参院予算委 田村氏の追及で浮き彫り
日本共産党の田村智子議員は8日の参院予算委員会で、安倍晋三首相をはじめ、自民党の閣僚や議員が、首相主催の「桜を見る会」に地元の後援会員を多数招いている実態を突き付け、安倍首相の認識を追及しました。安倍首相はまったく答えられず、税金でまかなう公的行事が安倍内閣のもとで私物化されている実態が浮き彫りになりました。
(写真)質問する田村智子議員(右)=8日、参院予算委
桜を見る会は“各界で功労・功績のあった人たちを慰労し、懇談すること”を目的に毎年4月に東京・新宿御苑で開かれます。参加費は無料で、たる酒その他のアルコール、オードブルやお菓子、お土産がふるまわれ、芸能人・著名人に直接会うこともできます。
田村氏は、桜を見る会には、功労・功績のあった人たちを各府省の推薦で招待することになっていると指摘。ところが、自民党の閣僚や議員が地元後援会員を招待し、その模様を発信しているとして、その一部を紹介しました。
(写真)2019年の桜を見る会の招待状と参加者用のリボン、お土産の升
▼「稲田朋美 日々の活動報告」/桜を見る会 「地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、たいへん思い出深い会になりました」▼「世耕弘成後援会ニュース」/「『桜を見る会』にて 地元女性支援グループの皆さんと」▼松本純衆院議員の「国会奮闘記」/「内閣総理大臣主催『桜を見る会』 役職ごとに案内状が割り当てられます」「選挙のうぐいす嬢の皆様をはじめ後援会の皆様と参加いたしました」
田村氏は、萩生田光一文部科学相もネットで「総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様をお招きしました」と発信していることを指摘し、次のようにただしました。
田村 (常任幹事会の皆様は各府省の)どの部署が推薦したのか。
萩生田文科相 実際に参加された方は、手続きにのっとり招待された方だ。
田村 何の団体の常任幹事か。
文科相 後援会の中の常任幹事の方だ。
萩生田氏はしどろもどろになりながらも自らの後援会員を招待していたことをしぶしぶ認めました。
後援会員招待の最多は安倍首相
田村氏は「後援会・支援者の招待枠を自民党のなかで割り振っているのではないか」と追及。安倍首相が「私は主催者としてのあいさつや、招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめ等には関与していない」などと人ごとのように答えたのに対し、田村氏は「後援会のみなさんを最も大勢招待しているのが、安倍首相だ」とさらにたたみかけました。
田村氏は、下関市選出の友田有・山口県議会議員がブログで「今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました」と発信していることなどを紹介。安倍首相の後援会員が、安倍事務所が取りまとめ役になって「下関から毎年数百人が上京する」と証言していることなどを紹介すると、委員会室からは「ひどいな」などのどよめきがおきました。田村氏は、安倍首相自身が後援会員を広く招待している事実を突き付けて次のように迫りました。
田村 案内状発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりにあてて送付する。安倍事務所がとりまとめをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうしてわかるのか。
大塚幸寛・内閣府大臣官房長 推薦者のとりまとめにかかる情報は、円滑な取りまとめに支障をきたす恐れがあるので、答えは差し控える。
田村 安倍事務所に確認してください。
安倍首相 個人に関する情報であるため、回答を差し控える。
安倍首相らが質問にまったく答えないため、質疑は何度も中断。田村氏は「税金を使った公的行事だ。どのような功労・功績があるのか説明できないとおかしい」として、きちんと調べて報告するよう要求しました。
手荷物検査せず開門前記念撮影
さらに、田村氏は、安倍首相の後援会員の証言や首相動静から、桜を見る会の前日には安倍首相夫妻出席のもと毎年、前夜祭が開かれていることを明らかにして、安倍首相が桜を見る会への招待を地元後援会の恒例行事にしてきたことを指摘。桜を見る会の開門・受付開始は午前8時30分なのに、毎年午前8時前後に安倍首相が地元後援会の人と新宿御苑内で記念撮影をしていることもあげ、次のようにただしました。
田村 なんで開門前に、山口の後援会のみなさんと、あなたは写真をとっているのか。
首相 セキュリティー(安全)にかかわることなので回答を差し控える。
答弁に窮した安倍首相は「セキュリティー」を持ち出して、答えることをかたくなに拒否。田村氏は、安倍首相の後援会員が手荷物検査も受けずに受付をすませていたと証言していることを示し、「開門前に手荷物検査もしないで大量に人が入ったら、それこそセキュリティー上問題だ」と述べ、「そういうことを、公的行事で税金を利用して行っている。まさに(政治の)モラルハザードは安倍首相が起こしている」と厳しく批判しました。
2019年11月9日(土)しんぶん赤旗より