国会会議録

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漏えいリスク高まる 田村議員 「デジタル手続き法」反対 参院本会議

 

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=23日、参院内閣委

 行政手続きの電子化を進める「デジタル手続き法」が24日の参院本会議で、自民党、公明党などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。

 これに先立つ23日の参院内閣委員会で、日本共産党の田村智子議員は、同法と戸籍法や健康保険法の改定とあわせ、戸籍情報や保険情報をマイナンバーと結びつけ、一層のマイナンバーカードの普及の促進を狙うものだと指摘。出自や家族関係などの機微な個人情報を行政が一体で管理するため、個人情報が漏えいした場合のリスクが高まると批判しました。

 マイナンバーカードの費用対効果について政府調査によると、初期投資と維持費を含めた経費は3000億円、行政機関の事務軽減などの効果は4427億円としています。

 田村氏は、調査した経費には自治体で必要となった人件費やマイナンバーカードの送付費用が含まれておらず、効果にはマイナンバーを用いたオンラインサービスの活用など「目標となる姿」を想定した額だと指摘。国民にとって切実な必要性や緊急性がないマイナンバーカードの普及率は12・8%(3月3日時点)にとどまり、費用対効果があるかは疑問だと述べました。

 田村氏は今国会で提出されている戸籍法改定案とあわせて、全国民の出生や結婚、離婚などの戸籍情報をマイナンバーで引き出せるシステムを整備しようとしていると言及。戸籍の管理が自治体から国に移され、国家の国民管理が強まると批判しました。

2019年5月26日(日)しんぶん赤旗より

 

【2019年5月23日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 情報通信技術の発展を行政手続に活用していく、そのこと自体に反対するものではありません。個人情報保護などに十分配慮をし、真に国民の利益になる方向でどう進めていくのか、これは慎重な検討が必要だと考えています。その点で、これまでの政府の取組、また本法案とも問題が山積していると言わざるを得ません。
 まず、本法案によって、マイナンバー通知カードが廃止されます。マイナンバーカード、これICカードですね、この普及を一気に進めるためだ、また転居時等における記載事項変更の手続が住民及び市町村職員の双方に負担となっているからだと、これは午前中の質疑でも答弁があったところです。
 通知カードというのは全国民に送付をされていますので、転居する際は必ずその通知カードに記載された住所の修正が必要になってくる、ところが、持ってきていないとか紛失したなど、役所での手続が混乱しているという御答弁なんですよね。
 通知カードの送付は、二〇一三年です、通知カードの送付を決めたのは、二〇一三年、第二次安倍政権になってから、既に国会に提出されていたマイナンバー法案をわざわざ修正して加えられたものなんですね。当時の甘利大臣は、通知カードはすぐに送付できる、より良いものにしようということだという答弁をされています。免許証などと併用をすれば本人確認もできて、通知カードだけですぐにマイナンバーを使えると、こういう趣旨の答弁だと思います。
 ところが、送付時の未配や誤配、そしてその後のこうした混乱など、より良いどころか国民や自治体に不要な負担を押し付けているじゃないかと。こういう現実をどう認識されているのか、まずお答えください。

○大臣政務官(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 このマイナンバーカードでございますが、マイナンバーの確認と本人確認を一枚で行うことができるカードということでございまして、マイナンバー制度の利用に重要な役割を果たしていると、このように認識しておりますし、また、このICチップに搭載されました公的個人認証によりまして非対面での電子的な本人確認を確実に行うことを可能とするものでございまして、ソサエティー五・〇時代にふさわしい本人確認ツールだと、こういうふうに認識をいたしております。
 したがいまして、引き続きまして、このカードの活用場面を増やしまして、その利便性や安全性を国民の皆様方に御理解をいただくことによりまして、多くの方にカードを取得して活用していただけるように努めてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

○田村智子君 お聞きしたのは通知カードの廃止の方なんですよね、通知カードの方。 当時、政府の担当者は解説書で、当時の政府の担当者、通知カードを導入した理由について、国民が亡失しにくい、紛失とか、なくしてしまわないようになると、申請書などへの個人番号の記入の利便性等を挙げています。また、マイナンバーカード発行を全国民には義務付けなかった、それは厳格な個人確認の必要性から役所の窓口での交付としているので、全国民が役所に出かけていってこの交付を受けるという、これは義務付けをするのは無理だと判断したと。これはマイナンバーカードの制度発足時の政府の担当者が法解説書の中で書かれていることなんです。
 ところが、通知カードの送付から僅か四年足らずで、今度はマイナンバーカードを国民に普及させるためだとして、通知カードは廃止だというと。こういうやり方はまさに朝令暮改だと言わざるを得ないと思うんですが、この通知カードの廃止のことについて、いかがでしょうか。

○大臣政務官(古賀友一郎君) この通知カードについてでございますけれども、これは、平成二十七年十月のマイナンバー制度の施行後、国民の皆様にマイナンバーを速やかに通知、送付するということ、それから、施行後まずは必要となる職場等へのマイナンバー提示の際にマイナンバーを証明する書類として導入をしたところでございまして、マイナンバーカードの取得を義務付けることが難しいということで導入したわけではないということは御理解いただきたいと思います。
 この通知カードでございますけれども、この制度の円滑な導入のための役割を果たしてきたところではございますけれども、その記載の正確性を維持するために、御指摘のとおり、転居等の際は市区町村の窓口で記載事項を変更する必要がございまして、これが住民、市区町村職員の双方に負担となっているとして見直しが求められている、こういった状況にあると、こういうふうに考えているわけでございます。
 あわせまして、社会のデジタル化を進める観点からは、紙製の通知カードから公的個人認証の電子証明書が搭載されたマイナンバーカードへの移行を促進していくことも重要であると、このように考えておりますので、こういった状況を踏まえまして、通知カードの新規発行、そして記載事項変更の手続等を廃止させていただくと、こういうふうにしているところでございます。
 以上でございます。

○田村智子君 通知カードということで、より便利になるんだとか、より良いものにこのマイナンバーの制度がなるんだと言ったんですけど、そうならずに、むしろ混乱を生んじゃったんですよ。本当に、何というか、見切り発車でいろんなことをやっているために不要な負担が押し付けられているということの一例なんですよね。
 当時、甘利大臣はこうも言っているんです。通知カードを番号カード、つまりマイナンバーカードに替えるのは、法律で強制的に全部やりなさいということを言っているわけではないですよねと、それで不便を感じない人は替えないのかもしれません、不便を感じる人は替えるのかもしれません、ただ、奨励策として、一枚のカードでいずれにしても済んでしまうということでありますから、これはそうした方が保管や携帯上もいいんじゃないかと思っておりますという御答弁だったんですよ。
 一枚で済むということが便利で、だからこれで奨励されていくんだと。ところが、先ほども質問あったとおり、全く普及が進んでいないわけですよね。ということは、国民の側にはマイナンバーカードを持ちたいという要求が希薄である、国民にとっては切実な必要性も緊急性もないと、むしろ個人情報の流出のリスクから持ち歩きたくないという国民が少なくなくいるということも今表れていると思うんですよ。
 ところが、今国会では、この法案だけじゃありません、健康保険法や戸籍法まで改定して、言わば何が何でもマイナンバーカードを普及しようというふうに進めていくわけですね。こうした施策はそれぞれに相当な費用も掛かります。無理に普及すれば個人情報漏えいのリスクも高めることになると、私、言わざるを得ないと思うんです。
 先ほどから清水議員も費用対効果のことについて質問されていたと思うんですけれども、共感するところが多々ありました。
 二〇一八年五月、内閣官房番号室とIT総合戦略室が費用対効果についての取りまとめを行っています。これ、システム経費は初期投資で二千七百億円、維持費で三百億円としているんですけれども、この中には、自治体で新たな業務に必要となる人件費だとかマイナンバーカードそのものの発行費用というのは含まれていないわけですよ。
 一方、効果の方はどういう試算か。行政機関の事務軽減で一千七百九十八億円、国民、事業者への効果は二千六百二十九億円というふうにしているんですけれども、これは、パソコンやスマホを使ったマイナポータル、この活用が目標となる姿になったときの想定額なんですよ。
 じゃ、現状どうかというと、マイナンバーカードの普及率は今年三月時点で一二・八%と。四月二十一日の東京新聞の報道を見てみますと、東京都杉並区でのマイナポータルからの届出件数は、システムが始まった二〇一七年十一月以降で三件しかない。目標となる姿からは懸け離れた実態なんですね。
 その上、これ今後出てくる問題ですけれども、二十歳未満でマイナンバーカードの交付を受けた人は、交付後五回目の誕生日を迎えるとカードの更新が必要になります。必ず本人が役所に行かなければならないので、子供さんの場合でしたら、保護者が一緒に付いていかなければならないでしょう。それで、二十歳以上の場合も十年で更新が義務付けられているので、やはり必ず本人が役所に行って更新が必要になると。そうすると、マイナンバーを持つことの利便性よりも煩雑さの方が大きいんじゃないだろうかと。これでは、普及率が上昇するのかどうかというのは極めて危ういというふうに思うんです。
 この法案では、国は情報システム整備計画を持つことになります。システムを利用して行う手続や事務の簡素化、合理化、これ義務付けられているんですけれども、費用対効果の検証については法案の中でどこにも規定されていないんですよ。なぜそのことを求めないんでしょうか。
○政府参考人(時澤忠君) 情報システムの整備に当たりましては、その計画段階からその費用対効果を精査するということは非常に重要でございます。このため、本法案に基づきます、情報システム整備計画の中の情報システム整備に関する基本的な方針におきまして、費用対効果を踏まえた情報システムの整備について位置付けることを予定をしております。情報システム整備計画の策定を通じまして内閣官房におきまして費用対効果を厳しく精査をし、費用対効果に見合うもののみを計画の対象とする予定としているところでございます。
 策定に当たりましては、民間企業の出身であります政府CIOの下、官民の情報システムの開発や整備を現場で行ってまいりましたエキスパートであります政府CIO補佐官を活用して費用対効果を厳しく精査するとともに、クラウドの活用等の情報システムの共有化、現在検討を進めている、予算の要求から執行までを通じました年間を通じたプロジェクト管理、こういったことを通じて最大限、費用対効果が出るような取組を進めてまいる予定でございます。

○田村智子君 だったら、見込まれる効果で計算しちゃ駄目ですよ。現実にどうかと毎年毎年ちゃんと費用対効果出すなんというのは、当たり前のことじゃありませんか。どこが厳しい費用対効果の検証なのかと、こう言わざるを得ません。
 次に、今国会は戸籍事務の合理化のために戸籍法改正案も提出されていて、戸籍をマイナンバーにひも付けしようとしているんですね。この戸籍関連情報というのは、例えば配偶者がいるのかとか、誰が配偶者か、親子関係、婚姻の有無など、本当に身分情報が、本当にセンシティブな身分情報なんですけれども、これをデータベース化して、マイナンバーでこうした戸籍情報を引き出せるようにシステム整備をしようというものなんですね。
 これ、今後五年程度を掛けて実用化を目指すとされているんですけれども、これまでの法務委員会の質疑を見てみますと、法務省は、どのような規模のシステムになるのか、また予算がどれぐらい掛かるのか、費用対効果がどうなのか、これら答弁を避けておられます。
 一方で、必要性の方はどうなのか。例えば児童扶養手当の支給を申請する場合には、その方が本当に、つまり配偶者がいないかどうか、これは確かに確認しなければならないんですけれども、そういう身分情報の照会というのは戸籍等で確認することとされていて、自治体では住民票であるとかその自治体が持っている情報で確認しているというのは、これ幾らでもあるんですよ。自治体の事務の合理化、住民の利便性、費用の節約になるのか、非常に懐疑的だと言わざるを得ないんです。
 このシステム構築に幾ら掛かるか分からない、節約できる費用も明確ではない、このデータベースがどのように使われるかもよく分からない、ところがシステム構築だけは先行して法律で決めてしまう、これでは費用対効果、明確とは言えないと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(時澤忠君) 情報システムの整備に当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、その計画段階からその費用対効果を精査するというところは重要でございますが、現在、各府省がそれぞれの予算に基づき、ばらばらに調達しておりまして、政府全体としてIT投資の最適化が図られていないということもございますし、また、情報システム部門を支える人材が不足しているといった課題もございます。
 そこで、本法案におきましては、閣議決定でございます情報システム整備計画に基づいてシステムを整備することとしておることによりまして、政府横断的かつ計画的なシステムを可能とし、また、内閣官房が計画を策定することで、民間企業の出身者でありますCIO、政府CIOや政府CIO補佐官といった専門人材の活用も可能となります。
 こうした点に加えまして、現在、予算、調達のサイクルを、プロジェクトの計画段階である予算要求前、プロジェクトの具体化段階である予算要求時、詳細仕様の検討段階である予算執行前、この三段階に分けまして、各段階に応じた検証を行う、年間を通じた管理の仕組みに変更することも現在検討しております。
 これらを通じまして、費用対効果が曖昧なままシステム整備をしているとの疑念を生じることがないよう取組を進めてまいります。

○田村智子君 そもそも、どう利用するのかも分からないまま費用対効果が本当に検証できるのかということなんですけど、これ、大臣にもお聞きしたいんですね、本当に現時点で利便性が向上しているのかと。
 現在、住民票や印鑑証明のコンビニ交付の導入を理由に、自治体の自動発行機がどんどん減少しています。自治体としてはコンビニ交付との二重投資を避けるという理由なんですけれども、一方でコンビニ利用も進んでいないと。役所の窓口は、自動発行機が少なくなっちゃったので逆に窓口が混雑して、たくさん待たされてしまうと。こういう実態があるので、荒川区では、七台ある自動交付機、撤去はしないんだと。報道によれば担当者は、利用者が多い、撤去することに区民の同意が得られないと、こう説明をしているんだといいます。
 また、健康保険も番号連携今行っているんですけれども、この健康保険は、社会保険診療報酬支払基金と国保中央会、それぞれ中間サーバーを設けて情報連携をしています。この費用負担について、そもそも中間サーバーの費用が高過ぎるという批判が出ていて、健保連からは厚生労働省に五月に要望書が出されています。「現段階では健保組合の業務効率化に繋がらず具体的なメリットが享受できない中で、運営費を負担しなければならない状況に、全ての健保組合が不満を持っています。」と。ここまで書かれているわけですね。
 マイナンバーにそもそも様々な情報のひも付けすることは必要ないんじゃないかと。私たちは、だからマイナンバーに反対をしてきました。それぞれの行政でそれぞれに番号を振って、そこでシステムは動いているわけなんですよね。ひも付けしようとして、むしろ無駄なコストと手間が掛かっているというのが実態なんですよ。
 こういう実態に照らして、計画段階から本当に費用対効果があるのか検証すること、これ義務付けることこそ必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(平井卓也君) 計画段階からその費用対効果を精査することは非常に重要だと思います。そして、このシステムに対する考え方も、やっぱり所有から利用へ、クラウドにするとかいろんな形で、これから内閣官房でシステムの予算、調達の一元化によってスマートな調達をしていきたいというふうに思います。
 それと、さっきからいろいろ費用対効果の話があるんですが、この国は要するに名寄せコストが世界で一番掛かっているわけです。だから、そのマイナンバー、マイナンバーカードというものを導入せざるを得ない状況になったということも御理解していただきたいのは、現時点において、我々の名前の読み方は要するにどこも公証していないんです。公に明かしていない。つまり、名前の読み方が確定していないというすごい弱点を持っている状況の中でこの番号というものを国民に持ってもらったというのは、本人確認によるやっぱりセキュアな社会をつくるという、これはもうこの国全体の大きな財産になるものに向かって挑戦をしているということだと思います。
 マイナンバーに関して言えば、これはもうはっきりと法律で連携できるのは税と社会保障、まあ今回災害とかいろいろありますけど、これはもう本当に限定されていて、例えば健康保険証の今回のオンライン資格確認というものもマイナンバーは使わないわけですから、要するに、そこに入っているICチップと健康保険証のデータをつなぐと。つまり、医療機関においては、そこでマイナンバーを預かるわけでもないわけです。
 このようなところがちゃんと理解していただければ、もっとマイナンバーカードの普及が進むし、この国の一番脆弱な本人確認機能というものを、ここをきっちりやれば、全体のシステムコスト、社会全体としてのシステムコストは大幅に下がることだけは間違いありません。ですから、ここは産みの苦しみの部分も含めて、私はやっぱり進めていかなきゃいけない大きなチャレンジだと考えております。

○田村智子君 本当にあらゆる情報のひも付けが必要なのかということで、更に聞きたいんですけれども、今回の法案で、国外転出者がマイナンバーカードを利用できるようにするためだとして、戸籍の付票の記載事項に氏名、住所、生年月日、性別という四情報と住民票コードを追加して、戸籍の付票ネットワークを構築することとしているんですね。これ、国外転出者のためとしていますけれども、全ての国民の戸籍の付票に住民票コードなどが書き込まれることになるんです。この付票というのは、住民票の異動など、つまり、住所履歴が全部書かれたものですね。
 一方、先ほど指摘したように、戸籍法改定によって、今度は戸籍の副本、これ自治体が持っている戸籍の記載事項が全てバックアップされていて、これオールジャパンで国が一元管理するんですね。この戸籍の副本のデータベース化を行い、全国で参照できるようにしようとしているんです。また、マイナンバーとの連携によって、こうした身分関係のデータベースも構築しようとしています。これ、どのように行っていくのかは全て政令に委ねられているということなんですね。
 法務省の検討会の報告では、住民基本台帳と一対一対応となる付票を利用するとしています。つまりは、付票にこの四情報と住基コードを追加するとしている本法案の改正を前提に行われていくことになるんじゃないんでしょうか。

○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
 付票に基本四情報が先生御指摘のとおり記載されるという法案が法務委員会で審議されていると思いますが、マイナンバー制度におけますその情報連携、これ自体は、マイナンバーそのものではなくて、マイナンバーを暗号化した情報提供個人識別符号、これは各機関ごとに違います、税なら税、年金なら年金ごとに違う符号がございまして、この符号で個人情報をやり取りする仕組みとなっております。
 戸籍のマイナンバーのひも付けというふうに御質問されましたけど、戸籍そのものはマイナンバーはそのまま使わないということでございますので、使うものは、法務省が持っている、情報の連携に使う情報提供用個人識別符号というものを使うということになります。
 マイナンバーを直接保有しない法務大臣におきましては、この情報提供用の個人識別符号を取得しないといけないということになりますので、それは総務大臣から取得することになりますが、これは通常ですとマイナンバーで個人識別符号を取得するんですが、法務大臣は所有しておりませんので、本籍地の市町村がマイナンバーの代わりに戸籍の付票に記載されます氏名、性別、生年月日、住所を地方公共団体情報システム機構に通知することによって取得する仕組みとなっているということでございます。

○田村智子君 答弁が非常に分かりにくいんですけど、つまり、戸籍のデータベース化をしようとすれば何らかのナンバリングが必要で、そのナンバリングの動機付けとなるのがこの付票に対するナンバリングなんですよ。これ、事前の説明でそういう説明、私たち受けているんですよ。
 そうすると、新たに構築される戸籍の副本のデータベース、これすごい情報になるんですね。一億数千万人全ての国民の出生、誰の子供なのか、嫡出子か非嫡出子か、実子か養子か、あるいは結婚、誰と結婚しているか、離婚したのか、誰を産んだのか、犯罪歴、こういう情報を全部保管することになるんですよ、データベースで。その具体化というのはこの戸籍の付票を個人認証の基盤とすると、この本法案の改定と一体不可分で行われていくことになる。これは、事務方は私たちの事務所への説明で認めているわけなんですね。
 ところが、この戸籍の付票についての改正については、これは国外転出者によるマイナンバーカードや公的個人認証の利用関係の改正だと。これは、私は余りに不誠実な説明だと思いますよ。もっと使われるのは戸籍のデータベース化の方ですもの、海外に出た人が使うよりも。このことをちゃんと説明することを、本当は必要だというふうに思うんです。
 それで、ちょっと時間が来てしまったんですけれども、この副本データの方は、実は、特定個人情報を取り扱うシステムとして個人情報保護委員会の特定個人情報保護評価の対象にしないんだというふうにも聞いているんですよ。一方で、今度、戸籍法の改正というのは、今言った身分情報のデータベースだけじゃなくて、誰と誰が婚姻していたのかという身分関係、これもデータベース化するという戸籍法の改正が今この国会で審議されて、今日辺りでしょうか、法務委員会で審議されているところなんですけれども、こちらの身分関係の情報データベースの方は個人情報保護委員会の評価の対象になる。ところが、副本データベース、戸籍情報そのもののデータベースについては対象にしない、こういうことも言われているんですね。
 ちょっともう時間になってしまいましたから、ごめんなさい、指摘だけにとどめたいと思うんですけれども、こういう非常にセンシティブな情報までもマイナンバーにひも付けができるんです。もちろん、マイナンバーそのものに振らないですよ。でも、マイナンバーそのものにひも付けしていくんです。そういうデータベースを作るんです。だけど、個人情報保護委員会の様々な評価の対象にもしないと。
 私、非常に様々な不十分な点を持ったまま、次々にデータベースを行って、次々にマイナンバーにひも付けする、このようなやり方は私は改めて立ち止まって見直すべきだと、このことを申し上げて、質問を終わります。


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