国会会議録

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論戦ハイライト “保育難民”非常事態の認識を

 “保育園落ちた”ブログで政治の焦点の一つに浮上した待機児童問題。日本共産党の田村智子議員が14日の参院予算委員会で緊急対策を提案し、保育予算の抜本的拡充を求めました。

国は緊急策に踏み出せ

やるべきは数字の操作ではない

 都市部を中心に「保育所に申し込んだが入れない」ことが大問題になっています。

 田村氏は、党東京都議団とともに都内の全自治体に問い合わせました。1次募集での未内定者数を調査した結果、14区30市町村から回答。入所先未定という児童が約2万人、申し込みの35%が不承諾となり、未回答自治体を含めると都全体で2万6000人に達するとみられると明らかにしました。

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 田村 いわば「保育難民」ともいえる状態が生じている。どう認識してるのか。

 安倍晋三首相 実態をしっかり把握して待機児童ゼロに向けて施策を進めていきたい。

 田村氏は、保育を確保できないために親が仕事を辞めざるをえないという事態が生じていることを示し、「非常事態という認識で緊急対策に乗り出すべきだ」と強調しました。

 すぐに必要な緊急対策として▽公共施設の活用など「自治体による緊急保育の実施」▽公立保育所の分園設置・改修への補助や国有地貸し出し費用の軽減など「国による新たな財政支援」▽保育所が見つからず育児休業をとる母親の雇い止め・解雇は法違反であり、企業に呼びかけ・周知して雇用を守ること―をあげました。

 田村 総理が旗を振れば緊急策に踏み出せるはずだ。

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 首相 ご指摘いただいた、さまざまなアイデアは研究もしていきたい。

 田村氏は、緊急保育でも保育室の面積や保育士の配置などが認可施設の基準に見合うようにするとともに、認可保育所増を柱に据え、緊急措置を固定化しないようにすることが大切だと強調しました。

 政府公表の待機児童数について田村氏は実態からかけ離れていると指摘しました。

 川崎市で、昨年4月現在、認可保育所に申し込んでも利用できなかった人が2231人もいたのに「待機児童ゼロ」とされた例を示しました。

 「待機児童」について国の定義では、認可保育所に入れず自治体独自の保育施設に入っていれば待機児童から除外でき、育児休業中の場合も除外可能です。田村氏は、親たちの「やっと認可外保育園に空きを見つけた。窓はあかない。保育士は年度途中で総入れ替え。ここで大丈夫かと不安だった」「自宅からかなり遠い保育所で、断らざるをえなかった」「育児休業をやむなく延ばした」「仕事を辞めるしかなかった」との声を紹介し、「やるべきは数字の操作じゃない。認可保育所に入りたいという人の数を明らかにして、保育所の整備を行うべきだ」と批判しました。

 保育所を増やす足かせとなっている保育士不足。打開のカギは保育士の処遇改善です。

 田村氏は保育士の平均年収が323万円で全産業の平均年収より166万円も低いとのパネルを示し、大幅賃上げの目標を示すべきだと主張しました。

 塩崎氏は、先送りしている2%の賃上げ(400億円)に向けて「最優先で取り組んでいかなければならない」と述べたものの、「安定財源を確保して」と述べ、検討課題とする従来答弁を繰り返しました。

 田村氏は、保育関係者の「政府は保育を『子守り』程度に考えているのでは」「保育は成長の土台を耕すもの」との声を紹介。専門職で経験を積むことで保育の専門性が高まる職業だと認識をただすと、首相は「保育士は専門性と経験が重要」と認めました。

 田村氏は、保育士が経験を積んでいく場となってきた公立保育所が政府の方針のもとで民営化・民間委託されてきたことを指摘。「処遇改善どころか引き下げを進めてきた反省に立ってこうした政策は改めるべきだ」と求めました。

 塩崎氏は「市町村の判断」と述べつつも「保育士が長く勤められる環境をつくり、資質を継続的に上げていくようにすることは保育の質にとっても人材確保のためにも重要だ」と述べました。

EUではGDP比1%以上の公的支出

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 田村氏は、EU(欧州連合)では保育・幼児教育への公的支出は少なくとも国内総生産(GDP)比1%以上であるべきだとして、フランスが1・24%、英国1・12%などとなっていることを指摘しました。一方、日本は0・45%と経済協力開発機構(OECD)平均にも届いておらず、「あまりに不十分だ」と迫りました。

 さらに、EUでは「乳幼児期の保育・教育は公共財産」と位置づけ、ほとんどの国で保育士の給料が小学校教員と同等であるのに対し、日本では“女性が働いてもらうための受け皿”とみなし、教員給与の6割でしかないことを示しました。

 田村 お父さんやお母さんたちは政治の姿勢に対して『これでいいのか』と声を上げている。すべての子どもの福祉のために保育・幼児教育への大幅な予算拡充が必要だ。

 首相 保育は幼児制度の一環としてきわめて重要。専門性を高める支援を行っていきたい。

 田村氏は、トヨタ1社だけで1000億円を超える研究開発減税を受けていることを示し、「消費税に頼らなくても税金の集め方を変えれば財源は十分にある。未来を担う子どものために、『人材育成』を叫んでいる黒字大企業にまともな税金を納めてもらうよう求めるべきだ」と強調しました。

 

(「しんぶん赤旗」、2016年3月15日付けより)


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