日本共産党の田村智子議員は20日の参院内閣委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる文書改ざん問題について、菅義偉官房長官が、改ざん前の文書について報告を受けながら、財務省が改ざん後の「貸付決議書」を8日に国会に提出することを黙認したとして責任を追及しました。
田村氏は、菅氏が15日の記者会見で、5日に杉田和博官房副長官が国土交通省から書き換えの可能性があるとの報告を受け、杉田氏から菅氏自身への報告は6日だったと明らかにしたことを指摘し、「財務省が8日に改ざん後の決裁書を提出することを知っていたのか」とただしました。
菅氏は「承知していた」と答弁。「8日の財務省の対応は二重三重に国会をあざむくもの」「なぜ待ったをかけなかったのか」との田村氏の追及に、「政府として不確実なことを公表するわけにはいかなかった」と弁明しました。
田村氏は、国会審議の大混乱を招いた財務省の対応と、黙認した菅氏の責任は重大だと指摘し、「総理答弁を含め、改ざんの理由を徹底究明すべきだ」と強調しました。
2018年3月22日(木) しんぶん赤旗
【3月20日 内閣委員会議事録より】
○田村智子君 それでは、森友公文書改ざんの問題についてお聞きします。
菅官房長官は記者会見で、五日の日に国交省から杉田副長官の下に財務省のものとは別の決裁書があるよという報告を受け、翌六日、自身もその報告を受けたというふうに説明をされています。ところが、八日の朝、財務省は予算委員会理事会に改ざん後の決裁書を再提出したわけです。そして、現時点で存在する文書はこれだけだと、二重三重に国会を欺く報告をしました。
官房長官、財務省が八日にまたも改ざん後の文書を国会に提出する、このことを事前に御存じだったんですか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、本件について御説明させていただきます。
五日に、国土交通省より杉田副長官に、国交省に保存されている文書は書換え前のものである可能性があるという報告を受けたということです。そして、副長官は、国交省に対して、調査、財務省に全面協力を行うよう、そしてまた、財務省に対しては調査を徹底して行うよう、こうした指示をしたということであります。また、その際、財務省においては、まず確認を行うために職員の聞き取りを徹底して、文書の調査など自ら調査を行い、その上で、九日に検察当局に協力を依頼し、そこで最終的に書換え前の文書の確認に至って、十日未明になって実際に文書の写しが本省に届き、十二日に国会への報告がなされた、これが一連の経緯であります。
国会の御議論においても、八日に資料の提出を求められているということは、報告は受けておりました。そして、財務省において調査を行う中で、八日の時点で最終的に書換え前の文書を確認することができず、政府として不確実なことを公表するわけにはいかない中にあって、財務省の判断として資料の、提出資料の判断をし対応したと、このように理解をしております。
○田村智子君 済みません、質問に答えていないんですよ。そういう資料を提出すると、まだ財務省は書換え前のものが、分からないのかどうかは分かりませんけど、出せない状態にあって、また改ざん後のものを出すということを、長官、知っていたのかとお聞きしているんです。
○国務大臣(菅義偉君) まず、この文書の書換え問題については国会で大きな議論になっていました。八日の時点で、国会からの要請に対し、財務省において近畿財務局に保管されている決裁文書の写しを提出するという対応については報告を受けておりました。
○田村智子君 これ、この八日の財務省のその対応は、その後の国会を大混乱させる事態になったわけですよ。二重三重に欺くということですからね。
これ何で待ったを掛けなかったんですか。それ待ったと、ちゃんとした調査やっていないじゃないかと。国交省からはこういうもの来ているよとなぜ待った掛けなかったんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど一連の経緯について申し上げました。財務省においては、まず職員の聞き取りや徹底した文書の調査などを自ら行った上で、確認できなくて九日に検察当局に協力を依頼した。政府としては、不確実なことを公表するわけにはいかない中にあって判断をされたんだというふうに思います。
○田村智子君 これ、黙認したことになるわけですよ、また改ざん後のやつを出したことを、それでは。
それで、国会の審議の前提を欠く事態に、八日、このことで陥って大混乱になったわけですよ。この内閣委員会にかかる法案の子ども・子育ての法案は、衆議院で野党が全く質問しないまま送られてくるという事態を生む原因がこの八日の財務省の対応ですよ。これ重大だと、官房長官の責任も含めて指摘をしなければなりません。
そもそも公文書の改ざんは、国会をじゅうりんし、民主主義の根幹を破壊し、国民を欺く断じて許されない行為だ、この認識がおありになるのか。また、政府答弁との整合性が改ざんの理由とされているわけですから、これは総理答弁を含め改ざんとの関係を徹底調査する、当然だというふうに考えますが、この点、二点について、官房長官、官房長官です、財務省に答弁求めていないです。陪席させてくれと言われただけですよ、手挙げないで。官房長官、お聞かせください。
○政府参考人(古谷雅彦君) 財務省でございます。
八日に提出いたしたもの、国会からの求めに応じまして具体的に特定いただいて、近畿財務局にあるコピーを提出せよとの御要請があり、提出したものでございます。
五日以降、近畿財務局に原本があるか否かという点について、一部の国会議員の先生方が実際に現地に行かれまして、近畿財務局に保管されている紙コピーの売払決議書を入手されまして、それと以前より議院に提出されているものとの違いについて疑義がなされていたと。その議論について、二つの違いというのは混乱がありましたので、国会からの求めに応じて、近畿財務局にあるコピーを提出せよというような御指示がありまして、混乱が生じないよう近畿財務局に保管されている紙コピーと以前から議院に提出させていただいたPDFのコピー、提出させていただいたところでございます。
八日の……(発言する者あり)
○委員長(榛葉賀津也君) 端的にお答えください。
○政府参考人(古谷雅彦君) はい。
八日、国土交通省から貸付決議書、御指摘のとおりでございますけれども、先ほどからお話ありますけれども、一つ一つ情報を確認しないと、一部の情報だけではという意味で慎重な精査を行っていたところでございます。
○田村智子君 いいです。官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) まず、この財務省における文書の書換えについては、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であり、大変遺憾であります。
書換えが行われた経緯や目的について、昨日の予算委員会において、総理は御自身の答弁と書換えの関係を否定されていたと私は認識しております。
本件については、国民の皆さんから厳しい目が向けられていることを真摯に受け止め、財務省において捜査に全面的に協力するとともに、このような事態が起こったことについて経緯や目的を含め全容を明らかにするために徹底した調査が必要だというふうに思っています。
○田村智子君 今の対応も含めて本当に信用できないわけですよ。財務省、陪席するだけって言ったじゃないですか。
この重大問題は官邸含めての責任がやっぱり問われる事態になってきたというふうに思います。今後も取り上げたいと思いますが、今日は官房長官への質問は以上です。
○委員長(榛葉賀津也君) 官房長官は御退席いただいて結構でございます。
○田村智子君 次に、加計学園の問題です。
これも質問するたびに答弁の矛盾が出てきて、今日の委員会も冒頭で村上審議官が十二月の特別国会での答弁に混乱があったというふうに陳謝をされました。矛盾の一つは、今治市の提案が京都府と京都産業大学の共同提案よりも教員確保の点で熟度が高いと判断したその根拠です。
何度も言いますが、当時の山本幸三大臣は、「専任教員を七十名確保するとしており、その確保先についても、海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等が示されており、」というふうに答弁をされた。私は、教員確保は事業者でなければできない、加計学園から聞いたんでしょうと何度も質問しているのに、内閣府はそれを否定をされると。
特別国会では、梶山大臣が、第十四次構造改革特区提案に教員確保先が書いてあると、こう答弁されましたので、その提出資料を全部配付いたしました。これを読みますと、二〇〇八年の提案で加計学園を事業者としたものなんですけれども、教員確保については、三ページ目の下から五行目、「国際水準を視野に入れた外国人を含む教員組織」と書いてあって、次のページ上の方に、「獣医学先進国であるアメリカ・欧州などからも専任教員を招致」、これだけなんですよ、どんなに読んでも。海外製薬企業、中央官庁や国際機関の経験者、国際協力機構、これ何もないわけですね。
二〇一五年の国家戦略特区の提案資料は七十二名と人数だけなんです。教員の確保については加計学園から何らかの説明を受けていた、これを基に大臣の答弁が準備された、これしかもうあり得ないわけで、梶山大臣、いいかげんこれを認めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど委員から御指摘がありましたように、専任教員の確保先につきましては、今治市は、平成二十年の第十四次構造改革特区提案において獣医学先進国であるアメリカ、欧州などからも専任教員を招致するといった構想を示しているのと併せて、平成二十八年十二月下旬に事務的に今治市から確保先を聞き取ったものと聞いております。
○田村智子君 その説明がもう本当に破綻しているのは、この資料を見ても明らかだというふうに思うわけですね。
大体、愛媛県と今治市へのヒアリング、二〇一五年六月五日の国家戦略特区ワーキンググループに、当時、加計学園新学部設置準備室長だった吉川泰弘教授が出席をしていたと。その際、教員確保についても質問に答えた記憶があると、当の吉川教授が東京新聞の取材に答えているわけです。これ、昨年八月七日の報道です。
なぜ、教員確保について加計学園の説明を聞いたとお認めにならないのか。安倍総理が加計学園の獣医学部新設の計画を知ったのは事業者決定したときだと、こういうふうに答弁されているわけで、まさかこの答弁に合わせて論理破綻の答弁を繰り返しているということなのかと疑わざるを得ないんですが、いかがですか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
六月五日の加計学園の発言につきましては、非公式な出席者ということで、正式な発言として認められておりません。ワーキンググループは正式な提案者の御意見を拝聴する場でございますので、議事録、議事要旨にも非公式な発言は残していないということで、当時発言があったかどうかは議事録、議事要旨上は記載がないという状況でございます。
私どもは、今大臣から御答弁させていただいたような情報を基に当時山本大臣に御判断をいただいたというふうに承知をしてございます。
○田村智子君 もう資料には何にも出てこないことが答弁に出てくるわけですよ。そんなばかな話ないじゃありませんか。
もう一点お聞きしたいんです。じゃ、ワーキンググループの議事要旨、議事録、これどちらも出席者に加計学園の関係者の名前も発言も記録されていないと。八田座長や内閣府の皆さんは、説明補助員だから当然だということを言われるわけですよ。説明補助員というのは、その後ろの座っていらっしゃるような、この国会でいえば政府の方々で、これ絶対答弁することあり得ないんですよ、今日答弁するはずのない方が答弁されましたけどね。絶対に、でも、後ろの政府、いわゆる補助説明者の方は答弁することはあり得ないわけですよ。
じゃ、何でワーキンググループでは説明補助員が発言できることになっちゃうんですか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
一部、もう御指摘もいただいたとおり、ワーキンググループの議事は原則公開との八田座長の方針に基づき、ルールにのっとって詳細な議事要旨が作成されオープンにされているところでございますが、提案ヒアリングは提案者から責任ある説明を求める場であることから、提案者以外の者は正式な出席者とはならず、御理解いただいていますとおり、加計学園関係者は提案者である今治市の独自の判断で同席させた説明補助者ということで、正式な出席者とはしておりません。
お尋ねをいただいた、なぜ発言できたのかということでございますけれども、しかしながら、この回につきましては、ヒアリングが非公開だったこともあり、提案者による公式な発言と説明補助者による非公式な発言とが混在したというふうに考えられます。正式な出席者でない説明補助者の発言が正式な出席者や公式の発言を記録する議事録、議事要旨の掲載対象とならないことは当然のことでございまして、これにつきましては過去から御答弁を申し上げているとおりというようなことでございます。
○田村智子君 これ、何でもありということになっちゃうんですよね。提案者になるのは都合が悪い利害関係者も、提案者の方が説明補助員だとして連れてくれば隠れたままで参加できるということになりますよね。それで議事を非公開と決めれば、発言できないはずのその利害関係者が自由に発言できることになるわけですよ。で、いざ議事がいろんな追及とかにあって、じゃ、議事要旨はもう公開しなくちゃいけないということになったら、今度は正式な発言ではないからということでその存在の全てが消されてしまう。
梶山大臣、私、これとんでもない運用だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 会議の規則が決められております。今言ったように、説明補助員、メンバーしか発言は認められていないということになっておりまして、今のような答弁をさせていただきました。これまでも、ワーキンググループ、かなりやっておりますけど、そういうルールの下に全てやっているということであります。
○田村智子君 だから、正式なメンバーじゃない人が発言しているじゃないですか。しかも、議員が国政調査権として質問して、たとえ議事要旨に載っていなくても、加計学園が発言している、それだったら、どういう発言したのか、あるいは、私が加計学園から話聞いたんじゃないかと言ったときには、私は国政調査権として説明しているわけですから、それは説明補助員として出席していた、発言があったと説明するのは当然のことだと思いますよ。これ、議事要旨から隠れたら議会で聞かれても質問には答えない、こういう対応になるということなんですか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
まさに、提案者から責任ある発言を聞く、これを踏まえて判断をするということで、まさに非公式な発言が不用意に流布したり公になったり、それによって政策判断が変わることにないようにも、正式な発言を公式な議事録、議事要旨に残すということでございます。
御判断の根拠、山本大臣の六月の答弁の根拠にしたところの情報のソースはどこかということにつきましては、冒頭、梶山大臣から御説明をさせていただいたとおりでございます。
○田村智子君 本当にとんでもない運営なんですよ、これ。だって、その非公式な発言が政策決定の参考にされたかどうか、これ、私たち分かりようがないんですよ。どういう人が来て発言したかも分かりようがないんですよ。
この加計学園の問題では、もう私がこれまでずうっと質問してきたことに、もう答弁の矛盾が様々に出てくる。加計学園から話聞いていないなんてあり得ないような、そういう答弁ばっかりなんですよ。これ、やっぱりこの問題、このままにしておくわけにはいかないんです。
是非、そのワーキンググループにも出席していた藤原豊審議官、やっぱり出席してもらわないといけないと思います。そのことも求めて質問を、御協議ください、お願いします。
○委員長(榛葉賀津也君) 後刻理事会で協議いたします。
○田村智子君 終わります。