日本共産党 田村智子
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【12.09.06】年金の離婚分割に関する質問主意書

年金の離婚分割に関する質問主意書

質問第二五八号

年金の離婚分割に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年九月六日

田 村 智 子   


       参議院議長 平 田 健 二 殿


   年金の離婚分割に関する質問主意書

 二〇〇四年の年金制度「改革」で導入された離婚等の場合における厚生年金・共済年金の分割制度は、制度開始後、毎年度一万五千件前後の保険料納付記録の分割(厚生年金の場合)が行われている。一方で、本制度は離婚後二年以内または離婚分割の審判等が確定したときから一月以内に請求を行わなければ分割を受けることができなくなるため、年金分割の合意や審判等があるにもかかわらず、離婚等に伴う年金分割を受けることができない者が出ている。
 当事者間では年金分割の合意がなされているのに、制度の周知不足によって年金分割が実施されないケースについて何らかの救済策が必要であり、以下、その立場から質問する。

一 私の事務所に、年金分割の按分割合を定める家事審判を経て年金分割の確定証明を受けたにもかかわらず、離婚後二年以内に年金分割の請求を行わなかったため、年金分割を行う事ができないという相談が寄せられている。このように年金分割制度の導入後、年金分割の合意または家事審判等によって離婚に伴う年金分割の按分割合を定めたとしても、離婚等の後二年以内または家事審判等が確定してから一月を経過したため、年金分割の請求ができない事案が発生していると思われるが、政府はそのような事案を把握しているか。

二 前記一で指摘した事例では、家事審判を受けた家裁から請求期限に関する情報提供がなく、相談者は裁定請求の時に家事審判の確定証明を添付して請求すればよいと思っていたところ、実際に裁定請求をしたら分割ができないことが判明した。国家公務員共済組合連合会から送付された「年金分割のための情報提供請求書」に同封されるべき、二年という請求期限が記載された「記入方法が書かれた用紙」が同封されず、年金分割のための情報通知書には請求期間に係る情報提供はなかったとお聞きしている。
 また、年金事務所や共済組合等が送付する年金分割のための情報通知書には、二年の請求期間について裏面に記載されているが、他の事項と文字の大きさに差がない。請求権の消滅という重大な情報であるため、情報提供のあり方の改善が必要ではないか。また、家事審判や調停、離婚訴訟を経て年金分割の按分割合を定めた方に対して、裁判所と協力して情報提供が行われるような方策も検討すべきではないか。併せて政府の見解を明らかにされたい。

三 ねんきん定期便及び年金事務所、各共済組合等のパンフレット・ホームページなどで年金分割請求の請求期限について注意喚起を行うべきではないか。

四 年金分割の按分割合の合意や年金分割の按分割合を定める家事審判が確定等したにもかかわらず、適切な情報提供がないまま年金分割の請求期限が過ぎた方に対する救済策を検討すべきではないか。

五 公正証書による合意など年金分割の按分割合を定める合意が二年間の請求期限内に行われたことが証明できる場合や、家事審判や調停、離婚訴訟の附帯処分によって年金分割の按分割合を定めた場合には、請求期限を過ぎた申請も認めることを検討すべきではないか。

  右質問する。

年金の離婚分割に関する質問主意書に対する答弁書

答弁書第二五八号

内閣参質一八〇第二五八号
  平成二十四年九月十四日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員田村智子君提出年金の離婚分割に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田村智子君提出年金の離婚分割に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねのような事案が発生していることについては、把握している。

二及び三について

 離婚時の年金分割の請求期限については、日本年金機構及び各共済組合等のホームページ等により、十分な情報提供及び注意喚起(以下「情報提供等」という。)を行っている。政府としては、年金分割のための情報通知書による情報提供も含め、当該請求期限についての情報提供等を更に分かりやすいものとするよう、今後とも、情報提供等の在り方の改善に努めていきたい。また、離婚時の年金分割の制度を創設した際に、全国の家庭裁判所に対して、離婚時の年金分割の制度や手続に関するリーフレットを提供の上、家庭裁判所への来所者等に対する配布を依頼し、家庭裁判所にも離婚時の年金分割の制度や手続の周知に協力いただいている。

四及び五について

 離婚時の年金分割については、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)等に基づき、離婚当事者の年金制度上の権利関係を早期に確定させること等のため、一定の請求期限を設けており、御指摘のような措置は検討していない。
 なお、政府としては、離婚時の年金分割の請求期限についての情報提供等を更に分かりやすいものとするよう、今後とも、情報提供等の在り方の改善に努めていきたい。