を尽くすとも述べております。この方針に、指針に従いまして、在日米軍も必要に応じ情報を公表しているところでございます。
○田村智子君 要望するということもおっしゃらないわけですか。
アメリカは公表していない公表していない言いますけど、例えば在韓米軍はこれ基地ごとに何人出ましたということをそのたびホームページに出していると思われるんですよ。例えば、五月八日の発表、米国政府のチャーター便で日本から韓国に到着した際、陽性反応を示した、こういう情報もあるんですよ。つまり、日本の基地にいたときには既に感染していたということなんですよね。一体どこの基地からの移動なのかなというふうに思いますね。
また、これアメリカ軍の兵士だけじゃないんですよ。米軍の家族や基地で働く米国の請負業者の感染についても詳細に情報が公表されているんです。例えば、六十一歳の女性の患者はキャンプ・ウォーカーの売店を訪れました、接触者追跡を積極的に行っているなど、一人確認されるごとにそういう情報を出しているんですよ。
ところが、日本では、アメリカからフェイスブック見てくれですよ。そこに感染者の人数も書いてないんですよ。もうちょっと言うと、それどころか、アメリカ軍の岩国基地では、基地の中の感染防止のためだといって、日本人従業員に対して、六月七日までおたくの子供さんを公立小中学校に登校させないようにと、こんな要請までしているんですよ。自分たちは基地の中の感染情報を明かさない、それで日本の従業員の子供は感染持ち込まれたら困るから学校に行くなと言うと。
これが私は主権国家の姿なのかと情けなくなるような思いなんですけれども、外務大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(茂木敏充君) 在韓米軍の関係につきまして、米側からは、在韓米軍によります対応は、先ほど来説明をさせていただいております三月三十日付けの国防省の指針に基づいたものであって、米軍の運用に影響を与えるおそれのある情報については公表していないと、このように説明を受けております。
○田村智子君 本当に、地位協定を見直して、日本が検疫できるように、そしてせめて韓国と同じぐらいの対応をさせるように、これ政府を動かさなきゃいけないと思います。
終わります。