日本共産党 田村智子
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【11.12.16】米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問主意書

米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問主意書

質問第五五号

米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十二月八日

田 村 智 子   


       参議院議長 平 田 健 二 殿




米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問主意書

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、米原子力軍艦の安全性について市民の不安が高まっている。横須賀市長も本年四月十五日付けの外務大臣に対する要請書「米原子力軍艦の安全性について」を提出し、その中で「市民の安全、安心を守る立場から、そして市民の不安を払しょくするためにも、標記について、再度確認したく要請します。」と述べている。
 しかし、同要請に対し、政府からは東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた安全性に関する科学的な根拠を示すことなく、ただ「安全である」という米側が示した文書(以下「口上書」という。)を提示しただけである。この「口上書」は「ファクトシート」の内容から一歩も出ておらず、政府も米側から改めて説明を受けたものでもなく、「事務的に受け取った」(二〇一一年四月二十日、衆議院外務委員会における日本共産党笠井亮議員に対する外務大臣答弁)というものである。
 そこで改めて、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性の問題について質問する。

一 大地震の震源域の真上にある横須賀港を空母など米原子力軍艦の母港とすることの危険性について

1 大地震・津波に伴う引き波による艦船の着底などの危険について
 中央防災会議の専門調査会は、過去最大規模の地震・津波を想定することを災害対策の前提とすべきとした。
 神奈川県横須賀市にある横須賀港を襲う地震・津波について、神奈川県地震被害想定調査委員会は、二〇〇九年三月、元禄型関東地震が発生した場合、横須賀で引き波による水深は最大でマイナス四・六メートルになるとした。
 米原子力空母ジョージ・ワシントン(以下「GW」という。)が停泊する十二号バースでは、水深十五メートル、GWの喫水は十二メートルとすると、GWの船底から海底までの距離は三メートルしかない。
(一) 三月十一日の東日本大震災の際、「星条旗新聞」(電子版)でGW乗組員の「水位は六フィート(百八十三センチメートル)下がっていた」との証言が報道されている。東日本大震災の際の十二号バースの水位低下はどの程度だったのか。政府が把握していない場合、在日米軍に情報を求めるなど十二号バースでの水位低下の実情を把握すべきではないか。
(二) 神奈川県地震被害想定調査委員会が想定するように津波の引き波で四・六メートル水位が下がり、さらに地盤隆起もありえるとすると、同委員会が警告するように艦船の着底、座礁、転覆の可能性が出てくるのではないか。
(三) 「口上書」は「地震や津波といった自然災害の際にも高い能力を提供する高度のダメージ・コントロール能力及び重層的な安全システムを有している」としているが、これが具体的にどのようなものなのか、政府は具体的に説明を受けているのか。受けているのであれば、その内容とそれに対する政府の見解について明らかにされたい。
2 津波による危険について
 神奈川県津波浸水想定検討部会は、十一月に慶長地震と同程度の地震が起きた場合、横須賀で平均四メートル超の津波が来ると想定した。
(一) この津波が横須賀港を襲った場合、停泊中のGWへの影響をどのように想定するか。修理中であれば、緊急の退避は不可能ではないか。大津波による転覆、あるいは津波によって船体が岸壁に衝突する衝撃など、影響はないといえるのか。
(二) 原子力空母の母港化にあたって米側で建設した発電所及び純水製造施設の津波対策について、横須賀市は外務省から「神奈川県が作成されるハザードマップ等に注意を払い、今回の震災に伴う改正がなされる場合には、米軍としても適切に対応していく考えである。」との回答があったと説明している。現在の知見に照らした必要な津波対策はなされていないということではないか。
(三) 前記(二)における「適切に対応していく」とは、具体的にどのようなことを意味していると政府は考えているのか。
(四) 米軍が今後対応するとしていることについて、政府はどのように関わっていくのか。米軍任せにせず、定期的・積極的に説明を求め政府の意見を述べていくべきではないか。また、対応状況について、米軍からの説明と政府の対応を併せて定期的に公表していくべきではないか。
3 港湾区域の液状化と耐震対策について
 神奈川県の地震被害想定では、横須賀港の港湾区域は震度七が想定され、液状化の発生も見込まれるとしている。発電所及び純水製造施設の耐震対策についても米国の耐震基準によると説明されているが、政府として責任を持って耐震性を検証し、確認しているのか。確認していない場合、政府として独自に耐震性を検証すべきではないか。
4 東日本大震災当日の軍艦の退避行動について
(一) 三月十一日、東日本大震災の当日は、何隻の自衛艦が横須賀港内に停泊し、それらは地震後、どのような退避行動をとったか。
(二) 前記(一)の際、米軍艦はGWを含めて、どのような行動をとったと、政府は認識しているか。
(三) GWはなぜ三月二十一日の出港となったのか。また、どのような理由で出港したと、政府は認識しているか。
(四) 「口上書」において、移動可能であることが安全対策であるかのように説明しているが、甚大な放射能汚染がある場合は、自力はもちろん、えい航による移動も不可能ではないか。
 また、移動可能であるがゆえに、原子力軍艦は危険だとして、とくに人口密集地の港への出入りは間違いであるとした「水爆の父」とされるエドワード・テラー、「原爆の父」とされるリコーバー提督の警告をどう受け止めるのか。

二 関東大震災における横須賀軍港の惨状について

 一九二三年の関東大震災における横須賀軍港の惨状は、長らく軍事機密とされ、明らかにされてこなかった。当時、横須賀軍港に停泊していた軍艦「三笠」、「天城」など、艦船ごとの被害状況、重油の漏えい等による港湾の火災状況、海軍工廠など陸上施設の倒壊、火災などの被害と死亡者、負傷者、不明者などの人的被害の状況について、現時点で政府が把握している状況と、その根拠について明らかにされたい。
 また、政府として関東大震災における横須賀軍港の被害状況について調査していくべきではないか。

三 原子力軍艦の原子炉の危険性について

1 「口上書」において、商業用原子炉と海軍原子炉とは大きな違いがあるとして、海軍原子炉は「戦時の攻撃に耐え」る、「四重の防護壁が放射能を原子力軍艦の中にとどめる」、「はるかに頑丈」などと述べられているが、現実には、「多重防護により十分な安全対策ができており、過酷事故は起こりえない」とされた日本の原発が過酷事故を起こした。米側のいう安全性が軍事機密により確証されないなかで、政府はこの米国の主張をどのように確認したのか。
2 米側は、海軍原子炉について「電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性(比重差によって生ずる自然対流)のみによって、炉心を冷却できる崩壊熱除去能力を有している。」と述べ、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉との違いを説明しているが、このシステムはどれだけの時間有効に機能するのか。また、それは電源を必要とする冷却システムに代わりうる能力を持っていると政府は認識しているか。
3 前記2のシステムは東京電力福島第一原子力発電所一号炉にある「非常用復水器」のことであるとの専門家の指摘もある。「非常用復水器」は十分に機能せず、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防げなかったのではないかと考えるが、政府はどのように認識しているか。
4 原子力空母は二十五年間、燃料交換を行わないため、大量の核分裂生成物を蓄積したまま、航行、停泊しており、事故時における危険性を一層高めている。現時点におけるGWの原子炉に蓄積されている核分裂生成物はどれくらいになっているか、政府は把握しているか。把握している場合、当該蓄積量を示されたい。
5 米国は、「口上書」で「五十年以上にわたり、一度たりとも原子炉事故や人の健康を害し、又は、海洋生物や環境に悪影響を及ぼすような放射能の放出を経験することなく、安全に運航してきた。」と述べている。しかし、米原子力潜水艦スレッシャー号、スコーピオン号の沈没でそれぞれ百二十九名、九十九名が死亡し、一九七一年以降だけでも造船所や基地などで判明した冷却水漏れなど放射能汚染の件数は二十五件、被曝した乗組員、労働者は三十二名にのぼっていることが判明している。政府は、日本国民の安全に責任を持つのであれば、米側の言い分そのままに「事故はなかった」というのではなく、自主性をもって米原子力軍艦の事故の全容の掌握につとめ、政府として確認、公表するべきではないか。

四 万が一の備えと安全対策について

 米側は、どのような事故であっても基地の外に被害が出ることはないとしている。これに対し、政府は、基地の外三キロメートルまで、避難行動などを定めた「応急対応範囲」を設定している。さらに、横須賀市も市内全域を「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)に設定している。
1 原子力安全委員会は東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故を受け、従来の八キロメートルから十キロメートルの「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)を見直し、直ちに避難を求める五キロメートルまでの「予防的措置範囲」(PAZ)、三十キロメートルまでの「緊急防護措置計画区域」(UPZ)、五十キロメートルまでの「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域」(PPA)を新たに設定することにしている。
 米原子力軍艦の母港である横須賀についても当然、この動きと整合性を図り、現在の「応急対応範囲」を見直し、区域を拡大するなど、中央防災会議の「原子力艦の原子力防災対策マニュアル」を抜本的に見直すべきと考えるが、政府の今後の取組について明らかにされたい。
2 原子力軍艦の事故による放射能被害は基地の外に出ないとしている米側の認識について、政府の見解を明らかにされたい。
3 原子力軍艦の原子力災害対策については災害対策基本法及び防災基本計画に位置づけられたが、原子力災害対策の強化を図るために施行された「原子力災害対策特別措置法」は適用されていない。初動動作の迅速化、国、地方公共団体の連携強化、国の体制強化、事業者責務の確保などを枠組みとする同法を原子力軍艦に適用するか、または同法に準じた対策を実施する考えはないのか。
4 原子力事業所については、原子力災害対策特別措置法により緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)が設置されている一方で、原子力軍艦については設置されていないが、設置する考えはないのか。
5 横須賀原子力艦モニタリングセンターの機能が十分発揮されるようにモニタリングポストを増設・拡充する考えはないか。また、モニタリングセンター及びモニタリングポストの津波対策を行う考えはないか。
6 神奈川県を始め関係自治体からなる神奈川県基地関係県市連絡協議会は、政府に対し、「原子力艦の極めて些細なトラブル(原子炉関連以外のトラブルについても艦船の運航に影響を及ぼすものを含む)についても日本政府に連絡することを米国政府との間で確実なものにするとともに、政府に連絡があった際には、直ちに関係自治体に連絡すること」を求めている。この要望に応えて、具体的にどのような働きかけを行っているのか。
 また、政府へのトラブルの連絡が、直ちに関係自治体に届けられるよう、どのような体制を構築しているのか。通信方法の確保など具体的な方法について明らかにされたい。
7 米軍は、放射能被害は基地の外には出ないとの立場から、横須賀市民が参加する防災訓練に背を向けている。同連絡協議会は、原子力軍艦の災害対策は国が責任をもって行うよう、防災訓練の実施について、国主催の定期訓練を要望している。防災訓練について国が主催し、米軍も参加し、防災対策マニュアルの一つ一つの実効性を確認する考えはないのか。

  右質問する。

原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問に対する答弁書

答弁書第五五号

内閣参質一七九第五五号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員田村智子君提出米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



参議院議員田村智子君提出米原子力軍艦の横須賀配備に係る安全性に関する質問に対する答弁書

一の1の(一)について

 お尋ねの水位低下の程度については承知していないが、米側より、原子力推進型の空母(以下「原子力空母」という。)ジョージ・ワシントンについては、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「今回の地震」という。)の発生時、横須賀港に停泊していたが、今回の地震により船体に被害が発生することや停泊に影響を受けることはなかった旨の説明を受けている。

一の1の(二)について

 米側より、米海軍の原子力推進型の軍艦(以下「原子力軍艦」という。)については、引き波により船体が海底に接触する事態が発生した場合でも、原子炉は船の中で最も安全である船の中心に置かれているため、原子炉の安全は維持される旨の説明を受けている。

一の1の(三)について

 お尋ねの米海軍の原子力軍艦の「高度のダメージ・コントロール能力及び重層的な安全システム」については、例えば、平成十八年四月十七日にシーファー駐日米国大使(当時)から麻生外務大臣(当時)に対して手交された、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する事項が記載された文書(以下「ファクトシート」という。)において、「合衆国原子力軍艦は、極めて速やかに原子炉を停止させるフェイルセーフの原子炉停止システムを有するとともに、他にも多重的な原子炉の安全システム及び設計上の特色を有している。これらは各々が予備のシステムを備えている。一例として、崩壊熱除去システムがあるが、これは、電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性(比重差によって生じる自然対流)のみによって、炉心を冷却するものである。また、海軍の原子炉は、無限の海水を即時に使用し得るため、もし究極的に必要となれば、緊急の冷却及び遮蔽のために海水を艦内に取り入れ、艦内にとどめておくことが可能である。合衆国原子力軍艦のすべての原子炉は、頑丈な格納容器の中に設置されており、また、原子炉を冷却するために水を加える多数の方法を有している。」と述べられている。いずれにせよ、政府としては、米国政府に対し、我が国に寄港する米海軍の原子力軍艦の安全性について、引き続き万全の対策をとるよう働きかけていく考えである。

一の2の(一)について

 御指摘の津波による影響について具体的に想定したものは承知していないが、米側より、今回の地震によって原子力空母ジョージ・ワシントンの船体に被害が生じたり、停泊に影響を受けたりすることはなかった旨の説明を受けている。

一の2の(二)から(四)までについて

 御指摘のような「外務省から「神奈川県が作成されるハザードマップ等に注意を払い、今回の震災に伴う改正がなされる場合には、米軍としても適切に対応していく考えである。」との回答」をしたとの事実はない。いずれにせよ、政府としては、横須賀海軍施設の津波対策等について、米側との間で必要な情報交換等を行ってまいりたい。

一の3について

 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する米軍についても同様である。したがって、御指摘の建築物の耐震設計基準等について、我が国の法令は適用されないが、接受国の法令を尊重しなくてはならないことは軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務であり、米側からは、御指摘の建築物については日本国内の耐震設計基準に準じた米国の耐震設計基準に基づく厳重な審査が行われているとの説明を受けている。

一の4の(一)について

 平成二十三年三月十一日、十六隻の自衛隊の艦艇が横須賀港に停泊していたが、今回の地震の発生後、同日中にこれら全ての艦艇は同港を出港した。

一の4の(二)及び(三)について

 原子力空母ジョージ・ワシントンは、平成二十三年三月十一日には横須賀港で定期メンテナンスを行っており、同月二十一日に同港を出港したと承知しているが、その他のお尋ねについては、米軍の運用に関わる事柄であり、お答えを差し控えたい。

一の4の(四)について

 お尋ねについては、平成二十三年四月十八日付けの口上書による原子力空母ジョージ・ワシントン等の安全性に関する米国政府からの説明(以下「口上書による説明」という。)において、「合衆国原子力軍艦が移動可能であるという事実は、陸上の原子力関連施設にはない安全面での特色である。原子力軍艦は、艦船自体の推進力又はタグボートの補助を得て、陸から遠ざかることが可能である。」と述べられている。いずれにせよ、政府としては、米国政府に対し、我が国に寄港する米海軍の原子力軍艦の安全性について、引き続き万全の対策をとるよう働きかけていく考えである。

二について

 大正十二年九月一日に発生した関東大震災による横須賀軍港(当時。以下同じ。)の被害については、政府として網羅的に把握しているわけではないが、防衛研究所戦史研究センター史料室に保管されている旧海軍史料「横須賀鎮守府被害調書」及び「大正十二年九月各部震災被害状況調 横須賀鎮守府」によれば、その大略は次のとおりである。
 艦船の被害については、入渠中の潜水艦二隻が倒壊し、建造中の軍艦「天城」は、キールが波状に屈曲したが、それ以外の被害はほとんどなく、軍艦「三笠」は、原因は不明であるが、震災後から艦底の浸水の量が増加したとされている。
 建築物の被害については、箱崎重油タンクは、亀裂のため重油が流出して発火し、付近に堆積されていた石炭に類焼し、海軍工廠は、その約半数の建築物が倒壊した等とされている。
 人的被害については、同月三日時点で、横須賀軍港に在勤中の者のうち、死者が四十六名、重軽傷者が約七十名、行方不明者が五十六名であったとされている。
 政府としては、関東大震災による横須賀軍港の被害について、現時点において、特段の調査が必要とは認識していない。

三の1について

 政府としては、ファクトシートや口上書による説明等により、米海軍の原子力軍艦の安全性についての説明を受けている。

三の2について

 お尋ねの「崩壊熱除去能力」については、これのみによってどのくらいの時間所要の冷却効果を果たすかについては現時点では承知していないが、口上書による説明において、「電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性(比重差によって生じる自然対流)のみによって、炉心を冷却できる」ものであり、また、「これは、多数の故障が発生するという可能性の低い事態においても、海軍の原子炉はオーバーヒートせず、炉心で発生する熱により燃料が破損されないことを確保するという、多数の原子力軍艦安全システムの一例である。」と述べられている。

三の3について

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故発生時において、御指摘の「非常用復水器」がどのように機能したかについては、現在も調査及び検証を続けているところであり、現時点において、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三の4について

 お尋ねの原子力空母ジョージ・ワシントンの原子炉における核分裂生成物の蓄積量については、米側は、軍事上の理由により、これを公開しない方針であり、我が国として承知していない。

三の5について

 政府は、米海軍の原子力軍艦が我が国に寄港する際には、主体的かつ厳格に放射能の監視・調査を実施している。具体的には、文部科学省等の関係機関が、モニタリングポストにより二十四時間体制で寄港地周辺の放射線監視を行うとともに、米海軍の原子力軍艦が我が国に寄港する際にはモニタリングボート等による放射能調査を実施しており、これらの結果は全て公表している。この監視・調査は、人体及び環境に影響を与えるような放射能のレベルを検出することが可能であるが、横須賀におけるものを含め、米海軍の原子力軍艦に起因して放射能の異常値が確認されたことは、これまでにない。

四の1について

 原子力軍艦に係る原子力災害対策の見直しについては、現在行っている東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえ、適切に対処してまいりたい。

四の2について

 ファクトシートにおいて、原子力軍艦に想定し得る最大の事故が発生した場合の影響について、「軍艦の至近、及び在日米海軍基地内に十分とどまることとなる。」とされているのは、米海軍の原子力軍艦に搭載されている原子炉の実態に即して、米国政府において試算した結果によるものと承知している。

四の3及び4について

 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する米軍についても同様である。したがって、米海軍の原子力軍艦について、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)は適用されない。いずれにせよ、政府としては、米国政府に対し、我が国に寄港する米海軍の原子力軍艦の安全性について、引き続き万全の対策をとるよう働きかけていく考えである。

四の5について

 横須賀港における原子力軍艦の寄港地周辺のモニタリングについては、原子力空母ジョージ・ワシントンの同港への配備に伴い平成二十年度に横須賀原子力艦モニタリングセンターを設置し、その際、放射能調査のための常駐職員を配置するほか、同港におけるモニタリングポストの数を四局から十局へと増設するなど、その体制強化を図ってきている。横須賀原子力艦モニタリングセンター及び同港におけるモニタリングポストの津波対策も含め、今後とも、放射能調査体制の充実・強化に努めてまいりたい。

四の6について

 外務省は、米海軍の原子力軍艦に係る原子力災害が発生した又は発生のおそれがあるとの通報を米側から受けた場合には、関係省庁で申し合わせた連絡体制に従って、官邸を含む関係省庁及び関係地方公共団体に遅滞なく連絡を行うこととしている。また、米海軍の原子力軍艦に係る原子力災害が発生していない場合や発生のおそれがない場合でも、米側から外務省に対し、我が国における米海軍の原子力軍艦の安全性に関する通報があった場合には、事案の軽重にかかわらずいかなる場合であっても、外務省として、遅滞なく官邸を含む関係省庁及び関係地方公共団体に連絡することとしている。

四の7について

 政府としては、これまで、災害発生時における災害情報の収集及び連絡の重要性に鑑み、横須賀市、国、米海軍等で実施する日米合同原子力防災訓練に参加してきたところであり、今後とも同訓練への参加を通じて、原子力軍艦に係る原子力災害に対する備えに遺漏なきを期してまいりたい。