国会会議録

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助成金詐取などただす 参院委 企業主導型保育で田村氏

(写真)質問する田村智子議員=7日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は7日の参院内閣委員会で企業主導型保育で助成金詐取などの問題が相次いでいる背景にある貧弱なチェック体制や政治家の関わりをただしました。

 田村氏の質問に、内閣府は、問題発覚による助成決定の取り消しなどで返還を求めている助成金は約11億2000万円で、助成金詐取の疑いで役員が逮捕されたコンサルタント会社「WINカンパニー」(福岡市)関連だけで約9億円にのぼることを明らかにしました。

 田村氏は、整備完了が報告されていた同社関連の保育園が更地だったことにふれ、「現地で確認すれば、まともな事業者でないと分かったはずだ」と指摘。また、「しんぶん赤旗」日曜版が報道した同役員と秋元司・前内閣府副大臣の深い関わりを追及し、秋元氏の参考人招致を求めました。

 さらに、今回の問題で同社関連の保育園で保育の継続が危機に陥っても、内閣府には、まともな対応をさせる能力も体制もないことが露呈しており、このまま企業主導型保育を続ければ同じ問題がおきかねないと大臣の認識をただしました。

 衛藤晟一少子化対策担当相は、事業を所管する内閣府も現在の実施機関も「チェック機能をもたなかったことは恐らく事実だ」と認めましたが、「書類審査だけでなく実地の検査、指導ができる(新たな)実施機関を公募している」と事業は進める姿勢を示しました。

 田村氏は、最初の実施機関の公募でも、資格を満たした応募事業者が2事業者しかなく、低評価でも現在の実施機関を選んで見切り発車したと指摘。安倍政権の目玉政策だからとまた拙速を重ねるのは許されないと批判しました。

2019年11月8日(金)しんぶん赤旗より

 

【2019年11月7日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 幼児教育、保育の無償化、その実施の直前、八月末から九月にかけて保育現場や自治体は大混乱に陥りました。保育料を無償と言いながら新たに給食の副食費を保護者から徴収する、こういうことになったんですね。それで、保育所への運営費支給の基準となる公定価格もこれに伴って変更されました。
 国会審議では、実費徴収の対象となる副食費は四千五百円という答弁があって、これを前提に法案審議をしてまいりました。
 資料として、三月二十八日、衆議院内閣、文科の連合審査、我が党高橋千鶴子議員の質問と答弁を配付しています。
 当時の浜谷子ども家庭局長の答弁ですね。公定価格における保育所の食材費の積算につきましては、昭和三十八年度当時に設定されました単価を基に、毎年の消費者物価指数等の変動を勘案して見直ししてきております。現在、主食費については三千円、副食費については四千五百円と。公定価格における食材費の積算は副食費四千五百円と、こういう答弁だったんです。
 ところが、八月末、副食費の食材費分として、公定価格を五千百八十一円、引き下げることが突如示された。九月四日付けの事務連絡では、公定価格における副食費を今年度四月に五千百八十一円として計上したと説明しているわけですよ。
 これ、幼児教育、保育無償化の法案は、参議院で審議始まったの四月十二日なんですね。既に公定価格五千百八十一円、引下げという算定をしていたはずです。なぜそのことを答弁されなかったんですか。

○政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。
 御指摘の三月の委員会における高橋千鶴子委員の御質問に対する政府参考人の答弁は、委員から、保護者から徴収する保育料の内訳としての副食費の額が四千五百円である、このことの根拠について問われた際の答弁のことを指していらっしゃるものと認識しております。
 その答弁の際、保育料の内訳としての副食費に関して答弁すべきところ、公定価格の積算上の副食費として答弁したため、正確性を欠く内容となってしまったものでございます。また、二〇一九年度四月から九月までの公定価格の積算上の副食費につきましては五千百八十一円であることは事実でございます。
 この度は正確性を欠く答弁となってしまったことにつきまして、おわびを申し上げます。

○田村智子君 これ、三月二十八日の答弁は事実上間違いだったと今お認めになったんですけど、もうそれだけじゃないですよ。法案提出前から、給食費の新たな徴収というのは議論の焦点の一つでした。ここで通常国会からいらした方はよく分かっていらっしゃると思いますよ。
 私も、だから昨年から、どの程度の保護者負担を見込んでいるのかということは、何度も部屋の方に呼んで説明を求めたりしてきたわけですね。その際にも四千五百円と示される。だから、こちらからは、四千五百円を超えて公定価格を引き下げることはないよねと、こういう確認もして、そうだということのやり取りをしているわけなんですよ。
 五千百八十一円なんというのは国会にも国民にも一度も示したことがなく、いきなり公定価格引下げ案として直前に示された。私も驚いて、すぐに担当者呼んで、これどういうことなんだと、国会で虚偽答弁したのと同じじゃないかということで厳しく意見をいたしました。
 これ、そういう質問がなかったからというのは余りに不誠実ですよ。法案審議の際に政府の側から説明する、これは当然のことだったと思いますが、もう一度、厚労省お願いします。

○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 副食費につきましてはこの十月から施設が利用者から徴収することになりましたが、その額については、保育料に含まれる金額が月額四千五百円であったことや、支出額の実態がその額に近かったことから、目安として月額四千五百円ということで地方自治体に従来から説明を行ってまいりました。
 ところが、一方、市町村から施設に支払われる公定価格においては副食費としてこれまで約五千百八十円を計上していたことから、徴収方法の変更に合わせてこの金額を減額するとともに、施設側で徴収される四千五百円との差額分を活用して栄養管理加算やチーム保育推進加算を拡充する形で十月からの公定価格の案を公表したところでございますが、やはりその際の公表が当初の予定よりも遅れまして八月下旬となり、市町村や事業者に対する十分な説明や周知が行き届かない状況となっておりまして、そのため、関係各所とまた再度調整をいたしまして、保育料に含まれた副食費の額である四千五百円の減額にとどめまして、施設において減収が生じないように措置をすることといたしました。
 なお、これに伴いまして、約五千百八十円の差額を活用した加算の拡充というのは、十月からの実施は見送ることとしたものでございます。

○田村智子君 これ、今の答弁でも、私たちの審議中に五千百八十一円、もう公定価格引き下がるって分かっていたということですからね。本当にとんでもないんですよ。もう保育所にとっては運営費として支給が幾ら減らされるのかという大問題です。また、給食費徴収分を独自に支援しようとしていた自治体も、これ予算の見込みが大きく変わることになって、まさに大混乱になったわけですよね。
 全国市長会の立谷秀清会長、これ相馬の市長さんですけれども、制度の十月スタート寸前になり、内閣府が物価調整分六百八十円を保護者負担に上積みする公定価格案を一方的に提示してきました、今更こんなことは市民に説明できません、これはPDCA協議会を通じて物事を決めるという年末の約束をほごにした国による不当な行為で、全国市長会としては到底容認できませんと、こういう檄文を飛ばして、九月十七日には自ら官房長官に直接抗議をする、こういう事態になりました。そして、政府は、先ほど答弁あったとおり、急遽公定価格引下げを四千五百円にもう一度改めて通知をし直したと。
 衛藤大臣、国会にこれはもう事実上虚偽答弁ですよ。ごまかし答弁ですよ、公定価格についての。こういう責任、またこの大混乱の責任、どう認識されておられますか。

○国務大臣(衛藤晟一君) 仰せのとおりでございまして、当時私は大臣じゃございませんでしたけれども、自民党としてこういういろいろな調整に皆さんいろんな形で部会等を中心にしてやりましたので、正直言って、五千百八十円が出たときにはびっくりしたということでございまして、もう仰せのとおりでございます。私は、計算上はそういうことになっていたということまで当時はまだ知る由もありませんで、この案が出たときに非常にびっくりしたということでございます。
 いろんな経過がありますけれども、そういう意味で、大変市町村や事業者の皆さんに御迷惑と御負担をお掛けしたことを内閣府としてはおわび申し上げなきゃいけないという具合に思っております。

○田村智子君 四千五百円になってよかったで終わらせるわけにいかないんですよ。その帳尻合わせとして、今度は十月から実施予定だったチーム保育加算、栄養管理加算、この拡充が見送られてしまいました。これも約束違反なんです。
 今の保育士の配置基準では現場の保育を回すことは困難だということを私はこの委員会で何度も質問してきました。それに対して、チーム保育加算を拡充することで人手を充てられるというのが大臣の答弁だったんですよね。栄養管理加算も、食育やアレルギー対応などの取組の必要性から栄養士などの配置を拡充しますと、こういう約束をしてきたものなんですよ。これらの加算を活用しようとしていた施設は現にありました。年間数百万円規模で影響を受けております。
 虚偽答弁に端を発した混乱の帳尻合わせで、今度はやると言っていた加算拡充をほごにする、これも許されないことだと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(衛藤晟一君) 虚偽答弁というわけではなかったんですが、いわゆる計算方法を明らかにすることが遅れてきた、そしてそのことが大変な混乱を招いてきたということについて、率直におわび申し上げなければいけないという具合に思っている次第でございます。
 そしてまた、今お話ございましたように、栄養管理加算とかチーム保育加算は、食育の推進とか、あるいは保育の質の向上に関して大変重要なものと思っています。ただ、今、そういう具合に予算があるわけではございませんので、この財源を入れて早急に手当てができるかどうかということについて今検討中でございまして、今はこの財源がございませんのでどうしようもありませんけれども、できるだけ早い時期にこれに対応していけるように今検討中でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田村智子君 是非、必ず拡充していただきたい。
 次に、企業主導型保育事業についてお聞きします。
 企業参入を短期間に大規模に促すために保育事業の経験のない企業も参入させる、全国からの事業申請を児童育成協会が全て受け付け、面談も現地視察もないままに、メールと電話のやり取りだけで審査をして助成決定をする、これではもうけ本位の不適切な事業者が参入し得るということを厳しく指摘してまいりましたが、そのとおりになってしまいました。
 工事費の水増し請求で助成金を詐取した合同会社ANELA、助成金を受け取りながら施設整備さえしていなかったコンサルタント会社WINカンパニー。どちらも会社役員が逮捕されるという事態にまでなりました。
 この二つの会社が関わった企業主導型保育施設は何か所で、助成額は幾らか。また、既に補助金助成して不適切だと思われる施設の総数、助成金額の総額、お示しください。

○政府参考人(嶋田裕光君) まず、お尋ねのWINカンパニー、ANELAの関係の関わった施設と助成された金額というお尋ねでございますけれども、まず、WINカンパニーにつきましては、設置者となっている施設は一施設、直接設置者となっている施設は一施設でございまして、七月一日から休止をしておるというところでございます。そして、返還を求めている金額は、この一施設については四千二百万円でございます。
 一方、このWINカンパニーがコンサルその他として関連する施設について、その対象がどこまでかというのが明らかでないため、網羅的にお答えすることは困難ではございますけれども、現時点で取消し又は取りやめをした施設のうち、保育施設の名称とか、あるいは申請担当者が同じであるといった情報からWINカンパニーが関連していると考えられる施設を挙げると、十施設というふうになります。なお、その十施設に対してこれまで助成された金額については、正確には現在精査しているところですが、返還を求めている金額といたしましては約八億五千五百万円でございます。
 それから、ANELAにつきましては、合同会社ANELAが設置者となっている施設は七施設ございましたが、現在は全て事業譲渡されておりまして、なお、その七施設に対してこれまで助成された金額及び返還を求める金額については、水増し分がどれだけなのかということについてもありますので、それを精査している段階でございます。
 いずれにしましても、内閣府としては、実施機関を点検し、補助金の返還につながるような事案の有無に対して調査を進め、必要に応じて厳正に対処しているところで、引き続き調査を進めてまいりたいと思います。
 それから、あともう一つお尋ねがありました、これまで助成してきた施設で助成金の返還が発生してきた過去の施設の総数と金額という、これもお尋ねだったと思いますけれども、これも四月の二十六日に公表させていただきました企業主導型保育事業の平成二十八年度、二十九年度助成決定分の検証について、いわゆる二か年検証と言っておりますけれども、それにおきまして示しましたところでは、助成決定後、事業の取消し及び取りやめをした施設のうち、助成金の返還が必要であった五十九施設のうち五十施設については既に返還済みとなっておりましたが、その後の状況とか返還が発生した助成金及び返還される助成金の総額については、現在ちょっと精査をしているところでございます。
 また、九月の二十七日に公表いたしました児童育成協会に対します実地調査報告の時点で明らかにしましたのは、取消し及び取りやめにより現在も助成金の返還を求めている施設というのは、取消しが十六施設、それから取りやめ八施設の合計二十三施設でございまして、返還を求めている助成金の総額は約十一億、十一億円二千万でございまして、この額は先ほど言いましたWINとかそういったものの額を含んだものになっているということでございます。

○田村智子君 これ、とんでもないことなんですね。
 今お話のあった内閣府調査チームが児童育成協会への実地調査を行ったと。それで、その施設の一覧、これ私も資料で二枚目と三枚目に付けています。
 WINカンパニーは、企業主導型保育事業をやりませんか、事業申請、建設、保育の実施まで全てお任せくださいというコンサルタント会社で、その関連企業が、J―Alive、ジャングルフードサービス、全国子ども保育促進機構、こういうところが設置者や保育受託者にもなっていたわけです。だから、どこまで関わっていたかというのは本当に分からないような状況になっているんですね。
 児童育成協会が審査するのは設置者だけなので、コンサルで関わっていた、不適切企業が、あるいは保育委託先が不適切な事業者だった、こういうことは把握する仕組みもないわけですよ。
 私は、福岡市内のWINカンパニーが関わった保育園の現場に実際に行きました。KIDSLAND柳瀬というのがこの欄の中にもありますけど、内閣府の資料には、整備完了報告において事実とは異なる報告をする不正の事実が判明したという柔らかい書き方なんですけど、今年七月に助成決定取消し。所在地はただ雑草が生い茂るだけの更地で、何の工事もされていなかったということは一目瞭然だったんです。
 WINカンパニーとその関連会社に対しては、二〇一六年度、平成二十八年度から次々に助成決定していますが、これ、現地に行って確認すれば、まともな事業者ではないということはもっと早い時点で分かっていたはずなんですよ。助成金詐取というのは一件起きたって大問題です。ところが、年度をまたいで延々続いて、分かっているだけで、WINカンパニー絡みだけで八億超える返還ですよ。
 これ、問題を認識できる能力がなかったのか、それとも、何か問題あるなと気付きながら助成決定続けたのか。どうなんですか。内閣府。

○政府参考人(嶋田裕光君) 今般、不正事案が発生したことを踏まえまして、現在の実施機関である児童育成協会の実態調査をいたしておりまして、この結果、事業を所管してきた内閣府と児童育成協会がきちんと対応できなかったことというのが改めて確認されて、この点はしっかりと受け止めたいというふうに思っています。
 今後、今後の不正事案が生じることのないように、これまで専ら、先ほど御指摘のありましたように、書類審査のみであった点というのは、申請者に対するヒアリングをしっかりする、あるいは現地確認を行うということで公募要領に改善方策を盛り込んでおりまして、実施機関を改めて公募をしているところでございまして、これを基に着実に制度の仕組み、制度の仕組みの改善を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 WINカンパニーについては大変闇が深いです。
 これ、WINカンパニーがコンサルトとして申請代行をしているんですけれども、私たちのしんぶん赤旗日曜版が取材したところ、この申請代行を依頼した事業者の中には、申請に必要なIDを自分は知らない、申請内容の確認もできない、こういう方がいました。また、申請から助成金が振り込まれるまで、ただの一度も児童育成協会からの連絡がなかったと。川崎被告が逮捕される直前に初めて協会から連絡を受けて、何で今まで連絡なかったのかというやり取りしたんでしょうね、そうしたら、育成協会の担当者は、川崎さんから直接連絡しないようにと言われていたので連絡できなかったと、こういう弁解の説明を受けたんですよ。これ、川崎さんというのはWINカンパニーの代表で、逮捕された被告ですね。こういう証言は、WINカンパニーに申請代行を依頼した複数の事業者から私たちは得ています。
 これ、一般論としてお聞きします。コンサル会社が申請代行すると、その設置者である、申請者ですよ、本当の、そこに一度も連絡しない、メールもない、電話もない、こんなことあるんですか。

○政府参考人(嶋田裕光君) その点については後ほど確認させていただきます。

○田村智子君 これ、極めて不自然なんですね。
 この逮捕されたWINカンパニーの川崎被告、脱税で有罪となって不動産業をやめて、名前を変えて、自分の名前を変えて、今度は企業主導型保育事業をビジネスにするためにWINカンパニーを立ち上げたと。そして、あきもと司前内閣府副大臣と古くからの知人であることは、あきもと氏が認めているとおりなんです。
 資料でしんぶん赤旗日曜版の記事を付けていますので、よく御覧いただきたいんですけれども、この川崎被告は、企業主導型保育事業が始まった直後の二〇一六年六月、内閣府子ども・子育て本部の参事官、参事官補佐、企画係長の名刺、つまり企業主導型保育事業の担当者の名刺を周囲に見せていたというんですね。その名刺の写真も新聞には載せました。
 二〇一七年二月三日、保育事業関係者に、二月二十三日にほとんどの内閣府の許可が出ます、他の保育園の名前を記しているんでしょう、その園についても月内には許可出る見込みと答えが入り、みんなで万歳してますというメールを送っています。私たち、そのメールを見ています。実際、若干の時間のずれはあったんですけれども、二月二十七日以降、この川崎被告が絡んだ十九園について次々と助成決定がされています。
 さらに、同じ年の十一月二日には、来週、内閣府及び内閣府副大臣あきもと司先生との衆議院会館にて訪問アポが取れていますというメールも送信されています。
 なぜ川崎被告が子ども・子育て本部参事官の名刺を持っていたのか、なぜ助成決定を事前に知っていたのか。あきもと氏が関わっていたからではないのかという疑念が湧いてくるわけです。また、二〇一七年十一月、あきもと副大臣は川崎被告やWINカンパニーの関係者に直接面談していたのか。もうこのとき副大臣ですから、内閣府分かると思います。以上を答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(嶋田裕光君) 御指摘されている、報道されているような、内閣府職員とそれから議員、あるいは関係者との接触等がなかったかどうかにつきましては、現在、ちょっと事実関係を調査しているところでございます。

○田村智子君 これ、是非調査をちゃんとやっていただきたいんですね。助成決定内容が事前に知らされるなんというのはあり得ないことですからね。
 衛藤大臣にもお聞きしたいんです。WINカンパニーと内閣府の接触、これ、当時内閣府副大臣だったあきもと司氏がどういう関わり方したか。これは内閣府だけにお任せしないで、これ、大臣もちゃんと見て、徹底した調査やっていただきたいと思いますが、お願いします。

○国務大臣(衛藤晟一君) 企業主導型の保育というのは、ある意味では企業と一体となって頑張っていただいている、いいところもたくさんありますけど、今お話がございましたように、やっぱりその中に、本当に善意を持ってやろうという人と、これはひとついい仕事だと思ってやろうとする人が混在して入ってくる可能性は当初から、御指摘されたということでございますが、私も今までずっと社会保障の関係もやらせていただいていまして、そのとおりだという具合に思っています。
 それだけに、児童育成協会に対して指導が甘かったというか、基準をちゃんとしていなかったということでございまして、今、これを精査をして、そして基準をはっきりしようとしているところでございます。
 調査についても、できるだけの調査を職員を通して今やっている最中でございますので、ちゃんと見届けたいというふうに思っております。

○田村智子君 これ、あきもと司氏は、五月二十三日、参議院厚生労働委員会で石橋通宏議員の質問に、川崎被告とは少なくとも五、六年会っていないと答弁しています。しかし、川崎被告は二〇一七年六月、あきもと氏の政治資金パーティーに複数の保育事業者とともに参加し、あきもと氏と記念撮影もしている。十一月に面談したのではないかという疑惑も浮上をしました。
 WINカンパニーによる助成金詐欺がなぜこれほど大規模に起きたのか。これはあきもと司氏を本委員会に参考人として招致し、真相究明することが必要だと思いますので、委員長、お取り計らいください。

○委員長(水落敏栄君) 後刻理事会で協議します。

○田村智子君 内閣府は、問題の責任を児童育成協会に押し付けて、十月一日から新たな事業者を公募することで問題の幕引きを図ろうとしているんですけれども、これは許されないです。
 そもそも、企業主導型保育を所管する内閣府に何のチェック機能もなかった。また、問題が明らかになっても迅速に対応することもできなかった。これは極めて重大です。
 WINカンパニーの関連企業が設置者となったある保育園では、この企業の役員も逮捕をされてしまって、保育現場は大混乱となりました。それでも、保護者と子供たちを路頭に迷わせるわけにはいかないと、施設長と保育士の皆さんは保育を継続したんですね。けれど、助成金は全く入ってこなくなる、保育料も委託会社が徴収しているので手元には来ない、家賃も保育士の給料も払えない、その上、保育園とは全く関係のない高額の飲食費などの請求書が次々に保育園宛てに郵送されてくると。一体どうしたらいいのかという状態になって、児童育成協会に電話を何度もしているんです、施設長さん。ところが、担当者が不在だとか、折り返し連絡するとか、こう言われるだけだった。とうとう、この施設長さんからのSOSが参議院選挙の真っただ中に私の事務所に寄せられることとなりました。
 七月十七日、私の事務所で内閣府の担当者を呼んで、すぐに相談に乗って児童育成協会と内閣府の責任で打開の方向を示すべきだというふうに求めましたが、事態は全く動かなかったんですよ。八月に入ると、今度は保育士全員に解雇通知が一方的に郵送される。これでまたSOSが来たわけですよ。もうこれは私も駆け付けるしかないと思って、飛行機で駆け付けましたよ。それで、施設長にも会って事情を詳しくお聞きして、聞き取った内容を内閣府にも伝えました。何で対応しないんだと、厳しく意見しました。
 これも含めて、私の事務所では都合四回にわたって直接内閣府を呼んで、現場は不安でいっぱいの状態でも懸命に保育を続けているんだと、早く直接相談に乗ってどういう対応ができるか話をすべきだと繰り返し繰り返し求めたわけです。その後、施設長さんと連絡取ってみたら、お盆明けにやっと児童育成協会の担当者が現場に向かったというふうにお聞きをいたしました。
 認可保育所だったら、こんな無責任な対応が、行政がやる、あり得ないですよ。保育継続が危機に陥っても内閣府には実施機関にまともな対応をさせる能力も体制もないということが露呈をしました。このまま企業主導型保育事業を続ければ、私は同じ問題が起きかねないと思いますが、これ、大臣の認識をお聞きします。

○国務大臣(衛藤晟一君) 現実に、ここまで保育事業が、企業主導型の保育については来ました。そういう中で一部問題が起こったことは大変遺憾だと思っております。
 今御指摘をいただいたとおりでございまして、そういう中には、やはり民間だけの主導によると大変難しい問題が生じてくるということはお互いにみんな恐らく理解をしていたんだろうと思いますが、そこまでチェック機能を持たなかった。児童育成協会も持たなかったし、内閣府も持たなかったということも恐らく事実であろうかという具合に思っています。
 ですから、今、これを全部精査をして洗い直して、そして管理団体を公募、実施機関というものを公募しているところでございまして、この公募を、基準を決めて今度は公募いたしておりますので、書類審査だけじゃなくて、実地の検査だとか、あるいは指導がちゃんとできるようにとか、そういうことができる機関としての実施機関を公募をしているということでその出直しを今やろうとしているところでございますので、どうぞ御理解をいただければという具合にお願いを申し上げる次第でございます。

○田村智子君 これ、だからチェック機能を児童育成協会も果たせていない、内閣府も果たせていない。だったら、やっぱりどういう体制をつくっていったらチェック機能が果たせるのかということをまず何をもっても真剣に検討しなければならないというふうに思うんですよね。
 それで、これ保育事業に責任持てないような状況というのは本当に深刻で、子供の命や育ちを預かる事業ですから、私は、何というか、こういう問題は今になって分かったことではなくて、もう詐取事件見ても分かるとおり、もっと前から分かっているんですよ。ところが、安倍政権の肝煎りの政策で企業主導型ということが言われて、これで待機児童の受皿になるんだということが言われると、結局、そういう検証がないままに、とにかくどんどん箇所数増やしていく、こういうことがこの間、ただただやられてきたんじゃないのかというふうに思うんです。そもそもの出発点からして拙速だったんじゃないかとも思うわけですよ。
 最初の公募、これ東京新聞が夏に詳しく報道しましたけれども、これ児童育成協会が引き受けたときの公募ですね。これ、応募はたった二つの事業者だけだったんですよ。それはそうですね。保育の審査をするとか、あるいは運営費の交付をするなんというのは、これは自治体以外にノウハウがないわけですから。そもそも、民間のところに、こういうのをやってくださいと、応募して、果たしてそういうノウハウある事業者があるのかといったら、ないですよ。で、二事業者しかなかったんですよ。
 評価検討委員会の評価の平均点というのは、四十八点満点なんです。ところが、これ東京新聞の記事では、そのうちの一者は僅か二・四点でしかなかったと。もう一者、これが児童育成協会だと思いますけれども、二十一・一点なんですよ。東京新聞が取材をした評価検討委員会の委員の一人は、平均で満点の五割を切る得点で事業者が選ばれたことに心配もあったと、そう答えています。これ、やっぱり見切り発車でスタートしたんじゃないのかと言わざるを得ないような事態です。
 また、児童育成協会は問題だったと、今まさに十月一日から新たな実施機関の公募していますけど、同じように拙速に年内に事業者決定、これやってしまうんでしょうか。また拙速重ねることになると思いますが、これも大臣の見解をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(衛藤晟一君) 実施機関の公募については、これまでの反省を踏まえて結構厳しく精査をしてその条件を出しておりますので、そういう意味ではちゃんといけると思います。
 しかし、今先生御指摘のように、内閣府は、どちらかというと、こういうことに関しての今までノウハウを持っていないことも事実です。それは、保育は今まで厚生労働省で中心でやってきました。しかし、その中での認可の保育所もあり、それからまた、市町村の方では無認可をどうするかということで、大変やっぱり直接お金が行っていないところについてはやっぱり非常に苦労してきたわけであります。そのことはみんな存じております。
 だから、そういう意味では、内閣府の方にも厚生労働省からも出向してもらって、これがちゃんと行われるように今厳しくやろうとしているところでございますので、拙速と言われないように、今度は足下を固めて、ちゃんとした形で実施機関を選び、そして実施機関に対する指導を強めていきたいという具合に考えています。

○田村智子君 企業主導型は、既に三千八百か所、全国につくられているんですよ、以上。これ、ここに適切な助成金の給付をする、立入検査の確実な実施等、指導監督を行う、これ、たった一つの事業者が行うことが本当にできるのかということも含めて、真面目な検証が求められていると思います。日本一大きな自治体である横浜市でも、これほどの規模の保育施設の指導監督、運営費の給付、やっていないですよ。
 私、もう一つ、そういう状態で新たな事業者決めて、じゃ、今度はまた新規の事業決定、これを受けることになるんだろうかと、このこともちょっと内閣府に確認をしておきたいんですね。
 私、伝え聞くところでは、年内にもう今年度予算で二万人分積んでいるんですよ。だけど、事態がどんどん起きてしまったから、今年度は一切新規募集やらなかったんですよ、今のところ。だけど、予算は二万人分あるんですよ。それじゃ、新しい事業者を決めたら、これ新規に事業者決定、新規の受付、またやることになるんですか。

○政府参考人(嶋田裕光君) 先ほども申し上げましたように、現在実施機関の公募を行っておりまして、年内若しくは年明けを目途に改めて実施機関を選定するということとしておりますけれども、既存の企業の主導型保育施設の保育の質の確保とか、あるいは安定的な運営に配慮した指導監査が行えるように企業主導型保育事業の制度、仕組みの改善を徹底してやりたい、そういった観点、立場に立っております。
 その上で、新規の施設募集につきましては、実施機関が審査体制を踏まえた一定の準備ができるよう、審査開始の時期を実施機関、選ばれた実施機関と調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 これ、一定の準備というふうにおっしゃったんですけど、本当にすさまじい準備が必要になると思いますよね。
 どこの自治体もやったことのない三千八百者以上をいかにして適正に管理をしていくのかということだけでも大変なことになる。また、もう詐欺に遭っていますから、返還求めなきゃいけない。WINカンパニーの案件なんか物すごくいろんな業者が入り組んでいますよ。これを解明して、ちゃんとその補助金を、助成金を取り戻す。これだけだって大変な体制が必要になりますよ。それから、おっしゃるとおり、内閣府にもノウハウがない。それじゃ、保育の関係者がいかにしてその体制の中に入れることができるのか。
 そういうことを徹底的に準備をするということでよろしいんですか、衛藤大臣。

○国務大臣(衛藤晟一君) この企業主導型の保育につきましては、元々その保育という議論の中で、大規模な保育からいろいろございますが、そういう中で各都道府県から出てきた問題は、無認可も一定の基準を設けて厳しくしていけば、やっぱり保育としてちゃんと扱わないと現実的にはやれないじゃないかという議論も出てきました。そういう中で、保育の充実全体として考えざるを得ないということになってきました。
 また、こういう議論の中で、保育については、今の子育ての観点からいって、小規模とかあるいはお母さん方が預かるとかいろんな形の展開を考えないといけないねと、もっと細かく行き届くところも必要だねという中で、企業主導型という形で、いわゆる働いているところと極めて近いという意味で大きなメリットがあります。
 ここは、ほとんど小規模でございますけど、やっていく中で地域の方にも半分は開いてもらう、門戸を開けてもらって結構だから、そういう形でうまくやってもらいたいということでやったところでございまして、企画の案としては極めて私はいい形で出たと思いますが、今お話がございましたように、どちらかというとやっぱり管理面での弱さがあったことは事実でございますので、今、これは改善方法を見付けて、そして一応の精査を、一応のところは終わりましたので、そういう方向で新しい実施機関も公募をしているところでございまして、そういう中で厳しく指導についてはちゃんとした指示を出していけるようにやらせていただこうと思っていますので、その決意で臨んでいることは間違いありませんので、どうぞよろしくお願いをいたします。

○田村智子君 じゃ、終わります。


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