国会会議録

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情報開示と監査要求 田村智子氏 五輪開催費で追及

 日本共産党の田村智子議員は4月28日の参院文教科学委員会で、2020年東京五輪の開催費用について、十分な情報開示と責任ある監査機能を早急に構築するよう求めました。

 東京五輪の開催費は7300億円(立候補ファイル)とされていますが、「2兆円を超える」(森喜朗日本組織委員会委員長)、「3兆円かかるつもりで」(舛添要一東京都知事)などの発言が相次いでいます。

 田村氏は、「資金不足となった場合、巨額の補てんを国費で行う可能性がある」として、日本政府がIOC(国際オリンピック委員会)にどのような約束をしたのかを明らかにするよう要求。さらに、開催費について「権限をもって外部監査できる仕組みをつくるべきだ」とただしました。

 遠藤利明・五輪担当相は、組織委員会が開催に必要な業務・費用の洗い出しを行っているとして、「まずは、その洗い出しの結果を聞いてから」と答えました。

 同委では、日本スポーツ振興センター法改定案が日本共産党を除く各党の賛成で可決されました。改定案は、東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の建設をスポーツ振興投票(サッカーくじ)の売上と東京都(都民)の負担で進めるためのもの。採決に先立ち、日本共産党の田村氏が反対討論に立ちました。

2016年5月1日(日) 赤旗

 

【 議事録 2016年5月2日 文教科学委員会 】

 

 それでは、法案に関連をいたしまして、前回に続いて東京オリンピック・パラリンピックの開催費用についてお聞きします。

 おととい、日本組織委員会森会長が二兆円超すと言う開催費用について、これ誰が責任を持つのかということを質問いたしましたところ、遠藤大臣は、立候補ファイルに、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補填することを保証する、東京都が補填しきれなかった場合には最終的に日本国政府が国内の関係法令に従い補填するというふうに答弁をされました。

 この関係法令というのが何を指しているのか。オリパラ特別措置法にも予算不足の補填についての規定はありません。二〇一一年十二月十三日の閣議了解、平成三十二年第三十二回オリンピック競技大会・第十六回パラリンピック競技大会の東京招致について、この閣議了解にも費用不足補填の記述はありません。この日本国政府が補填するという意思決定はどこで、どういう内容で行われたのか、スポーツ庁。

○政府参考人(高橋道和君) 今回、財政保証書を決定するに当たりましては、まず、東京都から財政保証を含む二〇二〇年東京大会招致に係る保証書等の交付依頼を受け、文部科学省において関係機関と調整の上、最終的に内閣総理大臣決裁により決定したものと承知をしております。

○田村智子君 これは、関係省庁との調整って何なんですかと昨日質問レクのときにお聞きしましたら、それぞれの大臣に了解を取りましたという話だということなんですね。

 オリパラ特別措置法は、国立競技場など国立施設の建設、無償提供、職員派遣などの支援を定めていますが、先ほど指摘したとおり、財政支援は決めていません。閣議了解も、触れていないだけでなく、むしろ閣議了解には「大会運営費は適正な入場料の設定、放映権収入等の事業収入等により賄われるものとすること。」とあるわけです。日本政府が最終的に負担するという意思決定ではないわけですね。そんな正式な決定は何もないわけですよ。

 公表されている資料では、日本政府の約束がどういうものであるかも分かりません。日本政府がIOCに提出をした保証ファイル、ここに費用の補填のことも書かれているというふうに私たちも聞いているんですけれども、では、どのような保証ファイルを出したのか、これ、中身を是非とも議会に提出をしてほしいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(高橋道和君) 立候補ファイルについては、これは公表をしております。

 それから、保証書につきましては、保証書を開示するということになりますと、今後、国内各都市のオリンピック・パラリンピック競技大会招致の可能性がある中で、保証書の開示というのは招致を争う他国に対して言わば我が国の手のうちをさらすことともなりますので、招致活動に支障を及ぼすおそれがあると考えられますので、開示については控えさせていただきたいと思います。

○田村智子君 これ、立候補ファイルでは開催費用は七千三百億円なんですよ。日本組織委員会会長からは二兆円を超えると、開催都市である東京都知事は三兆円掛かるつもりでと。これでは巨額の補填を国費で行うという可能性が極めて高いわけですよ。日本政府として不足分の補填についてIOCにどういう約束をしたのか、これ議会がチェックするのは私は当然のことだと思います。

 これ委員長にもお願いしたいと思います。

 この保証ファイルの本委員会への提出を求めたい、開示できない部分があるならそこは除いたとしても、一体この費用の保証をどういうふうに約束をしたのか、是非本委員会への提出を求めたいと思います。

○委員長(石井浩郎君) 後刻理事会で協議いたします。

○田村智子君 遠藤大臣にお聞きします。

 前回、遠藤大臣は、じゃ、費用をどうするんだ、チェックするのかとお聞きをしましたら、リオデジャネイロ・オリンピックでどういうことが必要だったかということもチェックをしながら、夏までに費用、業務経費を洗い出してしっかりチェックをするという答弁でした。

 チェックの仕組み、これはそれでは制度化されているんでしょうか。大会組織委員会というのは、公益財団法人ですが一民間団体です。活動実績に関わる経理報告というのは義務付けられているけれども、これから開催するオリンピック・パラリンピックの費用について報告を義務付けるという制度はありません。遠藤大臣はどういう権限でチェックをし、また、この組織委員会に何を求めることができるのか、また、今の時点で、あるいはこれまでに何を求めたのか、これ明らかにしてください。

○国務大臣(遠藤利明君) まず、二〇二〇年東京大会の成功のためには、昨年十一月に閣議決定をいたしましたオリパラ基本方針にあるとおり、国、大会の運営主体である大会組織委員会、開催都市である東京都等が一体となって取り組んでいくことが重要であります。政府としましては、施策に要するコストをできるだけ抑制するというふうな考えに立ち、これまでも、東京オリンピック・パラリンピック調整会議など様々な場において、大会組織委員会を始めとする関係者と意思の疎通を図ってまいりました。

 本年八月にはリオ大会が開催をされ、東京大会も四年後に迫る中、関係者の連携を一層強化していくために、本年の三月三十一日には、オリパラ大臣、大会組織委員会の森会長、東京都の舛添知事の三者が直接会談し、今後、定期的に情報共有を改めて行っていくことといたしました。

 私としましては、以上のような場を通じ、組織委員会等に対してしっかりとコストの抑制を求めていく所存であります。

 なお、法律論の話がありましたが、法律論としましては、いわゆるオリパラ特措法第八条に基づき、政府の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部は、大会組織委員会の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができるとされておりますので、組織委員会による大会開催経費の取りまとめについても、必要に応じこのような権限を活用し、しっかり対処してまいります。

○田村智子君 それでは、現時点で開催費用をどう見積もっているのかという情報は提出を求めたんですか、提出されているんですか。

○国務大臣(遠藤利明君) 前に申し上げましたように、今、組織本部で全ての業務の洗い出しをしているというふうなことでありますから、それを、八月になるか、正確な時間は分かりませんが、少なくとも、リオ大会の状況等を踏まえてIOCに協議をするということでありますから、その段階で正式に報告をいただけるものと思っております。

○田村智子君 そこで報告された情報というのは、私たち議会はチェックすることができるんでしょうか。報告を求めたら遠藤大臣から報告を受けることできますか。

○国務大臣(遠藤利明君) それはできると思います。

○田村智子君 では、是非そういう機会を持っていただきたいというふうに思うんですけれども。ロンドン・オリンピックでは、開催決定の翌年から英国の会計検査院が複数回監査を実施をして、議会下院に報告書を提出し、これに基づいて参考人招致なども行って中身をチェックするということをやってきているわけですよ。下院決算委員会では審議の仕組みもつくられてきたと。

 今からでも、私は、日本においてもこういう権限を持って外部の監査ができる仕組みというのを、これつくるべきだと思いますけれども、この点、遠藤大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠藤利明君) まずは、組織委員会の業務の洗い出しを受け、IOCとの協議を受け、報告いただいた段階でいろんな検討があるかと思っておりますが、まずはその洗い出しの結果をお聞かせいただきたいと思っております。

○田村智子君 二兆円、三兆円なんてとんでもない話ですから、これ、是非議会にちゃんと報告をしていただいて私たちがチェックできるよう、今後も権限を持った仕組みづくりというのを求めていきたいと思います。

 終わります。

 


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