国会会議録

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官邸の記者会申し入れ 報道の自由を侵害 田村智子議員追及

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=22日、参院予算委

 日本共産党の田村智子議員は22日の参院予算委員会で、官房長官記者会見での東京新聞の特定記者の質問を首相官邸が「事実誤認」だとし、内閣記者会に「問題意識の共有をお願い」する申し入れをした(昨年12月28日)問題を追及しました。

 官邸が問題視したのは、沖縄県名護市辺野古への土砂投入をめぐる「埋め立ての現場では、赤土が広がっている」「適法かどうか確認していない」などの質問(同26日)。田村氏は、同21日に沖縄県が、違法な赤土投入ではないとの国の資料に疑義があるとして立ち入り調査を求めた経緯に基づく問いだと指摘。「政府の説明と異なる意見は『事実誤認』なのか」とただしました。

 菅義偉長官は経緯を無視し、「県に確認文書を提出しており、(質問は)事実に反している」と強弁しました。田村氏は、「『問題意識の共有をお願い』とは、当該記者の質問が変わるよう、記者会に何らかの行動を期待したのか」とも追及。菅長官は「事実に基づいた質問を心がけるよう協力を求めた」と、記者会を通じて記者に圧力をかける狙いを否定しませんでした。

 この問題をめぐり積極的に答弁してきた菅長官が、田村氏に対しては答弁を避ける場面が目立ち、たびたび審議が中断。田村氏は「たとえ事実と違う質問でも、菅長官は反論する機会を持っている。『政府見解と異なる立場で質問すればこうなる』という見せしめだ」と述べ、報道・表現の自由を侵害する、記者と記者会への不当な圧力を批判しました。

2019年3月25日(月)しんぶん赤旗より

 

【2019年3月22日 参議院予算委員会 議事録】

○田村智子君
 次に、官房長官に来ていただきました。昨年十二月二十八日、官邸広報室長が行った内閣記者会への申入れについて質問いたします。
 まず、申入れの内容を確認いたします。

○政府参考人(原宏彰君) お答えいたします。
 御指摘の文書を読み上げます。途中、若干省略をいたします。
 十二月二十六日午前の官房長官記者会見における東京新聞の特定の記者による質問について、事実誤認等がありましたとした上で、この事実誤認等につきましては、埋立ての現場では赤土が広がっている、琉球セメントが県の調査を拒否、沖縄防衛局が実態把握できていない、適法かどうかの確認をしていない、発注者の国が事実確認をしていないとの記者の質問について、事実に反する等の指摘を行っております。
 また読み上げに戻りますが、当該記者については、東京新聞側に対し、これまでも累次にわたり、事実に基づかない質問は厳に慎んでいただくようお願いし、同社からは、事実に基づく的確な質問を心掛けるよう同記者を指導していく旨の回答を繰り返しいただいてきていたにもかかわらず、再び事実に反する質問が行われたことは極めて遺憾です。
 官房長官記者会見は、官邸ホームページ上のインターネット動画配信のみならず、他のメディアを通じたライブ配信等も行われており、そこでのやり取りは、官房長官の発言のみならず、記者の質問も、国内外で直ちに閲覧可能になります。そのような場で、正確でない質問に起因するやり取りが行われる場合、内外の幅広い層の視聴者に誤った事実認識を拡散させることになりかねず、その結果、官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念いたします。
 このような観点から、東京新聞の当該記者による度重なる問題行為については、総理大臣官邸、内閣広報室として深刻なものと捉えており、貴記者会に対して、このような問題意識の共有をお願い申し上げるとともに、問題提起させていただく次第です。
 もとより、本件申入れは、官房長官記者会見における記者の質問の権利に何らかの条件や制限を設けること等を意図したものではありません。官房長官側においては平素より、事実関係の把握に努め、正確な情報発信に最大限留意しつつ日々の会見に臨んでいることを御理解いただき、メディア側におかれても、正確な事実を踏まえた質問をしていただくよう改めてお願いするものです。
 メディア、政府の双方にとって有意義な形での官房長官記者会見の運営、実施のため、引き続き御協力いただけるようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○田村智子君 その申入れの全文と添付資料、資料配付をいたしました。
 この添付資料では、東京新聞記者の辺野古への土砂投入に関わる質問のうち、問題とされる部分にアンダーラインがありますね、先ほど御指摘いただきました。まずこの、埋立ての現場では、これ、今、赤土が広がっております、これ何が問題なんですか。

○国務大臣(菅義偉君) 埋立ての現場では、これ、今、赤土が広がっておりますという記者の発言については、現場では埋立区域外の水域への汚濁防止措置を講じた上で工事を行っております。あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているかのような誤った事実認識を拡散されることになるんじゃないでしょうか。

○田村智子君 これ、添付資料には、表現は適切ではないと書いてあるんですよ。これ事実誤認じゃなくて、記者の表現、言い方を問題にしているんじゃないんですか。

○国務大臣(菅義偉君) 今私が答えたとおりであります。

○田村智子君 いや、私も赤土広がっているというふうに思いましたよ。これ、見解の相違。だから、表現が適切ではないと書いてあるじゃないですか。事実誤認なんですか、これ。

○国務大臣(菅義偉君) 汚濁防止措置を、閉めて、そこでシャットアウトしているわけですから、外海には漏れていないということをモニタリングもしております。

○田村智子君 いや、一点言えば、これは区域外のことなんか言っていないですよ、埋立ての現場でと言っているんですよ。だから事実じゃないと言えないんですね、官房長官。
 じゃ、次。適法かどうか確認をしていない、発注者の国が事実確認をしていないという部分もアンダーラインがあります。
 まず、確認いたします。十二月二十一日、沖縄県知事と土木建築部長が土砂投入に対して政府に文書を提出しています。その内容はどういうものですか。

○政府参考人(辰己昌良君) 十二月二十一日に沖縄県知事から沖縄防衛局長に文書が出されていますが、その内容をかいつまんで要点だけ申し上げますと、貴局において改めて、貴局、これ沖縄防衛局ですが、今般投入された土砂の性状試験を行い、投入した土砂による環境影響の有無に係る調査を実施するよう求めるとともに、本県としても、投入された土砂の性状等を確認する必要があることから、土砂を投入した区域における県の立入調査及び性状試験用の土砂の提供に応じるよう求めると。
 この点につきましては、土砂を投入した区域における県の立入調査はその後行われております。

○田村智子君 その後って、いつですか。

○政府参考人(辰己昌良君) 一月三十日に赤土等流出防止対策について沖縄防衛局が県による立入りの要請に応じており、その日に県の職員による現場への立入り及び現状確認が行われておりますが、特に指摘等は受けておらないという報告を受けております。

○田村智子君 だから、十二月二十一日に、県は、粘土分を含む土砂があるんじゃないのかと、つまり赤土のことですよ、その国の性状の分析が、もう二年以上前のものが混じっているじゃないか、信用できないというふうに言っているわけですよ。県による土砂の立入調査を求めているわけですよ。東京新聞の記者は、これを踏まえて十二月二十六日に先ほどのような質問をしているんです。
 これを事実誤認と言うならば、政府の説明と異なる意見は事実誤認ということになるんじゃないですか。

○政府参考人(辰己昌良君) 十二月二十六日の記者会見による当該記者の質問は、埋立材の販売業者が県の調査を拒否しているという質問でございましたが、当該業者は県による立入調査を既に十二月十一日と十四日に受けているということでございます。

○田村智子君 私が聞いているのは二問目の方なんですよ。
 適法かどうかの確認をしていない。県は、適法ではないと、この土砂投入は、そういう立場を取っていますよ。立入調査も求めているんですよ。この沖縄県の立場で質問をしたことが事実誤認だと言うんですか。見解の相違ではないんですか。

○田村智子君 だから、県がその試料には重大な疑義があると言っているんです。その立場で質問をしていることを事実誤認と言うんですかと聞いているんですよ。

○国務大臣(菅義偉君) 今私申し上げましたように、埋立材が仕様書どおりの材料である、そのことを確認しており、沖縄県に対し要請に基づき確認文書を提出しており、明らかに事実に、違うんじゃないでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(菅義偉君) 沖縄防衛局が実態把握できていない、違法かどうかの確認はしていない、発注者の国が事実確認をしていないという記者の発言については、沖縄防衛局は埋立工事前に埋立材が仕様書どおりの材料であることを確認しており、沖縄県に対し要請に基づき確認文書を提出しており、これは明らかに事実と反するんじゃないでしょうかということです。

○田村智子君 もうそれは政府の説明と違うものを事実誤認と決め付けているということですよ。
 次、申入れ文書では、当該記者による度重なる問題行為については、総理大臣官邸、内閣広報室として深刻なものと捉えており、貴記者会に対して、このような問題意識の共有をお願い申し上げると言っているんですが、一体何を内閣記者会に求めているんですか。

○国務大臣(菅義偉君) この前、私……(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 御静粛に。御静粛に。

○田村智子君 答えていないんですよ。
 だから、何を内閣記者会に期待しているんですかと聞いているんです。

○国務大臣(菅義偉君) 官房長官記者会見の場では、まさにこの特定の記者が事実に基づかない質問をしたり、質問に入る前に個人的な意見や主張を繰り返し述べることが幾度も見られたことから、内閣広報官や官邸報道室長から東京新聞に対し申入れの文書を出したと。
 これまで実は数回あったんです。しかし、残念ながら、誤った事実に対して訂正も何もしないで、その会見の場で言い放つ、こんなことは、やはり私は、この官房長官の記者会見の本来の趣旨を台なしにしているんじゃないでしょうか。

○田村智子君 答えていない。
 申入れというのは、何らかのアクションを期待して行うものなんですよ。内閣記者会に何を期待して申し入れたのかと聞いているんです。

○国務大臣(菅義偉君) 事実に基づいた発問を、質問を是非してほしい、そして、自らの意見や主張を長々とそうした記者会見の場で行って、そのままテレビに流れるわけですから、やはり、そこはやはり限度というのがあるんじゃないでしょうか。
 そして、内閣記者会にも、そのような懸念を共有していただくとともに、正確な事実に基づく質問を心掛けていただくよう協力を求め、そのような文書の申入れをしたということであります。

○田村智子君 そうすると、東京新聞にも何回も申し入れたと言っていますね。しかし、なかなか変わっていない、だから記者会に申し入れた、こういう答弁も過去に行っています。ということは、当該記者の質問が変わるように何らかの行動を内閣記者会に期待しているということですか。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 御静粛に。

○国務大臣(菅義偉君) 今まで、例えばエンバーゴを破って質問をする、そうしたときに申入れはいたしました。
 さらに、国連人権委員会特別報告者を、私が面会のドタキャンをした。面会の依頼もなかったんです。東京新聞に申入れしましたら、事実誤認があったと回答がありました。
 また、質問に入る前に個人的意見、主張を繰り返し述べておりましたから、そこに対しても申入れをしました。記者会見の場で官房長官に意見を述べるのは当社の方針ではありませんという回答がありました。
 また、午前の会見で長官は個々の相談記録は個別に答えないという話でしたという言及がありました。私は午前中そうしたことを言ったことはなかったものですから、これについて申入れをいたしました。そうしたら、東京新聞からは言い間違いだったという回答がありました。
 さらに、沖縄の自民党議員の行動に対し、繰り返して暴挙ということを何回も繰り返したんです。これについて、東京新聞からは、表現を繰り返したことは穏当を欠き、避けるべきでした。
 こうしたことがずっと続いているんです。ですから、先ほど記者会にも広報室で申し入れたんだろうと思います。

○政府参考人(原宏彰君) お答え申し上げます。
 特定の何か、具体的にどのようなアクションを期待しているのかということでございますけれども、アクションを期待しているのではございませんで、先ほど官房長官から御答弁ありましたとおり、内閣記者会にも今のような懸念を共有していただくとともに、正確な事実に基づく質問を心掛けていただくよう協力を求めて、室長が御指摘の文書による申入れを行ったものでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 静かに。

○田村智子君 事実と違うことを聞かれたんだったら、官房長官は幾らでも反論する機会を持っているんですよ。今までだって国会答弁で幾らでもやってきたじゃないですか。
 しかも、東京新聞への申入れ見てみれば、事実誤認と指摘されるようなものよりも、むしろ記者の言い方、表現の仕方、それが問題だという申入れの方が多いですよ、一つ一つ見てみると。そうすると、内閣記者会に特定の記者を問題視することを共通認識にせよと求めているんですよ、これは事実上。だってそうでしょう、東京新聞の当該記者による度重なる問題行為について問題意識の共有をお願い申し上げると言っているんですから。これ以外ないですよ。それ以外ないですよ。ですから、政府の見解と異なる立場で質問すればこうなるよという見せしめじゃないですか。

○田村智子君 だからこそ、今多くの報道関係者が表現や報道の自由を守れと、そう危機感を持って異議を唱えている……

○委員長(金子原二郎君) 時間が来ています。

○田村智子君 このことを厳しく申し上げて、質問を終わります。

○委員長(金子原二郎君) 以上で吉良よし子君及び田村智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    

 


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