全国97の自治体で発生したマイナンバーを記載した通知書の誤送付トラブル。漏えいが懸念されながら、ゴリ押しした総務省の責任が問われます。
本紙の調べでは、住民税の「特別徴収税額決定通知書」の誤送付は95自治体、589人分が起きています(表参照)。その中で多数のマイナンバーが漏えいしました。
「通知書」にマイナンバーを記載することにメリットはありません。
自治体にとっては、業務のはん雑化や、漏えいの恐れがあることなどが懸念されます。
漏えいが起きたある自治体の担当者は「送付する『通知書』の件数が膨大な中、今年からマイナンバー記載ということで、チェックする回数を増やして入念に作業したが、ミスが起きてしまった」と説明します。
受け取る側の事業者も作業や管理費用の負担増になります。マイナンバー付きの書類は、決められた担当者だけが取り扱うことや、カギ付きロッカーなどでの厳重な管理が定められているからです。
また、勤務先にマイナンバーを教えていない従業員にとっては、本人の頭越しに、役所が勤務先にマイナンバーを教えることとなり、大問題です。
全国の運動を受け、名古屋市や東京都の中野区など、マイナンバーを記載しないことを表明した自治体も多くありました。
こうした自治体の動きに対しても、総務省は「個人番号記載に関するQ&A」などの文書で、記載するようゴリ押しを強めていました。
この問題では、日本共産党の梅村さえこ衆院議員や田村智子参院議員が国会質問で中止を求めています。
梅村氏は「危険だという声を無視してゴリ押ししてきた総務省の責任は重大です。これは、私が質問した際の『番号法は個人情報保護が前提』『丁寧な説明をしていく』との国会答弁とも矛盾しています。マイナンバー記載は事業者と自治体に多大の負担と責任の押しつけとなっており、中止すべきです」と強調します。
「通知書」のマイナンバー誤送付自治体
(自治体名、誤送付・誤配達した人数)
【北海道】札幌市8、芦別市9、恵庭市4、江別市1、帯広市2、東神楽町30、奈井江町2【青森県】つがる市35、むつ市4、平川市2、おいらせ町1【岩手県】盛岡市3【宮城県】石巻市26、大崎市3、栗原市2、登米市38【福島県】郡山市30、三春町2【千葉県】干葉市11、習志野市1、八千代市2、大網白里市3【栃木県】宇都宮市5、鹿沼市1、さくら市4、栃木市4、那須塩原市1【茨城県】神栖市1、桜川市1、下妻市1、取手市1、那珂市5、龍ケ崎市1【埼玉県】川口市7【神奈川県】横浜市9、川崎市17、綾瀬市2、逗子市2、大和市4、大磯町3【新潟県】三条市3、佐渡市2【石川県】金沢市3、加賀市6、小松市5、能美市1、羽咋市6、白山市3、野々市市5、輪島市1、穴水町8、津幡町2【静岡県】静岡市1【長野県】長野市3、安曇野市4、松本市14【愛知県】岡崎市6、大府市1、知立市1【三重県】名張市3、木曽岬町1、南伊勢町1【京都府】京都市3、木津川市7、京田辺市2、宮津市9、向日市4【大阪府】枚方市2【兵庫県】神戸市5、尼崎市2、伊丹市19、姫路市3、猪名川町1【広島県】広島市5【徳島県】徳島市5、阿波市1、美馬市5、三好市1、藍住町4【福岡県】福岡市21、北九州市2、大野城市7、久留米市13、太宰府市8、岡垣町2、志免町2【大分県】宇佐市1、臼杵市1、豊後大野市1【熊本県】菊池市1【宮崎県】えびの市1、小林市59、都城市11、新富町1【沖縄県】宮古島市12(合計95自治体、589人分)
※7月6日までの自治体発表資料や報道を集計