国会会議録

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保育士賃金減額防げ 田村氏 担当相が対応表明


(写真)質問する田村智子議員=4日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は4日の参院内閣委員会で、新型コロナ感染症による保育所の休業等で保育士の収入が不当に切り下げられることの無いように強く求めました。

 新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言のもとで、医療従事者らが引き続き業務に従事できるように保育所に対して開所継続の要請が行われ、保育所が保育体制を縮小しても、それまでの収入を保障する措置がとられました。

 一方で保護者に対して感染防止の観点から可能な限りの保育所への登園の自粛要請が行われた結果、保育体制が縮小され、保育士らが休業を余儀なくされました。事業所に収入が保障されているにもかかわらず一部の保育所で休業補償を行わない事態や、通常の6割しか支払われない事態が生じています。

 田村氏は、さいたま市の株式会社立保育所の保育士からの相談を紹介。新型コロナ対応で自宅待機となった保育士には、正規も非正規も通常の賃金を支払うことが適切な対応であり、監査でチェックもし、指導対象となることを明確にすべきと求めました。

 衛藤晟一大臣は、新型コロナ感染症にともなう臨時休業では「通常の賃金を支給すべきであり、正規と非正規の職員で差を設けることは望ましくない」と答弁。指導監査の際にも留意するなど、不適切事例に対する指導の徹底を自治体に要請したいと述べました。

2020年6月14日(日)しんぶん赤旗

【2020年6月4日 内閣委員会議事録より】 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 法案の質問の前に、新型コロナ感染症への対応で一つだけお聞きをいたします。保育士の賃金補償の問題です。
 先日、アルタナーサリー株式会社が運営するさいたま市内の保育園関係者から相談が私の事務所の下に届きました。四月、五月の登園自粛で自宅待機となった保育士に、社長から、休業中の給与は六割という通知が出されたというんですね。公費では給与は一〇〇%分を出しているのにと保育士からの不満の声が上がり、このままでは保育士が大量退職しかねないという訴えだったんです。さいたま市にも相談をしたとのことで、市の担当者が会社に事情を聞くと、休業手当との差の四割分は出勤者の上乗せ手当に使っているという説明を受けたそうなんですね。しかし、実際には割増しの賃金など払われていないということでもあります。
 内閣府は、保育体制を縮小しても、公定価格は基本単価や加算も含めて減らさず、職員の体制の縮小に当たっては、休ませた職員についても通常の賃金を支給するなど適切な対応を求めています。しかし、その一方で、公費の弾力的運用を認めてきたということもあって、この事案のように保育のために別に使いますというふうに説明をされると、問題ないということになりかねないんですね。
 新型コロナ対応で自宅待機となった保育士に、正規も非正規も通常の賃金を支払うことが適切な対応であって、監査でチェックもするし適切な対応をしていなければ指導対象となり得る、こういうことを明確にする必要があると思うんですが、大臣、お願いします。

○国務大臣(衛藤晟一君) 保育所等に対する公定価格では、新型コロナウイルス感染症に伴い臨時休園等を行う場合であっても通常どおり支給されています。これを踏まえ、職員の体制の縮小に当たっては、休ませた職員についても通常の賃金を支給するなど、人件費の支出について適切に対応すべき旨を自治体や保育所に示しているところでございます。
 引き続き、自治体に対しまして、保育所等への周知や、あるいは指導監査の際にも留意するなど、不適切な事例に対する指導の徹底に取り組んでいただくよう改めて依頼してまいります。

○田村智子君 今の点でもう一点だけなんですけどね、実は、非正規は休業手当で何だか割合を減らすと、だけど正規は通常の給与というような対応をしている事業者もあるというふうに聞いているんです。
   〔委員長退席、理事上月良祐君着席〕
 厚労省のホームページでは、雇用主向けQアンドAで、非正規雇用ということだけで法定外給付に差がある場合は、改正パート労働法違反になる可能性があるというふうにしています。中小企業への適用は来年からですが、法改正の趣旨や公費で一〇〇%給与支払が保障されていることを見ても、これも適切な対応ではないと思います。
 是非、監査などでチェックをし、必要な指導をする対象であるということも明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(衛藤晟一君) 保育所等に対する公定価格については、新型コロナウイルス感染症に伴い臨時休園等を行う場合であっても、非常勤の人件費を含めて通常どおり支給しています。これを踏まえれば、臨時休業等を伴う人件費の取扱いについて、正規職員と非正規職員を理由なく差を設けることは望ましくないと考えており、自治体に対して、保育所等への周知、指導監査の際にも留意するなど、不適切な事例に対する指導の徹底に取り組んでいただくよう依頼してまいります。

○田村智子君 保育士の皆さんがこれでは生活できないといって退職するようなことがあれば、これ社会的な損失は余りに大きいと、だからこその内閣府の対応だというふうに思っています。是非現場で適切な対応が行われるように発信をお願いしたいと思います。


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