日本共産党 田村智子
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【11.03.09】予算委員会――国保税・料の更なる引き上げは許されない

増え続ける保険料・税の滞納、そして差し押さえ

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 国民健康保険料・税の滞納世帯が三年連続して二割を超えました。我が党地方議員の元には、高過ぎて払えないという相談とともに、突然財産を差し押さえられたという深刻な相談が相次いでいます。
 まず、国保料・税の差押え、二〇〇五年と比較して直近の数字を教えてください。

○国務大臣(細川律夫君) 田村委員にお答えいたします。
 国民健康保険における全国の差押件数は、平成十七年度においては七万七千世帯、そして平成二十一年度におきましては十八万二千世帯でございます。五年間で十万五千世帯が増加しております。
 また、全国の差押金額につきましては、平成十七年度において二百九十九億円、平成二十一年度におきましては六百六十四億円であり、五年間で三百四十五億円増加をいたしております。

○田村智子君 延べ件数も金額もこの五年間で二倍以上に増えています。
 それでは、収納率の方はこうした差押えで改善をしているんでしょうか。お答えください。

○国務大臣(細川律夫君) 国民健康保険におきます収納率につきましては、平成十七年度におきましては九〇・一五%、平成二十一年度におきましては八八・〇一%でございまして、五年間で二・一四%低下をいたしております。

○田村智子君 収納率は過去最低なんです。どんなに滞納処分を強化しても滞納は減るどころか増えている。大臣、これはなぜだとお考えですか。

○国務大臣(細川律夫君) 収納率が低下した要因といたしましては、これは一つは、二十年秋のリーマン・ショック以降の急激な景気悪化だと、こういうふうに考えられます。もう一つは、平成二十年度に後期高齢者医療制度が創設をされまして、収納率が高い後期の高齢者が国保から抜けたということが原因になっているんではないかと思います。

○田村智子君 現役世代の収入が本当に落ち込んでいて、そして国保料・税が高過ぎる、これはもう明らかだと思うんです。実際、国保新聞の市町村アンケートを見ましても、収納率低下の要因として多くの自治体が、長引く不況、所得の減少で納税資力が低下、失業者は払えないと、こう答えています。
 実は、私たち日本共産党、何度もこういう問題取り上げてきました。昨年の予算委員会でも我が党議員がこの高過ぎる国保料の問題を取り上げ、鳩山首相は、看過できない、新たな財源確保に努力してまいりたいと答弁しています。
 それでは、この高過ぎる国保料・税引下げのためにどんな努力をして、来年度予算ではどんな施策が講じられていますか。

○国務大臣(細川律夫君) 委員も御承知のように、国民健康保険では、その年齢構成が高くて、そして低所得者が多いと、そして健康保険のような事業主負担が少ないと、こういった事情がありまして非常に財政力が弱いことから、他の医療保険制度に比べて多くの補助がなされております。
 しかし、国民健康保険の財政は厳しい状況にございますから、平成二十一年度で暫定措置の期限を迎えました財政基盤強化策を二十二年度から四年間延長をいたしました。そしてまた、非自発的失業者の保険料を軽減するための費用を平成二十三年度予算においても確保する、こういうことで低所得者やあるいは中所得者層の保険料負担の軽減を図ったところでございます。

○田村智子君 今御説明いただいた施策は、自民・公明政権時代の延長なんですね。離職者のための軽減策というのも、これは例えば非正規労働者が期間満了で雇い止め、こうなった場合の失業には適用がされない。そういった手を打って、問題は実際に国保料・税が引下げになっているのかどうかと。大臣、もう一度お答えください。

○国務大臣(細川律夫君) 確かに委員御指摘のような厳しい状況でありますけれども、私どもといたしましては、この高齢者の医療、これに大変お金も掛かっているわけでありまして、したがって、この国民健康保険の構造的な問題を解決をしなければいけないと、こういうこともありまして、今、国と、国というか厚生労働省と地方の協議の場を持ちまして、そしてその国民健康保険の財政問題について協議もいたしているところでございます。

厚労省通達(広域化支援策定要領)が更なる引き上げを示唆

○田村智子君 国庫負担の割合を引き上げるというふうに私たち求めてまいりましたけれども、本気で国保料・税引き下げるという、こういう取組が事実上ないということだと私は思います。
 それどころか、昨年五月、厚生労働省は、広域化支援方針策定要領、これを通達で示しました。この中で、保険料、保険税の引上げを示唆していませんか。通達の赤字解消の目標年次の中で何と書いてあるか、教えてください。

○国務大臣(細川律夫君) 御指摘の広域化等支援方針の通知の中では、一般会計繰入れにつきまして、国保財政の健全化を図る観点から、保険料の引上げ、収納率の向上、医療費適正化策の推進等により、できる限り早期に解消に努めることと記述をいたしております。

○田村智子君 保険料引上げと明記がされているんですね。じゃ、この広域化というのは市町村国保を統合していこうと。これ統合すると、各市町村が行っている一般会計からの繰入れはできなくなってしまう。広域化の準備として、一般会計からの繰入れやめて保険料もっと上げなさいと、そして赤字解消のために徴収強化しなさいと、こういうふうに求めているということではないんでしょうか。

○国務大臣(細川律夫君) 委員が指摘されるような趣旨ではございません。
 これは、国保財政の健全化をしていくためには、計画的、段階的に赤字解消に取り組むべきだと、こういうこと。そして、そのためには保険料の引上げだけではなくて、収納率の向上や医療費適正化策を推進すべきだと、こういう助言をしたものでございまして、市町村による一般会計繰入れを禁止するというような趣旨では一切ございません。

○田村智子君 もちろん技術的助言ですからね、指導ではないのは分かっています。ただ、政府の方針として、一般会計繰入れによる赤字の補填分については保険料の引上げと、こういう方向を明記しているんですよ。これ否定できないんです、ちゃんと書いてあるんですから。
 現に、この通達を受けてどんなことが始まっているか。一つは、保険料、税の引上げの検討が始まっています。大阪府、知事と市町村が昨年七月、広域化について協議してその議事録が出ているんですね。
 知事、一般会計からの繰入れはやめるべき、繰入れをやっている団体は保険料が上がる、大阪府が決めた方針ということで耐えていただけるかどうかと。市長会長、それでいいと定例会で確認した。市町村の独自繰入れ、独自減免はなし、それを前提に年度内に制度設計すると、こういう協議をやっているんです。
 東京都も、昨年十二月に策定した方針では、保険料、税の引上げが必要だと明記をしています。段階的にやるんだと。
 今年のこの国会でも、衆議院予算委員会で志位委員長が、四人家族で所得が三百万円で四十万円を超える国保料だと、こういう実態を示しました。今例に挙げた大阪でいえば、大阪市は四十三万近いです。菅首相は負担感としてはかなり重いと答弁をしているんです。民主党政権の総理が二代にわたって高過ぎると認めている、それなのに都道府県には事実上更なる引上げが必要だと助言している。言っていることとやっていることが正反対ではありませんか。

○国務大臣(細川律夫君) 委員が御指摘のように、私も保険料が重いと、負担感が重くなっているというふうに認識もそれはいたしております。
 そのために、高齢者医療制度改革会議におきます議論におきましても、国民健康保険の構造的問題の解決の必要性というのが指摘をされました。そのために、今回、地方と国の方での協議の場を設置をいたしまして、保険料の負担の在り方を含め検討を行っているところでございます。

○田村智子君 構造的というのは、低収入の方、高齢者、失業者、こういう皆さんが入っているんですから、国や自治体が支えるという方向を出さない限り、これは負担の軽減には絶対なりません。負担は重いままで何が行われているか。徴収強化の旗振りが行われて、強権的な滞納処分も急増しています。
 昨年、横浜市で、五十代の男性が希望した治療を受けられないまま膵臓がんで亡くなりました。治療費に充てようとした生命保険が差し押さえられた。この方、不況で収入が減って滞納になったんです。窓口で相談して分納を続けていて、そういうやさきの差押えだった。家族は治療は一刻を争うんだと解除を懇願しても、滞納金と延滞金一括で払わないと駄目だ、こう言って追い返す。やっと解除されたときにはもう手遅れだったんです。経済的に払うのが困難で、窓口で相談して分納もしている、悪質なケースとは程遠い、それでも差押えを強行する。同様の事態は地方税徴収でも起きています。
 厚生労働大臣、総務大臣、こんなやり方許されるかどうか、お答えください。

○国務大臣(細川律夫君) 委員が御指摘になりましたようなそういう事例を見ますと、国民健康保険、これをしっかり維持していく、そして負担と給付をどういうふうにしていくか、こういうことについても更に検討をしていきたいというふうに思っております。

○委員長(前田武志君) 総務大臣、簡潔にお答えください。

○国務大臣(片山善博君) 個別の事例については承知しておりませんのでよく分かりませんが、一般論で申しますと、徴収猶予が行われて分割納付ということになったときに、一般的にはその納付が着実に行われている場合にはその後の滞納処分は進行しないというのは、これは原則であります。
 ただ、他にいろんな事情があるかもしれません。例えば、担保を提供していたものが滅失したとか、それから他の民間機関が差押えしたのでそれで自治体も交付要求をしたとか、それはもう個別のケースによって違いますので、ここで何ともお答えすることはできかねます。

○田村智子君 国がやるべきは、徴収強化とか保険料を引き上げるような通達出すことじゃないです。非人道的な差押えをやめさせるような指導こそやらなければなりませんし、私たちは国庫負担の大幅な引上げを求めている、このことを強く主張して、質問を終わります。

○委員長(前田武志君) 以上で田村智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)