日本共産党 田村智子

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国会議員秘書歴8年・そこで学んだこと

「署名ってどんな力になるの?」---請願署名のこと

「イラクへの自衛隊反対」や「消費税増税反対」の署名、私もいま各地でよびかけているところです。国会への請願署名は書いた後どうなるか、国会からみた署名についてつづってみます。

集められた請願署名は、国会議員のもとに届けられます。
多くは、議員会館の各議員事務所に署名を集めた方々の代表が直接届けにきます。
審議中の法案について反対する署名などは、緊急の集会を国会内で開いて、そこに国会議員にきてもらって提出します。

日本共産党の議員事務所の場合、届けられた請願署名はまず「お預かりします」。

そして、内容の審査をして、党の立場と大きく違わない限りは国会に(衆議院議員なら衆議院議長あてに、参議院議員は参議院議長あてに)提出するのです。といっても、実際には、請願受け付け窓口が、衆参事務局にそれぞれありますから、そこに秘書が持っていって手続きをします。

どの議員が何の請願署名を提出したか、これは「公報」にすべて掲載されますから、誰でも調べることができます。
議員にとっては、国民の要求にどういう態度をとるか(賛同して提出するか、賛同できないとつき返すか)が、直接問われることになります。

日本国憲法 第十六条【請願権】
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

提出された請願署名は、内容ごとに、委員会に付託されます。
各委員会で、採択するかどうかを検討するのですが、これが形骸化もはなはだしく、改善させなければなりません。
国会最終日の直前になって、委員会ごとに理事懇談会が開かれて、そこで十分な審議もなく「保留」「採択」などの判断をしてしまうことがほとんどです。
理事懇の決定が、そのまま委員会で確認されるだけ。これでは、請願権を軽視しすぎています。

たとえば請願主旨についての意見聴取など、請願した人の代表をよんで行うことも制度上可能なのですから、少なくとも委員会でしっかり審議して、各党の意見・態度を議事録に明記すべきです。
理事懇の議論は原則非公開ですから、いったい請願がどのように扱われたのか、国民の目から隠されているといっても過言ではないでしょう。

なかでもひどいのは、各党とも誰かしらか紹介議員になっておきながら、採択しない場合。
たとえば「ゆきとどいた教育をもとめる請願」は、毎年何百万人分も提出されて、与野党とも提出しているのに、「保留」という扱いが続いています。
30人学級や私学への国庫助成増額を求める内容で、「これまで保留扱いだから、今回も」という、無責任極まる決め方が続いてきました。

「採択」すればすぐ法制度や予算が変わるものではありません。それでも「採択」を阻止しようとするのです。
逆にみれば、それだけ請願署名は力がある、議員によっては「怖い」存在なのかもしれません。 私たちの意見が直接政治に届く機会は、選挙と請願署名です。もっと「怖い」存在にして政治を動かす力をもたせていきたいものです。

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03年12月6日街頭での署名活動
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03年12月26日衆議院議員面会所で署名提出