国会会議録

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急ぐべきは予算措置 新型コロナ対策 特措法改定ありえない 参院予算委 田村副委員長 暮らし・検査体制への支援求める

 

 日本共産党の田村智子副委員長は9日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症対策について、緊急事態宣言を含む新型インフルエンザ特別措置法改定案の提出中止を求めるとともに「予算措置の具体化を急ぐべきだ」と強調し、国民の暮らしや自治体の検査体制整備への支援を主張しました。(関連記事

 

(写真)質問する田村智子副委員長=9日、参院予算委

 田村氏は、全国一律休校の要請に続き、専門家の意見を聞かずに中国、韓国からの入国制限措置をとったことを批判し、「こういう安倍総理のもとで、国民の権利の制限に道を開く特措法はありえない」と指摘しました。

 そのうえで一律休校要請を真摯(しんし)に反省し、「子どもが学び、遊び、成長する権利が保障できるよう現場の取り組みを支援すべきだ」と提起。就学援助利用世帯では、休校で子どもが学校給食を食べられず健康を直撃すると述べ、「希望者の学校給食は国が費用負担して提供すべきだ」と主張しました。コロナ対策で休業となった場合の給与保障制度の周知徹底と、フリーランス、自営業者などへの給付にも踏み出すよう求めました。

 学校給食に関して萩生田光一文部科学相は「子どもの居場所確保の点から昼食を提供することも、自治体の工夫の一つ」「家庭の経済状況が厳しい児童生徒にどう対応できるか検討したい」と答えました。

 田村氏は、国がこの間進めてきた“自治体リストラ”で、感染を判断するPCR検査を担う自治体の地方衛生研究所や市民の相談窓口などを担う保健所は予算や職員が減らされ弱体化してきた実態を提示。新型コロナ対策を進めるなかで、弱体化させた感染症対策の体制を思い切って構築し直すことを求めました。研究者の削減を続けてきた国立感染症研究所の人員と予算増も求めました。

 安倍首相は、地方衛生研究所に関して「感染症対策における検査実施機関の役割を果たせるよう必要な措置をとっていきたい」と答えました。

2020年3月10日(火)しんぶん赤旗より

 

【2020年3月9日 参議院予算委員会議事録】

○田村智子君 今日は、新型コロナ対策と桜を見る会で質問いたしますが、私の質問は途中でNHKの中継が終わると思います。切れた分は深夜の録画で放映がされるということですので、そちらも見ていただければというふうに思います。
 それで、午前中の質疑で、蓮舫議員が、突然の中国、韓国からの入国制限という措置がとられたことについて、科学的根拠は何なんですかという質問をされていました。これ、総理答えていなかったと思うんですね。総理の見解は述べたけど、科学的根拠を答えていなかった。
 ですので、私も聞きたい。この科学的根拠は何ですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 水際対策を行う上においては、言わば感染が拡大している地域、また感染が拡大する地域における方々の入国を制限するということがこれは世界各地でも取られているところでございますが、今般、この中国の感染者の数が累積で相当の数になっている、また、韓国においては感染者の数が急速に伸びつつあるということに鑑み、今回こういう判断をしたところでございます。

○田村智子君 その水際対策の強化ということこそ、専門家の知見、科学的根拠が求められたと思うんですね。ところが、またも専門家会議の議論はないままなんですよ。
 総理、何のために専門家会議、設置したんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、厚労大臣の下に、専門家の皆様方の知見をお伺いするために設けたものでございます。

○田村智子君 四日の党首会談で、我が党の志位委員長は、総理の独断専行を厳しくいさめました。そして、専門家の知見を尊重すること、各党会派の意見をよく聞くようにと強く求めました。ところが、その直後にまた専門家会議をなおざりにしたんですよ。
 こういう安倍総理の下で、国民の権利の制限に道を開くような特措法というのは、私はあり得ないと思うんですね。そもそも、今、法改正の必要性という、これも理由がないというふうに思うんです。私は、法案は提出を取りやめるよう強く求めたいんです。
 総理のこの突然の判断での全国の全校一斉休校、これ、子供たちは何が起きたのかということを理解するいとまも与えられないままに、三月という特別な時期に学校生活が突然打ち切られてしまったんですね。
 私は、こういうときだからこそ、子供たちには科学的な根拠に基づいて丁寧に状況を説明して、子供たちと先生もよく話し合う時間も持って、そして子供たちが自ら考えて行動するという、こういう力を育むということが学校の場で求められていたと思うんですよ。そこに学校の役割があったと思うんですよ。ところが、独断専行でこういう子供たちから学校生活を奪っちゃった。
 これは先ほど公明党の議員にもお答えいただいたので、私はこの場では総理に反省だけ求めておきます。子供に余りに大きな影響をもたらした。これ、真摯に本当に反省して、こういう状況の下でも子供たちが学んで、遊んで、成長する権利が保障されるように、是非、現場の皆さんの努力を本当にお願いしたいし、そのことへの支援を求めたいというふうに思うんですね。
 文科大臣にお聞きしたいんです。
 多くの学校が休校となったことで、経済的に弱い立場の子供たちにより大きな影響が出ていると思います。就学援助を受けている世帯などは、学校給食がないことが子供の健康と家計を直撃します。栄養バランスの取れた食事を取るということは、これは免疫力を付ける、感染症予防にもなるわけですよね。
 ですから、希望者に学校給食を国が費用負担をして提供すると、私、これ、あした決定する緊急対応策にも是非盛り込んでほしいと思うんですが、文科大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(萩生田光一君) 一斉休業で現場の皆さんに様々な御負担をお掛けしていること、大変申し訳なく思っております。
 今回の臨時休業に際して子供の居場所を確保する観点から、児童生徒等に学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することも、私は自治体の工夫の一つと考えられます。このため、三月二日付けで厚生労働省と文部科学省とで連名で発出をした子どもの居場所の確保についての通知においては、児童生徒等に対してこのような工夫により昼食を提供することの可能性についても、留意事項としてお示しをしたところです。
 今回の臨時休業に際して子供の居場所を確保するに当たり、自治体等が昼食を提供する場合にその経費を新たに国が一律に支援することは難しいと考えていますが、例えば家庭の経済状況が厳しい児童生徒などについてどのような対応ができるか、関係省庁と連携して検討してまいりたいと思います。

○田村智子君 もう直撃していると思うんですよ。もう学校給食一週間ないんですからね、直撃しているんですよ。そんな悠長なこと言っていられないんですよ。子供の貧困対策というときは、いついかなるときも国は手放しちゃ駄目なんですよ。是非、学校給食、これは国がお金出す、あした盛り込んでいただきたい。強く求めます。
 この一斉休校、入国規制、あるいはイベント自粛、この下で国民の収入補償をどうするかというのはこれまでも議論ありました。まさに喫緊の課題です。観光バス会社の雇い止めということのニュースもあるだけに、休業中の給与補償の制度の活用、これ本当に急がれるし、本当に周知していただきたいんですが、同時に、やっぱりフリーランス、自営業者、演劇や音楽の関係者などへの直接給付というのはもう踏み出さなきゃ駄目だと思うんですね。
 これは総理にお聞きしたいんですよ。融資では駄目ですよ。受けられない人が出てきちゃうんですよ。これ、香港やシンガポールでも個人給付の制度つくっています。対応しています。もう日本でも給付制度、これ踏み出すべきだと思います。総理、どうでしょう。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の臨時休校によって仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんについては、新たな助成金制度を創設することで、正規、非正規を問わず、休暇期間中の所得減少に対する手当てを行うこととしています。
 自営業者やフリーランスなどの小規模事業者については様々な形態があり、その個別の損失を国が補償することは困難であると考えておりますが、多くの事業者の方々から資金繰りについての相談を受けている現状にあり、しっかりと事業を継続していただけるよう、無利子無担保の強力な資金繰り支援を始め、個人事業主も含めて中小・小規模事業者の皆さんに対する実効的な支援策について講じてまいります。
 あわせて、今回の感染拡大を受けて休職や休業に直面し、生活に困難を生じている方の生活立て直しのための支援策も講じてまいります。

○田村智子君 これこそ政治判断なんですよ。こういうところで政治判断を求められるんですよ。予算措置の具体化を本当に急いでいただきたい、給付制度つくっていただきたい。これも強く求めます。
 次に、PCR検査の体制についてお聞きします。
 私、二月中旬に国立感染症研究所の複数の研究者からお話を伺いました。共通して言われていたのが、早く大学や民間検査機関でのPCR検査の体制つくるべきだということなんですね。ですから、我が党は早くからこのことを求めてきました。
 保険適用によって、民間の検査体制、これ不可欠となりますが、どこまで体制が取れているんでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 私どもも、そういう認識の中、たしか二月の中旬、二十日ぐらいだったか、ちょっと正確な日にちは忘れました、覚えておりませんが、その頃から、民間、あるいは大学、それから医療機関に対して、こうしたPCR検査をやるということであれば試薬をしっかり提供し、そして、その立ち上げに向けて支援をするということをお願いをしてまいりました。
 そういう中で、今、民間検査会社においては約一千八百、当時、四千ぐらいと申し上げた頃は九百五十であったものが一千八百に、大学においても四百五十と言っていたものが約六百、まだ医療機関は五十程度でありますけれども、そういう状況になっております。さらに、今月末に向けても、能力を拡大する、あるいは新規にスタートされるという方もあります。
 そういったことを、また、様々なそういった民間の検査機関が新たに分析機械、機器を買う、こういったことに対する補助も含めて、民間における能力の拡大に更に努めていきたいと思います。

○田村智子君 これは、保険適用ということは本当に民間の検査体制、ここが大きな柱になっていくわけですから、本当に急がなきゃいけないんですね。
 私、このPCR検査、保険適用の前は行政検査ですから、これは国立感染研、地方衛生研究所、検疫所、こういう国の機関が担っていく、あるいは自治体の機関が担っていく、そのことを承知の上で、感染研の研究者たちが早い時期からとにかく民間の活用を早くというふうに求めていた。それはなぜなのか。これ、やっぱり地方衛生研究所が余りにも弱体化しているんだと、この危機感があったからなんですよ。
 地方衛生研究所全国協議会、二〇〇四年、八年、一三年にアンケート調査を行っていますが、このアンケート調査から、一か所当たりの平均予算額の推移、どうなっているでしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 地方衛生研究所に対して行っております科学院の五年ごとのアンケート調査によりますと、一か所当たりの予算総額は、平成十六年度で約五億八千万円、平成二十五年度では約四億円という数字となってございます。
 また、地方衛生研究所一か所当たりの常勤職員の数は、平成十六年度で四十八・三人で、平成二十五年度では三十八・七人という数字となってございます。

○田村智子君 これは、SARSの流行は二〇〇二年から二〇〇三年なんですね。そして、新型インフルエンザの流行は二〇〇九年から一〇年。ところが、その間の二〇〇四年からの九年間で、何とこの予算、全国平均で三割も予算が減った状態なんですね。
 職員数の推移、これどうでしょうか。総務省、お願いします。

○政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。
 地方公共団体定員管理調査における都道府県、市区町村での衛生部門の試験研究養成機関、これは地方衛生研究所のほか看護師等の養成機関なども含んでおりますが、この総職員数は、二〇〇五年は五千三百七十五人、二〇一九年は四千百四十九人となっております。

○田村智子君 パネルにも示しました。(資料提示)本当に減り続けちゃったんですね。
 先ほどのアンケートは、直近のもの、二〇一三年なんですけど、人員が不足しているという回答は七割を超えていて、特に検査能力のある職員の不足が年々深刻になっているということがアンケート調査から分かるんです。それが二〇一三年で、そこから更に減っているんですよ。
 PCR検査について、地方衛生研などなどでも一日最大三千八百件ということをこれまでも大分、大臣から答弁いただいていたんですけど、これは機器をフル稼働させたときで、機械動かすには人が、人が本当に足りないんですよ。保険適用になってからも地方衛生研はPCR検査を引き続き担うことになります。
 どうしたら検査に対応できる人を増やせるか。これ、国も自治体も一緒になって真剣に取り組むこと必要だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 四千、国全体で最大四千近くと申し上げた頃に地方衛生研究所の能力は約一千八百でありましたが、その後、検査手法の改善をして、現在二千七百、約一・五倍ということであります。ただ、委員御指摘のように、これ人手が掛かる作業であります。特に、ウイルスから核酸を抜く、取り出すとか、やっぱりそういった作業は人手が要りますから、そういった配慮をしていく中でこの地衛研での能力をしっかり維持していく必要があると思います。
 ただ、これから先ほどお話があった保険適用ということになると、民間にかなりの部分行くわけでありますから、その辺よくバランスを取りながら、トータルとしてPCR検査がしっかりと行われるように我々も意を配っていきたいと思います。

○田村智子君 地衛研でPCR検査を行っている方が、匿名ではありますが、厳しい現場の実態をネットで告発しているんですね。一月から休日なし、通常業務もあるので平日も午前様、ふだんから残業しないと片付かない業務量なのに新型コロナの対応が加わって限界に近い、あと一か月続いたら確実に潰れる人が出ると。こういう訴えなんですよ。
 民間検査の体制、これ、つくるのはもちろんです。そっちに本当に検査数増やしていかなきゃいけないです。だけどね、地衛研の人の配置、これも本気で取り組まなかったら、通常業務もあるわけですよ。確かに、検査というのは、ぴっとこう薬を入れて、機械でこうぱっと出てくるんじゃないんですね。機械で出てきたその遺伝子の解析、出てきたものを人が読み取らなきゃいけないんですよね。このことを考えると、本当に人を増やすためのお金が必要なんですよ。
 国は今、検査機器、これ自治体も増やす、地衛研に増やすということですね、二分の一補助という制度を打ち出しているようなんですけど、私は、これはもう全額国庫負担にして自治体がもっと人の手当てにお金が充てられるようにするべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) これ、国が直接するのは二分の一ですけど、残りについても地方交付税が、ちょっとこれ、私、所掌じゃないから明確じゃありません、たしか八割という説明があったと思いますけれども、が出るというふうに承知をしております。

○田村智子君 人を増やすために自治体がお金を使えるようにしてほしいということなんですよ。検討してください。
 PCR検査が保健所で絞り込まれたこと、これは本当に検証が求められるというふうに思うんですね。しかし同時に、直視しなければならないのは、やっぱり保健所の職員数も激減している、箇所数も、一九九五年八百四十五か所から二〇一九年には四百七十二か所と、半数近くになってしまっているということなんです。
 今回の新型コロナの対策では、医療機関からのPCR検査の要請の窓口、これも保健所、市民の相談の窓口も多くの自治体は保健所でした。それから、PCR検査というのは医療機関に検体を取りに行って地方衛生研に運ぶと、これも保健所。陽性となった方には入院の措置をする、異議申立てができますよという説明も直接行う、これも保健所。濃厚接触者には毎日連絡を取って行動確認をする。全部保健所なんですよ。保健所なんですよ。
 通常業務では、飲食店などへの定期的な衛生検査があり、新生児の健康診断もあると。これ、もうとても体制が取れなくて、こういう通常業務を停止しているというところも出てきました。それでも三週間全く休めないという悲鳴の声が聞こえてくるわけなんです。私は、やっぱり公衆衛生、感染症対策の体制をここまで弱体化させてしまったという国の責任は本当に直視しなければならないと思うんです。
 厚労省は、新型インフルエンザの流行の後、この対策を検証する総括会議を二〇一〇年に行っています。そこでは地方衛生研の職員の体制強化が必要だというまとめも行っているんですね。
 ところが、一方で、政府は、国と地方の財政危機だといって、自治体リストラ、強力に進めました。地方交付税も定員削減などのリストラを進めた自治体に御褒美を付けると、こういうことまでやって人を減らせ減らせと求めてきたわけですよ。これが地方衛生研も保健所も、その定員削減の波にまさにのみ込まれてしまったと、私はそう言えると思うんですね。
 私、総理にお聞きしたいんです。今、現場の最前線で対策に当たっておられる方、長期にわたって減らされた人員の下で踏みとどまるようにして頑張っておられるんです。だけど、その現場には様々な批判の声が寄せられる。様々な厳しい意見にもさらされている。総理、今、こういう様々な遅れがある、それ現場で解決しなきゃいけない問題あるでしょう、だけど、国がこういう弱体化進めてしまったんだ、この反省すべきだと思うんですよ。国にも責任があるんだと、現場で踏みとどまっている方にやっぱり私、言っていただきたい。どうでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) これ、その図なんですけれども、保健所の職員ががくんと下がっているところ、これ、取り方が変わっていて、それまで非常勤も含めていたものが常勤だけになってきている。それから、やっぱり保健所全体の中で、保健師の数はしっかり確保している中でその他の職員の削減を図っていく。まさに、めり張りのあることをそれぞれの地域の中でやっておられるということであります。
 それから、実際、平成九年の四月から、例えば、母子保健に関する事業、あるいは栄養相談、一般的栄養指導の事業、これ市町村に移されて、いわゆる市町村保健センターで実施されている。したがって、保健師全体を見れば増加をしているということは統計的に見えるんだろうと思います。
 それから、拠点が変わったというのは、これは地域保健法に基づき策定した地域保健対策の推進に関する基本方針において、保健所の広域的、専門的かつ技術的拠点としての機能強化のため、規模の拡大や施設設備の充実を図るとして、都道府県の保健所の所管区域は基本的に二次医療圏等とおおむね一致することを原則ということで集約が図られた、そうした結果だというふうに思います。
 ただ、委員お話があったように、今、特に感染者が出ている地域においては、本当に保健所の皆さん方は大変な御苦労を、まあ保健所だけじゃありません、医療関係者含めてでありますけれども、大変な御苦労をいただいているということでありますから、そうした状況を我々もしっかり認識しながら、この新型コロナウイルスに対する感染防止に取り組んでいかなきゃならないというふうには思っています。

○田村智子君 もう公衆衛生や感染症対策の体制というのは強化が求められたんですよ、と私は思いますよ。
 シンガポールの首相が、二月の八日、国民向けに行ったスピーチというのが注目をされているんですね。その中でこう述べていますよ。十七年前にSARSの大流行があったおかげで、今回は新型コロナウイルスに対処する準備がかなり整っていました。マスクと個人用保護具は十分に備蓄されています。新しい国立感染症センターを含む医療施設は拡張され、改善されています。ウイルス研究の研究力もより高度になりましたと。重要なことは、我々はSARSを一度克服したことでこれからの問題も解決できる、こういうことを積み上げてきたんだということを、こういう話をしているんですよ。
 今、新型コロナ対策のこの政策の中で、私は、この公衆衛生とか感染症対策の体制、これ弱体化しているのは明らかなんですから、これやっぱり直視をして、思い切ってここから体制、今すぐに取っていこうと、総理、それぐらい言ってくださいよ。自治体に対して、地方衛生研や保健所の職員数を増やそうよと、政府も自治体リストラだって旗振るのやめるからと、こういうことを言っていただきたい。総理、総理、答弁してください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 例えば、地方衛生研究所が感染症対策における検査実施機関としての役割を果たせるように必要な措置をとっていきたいと、こう思っておりますし、また、国立感染症研究所は、我が国の感染研修所の中心機関としての役割の重要性に鑑みまして、大学及び民間との連携も含め、連携を含め、引き続き必要な役割を果たすことのできる体制の整備に努めてまいりたいと思います。

○田村智子君 もっと現実見てください。
 じゃ、国立感染研究所についてもお聞きしますよ。
 国立感染研究所、これ人員と予算、本当に増やしていくことを求められるんですね。先ほど紹介した新型インフルエンザ対策総括会議では、米国CDCを始め各国の感染症を担当する機関を参考にして、より良い組織や人員体制を整備すべきであると結論付けています。
 それでは、その二〇一〇年、それから今年度の研究者数、どうなっているでしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 国立感染研の職員の定員数でございますが、平成二十二年度が三百八十五人、それから令和元年度が三百六十一人というふうになってございます。直近の五年間で見ますと、まあ多少の増減はあるけれども、三百六十二とか三とかということで、おおむね横ばいになっているという状況でございます。

○田村智子君 この赤い折れ線がその研究者の人数なんですね。本当に大きく減っちゃったんですね。業務の合理化で定員削減はできるんだという方針が国立感染研にもそのまま当てはめられてしまったわけなんです。
 国立感染研の基幹的業務には、感染症の国内外の発生状況を取りまとめて情報提供をするサーベイランスという業務があります。現在、専任職員は二人、どちらも一年契約の期間業務職員で、月給は二十万円ほどです。一人が週報、もう一人が月報の担当者だと。ですから、これ実態は一人体制で回しているんだということを、私、国立感染研の中でお聞きをしてきたところなんですよ。常勤の室長が補佐はしているというふうに聞いていますよ。だけど、実際の、違うんですか、今はどういう体制になっていますか。じゃ、お聞きします。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 感染症サーベイランスの情報確認、整理、分析につきましては、感染研の感染症疫学センターの職員五名で対応しているところでございますが、これらの感染症サーベイランスの情報を編集して週報等に掲載する業務につきましては、今委員からございました主に非常勤職員二名が担っているという状況であると承知しております。

○田村智子君 そう、実質、その週報って、毎週毎週実際に情報を集めてやっている担当者、一人なんですよ。私、感染研で聞いてきたんですよ。いろんなことと兼任の方で五人いるかもしれないけれど、そのことに専任でやっている方は期間業務職員の一名なんですよ。
 これ、十年ほど前は、常勤の室長の下に月報担当の主任研究官、これもちろん常勤の方ですね、がいて、さらに非常勤五人の体制だったというふうにお聞きしているんですけれども、それがもうこれ以上後ろに下がれないというほど体制後退しているんですよ。
 新型コロナウイルスも、PCR検査が本格的に始まることで情報の正確な集約、これますます必要になってくるんですね。ですから、それと、新型コロナの陰で見落としてはならない感染症の情報もあるんですよ、これすごい数の情報ですから。皆さんも是非ホームページで見ていただきたいと思うんですけど、物すごい数の感染症、これ毎週毎週取っているんですよ。
 私は、現在この業務に当たっている方、四月から緊急に定員増で正規の職員にして、そして補佐する期間業務職員、緊急に募集する、これぐらいのことやるべきだというふうに思うんですけど、どうでしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) 御指摘のありました件でございますが、職員を定員化するかどうかというのはなかなか厳しい話ではございますけれども、今回の事案も含めて見直すべき点は見直して、感染研の機能維持、強化のために努めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 これ、国立感染研の場合、予算も見ていただきたいんですけれども、これ青いところが競争的研究予算なんですね。これが大きな割合を占めています。でも、感染研が担っている研究というのは行政研究なんですよ。国の感染症対策に必要な研究なのに、大学などの研究者と予算を競い合って取ってこいというのは、私、これおかしいと思いますね。
 これ、予算の在り方を見直して、感染症対策予算としてもう来年度の予算からしっかり手当てする。これ、大臣答えてくださいよ。これ、必要だと思いませんか。

○国務大臣(加藤勝信君) 基盤的研究費は、感染研的、ごめんなさい、感染症研究と医療、科学技術の発展に必要不可欠なまさに基盤的、基礎的研究を行うための経費ということで、予算額にして近年ほぼ同額を確保しておりまして、令和二年度で対前年度、ほぼ一・二億ということであります。
 また、この上の競争的研究費と、これまさにAMED等を通じて配分されている費用でありますが、これは国全体として、やはりAMEDに集約する中で本当に必要なところを配分するという仕組みの中で行われる、今年度はまだ確定していないのでそこは白になっているので、ゼロという意味ではないわけでありますので、引き続き、そうした予算もしっかり確保しながら、トータルとして研究がしっかりなされるように努力をしていきたいと思います。

○田村智子君 私がこういう問題を一番最初に取り上げたのは二〇一三年のことなんですよ。それは、現場から、予算が足りなくて機器の修理もままならなくて、研究者が一生懸命機械直しているんだと、私は寄生虫の扱う専門家だけど機械扱う専門家じゃないよと、こういう声まで聞こえていたわけなんですね。で、退職者の補充もない、専門外の研究を掛け持ちで対応していると。これに私、危機感を覚えて質問しました。
 ところが、当時の厚労大臣は、厳しい財政状況の中でなかなか、一律にシーリング、これ予算削減のシーリングですね、これ外せないと、厚労大臣一人で決められることではないと、こういう答弁で、事態は変わりませんでした。
 昨年の四月にも取り上げました。インバウンドだ、外国人労働者受入れだと、こういう中で新たな感染症が日本で発生する危険性があると、せめて定員削減の対象から外すべきじゃないのかと、こういうふうに質問しました。御指摘の点は重要だ、国立感染研は重要な役割を担っている、そういう答弁はみんなやりましたけれども、誰も定員削減やめるって言わないんですよ。
 総理、総理、本当に日本も新型インフルエンザの大流行を経験して、国内の感染症対策どうするかという検証やってきたと思います。SARSやMERS、近隣の国々でどう対応したか、それも検証してきたと思います。それも具体的な政策に生かしていかなきゃいけない、転換しなきゃいけない、私、そう思うんです。いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回、国立感染症研究所の皆さんは大変大きな役割を担っていただいていると思います。この役割の重要性に鑑みまして、大学及び民間等の連携も含めまして、今回のこの対応を十分に検証しながら検討していきたいと考えています。

○田村智子君 本当に私は、やっぱり国家公務員や地方公務員というのは、災害や感染症対策で最前線に立つ任務も持っておられるわけですよ。今回のことで本当にそれが定員削減という一律の枠の中で合理化迫られていくのでいいのかと、真剣な検討と即刻政策改めるということを改めて求めます。
 


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