国会会議録

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カジノは犯罪の温床 山下・田村両氏 青少年育成に悪影響 参院委で追及

 

 安倍政権が「成長戦略の目玉」と位置づけるカジノ解禁推進法案について、日本共産党の山下芳生、田村智子両参院議員は16日、質問しました。

 日本でギャンブル依存症の疑いのある人は、男性8・8%、女性1・8%、全体で4・8%、推計536万人にも達します。

 山下氏は、参院内閣委員会で「ギャンブル依存症の有病率が1%前後の諸外国と比べ、異常に高い」と指摘。近年のギャンブルと関係した事件・犯罪の一覧を示し、「このほか、報道されていない事件、家庭内窃盗、横領などたくさんある。ギャンブルが犯罪の温床になっている」と主張しました。

 菅義偉官房長官は、「犯罪の要因は一概には言えない」と関連性を否定しました。

 山下氏は、「『副次的な犯罪を誘発』するとして刑法で禁じられている賭博をカジノ解禁で増やしてどうするのか」「賭博の解禁が『成長戦略』とは政治の堕落だ。もっと人間を大事にする政治への転換が必要だ」と主張しました。

 文教科学委員会では、田村氏が、下村博文文部科学相にカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)顧問を辞めるよう改めて求めました。

 田村氏は、下村氏が視察したシンガポールのカジノへの立ち入り制限者が2010年の183人から14年6月には21万5000人を超えた事実を指摘。「立ち入り制限に至るまで借金、自己破産、家族の問題など青少年に悪影響をもたらす事態があったと考えるのが当然だ」「青少年の健全育成に責任を負う文科大臣とカジノ議連顧問は両立しない」と主張しました。

 下村氏は、「顧問はたいした役職ではなく、辞めるほどのものではない」とのべ、辞任を拒否しました。

【 議事録 】

○田村智子君 よろしくお願いします。
 今日、最後残された僅かな時間なんですけれども、ちょっと予算委員会で我が党の大門議員が取り上げたカジノの問題について、どうしても下村文科大臣にお聞きしたいと思います。
 この予算委員会の質疑で、カジノ合法化を目指す議連の顧問を辞すつもりはないというふうに大臣お答えになったんですけれども、安倍総理は、総理という立場を考慮して最高顧問を降りると明言されました。通常国会では、麻生財務大臣、当時副総理も同様の答弁をされました。私ちょっと驚いたんですね、だから大臣の答弁には。
 まずお聞きしたいんですけど、カジノはギャンブルであると、ばくち、賭博であると、そういう御認識はおありですか。
○国務大臣(下村博文君) そのとおりだと思います。
○田村智子君 二〇〇八年のスポーツ投票法案、いわゆるサッカーくじ法案のときに、当時、文教委員会の委員でおられた下村大臣は、サッカーくじは競技の賭博やギャンブルではない、宝くじと同じであって、青少年に悪影響を与えるものではないという立場での御質問をされています。
 ということは、ちょっと私たちの立場とは違うんですけど、でも、少なくともギャンブルは青少年に悪影響を与えるものだという認識だったのではないんですか。
○国務大臣(下村博文君) まず、顧問というのはそんな大したポストではないと思います。自ら辞めるようなポストではないと思いますが、議連の方から辞めてほしいということであれば辞めるつもりでありますが、自ら途中で辞めるほどのポストではないというふうに思っております。
 そして、今回のこれは、私もその議連の顧問という立場からも申し上げるわけですが、青少年に対する悪影響という話がありましたが、このカジノの場所に青少年が入るようなことは、これは排除しているということでございます。IDカード等を活用しながら、依存症やあるいは経済的な問題、また犯罪歴のある方、こういう方は入れないと。あるいは、国内の人は入場料が掛かると。これがシンガポールで実施されている部分で外国人との違いでありますが、そういう形で世界百か国以上でこのIR、国際観光産業としてのカジノ導入されておりますが、最先端の新しくつくった国では、いろんな危惧の問題を解決し、排除しながらやっているという意味で、この青少年に対する悪影響を及ぼすような場所にそもそも青少年を入れないと、そういう立て付けになっておりますので、そのような危惧は当たらないと考えております。
○田村智子君 大臣も視察されたというシンガポールのカジノですけれども、確かに立入り制限などの対策取っています。その立入り制限者は、二〇一〇年の設立当時は百八十三人、二〇一二年には十万人を突破、二〇一四年六月には二十一万五千人を超えているわけですよ。青少年は入らないかもしれない。でも、この立入り制限に至るまでにその方の家族どうなったかですよ。借金抱えたり自己破産したり、当然家庭の中の問題が起きる。こういうのを青少年への悪影響と言うんだと思うんです。
 今日お配りした資料を見ていただきたいんですけど、厚生労働省の調査によりますと、日本ではもうギャンブル依存症多いということを予算委員会でも指摘をしましたが、その病的なギャンブル依存症の患者さん、自殺を考えた、自殺を試みた、こういう人の割合は、薬物依存症で入院している方に次いで非常に高い割合を示しているわけです。青少年に対して何もいい影響は与えないわけですよ。
 青少年の健全育成に責任を負う文科大臣という立場と、私は、そういうギャンブルであるカジノの解禁を目指す、その議連の顧問という立場は相入れないものだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(下村博文君) それは何か単純な論理であると私は思います。
 そもそもこの依存症の人は、元から排除するような仕組みをどうつくるかということが今後、法案議論の中でも出てくるのではないかというふうに思いますし、実際に世界で百か国以上でこのような形で導入されている中で、我が国だけがこのことによって依存症が更に拡大して破滅的な家庭環境になるということはないと思いますし、また、そうならないような制度設計をどうするかということを同時に考えていくことが法治国家として必要なことだと思います。
○田村智子君 最後に一言。
 今日、午前中、日本食の話もありましたけど、やはり文科大臣として推奨する文化としたら、私は日本食とか日本の芸術文化だと思うわけですよ。
 初めからギャンブル依存症の人はいません。ギャンブルに手を染めた依存症になった男性で、最初にギャンブルをやったのはいつか、その統計もここ入れましたけど、男性で平均二十・二歳なんですよ。そこからのめり込んでいくんですよ。
 やはり、是非そうした資料をよくお読みになって、道徳を重んじる文科大臣ですから、再考いただきたいと申し上げて、終わります。

 


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