日本共産党の田村智子議員は12日の参院内閣委員会で新型コロナウイルス感染症の影響で苦しむ医療機関や中小企業は「夏までもたない」と訴え、第2次補正予算に盛り込まれた家賃支援給付金を早急に支給するよう要件の見直しを迫りました。
田村氏は、同給付の対象が、今年5月以降で1カ月で5割減収か3カ月連続で3割以上減収の事業者とされ、「3、4割減収の事業者はどんなに早くても8月以降でなければ支給されない」と指摘。5月までの家賃など固定費は第1次補正予算で措置されている持続化給付金で支援済みだとする政府に対し、「持続化給付金は5割以上減収の事業者が対象で、3、4割減収の事業者は外れている。政府の説明に納得する事業者はいない」と批判しました。
西村康稔経済再生担当相が「家賃支援制度は野党が提案したもの」として野党に制度の不備を責任転嫁したのに対し、田村氏は「野党は4月以降、再三家賃支援を求めてきたが、1次補正に盛り込まなかったのは政府だ」と反論。要件を見直すよう求めました。
参院内閣委は同日、株式会社地域経済活性化支援機構の業務を5年間延長する地域経済活性化支援機構法改定案を、自民などの賛成多数で可決。日本共産党は、機構の事業全体でのリストラ同意人数が非公表であるなど「雇用の確保に懸念がある」として反対しました。
2020年6月21日(日)しんぶん赤旗より
【20年6月12日 参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
REVICについては、最初の事業再生でやったJALの問題が大量の差別的指名解雇を強行するもので、今も不当解雇されたパイロットと客室乗務員の皆さんの尊厳と生活は傷つけられたままだということを指摘しなければならないんですね。
そこで、ちょっと一問目は飛ばします。今回は、新型コロナへの対応の二次補正でREVICにお金を入れる、そして期限も五年間延長するということですからね。私は、これまでもREVICというのは大規模なリストラを伴う事業再編を幾つもやってきたと思うんですが、同じようなことをやることは、これは許されないと思うんですよ。
今、新型コロナの下で、既に大量に解雇、雇い止めの問題が起きている、いかに雇用を維持するかということが問われている。ですから、政府がお金出しているんですから、そのお金使う事業再生、再編で資本注入するというんだったら、リストラをしてはならない、雇用を守る、これぐらいの条件を付けたものでなければならないというふうに思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。
まず、機構は、事業再生支援を行う場合には、第一条、法律の第一条、目的のところですけれども、雇用機会の確保に配慮することとされています。それから、第二十五条の五項において、申込みをした事業者における弁済計画や事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮しなければならないと規定をされています。こうしたことを踏まえて、可能な限り既存の雇用関係を維持し、解雇が発生しないように努めてきているところであります。
機構はこれまで八十四件の再生支援決定を行ってきておりますけれども、そのうち四十一件が公表されています。その四十一件について見ますと、総従業員数が約一万一千二百名でありまして、これらの案件において事業再生計画等で希望退職等を予定した案件は六件、約百四十人となっております。機構の事業再生支援によって多数の雇用が図られてきたものというふうに考えております。再生をしなければ破綻をして雇用が全て失われる、そうじゃなくて、再生をして雇用をできる限り維持をしていくということであります。
なお、平成三十年の機構法改正以降の再生案件では、希望退職の募集等は行われておりません。
いずれにしましても、まさに機構としては、法にも書いてありますとおり、雇用の機会の確保に配慮しつつ地域経済の活性化を図るという、その趣旨を踏まえまして適切に対処していくように、私の立場からもしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
○田村智子君 公表されているのは半分にも行かないんですよね。
そして、JALの大量の解雇というのは、決してそれによって企業を守ったんじゃないんですよ。もう黒字で大丈夫だと分かっても解雇を強行したんですよ、希望退職の数を超えて。こういうことを見ても、本当にこの出資が、政府がお金を出すものがリストラを進めるようなことに使われてはならないということは改めてくぎを刺しておきたいというふうに思います。
私、本当に今、中小企業、中小事業者の事業の継続のための支援というのが切実に求められていますので、ちょっと、二次補正に盛り込まれました家賃支援給付金について、どうしてもお聞きをしたいんです。
対象について、もう聞きます。
五月から十二月の中で一か月でも五割減収となった事業者、又は三か月間連続三割以上減収となった事業者が対象とされています。資料もお配りしました。三割減、四割減の事業者は、これではどんなに早くても家賃支援給付金、八月以降でなければ支給されなくなるんですね。
国会では既に野党から厳しい指摘が相次いでいますけれども、事業者からも批判の声が寄せられているんではないんでしょうか。経産省、お願いします。
○政府参考人(渡邉政嘉君) お答えいたします。
連続する三か月の売上げが前年同月比三〇%以上減少しているという要件により、委員御指摘のように八月以降まで給付を受けられないことを懸念する声があることは承知してございます。
こうした方々に対しましては、家賃支援給付金が給付されるまでの間の資金繰りにつきまして、実質無利子無担保、最大五年間元本据置きの融資ですとか賃料の支払猶予など柔軟な措置の検討要請、また事業収入が大幅に減少した場合の固定資産税の減免など、様々な施策を総合的に講じることでしっかりと下支えをしてまいります。
○田村智子君 緊急事態宣言中にそういうのはもう活用してきたと思うんですよ。それでようやく事業継続してきたと思うんですよ。
これまで国会での総理の答弁見てみますと、何で五月からなんだと、起点が何で五月なんだというと、持続化給付金で既に固定費は支援した、家賃支援給付金は五月の緊急事態宣言の延長以降への給付だからなんだということを繰り返される。しかし、三割以上減収というのは、そもそも持続化給付金の対象にならなかったんですよね、野党は求めたけれども。それを、既に緊急事態中、五月のゴールデンウイークまでは持続化給付金で支援したというような答弁を納得する事業者はいないですよ。
やっと家賃支援でまとまった給付が受けられると期待をした、持続化給付金が受けられない、対象外となった事業者は大勢おられると思うんですよ。ところが、八月まで耐えろと言うと。これで事業継続の支援と言えるのかどうかなんですよね。
これ、もう一度御答弁お願いします。
○政府参考人(渡邉政嘉君) 家賃支援給付金につきましては、家賃等の平均六か月に相当する金額を給付する持続化給付金を既に措置しているということでございます。確かに御指摘のとおり、五〇%に満たない方についてはこの給付金の対象にならないということも認識してございますけれども、いずれにいたしましても、五月の緊急宣言が延長されたことなどを踏まえまして、売上げの減少に直面する事業者の方々に対して更に一層の下支えを行うものとして、この家賃支援給付金はさせていただくものでございます。五月以降に売上げが減少している事業者を対象として考えてございます。
大変恐縮ですが、繰り返しになりますけれども、家賃支援給付金が給付されるまでの間の資金繰りにつきましては、先ほど御説明させていただきましたような実質無利子無担保、最大五年間の元本据置き等、様々な支援を御活用いただければということで考えてございます。
○田村智子君 これ、緊急事態宣言中、四割減でも何とか耐えたと、その後もなかなか収入回復しないと、これの状態で夏までもつかって問題ですよね。もたなかったら、その後の家賃支援なんて受けられないじゃないですか。あるいは、六月は二割減収まで回復しました、こういう事業者は逃げ水になりますよ。受けられないことになっちゃうんですよ。
三割減、四割減というのがどういう事業者か。これ、緊急事態宣言中も休業するわけにいかない事業を担っていたということを示していると思います。例えば医療機関です。感染症患者の治療に当たる病院はもちろんですけれども、町の診療所も、例えば歯科医師の皆さん、患者さんの口の中の治療で感染リスクとても高いと。そのことに不安を抱えながらも、感染防護具が届かない中でも診療を続けてこられました。新型コロナの患者を受け入れた病院は、感染防止のために空きベッドをたくさん抱えて大きな減収となる。それ以外の病院、診療所も感染を恐れて患者さんが減っただけでなくて、国からの要請で健康診断を止める、手術を延期する、オンライン診療や長期処方に切り替えるなどで大きな減収となったんですよ。
厚労省にお聞きします。こういう医療機関、減収の割合どれぐらいかということをつかんでいますか。
○政府参考人(迫井正深君) 御答弁申し上げます。
病院団体の調査によりますと、新型コロナウイルス患者を受け入れた医療機関のみならず、受け入れていない医療機関におきましても、四月につきましては外来の患者さん、それから入院の患者さん、それぞれ減少しておりまして、およそでございますけれども、一割程度減収をしているというふうに承知をいたしておりまして、地域医療を継続できるような支援が必要であるというふうに認識をいたしております。
○田村智子君 全国保険医団体連絡会が七千件近い医療機関に緊急アンケートを行いました。医科も歯科も九割近くが四月の診療報酬、前年比で減ったと回答していて、減収の割合は五〇%までというのが医科で九割、歯科で八割なんですよ。
東京保険医協会も四月にアンケートを行っています。自由記述欄見てみますと、保険診療収入四割減の方で、状況により閉院の可能性も出てきました、三割減の方で、現在の状況が続けば閉院に追い込まれてしまう、電話再診で病状を聞いて処方する際の診療報酬が余りに低過ぎて診療所の運営を更に厳しくしているなど、こういう三割減、四割減の方々の悲鳴のような声がたくさん記述されているんです。
もちろん、もっと大きな減収となっている医療機関もあるので、そういうところは持続化給付金とか家賃支援なんてもう焼け石に水で、診療報酬の概算払の継続も含めて特別な手だては求められているんですけれども、ここで問題にしたいのは、こういう医療機関も他の事業も三割減、四割減で既に継続が厳しい状態に陥っている事業所がたくさんあるということなんですよ。
だから、三月以降で見てもらう、一か月でも三割以上減収となったような事業者には本当は私たちは持続化給付金も家賃支援給付金も支給するべきだというふうに思うんですけれども、それがどうしても難しいというんだったら、この際、百歩譲ります、百歩譲るから、せめて五月以降一か月の減収が三割減以上という要件に一本化してほしい。この事業イメージのところにある①、②を一本化してほしい。一か月でも三割減でもう家賃支援しますよと、これぐらいは検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(渡邉政嘉君) お答えいたします。
家賃支援給付金は、いわゆる補助金、融資、税制の猶予等を含めた税制といった手段の総動員を超えた対応であることも踏まえ、一か月の売上高が前年同月比五〇%減少という要件を設定させていただいてございます。
もちろん、五月以降の売上高が前年同月比で三割以上も減少している事業者の方について、大変厳しい状況にあることは強く認識をしてございます。連続する三か月で三割以上の売上げが減少している事業者は給付対象とさせてはいただいてございますけれども、先ほど申し上げてございますが、様々な支援策とのパッケージで講じているということでございます。
例えば、売上高が五%以上減少していれば、低利、元本返済据置きの特別貸付制度も活用できます。二〇%以上が落ち込んだ方は、これを実質無利子とするとともに、納税や社会保険料の支払を一年間猶予させていただいてございます。
また、持続化補助金につきましては、売上高が前年同月比で二〇%以上減少している事業者の皆様方には事業完了を待たず補助金を即時に支払うといった支援もさせていただいているところでございますし、事業者の皆様方が置かれている状況に応じて手元資金確保のために様々な支援策を講じてまいります。
○田村智子君 緊急事態宣言中にさんざん借りろと言われてきたんですよ。補助金というのは、何か新しいことをやらなきゃ補助金って出てこないんですよ。新しいことができるような状況なのかということなんですよね。
東京歯科保険医協会のアンケート調査では、都内の歯科医一千八人が回答していますが、希望する支援策として、損失補填に次いで家賃支援が多くて、東京二十三区では五五%に及びます。都内ではオフィス街や駅前のビルの歯科医院も多いので、既にテナント料は相当な負担となっていますよ。
これ、根っこを見てみれば、やっぱり安倍総理が損失補填できないというふうに答弁したと、もう三月ぐらいからですね、そういう答弁したと。これで、医療も含めて政府はとにかく減収補填できないという立場に固執している。それで、安倍総理がやっぱり、今度の二次補正というのは五月のゴールデンウイークが明けて緊急事態宣言が延長されたことに対する支援だと、そう答弁しちゃっているから、それまでの減収がどうだったかということが全然考慮されないような説明になる。
でも、そんなの机上の計算じゃないですか。机の上だけの予算案ですよ。そんなこと、西村大臣地元行って説明できますか。自民党の皆さんも地元行って説明できますか、そんなことを、ここまで耐えてきた三割減、四割減の事業者に。
西村大臣、これ、何でお配りしたかというと、ここまだ事業イメージと書いてあるんですよ、イメージなんですよ。制度を本当に最終的に詰めるのはこれからだという説明を受けているんですよ、昨日も。だから、本当に考えてほしいんです。是非経産大臣とも協議いただいて、やっぱり三割減収、四割減収の皆さんが家賃支援は受け取れるかなと思ったわけですよ、報道されて。それを逃げ水にしちゃ駄目ですよ。これ是非、最後の詰め、検討していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) まず、先ほど来経産省の方で説明がありましたとおり、五〇%に満たない事業者であっても、それぞれの状況に応じて、持続化の補助金があったり、あるいは納税の猶予があったり、あるいは固定資産税の減免、それから実質無利子無担保の融資、雇用調整助成金、こういった様々な形で支援をまず行ってきているところであります。
その上で申し上げれば、今回の二次補正に際しては与野党協議会で様々な御議論を野党の皆さんからもいただいて、それをしっかりと受け止めながら制度構築をやってまいりました。特にこの家賃については、立憲民主党、国民民主党の皆さんからの御意見を踏まえてこうした制度設計をいたしているところであります。そして、維新からは、地方が独自に家賃を下げた場合にそれを支援できる枠組みをということで、この地方創生の臨時交付金を二兆円積み増すということにしているところであります。
更に申し上げれば、国がやることで手の届かないところ、目の届かないところをまさにこの地方創生臨時交付金で対応していただきたいというふうに考えているところでありまして、例えば福岡県でも三〇%以上のところを支援をしようと、もう既にやっています。あるいは、高松市とか三重県、三重県は売上げ減少関係なく応援をするということもやっています。
そういったところにこの地方創生の臨時交付金は使えますので、国としては与野党協議会の議論を経てこういう枠組みを今考えておりますけれども、さらに、届かないところは是非この地方創生臨時交付金をうまく活用していただきたいと思いますし、今回二兆円を増額した中には、与党内でもしっかりと議論をして、事業所が多い県、多い都道府県に、またそうしたことも配慮しながら配分もやろうということも今検討を進めているところであります。
そういった対応で、それぞれの施策をミックスしながら事業者の皆さんの要望に応えていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 その与野党連絡協議会に私が出席しているんですよ。四月に、つまり一次補正に家賃支援を入れろって求めたんですよ。入らなかったんですよ。だから、与党と協議しようってずっと何回も何回も求めたんですよ。もっとすぐに支援が届くように、三割減収からすぐに家賃支援ができるようにということを求めたんですよ。だから、最初報道で三割減収も対象になると報道されたときに、私とても喜びました。
ところが、予算案がまとまってその説明を受けてみたら、五月から十二月においてと書かれていて、それでびっくりしたんですよ。こんなこと野党認めていないですよ。違います。野党は一次補正でやれって求めてきたんです。遅れに遅れた上に、まだ五月から三か月も待たせるのかと。こんなやり方は、また持続化給付金と同じですよ。また届かない届かないって批判の嵐になりますよ。批判の嵐になってから手直ししようとすれば、また給付は遅れますよ。
始める前に、ぎりぎりまで是非検討いただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。