国会会議録

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森友・リニア談合ただす 田村智・山添両氏 政府人事案

 参院議院運営委員会は30日、政府が提示した国会同意人事案のうち、公正取引委員会の杉本和行委員長(再任)と会計検査院の森田祐司検査官(同)の両候補から所信を聴取し、各党の質疑を行いました。日本共産党から田村智子、山添拓両議員が質問しました。

 森田検査官候補に対する質疑で、田村氏は、会計検査は憲法90条にもとづくものであり、「森友学園」への国有地の格安売却問題で、検査の前に関係資料を「契約完了をもって廃棄した」との財務省の対応は重大だと指摘。森田氏は、売却価格の根拠が不十分だと指摘した昨年11月22日の報告書をあげ、「十分な説明ができる書類を確認できなかった」と述べました。

 田村氏は、報告書の国会提出の前日になって財務省が新たな資料を出した問題に言及。「財務省内の文書の有無を含め検査できるのは検査院だけだ」と対応をただすと、森田氏は「国有財産の売却等、重要な会計経理は全てを対象に検査を続けたい」と答えました。

 杉本公取委員長候補に対する質疑では、山添氏は、リニア中央新幹線をめぐる大手ゼネコン4社による入札談合・受注調整疑惑などをあげ、「特定の業界、事業者間で談合が繰り返されている」と強調。杉本氏は「談合は独占禁止法に違反する非常に悪質なケース。厳正に対処し抑止効果を高める」と述べました。

 公取が今国会提出を見送った独禁法改正案について山添氏は、談合などの事案解明の貢献度に応じた課徴金制度などが予定されていたとして、改正案の狙いを質問。杉本氏は「調査に協力してもらい企業のコンプライアンス(法令順守)意識を高め、予防効果につながる」と答える一方で、自民党の反対などにより「成案を得るに至っていない」と述べ、同党や経済界が法改正を阻んでいる実態が浮き彫りになりました。

2018年1月31日(水) しんぶん赤旗より

【1月30日議員運営委員会 議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 本日は、森田参考人、ありがとうございます。
 参考人が冒頭述べられたとおり、会計検査とこれを行う会計検査院は憲法九十条によって規定をされています。改めて読み上げたいと思うんですけれども、憲法九十条は、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と。また、参議院は、議会改革の取組の中で決算審議を重視すると。そのためにも、会計検査院による検査権限を強める法改正、先ほど御説明のあった応諾義務ですね、会計検査を行うと、そのときに相手は応じなければならない、書類提出などしなければならないと。こういう法改正は、参議院の側が主導して決算重視の参議院という議会改革の中で進めてきたことでもあります。
 こうした憲法上の規定と参議院における決算の位置付けからも、真山議員も質問された森友学園への国有地売却の問題、これは個別の案件ではちょっと済ませられないですね。極めて重大な問題だというふうに私考えております。ですから、検査官として関わった参考人には、重なるところがあろうかと思いますが、少し丁寧に認識をお聞かせいただければというふうに思います。
 この国有地売却の案件も含まれる二〇一六年度決算は、昨年十一月二十一日に国会に提出をされました。財務省は、森友学園の国有地売却について、見積書を含む売却価格の決定に至る文書の一切を売却契約の完了をもって廃棄したと、これが通常の取扱いであるということを平然と国会の中で答弁を続けたわけですね。これは、決算を国会に提出する前に、会計検査を受ける前に廃棄して当然だという答弁になってしまうわけです、契約完了によって廃棄ということですから。
 これは、報告書の中では今後の文書管理ということにも触れられて、今、財務大臣なども、今後の文書の管理の在り方について報告書を受け止めという答弁をされているんですけれども、今後では済まされないというふうに思うんですね。このこと自体が憲法九十条の規定に照らしてどうなのかと、この点について森田参考人の見解をお聞きしたいと思います。

○参考人(森田祐司君) 難しい御質問をいただいたというふうに思います。
 確かに、憲法九十条で全ての収入支出を毎年ということで検査をさせていただいているところであります。先ほども申し上げましたように、予算を執行した部局が、それが適正であるということを書類をもって、証拠書類をもって検査院に提出をするという立て付けになって、それを基に検査院は検査をするんだということかと思うんですね。
 ですから、その検査としてはそこの部分が、計算証明規則にはどういうものを必ず提出しなさいということは明記はされているところではあるんですけれども、当然、固有名詞ではなくて、こういうものを証明するものみたいな部分もございますので、今回の部分が計算証明規則に直ちに違反するのか、あるいは一定のルールに基づいた、そのルールそのものの適切性というものは、今、今後という話でしょうけれども議論されているところかとは思うんですけれども、そこの部分というのはあろうかと思うんですけれども、検査院としては、そこのものについては、今回の御要請をいただいた報告の中でやはり十分なる説明ができる書類を確認することができなかったという形での報告を出させていただき、決算の御審議、決算審査を行われる国会の御審査の御参考というか、していただきたいということで検査報告を出させていただいたと、こういうふうに御理解いただければというふうに思うんですけれども。

○田村智子君 もう一点、この森友学園の問題に関わってなんですけれども、先ほどもお話のあった十一月二十二日に報告書を提出をし、その前日に財務省から新たな資料だといって会計検査院に提出があったということを私たちも確認をしているんですね。
 それで、財務省の中に入って文書の有無も含めての検査ができたのは、あるいはできるのは、現時点では会計検査院だけなんですね。国会の側は国政調査権はありますが、私たちは議会の場でただす、あるいは呼んで説明を求めるということはできますけれども、財務省の中に入って文書の有無も含めた検査ということはできないわけです。
 そうすると、こうやって報告書をまとめてから言わば提出が、新たな文書の提出が行われるというこの事態を受けて、会計検査院としてどのような対応が必要と考えるか、先ほどと重複するかもしれませんけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。

○参考人(森田祐司君) 会計検査院としてというふうにお問いをいただくと、先ほども申し上げましたように、検査院としては合議体機関でございますので、今日は候補者、私の、個人としてということでお許しをいただきたいというふうに思うんですけれども。
 やはり今回のケースは報告書を出す前日であったということ、当然、前日ですのでその報告書を出した後ではございませんのですけれども、当然、検査を担当している部局で中身を確認しまして、お出ししようとしている報告書が、それを止めてもう一回その部分を入れて出し直すべきなのか、いや、それがあったとしてもその結論等々に影響を与えないのかという検討は当然やっていたというふうに聞いておりまして、その上で、今そのままというか、お出しするのが適切だろうということでございます。当然、その新しい情報というものはそこには入っていないところではございますんですけれども、やはり御要請をいただいた検査報告を検査が済み次第適切に出させていただくという観点からそういう判断をさせていただいたということでございます。
 ですから、本件にかかわらず、冒頭、九十条おっしゃっていただいたんですけれども、全て毎年ずっと継続して我々は国の会計経理を見させていただきますし、一度見させていただいた事項を今後二度は見ないということはございませんので、引き続き国有財産の売却等重要な会計経理については全てを対象として検査を続けさせていただきたいと、そんなふうに思っているところでございます。

○田村智子君 この問題での財務省の対応というのはまさに憲法九十条に抵触する可能性が極めて高いというふうにも思っていますので、少し突っ込んで見解をお聞きいたしました。
 最後、一点なんですけれども、会計検査は正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点で行われると定められています。この有効性ということについて一点お聞きをいたします。
 やはり予算の執行というのは法律や内閣の政策決定に基づいて行われるわけですけれども、有効であるのかどうかという、その観点での検査は場合によっては内閣に対して政策の根本的な見直しを求めるという結論に達することもあり得るというふうに思います。それだけに重要かつ難しい観点だというふうに思いますが、この有効性の観点の意義、その実践、いかにして行っていくかということについて御見解を伺って、終わりたいと思います。

○参考人(森田祐司君) 御質問ありがとうございます。
 有効性は私もずっと力を入れて取り組んでまいりました。と申しますのも、やはり有効性、今おっしゃっていただきましたように、その施策なり事業の目的、達成すべき目標、成果というものが明確になっていないと、その部分が、それが達成できたのかどうかというのは判断は難しいと思うんですね。
 その点、国、地方共に政策評価でありますとか行政評価、そのような形で、ある施策、事業を実施する場合には目的は何なんだと、できればそれを成果指標というふうな形で数値化もしていって、事前にそれを議論をし、その目的を達成するためにその事業を実施するんだということを明確にしていこうという動きがどんどんと進んでいるというふうに思います。
 ですから、検査院にとりましても、検査院がその事業の目的は何だと考えるんではなくて、執行部局がどのような目的のためにその事業をやっているんだ、あるいは何年後にこういうふうにその指標を改善していくんだという目標があります。あるいは、それが非常に増えてまいりましたので、それの観点で、目標はこうなのにそれが達成できていないんではないか、そういうふうな観点で検査をする。
 ですから、政府の取組なりのその部分が、政策評価なりの取組が非常に有効性の検査のバックグラウンドになるといいますか、基礎データを、非常に有効な基礎データを提供してくれる環境になってきているのかな。ですから、それをフルに活用して、有効性の検査、今後とも進めていきたいというふうに考えております。

○田村智子君 終わります。


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