日本共産党 田村智子
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【14.03.25】文教科学委員会 創造学園問題について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 私も、本法案のきっかけとなった堀越学園の問題をちゃんと総括することというのが大変重要だと考えます。
 文部科学省は、二〇〇九年、平成二十一年に、三月六日、堀越学園に対して、財務計算書類に虚偽記載があるとして二〇〇八年度の経常費補助金の不交付を決定いたしました。これを皮切りに堀越学園に対する実地調査が行われ、その中で、創造学園大学の設置認可申請時、これは二〇〇三年当時です、その書類や監査法人の署名押印にまで偽造があるということが確認をされました。以降、調査や指導が繰り返されましたが、改善が図られず、二〇一三年三月、解散命令に至ったということです。
 文科省が堀越学園の文書偽造に気付いたのは、二〇〇九年三月二日、教職員組合が文部科学省を訪ねて問題を指摘したときだと、これは先ほど石橋議員の答弁でもう確認がされましたので改めての答弁は求めません。教職員が持ち込んだ資料は、堀越学園が文科省と群馬県それぞれに提出をした財務諸表の一部で、どちらも教職員組合が情報開示請求で入手し、数字を突き合わせて負債額が大きく食い違うということに気付いたと。堀越学園は財務諸表の公開をしていなかったと、このことが何年にもわたる不正行為、虚偽報告、これを続ける温床になってしまったと言えると思うんです。
 先ほど虚偽を見抜けなかったのかという質問もありましたけれども、これ文部科学省が、全ての学校法人について毎年提出されるその財務諸表を一々、虚偽記載があるんじゃないかということを疑って一つ一つ点検するということは、これはもう現実的ではないんですね。では、これをどうしたら未然に防げるか。
 これ、大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり財務諸表などの情報を公表するということが義務付けられていれば、さすがに監査法人とかが見て、自分がやったのと違うじゃないかということを、公表されている数字が食い違っていれば、明らかにこれただされるんですね。食い違う数字なんか公表することはできないと思うんですよ。この財務諸表などの公表が義務付けられていれば、そもそもこのような虚偽記載という問題は未然に防げたのではないかと、こういうふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) 財務書類の公開については、これはもう現行法においても、学校法人が公共性の高い法人として説明責任を果たし、関係者の理解と協力を得られるようにしていくという観点から、財務諸表を作成し、事務所へ備え置くとともに、これらの関係者への閲覧を既に義務付けております。堀越学園においてこうしたことが適切に行われていなかったということで、文部科学省としても指導を重ねてきたところでございます。

 なお、堀越学園が解散命令にまで至った要因は、これは経営状況が悪化する中で、理事会として適切な経営改善計画を作成するなどの必要な対応がなされなかったことにあるというふうに認識しております。

○田村智子君 今大臣おっしゃられたとおり、確かに私立学校法四十七条、先ほどもありました、学校に在学する者又は利害関係者から請求がある場合、財務諸表を閲覧に供さなければならないとしていると、そのとおりなんです。じゃ、何でこれできなかったのか。
 二〇〇九年三月二日の情報提供の際、教職員組合は、理事会が情報を開示するよう、つまり私たちが閲覧できるよう指導してほしいと文科省に求めたと。先ほど答弁では、同年十一月に指導したという答弁だったけれども、結局財務諸表は閲覧できなかったと。
 では、お聞きしますが、今回の法改正によって、学校法人が利害関係者に対して財務諸表の閲覧を拒んだ場合、文科省は閲覧させるよう措置命令を行うということになるんでしょうか。

○政府参考人(常盤豊君) 今回の法改正によって規定される措置命令を行い得る場合といたしましては、例えば、学校の運営に必要な資産の不足により教育研究活動へ支障が生じている場合、あるいは、理事会において必要な意思決定ができず、教育研究活動への支障や学校法人の財産に重大な損害が生じている場合を想定しているところでございます。
 このため、財産目録等について利害関係人から請求があったときに学校法人が閲覧に供さなかったことをもって直ちに措置命令を行うということは想定をしておりません。

○田村智子君 教育上大きな影響がもたらされるという段階になってから文科省が措置命令を下すということなんです。これでは、問題の解決を遅らせてしまう、手遅れになるという危険性も依然として残されてしまいます。
 私は、やっぱり堀越学園の問題でちゃんと文科省が総括をしなければならないのは、先ほど指摘あったとおり、財務諸表の閲覧という法律の規定に反しても罰則を適用することもなく内部チェック機能を軽視したと。また、学校法人が財務諸表を一般に公開すると、これ、文科省は奨励してきています。だけれども、そのことを法律で義務付けてこなかった、一般的な公表ですね。こういうことが堀越学園の不正な経営の温床になったということは明らかだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) 平成十六年の私立学校法改正によりまして、学校法人は、利害関係人からの請求に応じて財務書類や事業報告書及び監査報告書を閲覧に供することが義務付けられております。私立学校法に定めるこの利害関係人には、設置する私立学校の在学生や保護者、学校法人と雇用関係にある者、また学校法人の債権者などが該当するものでありまして、学校法人との間で法律上の権利義務関係を有する者は閲覧可能な仕組みになってもいるわけでございます。
 学校法人は設置する学校や法人の規模等が様々であり一律に義務付けすることはなじまないと思いますが、各学校法人の判断でより積極的な情報公開を行うことが期待されるところでありまして、文科省としてもその取組を促してきたところであります。
 その結果、文科大臣所管の学校法人で財務情報を自らのホームページで公開している学校法人の割合は上昇しております。平成十七年のときが三五・二%でしたが、平成二十五年度にはもう九八・六%に今なっているところでございますが、更に今後とも学校法人の積極的な情報公開を促してまいりたいと思います。
 そもそも、学校法人そのものは約七千校ありますが、この中で文科省所管についてはその九八・六%ですが、一律に義務付けなじまないという意味では、例えば私立幼稚園とかですね、そういうところも入っての学校法人ですので、やっぱり規模やまた所管等によって柔軟に対応する必要もあるのではないかというふうに考えております。

○田村智子君 四十七条の規定を繰り返し説明されるので、だったらなぜその規定違反があるのにちゃんとした指導をしなかったのかということが、やっぱり文科省、問われちゃうんですよ。内部チェック機能を軽視していると言わざるを得ないんです。
 大臣おっしゃるとおり、確かに、大学、短大、高専の学校法人、九八・六%がホームページで財務情報を公表しています。でも、堀越学園はその中に入っていなかった。公表していないのがなぜかということを考えれば、もう今や一〇〇%近くが公表しているんだから、大学、短大、高専でいえば。少なくともこの大学、短大、高専、これはもう公表を義務付けしたって私は無理難題な話ではないと思うんですよ。そういうところで未然に防ぐためのことを考えるべきだというふうに思います。
 今回の法改定のように、問題が起きたときに、明らかに教育上大きな悪影響があるというときに文科省が調査や指導を行うと。これは私、否定しません、必要でしょう。だけれども、この堀越学園も、いきなり解散命令出したわけじゃなくて、調査も指導もやっていたわけです。だけど解散命令にまで至っちゃった。そこをしっかり総括すると、やっぱり現行法の最大の問題点は、内部チェックを機能させる規定が極めて弱いと。理事会の専断的運営も、寄附行為だと定めれば、これ許されてしまうというところにあると思うんです。これは学問研究の自由、私学の自主性とは別次元の問題です。営利団体に関する会社法や民法での一般財団法人、一般社団法人についての定めでも、理事会などを内部チェックする機能は持たされています。
 より公益性、公共性の高い学校法人に同様のチェック機能が必要だと、これは当然だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) 今回の改正は、学校法人堀越学園の事例など、自主的、自律的な管理運営を重視する私立学校制度の趣旨を逸脱、濫用した異例な事態への対応が必要な状況も生じたことから、所轄庁が異例な事態に的確かつ効果的に対応できるための制度を設けるものとするものであります。
 今回の制度改正を議論した大学設置・学校法人審議会のワーキンググループにおいても、法人運営の透明性の一層の向上や法人内部のガバナンスの更なる強化など、学校法人制度の充実全般について議論がなされたところでありますし、また、それを踏まえて、先ほど申し上げましたが、今国会で大学ガバナンス法案についても改正案を是非出したいというふうに思っております。私学の自主性の観点についても十分配慮しつつ、議論を深めながら、国会に出せるような準備をしてまいりたいと思います。
 なお、ほかの法人制度はそれぞれの目的や事業の性質が異なるものでありますが、学校法人制度は、設立時の寄附者の意思及び寄附行為を基盤に置きつつ、監事や評議員会が適切に役割分担しながら理事会が最終的な意思決定機関として運営していくものでありまして、それを基本として考えていくことが必要であるというふうに思います。

○田村智子君 これ、理事会に忠実義務という規定を置かなければならないほど、専断的な運営というのは決して堀越学園だけの問題ではない。だから忠実義務というのを置いたりもするわけですよね。内部チェック機能ということを是非実現できるような法改正ということを強く求めておきたいと思います。
 私も、創造学園の教職員組合の賃金未払の問題、これは質問せざるを得ません。
 文科省が解散命令の方針を発表したのは二〇一二年の十月、翌年三月までの間、教職員は、年度末までの講義だけでなくて、学生の転学先を決めるために懸命な努力を行いました。文科省主催の説明会の開催あるいは学生や保護者への連絡も、もう理事会ではなくて教職員がその責任を全うしたと、このことは文科省自身がよく御存じのことだと思います。
 文科省は、解散命令の理由の一つに、教職員に対して毎月支払われるべき賃金が支払われていないということを挙げておられました。賃金が長期にわたって未払であるということを承知の上で、解散までの半年間、学生の支援を教職員に求めたということになります。
 ならば、私は、その間、例えば使途を教職員の給料に限定をして私学助成の支給行うなど、こういうことができたんじゃないのか、未払だって分かっているんですから。少なくとも、解散、三月までの間、文科省が、これ教職員に役割を果たしてもらわなきゃいけないと、賃金払われていないと、だったらその分を私学助成で支給するというような措置を講ずることもできたんじゃないのかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) 学校の教職員の賃金等の未払については、当該学校を設置する学校法人の責任において支払うべきものであります。私学助成は、私立学校における教育条件の維持向上、経済的負担の軽減、経営の健全性の向上を目的として、設置者負担主義を前提に教職員の人件費等の経常的経費の一部を補助するものであります。
 教職員の未払賃金を国が自主的に肩代わりすることは現行の私学助成の考え方と大きく異なり、適切ではないと考えます。

○田村智子君 とても冷たい答弁で、私、責任をもう学校法人が果たし得ないということが分かっているから解散命令なんですよ。出すぞってもう言っていたんですよ。で、教職員の給料も払われていないということを百も承知だった。かすみ食って生きているわけじゃないんですよね。
 今も五十代のある教員の方、家族に大学生二人抱えて、生活は借金でしのいできたと言われています。この三月で解散から一年が経過するため、失業給付も打ち切られます。五十歳を超えて再就職というのは非常に困難で、これは高校の非常勤講師とかパートなどでどうにか暮らしておられるという方が少なくありません。
 しかも、こういう教職員の皆さんは、理事会の専断的経営をチェックし、民主的な学園の再建へと努力をされていました。文科省はこうした取組に有効なバックアップをできていませんでした。文科省の指導によって提出された再建計画の開示、理事会はこれすら拒みました。だから、教職員組合は文科省に言って、理事会が見せてくれないんだと、文科省に提出されているこの文書を見せてくれと言ったけれど、理事会から受け取りなさいと言うばかりで、それすら開示がされなかったんですよ。民主的な再建に対して何をバックアップしてくれたのか。それで、ただ使い捨てちゃうのか。
 私は、解散までの必要業務を担った教職員に、これ見捨てるんじゃなくて、やはり何らかの対応を検討すべきだと思います。これ、大臣、お気持ちで最後、御答弁いただけませんか。

○国務大臣(下村博文君) 田村委員の気持ちはそのとおりだというふうに思います。
 ただ、ほかの公共性のある法人や民間企業との間で学校法人のみが著しく優遇されるということでいいのかどうかという問題にもつながってくることでありますし、それから、設置者のそもそもモラルハザードを更に生じさせるということにもなりかねないと、健全な経営を行うほかの学校法人とのバランス上どうなのかという、そういう問題の中で残念ながら判断せざるを得ないという状況があると思います。

○田村智子君 済みません、最後、一言だけ。
 文科省の責任も是非総括をいただいて、対処をお願いしたいと思います。
 終わります。