国会会議録

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公立保育所 増設こそ 待機児解消「国・自治体連携し」 田村氏が質問
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(写真)質問する田村智子議員=3日、参院予算委

 日本共産党の田村智子議員は3日の参院予算委員会で、保育所に入れない深刻な待機児童問題を打開するためには、国と自治体が責任をもって「公立保育所を増設することが必要だ」と強調し、「自治体は待機児童の需要を把握できるはずだ。国は自治体と連携して対策を進める必要がある」と求めました。

 田村氏は、今年も「保育園落ちた」の悲鳴が各地であがり、東京都内の自治体では申し込み者の4割が「入所不承諾」となる状況が生まれていると紹介。昨年来の安倍政権の待機児童対策をただしました。

 塩崎恭久厚労相は、「受け皿・人材の確保など対策を打っている。働き方改革で環境を整える」と述べ、具体的な解消策は示しませんでした。

 田村氏は、大阪府八尾市や東京都東久留米市では多くの待機児童がいるのに公立保育所の統廃合・全廃計画が進められていることを示し、背景に公立への直接補助制度の廃止など国の政策があることを指摘。八尾市の計画は、公共施設の統廃合を促進する総務省の「公共事業最適化事業債」の対象だと述べ、「国の政策も公立つぶしをあおっている。待機児童解消に逆行する」と追及しました。

 塩崎厚労相は公立保育所が減っていると認め、「それぞれの自治体の判断」などと責任逃れ。高市早苗総務相も「(自治体の財源となる)事業債は活用できるが、保育所・幼稚園への特定のものではない」と開きなおりました。

 田村氏は「待機児童解消や求められる保育の質の確保から、公立保育所の役割を再認識すべきだ」と追及。塩崎厚労相は「公立であろうと、私立であろうと地域に重要な役割を果たしている」と述べて、公立保育所増設には背を向けました。

2017年3月4日(土)しんぶん赤旗

 

【3月3日 予算委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 今年も保育園落ちたという大変悲痛な声が多数寄せられています。私は昨年の予算委員会でも保育所待機児童問題を取り上げまして、緊急の保育や対策が必要だということ、あるいは認可保育所を抜本的に増やすための提案というのも強く求めてきたわけです。今年もまた同じ事態だというふうに言わざるを得ないことが大変悔しい思いです。

 厚労大臣、この四月の待機児童の状況をどのように認識されておりますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 現在、各市区町村におきまして、今年の四月からの入園、これに向けた調整が行われているわけでございまして、お母さん方、保活、いわゆる保活を今まさにされているわけでありまして、そういった方々は大変な御苦労をされているというふうに思っております。

 これ、安倍内閣としても、そしてまた厚生労働省としても、平成二十九年度末までの五年間で五十万人を超える保育の受皿の拡大を進めるとともに、保育コンシェルジュなどによる丁寧な支援をそういった保育を求める方々にやってきているところでございます。

 しかしながら、自治体によっては、待機児童がいるにもかかわらず他に利用可能な園の紹介を十分行っていない事例もあったり、そういうことで、一月の全国部局長会議などにおきまして、保護者の御意向あるいは状況について丁寧に把握をして、そして小規模保育事業など他に利用可能な園を紹介をするなど、保護者に寄り添う支援を行うように自治体に対して厚生労働省としても要請をしてまいっているところでございます。一次募集で入れなかった方にも保育コンシェルジュ等によって丁寧な支援が行われることを期待をしたいというふうに考えております。

○田村智子君 私どものしんぶん赤旗が、東京二十三区の自治体やあるいは党の地方議員団に問合せをいたしまして、一次選考の結果というのを集計いたしました。世田谷区では申込数が六千六百八十、不承諾が二千六百九十五、江東区は申込みが五千二百三十八、不承諾が二千百二十三と、実に四割が不承諾という自治体まで出てきているわけです。これは一次審査の結果ですけれどもね。

 二月二十四日、赤ちゃんを連れたお母さんたちが議員会館に集まりました。中には、認可園を全部申込書に記入したが駄目だった、二年続けて不承諾だった、四月からどうしたらいいのかと、こういうせっぱ詰まった状況がひしひしと伝わってきたわけです。

 私、昨年もお聞きいたしました。保育所に入れないがために仕事を辞めざるを得ない、こんな事態は起こしてはならないわけで、そのために政府はどのような施策を行おうというのでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、保活をされている方々が子供さんが生まれたのに保育園に預けられないということで仕事が続けられないということは、これはもう極めて切実な思いを抱かれていることはもう間違いないわけでありまして、こういう方々の声に応えるためには、政府として、一つは保育の受皿の拡大、それから保育人材の確保、当然そのための処遇の改善、こういったことをしっかりと今取り組みつつあるわけで、二十九年度の予算でも同じようにそういう対策を打っているわけであります。

 それから、先ほど申し上げたとおり、一人一人のニーズに合った各自治体からの利用者支援、これを私どもとしてもバックアップをしていきたいと思っております。

 もう一つは働き方改革で、子育てをしながら働けるという環境をしっかりとつくっていくということで、仕事と子育てが両立をできて、更に安心して子供が育てられる環境の整備をしっかりやらなければならないというふうに考えております。

○田村智子君 これ、その二十四日に集まったお母さんたちも、怒っていた一つは、役所に今行っても、入れないということで行っても、とにかくあなたが入れない理由というのを延々説明されるだけで、それじゃどうしたらいいのというのに答えてもらえない、まるで諦めろと言われているようだと。こういう方が何人もいらっしゃったわけですね。

 私、確認をしたいんです。政府は、子ども・子育て支援法の施行に伴って、児童福祉法二十四条一項、この自治体の保育の実施義務というのは法改正の前後で基本的には変わらないと、こう説明をして、その趣旨を周知をしてきたというふうに認識しております。

 多くの自治体が例えば保育所整備計画の前倒しとかそういう努力をしているということは私も分かります。それでも、結果として待機児童が生じたと。そのとき自治体は、保育の必要性が認定された個々の子供に何らかの保護を与えて、保護者が退職に追い込まれることがないようにする必要があるというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘をいただいたこの児童福祉法第二十四条、これに基づいて各市町村は、保育園などの保育の提供体制を確保するとともに、保育園などが不足をしている場合にはその利用について調整を行うと、こういうことが定められているわけでございます。

 さらに、利用調整の後に入園に至らなかった方、こういった方々に対しては、継続してその御意向あるいは状況の把握に努めて、保護者のニーズに合った丁寧な支援を行う必要があるというふうに考えております。

○田村智子君 そういうふうに自治体にちゃんとやってほしいんですよ。諦めろと言わんばかりのことは本当にやっては駄目だというふうに思いますし、もっと言うと、自治体は二月、三月よりもっと早くから待機児童どうなるかというのは分かるはずなんですよ、申込み受けた時点からね。そのときから、需要を満たすようにどうしたらいいのかと、保育所等の確保、あるいは、結果として待機児童出た場合、個別の保護者にどう向き合って対応していくのか、これやらなきゃいけないし、国も自治体と連携して対策を進めることを強く求めておきたいというふうに思います。

 待機児童解決の緊急策として、我が党は、昨年、認可保育所を抜本的に増やすための提案を行いました。その一つが公立保育所を減らすのではなく拡充することだということです。お母さんたちも、何で足りないと分かっているんだったら自治体が自ら保育所を増やさないのかと、こう言われているわけですよ。当然の声だと思います。

 全国で公立保育所減り続けていて、待機児童を多数抱える自治体でも同じ傾向です。待機児童対策を真剣に進めようとすれば、自治体の責任で公立保育所の定員を維持拡大し、私立も含めて認可保育所の数を増やすということは必要なはずです。待機児童対策だと言いながら公立を減らす、これは何やっているんだとそしりを受けるようなやり方だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、公立保育所のことにつきまして御指摘がありましたけれども、現在、公立と私立の割合というのが大体四対六になっています。御指摘のとおり、公立保育園は近年数は減少しているということも事実でございまして、具体的にどのような形でこの保育の受皿を自治体が用意を、整備をしていくのか、これについては、まず公立、私立を問わず、やっぱり必要だということ、それから保育園以外にも、例えば、認定こども園とか、あるいは小規模の保育事業、あるいは家庭的保育事業、こういった多様な保育の受皿を活用するなど、潜在ニーズやあるいは地域の状況も踏まえながら着実な整備につなげていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 公私を問わず必要だと言いながら公立が減っているわけですよ。

 具体の例を示します。一月の補正予算の審議でも、我が党の辰巳議員が大阪府八尾市の公立保育所統廃合計画を取り上げました。これは、十九ある公立幼稚園、七つある公立保育所を二〇一九年度までに全部で五つの認定こども園に集約するという大変乱暴な計画なんですね。これによって、二〇一六年度在園児が九百八十三人いる公立幼稚園がこれ定員が約三百人になり、九百五人の保育所定員は八百五十五人にと縮小をしてしまいます。

 確認いたしますが、八尾市の待機児童数、申し込んでも認可に入れなかった人数、教えてください。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 平成二十八年四月時点の大阪府八尾市の待機児童数は四十七人、それから市が待機児童に含めていない、地方単独事業を利用されている方ですとか、あるいは育児休業中の方、特定の保育園などのみ希望している方、求職活動を休止している方の合計人数は百三十二人と報告をいただいております。

○田村智子君 三桁を大きく超える待機児童がいるということです。

 東京都東久留米市、五つの公立保育園の廃止を昨年三月に突如発表いたしました。まず一園、募集停止を再来年度行おうとしています。東久留米市の待機児童数は、同じように教えてください。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 同じく平成二十八年四月時点の東京都東久留米市の待機児童数は九十二人、同様に、特定の保育園などを希望されている方など市が待機児童に含めていない方々、先ほどの八尾市と同じようなカテゴリーで申し上げますと、合計人数は八十九人と報告をいただいております。

○田村智子君 三桁近いんですね。

 厚労大臣、お聞きします。

 待機児童が現にいるんですよ、少なくなく。そして、保護者の認可保育所へのニーズも高い。保育所の増設が必要な自治体でさえ、公立保育所が単純に減らされていくんですよ。定員が減っていくんですよ。何でこんなことが起きるんでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、具体的にどのような形で保育の受皿を整備するか、これにつきましては、それぞれの地域が、それぞれ住民の構成等々がございますので抱える事情が異なるわけでありますから、それを踏まえて、今お取上げをいただいた八尾市と東久留米もそうでありますけど、両市においてそれぞれ御判断をされた結果だというふうに思っているところでございます。

○田村智子君 そんな答弁で待機児童を解決しようなんてとても思えないんですけど、それだけの答弁でよろしいんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) いや、判断はそれぞれが行ったということで、厚生労働省は当然必要な予算の確保などによって保育の受皿整備を円滑に進むようにやるということはもうずっとやってきているわけで、引き続いて各市町村の取組を支えていくと。そのどうやるかということについてはそれぞれが決めるという意味合いで申し上げたところでございます。

○田村智子君 これ、自治体が減らしている理由の一つともうみんな言われていますよ、人件費コスト削るためと。保育士の処遇を上げなきゃいけないときに、公務員減らしたい、人件費減らしたい、こんな理由で公立保育所が減っているという現実があるというふうに私は見ています。

 もう一つ、これは国の政策も公立潰しあおっていると思うんです。

 八尾市の保育所、幼稚園の統廃合、これは公共施設最適化事業債の対象です。どういうものか御説明をいただきます。お願いします。

○国務大臣(高市早苗君) 公共施設などがこれから大量に更新時期を迎える中で、各地方公共団体が計画的に施設管理を行うことで、維持管理、更新などに係る財政負担の軽減、平準化や施設配置の最適化を図るということが重要でございます。

 それで、総務省では、各地方公共団体に対しまして公共施設等総合管理計画の策定を要請するとともに、この計画に基づく施設配置の最適化を後押しするために、平成二十七年度に公共施設最適化事業債を創設しまして、公共施設の集約化・複合化事業を支援してまいりました。この事業債は事業費の九〇%に充当することができ、その元利償還金の五〇%について交付税措置を講じるものでございます。

○田村智子君 これ、集約したときの延べ床面積はどういうふうな要件になっていますか。

○国務大臣(高市早苗君) 床面積につきましては縮小をいたします。

○田村智子君 縮小しなきゃいけないんですよ。

 では、二〇一四年度、二〇一五年度、公共施設最適化事業債の実績のうち、保育所等の集約化、この件数を教えてください。

○国務大臣(高市早苗君) 平成二十七年度におきましては、保育所、幼稚園の集約化、複合化分は十件となっています。

 平成二十八年度のは、二月二十八日現在になりますけれども、保育所、幼稚園の集約化、複合化分は十六件となっております。

○田村智子君 この計画の中には、待機児童数の多い自治体の保育所集約計画というのも含まれているわけです。

 もう一度総務大臣にもお聞きしたいんですね。これでは、これ待機児童の解消と見たときに、この保育所の集約、待機児童数の多い自治体でも保育所を集約しちゃう、これは待機児童の解決ということに逆行するというふうに思いませんか。

○国務大臣(高市早苗君) 公共施設最適化事業債は、確かに集約化や複合化に活用はできますけれども、これは保育所や幼稚園といった特定の施設の廃止や統合を進めようとしているものではございません。

 各地方公共団体において、保育所などの子育て施設について、それをどのように配置することが待機児童の解消につながるのかということも含めて、しっかりと議会や住民の方々との議論も行って検討していただくべきものでございます。

 ちなみに、総務省でもこの待機児童の解消というのは非常に重要なことだと考えておりますので、行政評価局で行政評価を行いまして、昨年十二月九日に、加藤少子化担当大臣、塩崎厚労大臣にこの改善をしていただきたい点について勧告を行っております。

 特に、より正確に需要を把握していただくということ、それからまた、待機児童の範囲の明確化とそれを踏まえて入所保留児童数をしっかり公表していただくということなどについても勧告を行っております。

○田村智子君 これ、八尾市では保護者の理解なんか全くないですし、今大問題になっているということなんですね。

 もう一歩見てみると、公立保育所、多くは一九七〇年代に本当にたくさんつくられたんです。老朽化がこの数年大変問題になっている。ところが、公立保育所に対する国庫負担制度が全て廃止をされてしまったと。費用負担の重さを理由に公立保育所を減らされているという傾向が止まらないわけです。集約化で改築予算を確保しよう、こういう動きにもつながっている。こういう政策でいいのかということが私は政権全体に問われているというふうに思いますよ。

 厚労大臣にお聞きしたいんです。今、私立の保育所の経営者からも、公立保育所は三歳児の壁の解決、これにもっと役割を果たせるはずだと、あるいは障害児保育もっと担ってほしいと、こういう声が聞かれます。また、民間の保育施設では、新設をしたときに経験の浅い保育士が多数を占めるという場合もあって、保育士の研修や実践的な指導をもっと公立に担ってほしいんだと、こういう声も聞かれるわけです。

 待機児童の解決とか地域の保育の質の確保から見て、公立保育所の役割、これ再認識する必要があると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘をいただいたようなお考えの方々もおられることは十分分かっておるわけでありますけれども、公立の保育所であろうと、保育園であろうと私立の保育園であろうと、やはり障害のあるお子さんの保育とか、あるいは、今三歳の壁ということでありましたが、三歳児以降の保育の受皿となる連携施設、こういったことなど、地域における保育において重要な役割をいずれもやはり果たしているんだろうというふうに思います。

 こうしたことを踏まえて市区町村においては地域の保育ニーズに対応した保育園の整備を進めているわけでありまして、国としては、先ほど来申し上げているとおり、こうした市区町村の取組をしっかりと支えてまいりたいというふうに考えて実際に行っているところでございます。

○田村智子君 昨年も求めたんですけど、待機児童の解決に真剣に取り組むんだったら、やっぱり公立保育所への新設、改築、この補助金をなくしてしまったって、本当に重大だったと思うんです。運営費もやめちゃったと、直接の補助は。これが公立保育所が増えるのもストップさせ、逆に減る方へ減る方へと誘導していることは事実なんですから、この政策の抜本的な転換を強く求めたいというふうに思います。

 今日は、続けて、学童保育についてもお聞きいたします。

 今、保護者の中では、次は学童保育の待機かという声が非常に強まってきているんですね。私も先日、ある民間の学童保育を訪ねました。この間ずっと入所希望が増えていて、自分たちで場所を探しては分割を繰り返して、何とか待機児童をつくり出さないようにと民間の方が頑張っていらっしゃるんですよ。それでも私が見に行った箇所は百人を超えています。

 この大規模化を解消するために、何とかもう一つ場所を探して分割しようというふうに頑張っていらっしゃるんですけれども、これ、自治体はどういう扱いかというと、入れる入れないはどうぞ民間で御判断くださいと、それでまた、場所の確保というときには、確保したら教えてくださいね、お金出しますからと、こういう対応になってしまっているんですよ。実はこの自治体は保育所については一生懸命場所の確保を頑張っているんです。そういう自治体多くあると思います。

 学童が、これが民間でやっていらっしゃる方が自分で場所を探しなさいよと、それで大規模化を解消するのを自分で努力しなさいよというのは、これは余りにも責任を果たしていないんじゃないかなというように思うんですが、何らかの支援、必要だと思われませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) この放課後児童クラブも極めて大事な役割を今子育て支援であるわけでありますが、この場所の確保について今御指摘がございました。

 市町村がいろいろ取組をしているわけでありますけれども、国としては、例えば余裕教室の改修に対する補助額の加算とか、あるいは公有財産の活用への支援、こういったことを行っておりますし、加えて、身近な地域で実施場所を確保するために、民間の施設、アパートとか、そういったものを賃借する費用への補助、それから施設を新たに整備する場合の土地借料の援助、こういったことの支援に力を今入れてきているところでございます。これらの施設も活用しながら場所の確保を進めるように放課後児童クラブの事業実施主体である市町村に対して働きかけてまいりたいと、このように考えているところでございます。

○田村智子君 これは現場からの要望にもっともっと応えてほしいというふうに思います。

 私が危惧しているのは、政府が学童保育の待機児童対策として打ち出している放課後子どもプランの中の学童クラブと放課後子供教室の一体型の推進、これ、多くの自治体がこれで待機児童をつくらないようにというふうになってきているんですけれども、まずこの一体型、何をやろうとしているのか、御説明いただけますか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 放課後児童クラブ、そして放課後子供教室という形で、それぞれの事業、現実にございますけれども、今御指摘いただきましたように、私どもとしては、共働き家庭などいわゆる小一の壁と言われるような待機のお話ございましたけれども、そのような現実の課題を対応するということと、次代を担う人材を育成する、そして全ての児童が放課後を安全、安心に過ごして多様な体験活動が行えるように、できるようにするということから、この二つのクラブ、教室を一体型をという形で、中心にそれぞれ今計画的な整備を進めさせていただいているところでございます。

○田村智子君 つまり、全部の児童を対象にする事業と、その就労している、両親が就労しているなどの子供さんを一体型で面倒見ようよということなんですね。

 それで何が起きているか。例えば東京都の板橋区、この一体型をやるという理由で独自事業であった学童クラブを廃止しました。今学校の中で、五時までは全児童を対象とした事業をやっています。五時以降が学童、事実上はそういうやり方なんです。登録は、全児童の人とそれから学童という人は別々にはしているんですよ。それから、指針がありますから、学童の専用スペースというのもあるんですが、専用スペースといいながら、五時までの間はみんなが利用できるスペースになっているわけですよ。

 そうすると、普通、学童クラブというのは、おなかすいちゃいますから、六時、七時過ぎても見ている場合が多いですから、そうすると大体四時前後でおやつなんです。だけど、ほかの子供さんもごちゃ混ぜに今なっている状態だからということで、板橋は、五時以降に学童専用スペースに学童の子たちを集めてから、やっとおやつの準備をしておやつを与えるということになるわけですよ。これは全国でこういうこと進んでいるんです。江戸川なんかもう、これでほかの子供との平等性だといっておやつそのものをやめたってことまで出ているんですね。

 学童の指導員の方、全国の方にお聞きしますと、これ問題は、全児童との一体型は、とにかくわさわさと大人数での遊びになってしまって、子供同士の人間関係あるいは指導員との人間関係が本当につくりにくくなっている。学童の子供たちが生活の場としてとなっているその学童の機能が弱められているんだというふうに共通して指摘をされています。

 改めて確認しますが、放課後児童クラブ運営指針では、子供たちの発達のことについて、この事業の対象となる子供たちの発達、どう指摘をされていますか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 放課後児童クラブの運営指針の中で今委員御指摘のようなところ、多分私ども思うに、第二章といったところの総則だと思いますけれども、そこの記述においては、放課後児童クラブでは、放課後等に子供の発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるようにすることが求められる、このため、放課後児童支援員等は、子供の発達の特徴や発達過程を理解し、発達の個人差を踏まえて一人一人の心身の状態を把握しながら育成支援を行うことが必要であるというふうに整理をさせていただいております。

○田村智子君 これ、全児童と一体になって多数の子供たちがわさわさいて、出入りも激しいと。ここで、発達の個人差を踏まえて一人一人の心身の状態を把握しながら育成支援、これできるんでしょうか、厚労大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) この今の運営指針でございますけれども、一体型として実施する場合を含めて、できる限り児童一人一人の状態をしっかり把握をして、そして支援をするということが書かれているわけでありまして、児童に関する育成支援の目標あるいは計画の作成、それから日々の児童の状況や育成支援の内容の記録などに取り組む旨をこの指針に書かれているわけであります。

 一体型で実施をする場合であっても、放課後児童クラブと放課後子供教室、この両方の職員が連携協力し、そしてこうした指針を踏まえた支援というのが行われるように、各自治体担当者や現場の職員等に対して全国会議や研修等の機会を通じて周知をしておるところでございます。

○田村智子君 これ、現実に起きている問題、是非見ていただきたいんですね。

 それで、例えば全児童でやっている様々な遊びのところに学童の子が、まず学童のところにただいまって言って行って、それで指導員さんに、そこに遊びに行ってくるねって伝えて来ると。何人かまとまって遊びに行くんだったら、指導員さんも付いていってその様子しっかり見守ると、あるいは一緒に遊ぶと、こういうことあり得ると思うんですよ。

 だけど、政府が進めようとしていることはそうではないんです。一体型の放課後児童クラブ及び放課後子供教室の考え方というのも自治体にお示ししていますね。その概要も説明してください。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 今御指摘のように、一体型の考え方としましては三点。一つ目は、全ての児童の安全、安心な居場所を確保するため、同一の小学校内等で両事業を実施し、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参画できるもの。二つ目として、活動プログラムの企画段階から両事業の従事者、参画者が連携して取り組むことが重要であること。三点目として、放課後児童クラブについては、一体型として実施する場合でも、生活の場としての機能を十分に担保することが重要であるため、市町村が条例で定める基準を満たすことが必要であるというふうに整理をさせていただいております。

○田村智子君 この中で、つまり企画段階から、学童の指導員さんと全児童対象のスタッフとこれ一緒になって企画もやってということになれば、一緒になってみんなを見なさいよということになっちゃうと思うんですよ。

 これ、改めてもう一点確認したいんです。

 学童クラブというのは、基準省令や運営指針で職員体制、支援単位、これ示していますが、どうなっていますか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 放課後児童クラブにおきましては、放課後の児童支援員を支援の単位ごとという形で最低二名以上置いていただくということをお願いしております。(発言する者あり)あっ、失礼しました。支援の単位は、おおむね四十人以下というふうに私ども考えております。

○田村智子君 厚労大臣、なぜおおむね四十人に支援員二人なんでしょう。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。

 この基準の考え方といたしましては、放課後児童クラブにつきましては、異なる年齢のお子さんを同時かつ継続的に育成支援する、あるいは、けがとか子供同士のいさかいへの対応など安全面での管理が必要だということを考えましてこのような基準を設けさせていただいております。

○田村智子君 これ、一体型では無理でしょう、今のをお聞きしていても。

 一昨年、内閣委員会で、我が党山下議員が学童保育について取り上げたとき、当時の有村大臣、「一体型というのは予算などで一体にすべきだという声が政治の中でもあったことを私も記憶として覚えております。」というふうに答弁されているんですよ。現実に自治体は予算を掛けずに待機児童、学童ゼロをやるために、全児童のやり方と学童をまさにごちゃ混ぜの一体化にしているという事実があるわけです。

 これは一体型の推進ということの見直しが必要だと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 共通のプログラムを放課後子供教室で実施をする、そういうときに、放課後児童支援員が放課後児童クラブではなく放課後子供教室、この子供たちを見ることがあるわけでありますが、それは放課後子供教室の職員と共同して行うものであります。

 放課後児童支援員のみが大人数の児童を見るわけではないわけでありまして、一体型というのは、安全、安心な居場所づくりとして全ての児童を対象とする放課後対策の一環と考えているわけでありまして、引き続いて両事業の機能をしっかりと維持しながら取り組んでいくべきだというふうに思っております。

○田村智子君 これ、二万か所つくるうちの一万か所はこの一体型でというふうに旗振っていらっしゃるんですよ。是非、現場で何が起きているのかをしっかり見て、必要だったら施策の見直しをしていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります

 


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