日本共産党 田村智子

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国会議員秘書歴8年・そこで学んだこと

子育て支援になるか?  二つの法案

国会で働く秘書としての最後の仕事が、子育てにかかわるものでした。
ひとつは法案の検討、「次世代育成支援法案」「児童福祉法改正法案」の内容をよくみて、賛成か反対かを提案する仕事です。

■子育て男性の働き方にもメスを入れた「次世代法案」

子どもの数が減り続け、このままでは将来の年金も税収も大変なことになる、これはいまの日本が直面している深刻な問題のひとつです。
この少子化問題の解決に「10年をめどに集中的にとりくむぞ!」というのが「次世代法案」なのだというのが政府の説明。

「子育てが喜びとなるよう」支援策を様々にやっていこうということなのですが、国や都道府県・自治体が計画立てるのに加えて、事業主(会社の経営者)にも支援策をつくるよう求めています。働く環境の改善が必要ということです。

男性が育児休暇をとりやすくするとか、子育て期間中は正社員のまま短時間労働にできる(本人申請による)とか、そういう子育て支援策を企業に計画させようというのが政府の意図。
「長時間労働が問題だ」と政府も考えるようになったことは、大きな前進なのですが、子育て中の人だけ労働時間を短くするということでは、「出世はすてて家庭中心」か「家庭を犠牲にしても出世か」の2コースをつくりかねないのではと心配です。

残業が当たり前の職場で、「子どもがいるから早く帰ります」というのはとってもつらいものですし、仕事仲間から取り残されたような気持ちになります。私も一時期、そのことで悩んだ経験があります。
子育て中の人に限らず、「家庭生活と仕事の両立」「私生活と仕事の両立」が当たり前の働き方にしなければいけないと思います。

最低限、子育て期間中に短時間労働を選択した人が、時間の短い分をこえて賃金や評価を低く押さえ込まれることのないようにしなければならないでしょう。
ところが、「次世代法案」は企業に努力をお願いするだけのもの。
不況のもとで、「妊娠したら事実上の退職強要」、「育児休暇がおわって出社したら正社員からパート待遇に」など、労働基準法や育児介護休業法にも違反する事例があちこちで聞かれるというのに、なんとも腰砕けであきれてしまいます。
法案が実効力あるものにするために、いろいろ注文をつけ、改善をはからなければと思います。

■必要な子どもがみんな保育所に入れるように

「児童福祉法改正法案」のなかで注目したのは、保育需要の多い自治体に保育実施計画の策定・実行をもとめるという内容です。
保育所に入れない待機児童が増え続けています。「仕事をやめざるをえなかった」、「保育内容に不安があってもベビーホテルにいれるしかない」という深刻なケースも聞きました。
2001年の参議院選挙に立候補するとき、NPO団体が主催した子育てトーク集会で、「計画的な保育所増設が必要」と主張しましたが、この方向への一歩前進だと思います。

もちろん、自治体がどういう計画をたてるかが問題です。保育所はお金がかかるから、保育ママさんをふやそうとか、公立保育所をなくしてお金のかからない民営だけにするなんてことでは、保育への責任を後退させかねません。
計画の策定や変更の時には、住民意見を反映しなければならないと、これも法律に明記されていますから、まさに住民の出番です!
子育てに関心のあるみなさん、これからが大切なときですよ。