国会会議録

国会会議録
子ども健康格差是正を 田村智子議員 未受診に対応せよ

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=11日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は11日の参院内閣委員会で、学校検診で治療が必要とされながら受診していない児童がいる問題を取り上げ、「子ども一人ひとりの健康の増進につながるよう、未受診の状況、その理由・背景について調査・研究を行い、対策を立てるべきだ」と求めました。

 全国保険医団体連合会の調査では、学校歯科検診で治療が必要とされた児童のうち未受診率は小学校で50・8%、中学校65・3%、高校82%となっています。田村氏は「内科、眼科、耳鼻科の検診についても同様の傾向がうかがえる」と指摘。自治体任せになっている子ども医療費助成の対象は就学前や小学校卒業までという自治体が多く、学年が上がるにつれて未受診率が上がる要因にもなっているとして「国としても、子どもの健康格差の是正のための対策が必要だ」とただしました。

 内閣府の宮腰光寛担当相は「低所得を理由として子どもの健康面で格差が生じているかどうかは現時点では明らかではない」などと答弁。田村氏は、経済的理由で健康格差が生まれていることは明らかだと政府の姿勢を厳しく批判しました。

 さらに、田村氏は、歯列咬合(こうごう)異常の治療法である歯科矯正は保険治療ができないため、受診率が低くなり、経済的理由で治療できるかできないかが端的に表れてしまうと指摘。「せめて子どもには、必要な治療が保険診療でできるようにしていくべきだ」と強調しました。

2019年6月12日(水)しんぶん赤旗より

 

【2019年6月11日 内閣委員会議事録】

○田村智子君 では、質問に移ります。
 私の質問の後に、子どもの貧困対策推進法の改正法案が議題となります。あしなが育英会や子どもの貧困ネットワークを始め、市民の皆さんが本当にロビー活動を繰り広げて、六年前、超党派の議員立法としてこの法律が成立をし、その後も毎年集会や議員連盟との対話が重ねられてまいりました。
 立法当初は、貧困の連鎖を止めるために、大学進学を始め就学の機会を確保するということに重点が置かれていましたけれども、その後の運動や議論によって、今ある貧困への全般的な対策、保護者を含む家庭全体への支援が必要だという方向で改正案が練り上げられたことを心から歓迎しております。
 そこで、今ある貧困への対策ということで、子供の健康格差の是正について質問いたします。
 この子供の健康については、小学校から高校まで、毎年、学校健診によって病気の早期発見や健康状態のスクリーニングが行われています。要治療、要検査、経過観察など、一人一人にその結果も通知をし、また記録もされている、これは大変大切なことだと思うんですね。
 問題は、この健診の結果が受診につながっているかどうかだと思うんです。文科省は、健診後の受診状況について調査を行っているでしょうか。

○大臣政務官(中村裕之君) お答え申し上げます。
 学校における健康診断実施後の事後措置について、学校は治療等を勧告することとしておりますけれども、その後の医療機関への受診状況について調査は実施しておりません。これは、学校保健安全法に基づいての対応でございます。
 ただし、文部科学省の補助事業により日本学校保健会が作成した学校における健康診断マニュアルにおいては、健康診断結果の通知と治療勧告書の例を示しておりまして、治療が完了した際に学校への報告書を提出するよう促しているところであります。 以上です。

○田村智子君 今日、資料をお配りしました。全国保険医団体連合会が、各地の保険医協会に呼びかけて学校健診の受診状況について調査を行ったんですね。これ学校に調査票を送付して回答のあった学校についてまとめたものですけれども、例えば、学校歯科健診で治療が必要とされた児童のうち、未受診率というのは、小学校で五〇・八%、治療を受けていないということですね、中学校六五・三%、高校八二%と。また、未治療の虫歯が十本以上あるなど口腔内が崩壊状態の子供がいるかということについても、小学校の四二・一%、中学校の三三・五%、高校の五〇%、特別支援学校の四二・二%でそういう児童生徒がいたというふうに回答がされているんです。これは、内科、眼科、耳鼻科の健診についても同じような傾向がうかがえます。
 これ、大変心配な状態だというふうに思うんですけれども、見解を文科省にお聞かせください。

○大臣政務官(中村裕之君) お答え申し上げます。
 御指摘の全国保険医団体連合会の調査は、実施をしていることは承知をしておりますけれども、調査の詳細な内容を把握していない状況です。学校における健康診断実施後の事後措置については、本人及び保護者に対して、治療のために必要な医療を受ける必要があることを健康相談や保健指導を通して周知をしておりまして、医療機関への受診を促しているところであります。
 なお、健康診断後の事後措置の必要性につきましては会議等を通じて教育委員会に対して指導をしているところであり、今後も続けてまいりたいと思います。

○田村智子君 これ、せっかく制度としては、いわゆる全ての子供を小学校以降健診の対象にできているわけですよ。それが子供一人一人の健康の増進につながるようにしていくということが、私、求められていると思います。
 そこで、まず未受診の状況、その理由や背景について文科省としても調査や研究を行って対策を立てるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

○大臣政務官(中村裕之君) 学校としては、事後措置として、健康診断結果の通知を行った後、治療のために必要な医療を受ける必要があることを周知し受診を促すにとどまるものでありまして、その後の医療機関への受診状況については、法令上、調査をすることとされていないところでありまして、強制することもできないというところがあります。
 ただし、文部科学省の補助事業による日本学校保健会が作成した学校における健康診断マニュアルにおいて、事後措置について、健康診断結果の通知と治療勧告書の例を示しておりまして、治療が完了した際に学校へ報告書を提出するように促しているところでありまして、その対応となっているところであります。

○田村智子君 これ、何らかの調査は、例えば文科省の科研費を使ったような調査などでも私できるんじゃないかというふうに思うんですね。是非、検討を重ねて要望しておきたいと思うんです。
 この保団連の調査なんですけれども、未受診の理由というのも養護教諭に尋ねています。共通して指摘されるのは、これ、三ページ目なんですけれども、保護者の関心の低さ、家庭環境、共働き、一人親などですね、仕事が忙しい、経済的理由、地理的困難、本人の歯科への忌避、歯科治療を嫌だというふうに逃げちゃう、こういうことなどが挙げられているんですけど、例えばこの保護者の関心の低さでは、乳歯は生え替わるから治療の必要はないと、自分も乳歯は抜けるのを待っていたという親御さんもいらっしゃるというんですよ。まさに貧困の連鎖とも言える実態が指摘をされています。また、低賃金の仕事で、半休取って子供を病院に連れていく、そういうゆとりが経済的にも時間的にもないという実態もお聞きしているんです。
 こういう未受診という問題から、家庭を丸ごと捉えた貧困対策をどうしていくのかということは、様々に政策検討ができるはずだと思います。
 また、すぐに国の責任でできる対策もあるんです。
 例えば、子供の医療費助成制度、これ今自治体任せになっていて、就学前までとか小学校卒業までという自治体がまだ多くて、小中高と未受診率が上がる要因だというふうに私は思います。子供にも医療費三割の窓口負担を求めるのかということが問われてきていると思うんです。低所得世帯の小中学生は、就学援助としての医療費助成制度というのはありますが、これは罹患率の高いアトピー性皮膚炎、ぜんそく、心電図異常、アレルギー性鼻炎、花粉症などは対象になっていないんですね。保団連の調査の中では、この心電図異常が出ても経済的負担のために受診ができないと、だから学校が体育の時間に非常に配慮しながら、参加させていいのかどうかという配慮をしながらという事例もあるんだと、こういうのも寄せられているんですよ。これ、やはり国の制度として考えていくこと必要だと思うんですね。
 そこで、まず厚労省にお聞きしたいんですが、今、国の制度として、災害や失業などにより一時的な所得減、これが起きたときには医療費の窓口負担の減免制度というのはあると思うんです。しかし、恒常的な低所得世帯に対する医療費窓口の減免制度というのはあるんでしょうか。確認いたします。

○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 子供の医療費につきましては、医療保険制度において未就学児の医療費の自己負担を三割から二割に軽減しております。また、未熟児や特定の慢性的な疾患を抱える子供の医療費については、更に自己負担の一部を公費で助成をしているところでございます。これに加えまして、また先生も御指摘のありましたように、自己負担の更なる軽減を図るために、自治体独自の助成制度が行われていると承知をしております。
 また、家計に対する医療費の自己負担が過剰なものにならないように、高額療養費制度において所得に応じて月単位の窓口負担に上限を設けておりまして、その制度の中で、低所得者の方については低い自己負担額を設定するなどの配慮を行っているところでございます。

○田村智子君 いろいろお答えになったんですけど、恒常的な低所得世帯というのを対象にした医療費減免制度は国の制度としてはないですよ。先ほどお話しされた高額療養費、これ非課税世帯でも月に三万五千四百円までは自己負担が求められてしまうわけですね。だから、通院治療なんかほとんどこれできないですよ、利用、活用できないんですよ。
 国立社会保障・人口問題研究所、二〇一七年に生活と支え合いに関する調査というのを行っています。金銭的理由で医者にかかれない、これ全世帯の二・三%、歯医者にかかることができない、三%いるわけですよ。この割合は、一人親世帯など生活困難な世帯や低所得世帯ほど高い傾向にあることも分かっています。また、各地の子供の貧困に関する調査でも、経済的理由で受診できない子供がいると、こういう実態は指摘されています。
 宮腰大臣、諸外国では、十八歳未満の子供の窓口負担に配慮をして、子供については経済格差を是正する制度を持っている国が多いというふうに私は聞いています。これ、日本も国として子供の健康格差の是正のために何らかの対策、これは検討必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 子供の医療費につきましては、医療保険制度において未就学児の医療費負担が二割に軽減されておりまして、加えて自治体独自の助成制度が行われている中で、低所得を理由として子供の健康面で格差が生じているかどうかについては現時点では必ずしも明らかではありませんが、全ての子供が家庭の状況にかかわらず健やかに成長できるようにすることは極めて重要であります。
 そのためには、必要な医療機関の受診を促すことはもとより、子供が心身共に健やかな生活が送れるよう、引き続き、学校や自治体、地域のNPOなどが連携して、一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を推進していくことが大事であるというふうに考えております。

○田村智子君 経済的理由での健康格差というのは、その口腔崩壊という調査を見てもこれは明らかなんですよ。是非踏み込んだ対策、本当求めたいんですね。
 もう一点指摘したいのは、歯列・咬合異常で要治療と指摘されたけれども、保険適用ではないために治療ができないという問題なんです。
 兵庫県保険医協会の調査では、内科、眼科、耳鼻科、これ資料の最後のページですね、歯科の受診率を見ると、歯科の受診率三三%、顕著に低いんです。中でも、歯列・咬合異常の受診率は二六%。これ、受診しても本当に歯列矯正までやっているかどうかということも私は疑問だと思うんですね。
 あるお母さんがこの問題で議員要請や省庁要請に何度も足を運んでおられて、こうおっしゃっているんですね。治療が必要だと学校健診で何年間も言われ続けている、私も子供も治療を望んでいる、しかし費用の負担はとてもできないと。学校健診で治療が必要だと指摘されているのに、どうして保険治療ができないのかという訴えで、これ非常にもっともだと思うんですよ。
 厚労省、どういう認識でしょうか。

○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 我が国の公的医療保険では疾病や負傷の治療等に対して保険給付を行うということを目的としておりまして、現在、歯科矯正治療については審美的な要素も大きいため、原則保険適用外となっております。
 一方で、唇顎口蓋裂、これは例えば唇が割れた口唇裂や口蓋が裂けて口腔と鼻腔がつながっている口蓋裂が発生している、そういう先天性疾患でございますけれども、そのような先天性疾患に起因するかみ合わせ異常や顎変形症による歯列不正については保険適用となっているところでございます。
 こういう保険適用となる疾患の範囲につきましては、診療報酬改定ごとに、関係学会との議論を踏まえまして、必要に応じて適用範囲の見直しを行ってきたところでございます。平成三十年度診療報酬改定においては、著しい歯列不正の原因となる前歯三本以上の永久歯萌出不全、これは元々生えてこないというものでございますけれども、この患者さんを歯科矯正の対象に追加したところでございます。
 今後とも適切な歯科保健医療を提供できるように、関係者の意見をよく聞きながら適切に取り組んでいきたいと考えております。

○田村智子君 口唇口蓋裂も一九七〇年代にお母さんたちが物すごい運動をやって保険適用になったという経緯もあるんですね。保険適用の拡大は必要性に応じてやっぱりやっていくべきだというふうに思いますよ。
 学校保健調査見ると、歯列・咬合の異常で要診断とされる割合は、二〇一八年だと四、五%程度なんですけれども、これ、もうぜんそくやアトピー性皮膚炎よりも高い割合になっているんですね。イギリスなどでは、公費による小児の歯科矯正の対象は日本よりも相当広いです。歯列矯正は永久歯に生え替わる時期に行うことがその後の口腔機能の発達にとって大切ですし、歯列異常を治療することは将来の虫歯や疾病を予防することにもつながっていくと、こういう研究もあるわけですよね。明らかだと思うんですよ。何より、経済的な理由で治療をできるかできないかが端的に現れてしまう。
 やはり、生涯にわたる健康の保持増進、また健康格差の是正という立場から、せめて子供の歯列・咬合異常について必要な治療が保険治療できるように検討すべきじゃないかと思うんですけれども、これお聞きしても同じだと思いますので、是非検討を重ねてお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、企業主導型保育事業についてお聞きします。
 三月二十二日に、私、予算委員会の方で、企業主導型保育は定員充足率を見ても待機児童対策に有効ではないし、審査体制も監査体制も脆弱で、利益目的で不適切な事業者の参入を許してしまったと、立入り監査もパソナに丸投げしていると、こういった問題を大変厳しくもう既に指摘をいたしました。
 内閣府は、検討委員会の報告を受けて、保育士配置基準の引上げ、自治体との連携の強化などの手直しを行おうとしていますけれども、保育士配置は認可の基準よりも相当低くていいよと、また自治体は関与しなくていいよと、こういう仕組みがそもそも企業主導型の特徴であって、これが多様な主体、つまりは株式会社の参入を進める仕掛けだったはずなんです。ということは、当初の制度設計に問題があったと、このことをお認めになるということでよろしいですか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 企業主導型保育事業は、女性の活躍を推進していくため、保育の受皿を更に拡大する中、待機児童対策へ貢献すること、税財源ではなく事業主拠出金を財源として、夜間や休日勤務、短時間勤務など、それぞれの企業における従業員の多様な働き方に対応した柔軟な保育を企業の創意工夫により提供できるようにして、人材確保を進めようとする企業を支援することといったことを目的に平成二十八年度に創設されました。
 今般の検討委員会報告では、こうした制度創設時の意義を再認識しつつ、制度創設から三年目を迎え、保育の質の確保、向上の重視、事業の継続性、安定性の確保、透明性の確保、自治体との適切な連携などについて様々な課題が指摘されていることを踏まえ、改善すべき対応策が打ち出されております。
 本事業につきましては、実施体制について必要な見直しの上で再構築することが求められていると考えておりまして、検討委員会報告に沿って具体的な検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 例えば、その定員充足率なんというのは、自治体が関与しなかったらこれ充足率上がるわけがないんですよ。だから、制度の当初の設計がこれはもう本当に間違いだったということは、この検討会の報告書読めば、私、明らかだというふうに思うんですね。この上で見直しと言いますけれども、公費を認可並みに入れながら公的責任が不明確、この根本問題は手直しをしても解決しないわけですね。
 次、ちょっと聞きたいのは保育料の問題です。
 企業主導型保育は、原則として保育料設定は事業者の判断。通常保育に必要な経費の上乗せ、英語教育などメニューを加えることによるいわゆる横出し、これについても事業者の裁量で自由に保育料として徴収できるということが原則であって、保育料に関する規制というのも極めて緩いわけですね。一方、企業主導型保育も十月からは幼児教育無償化の対象とするとしているんですね。ですから、十一時間までの保育について保育料を徴収しないことが原則だというふうに打ち出されているんです。
 では、これは通常保育に必要だからと、運営費で見込まれている人員配置以上に保育士や職員を雇った、それで費用が、つまり費用負担が増える、だから保育料を上乗せ徴収する、こういうことはできるのかどうか、確認いたします。

○政府参考人(小野田壮君) お答えいたします。
 企業主導型保育事業、標準的な利用料というのを示させていただいております。具体的には実施要綱及び助成要領に定める利用者負担相当額を標準的な利用料として定めているところでございまして、平成三十年度における利用者負担相当額は、ゼロ歳児、月額三万七千百円、一、二歳児、月額三万七千円、三歳児、月額三万一千百円、四歳以上、月額二万七千六百円となってございます。基本的にはこの標準的な利用料を対象として無償化を進めていくことになります。

○田村智子君 上乗せ徴収をすることはできるのかどうかと、幼児教育無償化の対象となっているところに。それはどうなんですか。

○政府参考人(小野田壮君) お答えします。
 例えば、企業主導型保育につきましても、認可保育所と同様に一日十一時間開所を基本としてございまして、そういう意味では、保育士の配置を上乗せして増す必要はないというふうに認識してございます。

○田村智子君 つまり、幼児教育無償化のこの考え方、その中での保育料徴収の考え方も認可保育所と同じにするということなんですよね。だから、本当に自治体の関与も認可保育所のように強めていくんだと。そして保育士の配置、これ認可よりまだ低いですけどね、でもそれも引上げが必要なんだというふうになっていくと、果たしてこの企業主導型と、公費を認可と同じように入れて、だけど企業主導型というふうにしていく意味がどこまであるんだろうかということ、大変疑問になってくるんです。
 また、今の上乗せというのは、十一時間開所すると、保育士さんは八時間労働を基本としますから、どうしたって国はその分見ていないんですよ。八時間で働く人が十一時間をどう回していくのかということを見ない人員配置でお金出しているんですね。これが認可保育所でも矛盾になって、保育所が持ち出しで人件費を払うということになっているんです。企業主導型にもそれを求めていくことになるというわけですよね。これ、保育している子供の人数が認可保育所と比べても少ないところが多いでしょうから、非常に経営上これ大変な問題になってくると思うんです。保育士さんの給料が果たしてちゃんと払われるんだろうかということも非常に疑問になってくるわけですね。
 企業主導型の場合は、その保育士さんの給料についてはもうちょっと不安があって、実際に一斉退職などの事案が相次いだことを見ても、企業が利益目的で参入した場合に保育士にちゃんと給料が支払われるのかという懸念が拭えないです。
 検討会報告では、情報公開について、事業の透明性を確保するとともに、事業の運営規律の徹底に資するように各施設の決算情報を公開していくべきであると指摘をされています。これは、人件費割合が分かるような情報公開を求めることになるんでしょうか。

○政府参考人(小野田壮君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、事業の透明性を確保する観点から、本事業の助成金収入を含む各施設の決算情報を公開していくべきという報告を受けてございます。現在、この報告を踏まえて検討しているところでございまして、施設ごとの情報をどこまで公開するかにつきましては引き続き検討をしてまいりたいと考えてございます。

○田村智子君 まず出てこないと思うんですよね。
 これ、東京都は認可保育所について、設置主体、社会福祉法人立なのか株式会社なのかなどですね、これごとに人件費割合示しています。そうすると、社会福祉法人は支出の約七割が人件費、平均で。ところが、株式会社は五割を切るんですね。
 チェーン店のように福祉事業で事業所展開している場合には、保育所運営費を他の事業や新しい保育所をつくるために使うこともできるんですよ。認可保育所でも、保育士の処遇改善するためにも、これは市場化の見直しということが求められていると思います。ましてや企業主導型ですよ。ますます市場に保育を委ねていくと、こういうやり方は、私、根本的に改めていくべきだと。今ある企業主導型は認可保育所にしていく、あるいは本来の事業所内保育所にしていく、こういうことこそ求められるんだということを指摘いたしまして、質問を終わります。


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