新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続いています。政府はマスクを調達して医療機関に配布するとしています。ただ、医療機関や介護施設では使い捨てのサージカルマスクを再利用してまで使っている状態が続いています。他方、インターネットの通販サイトでは、マスクを大量に販売している業者もあります。(丹田智之)
(写真)中国から輸入されたマスクが店舗やネットで購入できるようになっています
(写真)通販サイトに出品されているサージカルマスク(一部加工)
ネットの通販サイトを検索すると不織布でできた1箱50枚入りのマスクを2800~3800円で販売しています。
中国の医療機器メーカーからマスクを輸入する神奈川県の健康食品販売会社は、次々と入る注文への対応に追われています。
「在庫に余裕」
「ネット通販では2000枚(40箱)セットを商品として出しています。それ以上の枚数でも注文は可能です。在庫に余裕があるので、今のところ販売数量の制限はしていない」
政府は緊急対応策で、医療機関にサージカルマスクを提供するとしています。その内容は「国内メーカーに増産を要請するとともに、海外からの輸入を拡大することにより、まず1500万枚を国が購入」するというもの。さらに4月中に追加で1500万枚、東京や大阪など7都府県に1000万枚を供給する方針です。
6カ月間で計約2億7千万枚の医療用サージカルマスクを調達する計画で、メーカーと卸業者から医療機関に優先的に配布するとしていますが、その実態は見えません。
日本共産党参院議員の田村智子副委員長が厚生労働省から聞き取ったところ、同省のマスクチームは国内外のマスク事業所に電話をかけて毎日買い取りをしているといいます。
大手通販サイト「楽天市場」では20日、サージカルマスクだけで620件が出品されていました。いずれも個人を販売対象とした商品で、フィルター機能が強化された医療用マスクを出品している業者もあります。
政府要請なく
衣料品を販売する大阪府の業者は、中国の企業と提携してサージカルマスクの販売を開始。担当者は「注文があった分だけ輸入しています。万単位の注文もありますが、中国の企業から断られることはありません。医療機関や介護施設が必要としていることは理解していますが、厚労省からは何も言われていない」といいます。
政府はマスクの転売行為を禁止していますが、メーカーや卸業者から仕入れた商品の通常販売は対象外。繁華街などの路上には、マスクを大量に積み上げて販売する業者も現れています。
田村副委員長は16日の内閣委員会で、医療用サージカルマスクの必要量と供給量の見通しを政府が示すことができない現状を指摘。「製造から買い取りまで押さえて医療機関に供給するという戦略を立てるべきだ」と述べ、マスクの製造ラインを政府が確保し、必要量を買い上げることを提案しています。
2020年4月21日(火)しんぶん赤旗より