国会会議録

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もんじゅ廃炉検討せよ 田村智子議員 外交問題に発展も

 日本共産党の田村智子議員は20日の参院東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会で、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)について、廃炉を検討するよう求めました。

 原子力規制委員会は昨年11月、日本原子力研究開発機構(JAEA)にはもんじゅを運転する能力はないとして、新たな運営主体を勧告しました。

 高速増殖炉は、軽水炉よりも純度の高いプルトニウムを大量に生成します。田村氏は、すでに日本のプルトニウム保有量は世界各国の2割(約48トン)を占めており、世界の核不拡散の流れに逆行して外交問題にも発展する危険を示し、「文科省がやるべきは、もんじゅの延命ではなく、廃炉を含めた検討だ」と提起しました。

 冨岡勉文科副大臣は、高速増殖炉は放射性廃棄物をより少なくすることが可能で、「その研究開発は世界のためにも重要だ」と答弁。田村氏は研究のゆきづまりを指摘し、「文科省の対応は、現状維持の延命策を探っているにすぎない」として、改めて規制委員会に再勧告、設置許可の取り消しを求めました。

 規制委の田中俊一委員長は「文科省から勧告への回答を得て対応を検討する」と答えました。

2016年5月24日(火) 赤旗

 

【 議事録 2016年5月20日 東日本大震災復興特別委員会 】 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 高速増殖原型炉「もんじゅ」について、昨年十一月十三日、規制委員会は、原子力研究開発機構には「もんじゅ」を運転する能力はないとして、新たな運営主体を具体的に特定すること、それが困難であるならば「もんじゅ」という発電原子炉施設の在り方を抜本的に見直すことを勧告いたしました。

   〔委員長退席、理事大島九州男君着席〕

 報道では、本日、文科省が諮問した「もんじゅ」の運営主体の在り方検討会が報告案を示すということですけれども、この報告案では原子力機構に代わる運営主体を具体化しているのかどうか、お答えください。

○副大臣(冨岡勉君) お答えします。

 文科省としては、勧告を発出される状況に至ったことを大変重く受け止めております。これまでの課題の総括、「もんじゅ」の在り方の検討、具体的な運営主体の検討という三段階で検討を進めることとし、実行してまいりました。

 馳文部科学大臣の下に設けた「もんじゅ」の在り方に関する検討会では、委員に「もんじゅ」の現地を視察していただき、これまで計七回にわたる会議で大変精力的に議論をいただいたところであります。本日午後に開催される検討会では、三段階のうち、「もんじゅ」に係るこれまでの課題と新たな運営主体が備えるべき要件について、取りまとめ案について議論されることとなっていると聞いております。

○田村智子君 この検討会の報告骨子案というのを私も見ましたが、結局、新たな運営主体について何一つ具体的に指摘をしていません。

 それでは、今後、文科省が具体的な運営主体について検討し、特定をするということなんでしょうか。それはいつまでにやるつもりなのか。それとも、具体的な運営主体を特定できなかったことから、「もんじゅ」の在り方そのものについて抜本的な見直しを行うということになるんですか。

○副大臣(冨岡勉君) 委員御指摘の、御質問にありました、文部科学省としては、「もんじゅ」のこれまでの課題の総括及び新たな運営主体が備えるべき要件についての検討会の取りまとめを踏まえて、可能な限り早期に具体的な運営主体を示せるよう、課題の解決に向け、関係省庁、関係機関と相談しながら対応を進めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 これ、仮に新たな運営主体ということになれば法律が必要になるわけですよ。これ、もういつになるのかなんて全く分かりません。

 田中委員長にお聞きをいたします。

 勧告では、おおむね半年を目途として、新たな運営主体を具体的に特定すること、それができなければ在り方を抜本的に見直すことを求めています。おおむね半年がたって、結局文科省は、いつまでに新たな運営主体を特定するか、これも答弁ができません。にもかかわらず、「もんじゅ」の在り方の抜本的な見直しもしようとしていません。このままでは現状のまま来年度の予算要求も行われるのではないのかと。

 規制委員会の勧告が余りに軽く扱われていると思いますが、規制委員会は今後どのように対応なさるのでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 先生御指摘のように、勧告ではおおむね半年ということを述べさせていただきましたけれども、現在、それに基づいて文部科学省においては鋭意検討を進められているというふうに承知しております。

 まあ、おおむね半年ですので、半年でなきゃいけないということではありません。実施主体を特定するというのはそう容易なことではないだろうということも私ども議論しまして、おおむね半年とさせていただいていますので、文部科学省からの回答をお待ちしたいと思います。

○田村智子君 この報告骨子案では、「もんじゅ」に係る主な課題、つまり問題点として、高速炉の実用化に向けた道行きが不明確な中での将来に向けた人材育成の困難さということが指摘をされています。もう高速増殖とも書かないんですよ。高速炉としても実用化を目指すのかも不明確と、まさに存在意義に関わる問題です。二〇一四年のエネルギー基本計画を見ても、高速増殖炉については言及がありません。一体、「もんじゅ」は、何のために存在をして、何を目指しているのか、お答えください。

○副大臣(冨岡勉君) お答えいたします。

 エネルギー基本計画において、「もんじゅ」は、廃棄物減容、有害度低減等の国際的な研究拠点と位置付けられており、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、国の責任の下、十分な対応を進めるとされています。

 このもんじゅ研究計画では、「もんじゅ」の運転を通じて、高速増殖炉としての成果を取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減化、高速増殖炉、高速炉の安全性を確保することの三つの研究開発を柱として研究開発を進めているところであります。

 文部科学省としては、「もんじゅ」が果たすべき研究成果の取りまとめに向けて、対応をこれまでどおり進めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 この高速増殖でいいますと、二十年間全く成果がない。こんな研究聞いたことありませんね。

 日経新聞、二月八日付け、「「巨大な迷子」もんじゅの命運」というタイトルで、戻れる家も目指すべき目的地もはっきりしない迷子のようだと報道されています。

 この「もんじゅ」って何のためにあるのかとお聞きしましたら、今や減容というのが先に出てくるんですよね。これ、もう高速増殖が行き詰まったために新たな稼働目的として加えられたものですけれども、放射性廃棄物の中の寿命が長い核種を寿命の短い核種に変換しようと、こういうのが新たに付け加わったわけですけれども、これ、昨年十一月二日、原子力規制委員会臨時会議、更田委員長代理も次のように指摘をしています。

 「もんじゅ」利用のアイデアとして、廃棄物の減容、無毒化、核変換は理屈としてあり得るが、前提として、分離をするところもない、燃料を作るところもない、ペレット一個作るだけでも大騒ぎの技術であり、「もんじゅ」が動けば廃棄物問題の解決に貢献するかのように言うのは誇大広告だと、こういうふうに発言されているんです。

 そもそも発電も、二十年間止まったままの原子炉なんというのはほかにはないわけで、周辺機器の老朽化もあるでしょう。保有している核燃料の品質がどうなっているかも、冷却材であるナトリウムの状態がどうかも分からない。これを動かすとなれば、核燃料を新たに作るということさえも必要になってくると考えられるわけです。

 そうなると、この「もんじゅ」の実用化を目指すというのならば、今後、運転開始までに一体どれぐらいのお金が掛かるのか。これは全体像を私は明確に示すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○副大臣(冨岡勉君) お答えいたします。

 もんじゅ研究計画では、「もんじゅ」は、高速増殖炉プラントとして最低限必要な技術を取得できるファイブサイクル終了時点、六年程度を成果の取りまとめ時期と定め、技術達成度やコスト、安全性などの観点から評価し、その後について判断されることとされております。

 また、「もんじゅ」の運転再開に今後係る予算や期間については、高速炉の新規制基準が原子力規制委員会において明確になっていないこと、周辺地域の基準地震動が定まっていないこと等の不確定要素があるため、現時点では明確にお答えすることは困難ではないかと考えております。

○田村智子君 もう、動かしたら幾ら掛かるかのかも分からない、動かすまでにも幾ら掛かるかも分からないということなんですよ。これ、欧米諸国は、高速増殖炉計画を先送り、あるいは今や撤退をしています。その理由は、軽水炉よりもコストが掛かり過ぎる、ナトリウムの扱いが技術的に困難である、軽水炉よりも純度の高いプルトニウムが大量に生成され、核不拡散にも逆行する、こういう理由が述べられているわけです。

 プルトニウムについて言えば、これはもはや外交問題に発展する危険性があります。日本が保有するプルトニウム、既に約四十八トン。これは、世界各国の保有量の約二割に達し、核兵器約五千五百発分に相当いたします。

 昨年十一月、科学と国際問題に関する会議、通称パグウォッシュ会議では、プルトニウムを分離する再処理は、エネルギー目的であれ兵器目的であれ、全ての核兵器国を含め全ての国で止めるべきである、国際安全保障に与える影響に鑑み、各国は核燃料サイクルに関する主権に対する制限について相互に合意しなければならないと、こういう声明を発表して、日本政府に対しても使用済核燃料再処理の中止を要請しています。

 今、韓国が、米韓原子力協定、これ交渉の過程で日本と同じ権利を主張して、使用済核燃料の再処理、これをやるんだと言っている、アメリカはこれを認めないと、こういう交渉になりました。中国も民生用再処理の導入を検討するなど、日本がやっているからということで、近隣諸国が同じことをやる権利が私たちにもあると、こう主張する事態にまでなっているわけです。

 改めて、文科省、お聞きいたします。

 規制委員会の勧告は、「もんじゅ」の新たな運営主体を特定できなかった場合にはもう在り方を抜本的に見直しなさいというものなんですよ。だったら、もう行き詰まった「もんじゅ」の延命を図るのではなくて、廃炉を含めた「もんじゅ」そのものの在り方を検討する、これ、もうやるべきだと思いますが、いかがですか。

○副大臣(冨岡勉君) お答えします。

 エネルギー基本計画において、核燃料サイクルの推進は我が国の基本的な方針とされております。「もんじゅ」は核燃料サイクルに関する研究開発において重要な施設であることであります。

 今回の原子力規制委員会からの報告も安全規制の観点からなされたものであり、「もんじゅ」そのものの廃炉をすべきとの指摘はないと理解しております。「もんじゅ」を含めた高速炉は、限られたウラン燃料を有効に使い、また放射性廃棄物をより少なくすることが可能となる等の特徴を有しており、その研究開発は、我が国のみならず世界のためにも重要であると考えております。

   〔理事大島九州男君退席、委員長着席〕

 文部科学省としては、検討会の議論を踏まえ、速やかに課題が解決されるよう前面に立って対応を今後も進めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 もう高速増殖もナトリウム冷却も後から付いてくる電力会社は皆無ですよ。本当にどこから見てももう行き詰まっているとしか評価のしようがありません。

 田中委員長にもう一度お聞きをいたします。

 これ、やっぱり、おおむね半年という期間が過ぎて、文科省の対応は事実上現状維持の延命策を探っているにすぎないと思います。骨子案を委員長も御覧になっていると思いますが、既に規制委員会と原子力機構との間でさんざんやり取りされて、この二十年間改革改革と言われてきたものと何ら変わらないような中身がまたもまとめられたにすぎないと私には読めます。

 規制委員会の今後の対応として、これは中身によっては再勧告あるいは設置許可の取消しなども排除されないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 私どもが出した勧告の趣旨は、安全を確保するということが基本であります。

 ですから、今後、まだ文部科学大臣からの勧告に対する回答をいただいておりませんので、現段階においてその中身も承知しておりませんので、先生御指摘のようなことについては今お答えできないということであります。回答をいただいた上でしかるべき対応を検討していきたいと思います。

○田村智子君 これはオールジャパン体制でなどなどが恐らく報告案の中に盛り込まれるんでしょう。しかし、ナトリウム冷却にしろ高速増殖にしろ、研究をしてきたのはもう原子力機構しかありません。民間の力入れようとも、それを安全に取り扱えるなんという知見を誰も持っていません。その機構に落第点が出された以上、「もんじゅ」はもう廃炉するしかない、このことを申し上げまして、質問を終わります。

 

 


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