日本共産党 田村智子
コラム

【13.12.26】安倍総理の靖国参拝に猛抗議します

超党派国会議員の中国訪問のさなかに

12月26日午前、中国を訪問中の私たちに連絡が入りました。
安倍総理が間もなく靖国神社を参拝する。一瞬の沈黙。
「私たち」とは、日中友好議員連盟の超党派国会議員6党10人の訪中団です。

2年に一度、中国の中日友好協会が国会議員を招待し友好を深めようという企画が持たれてきました。
自民党からは小渕優子、竹下亘、橋本岳各衆院議員という、親や兄が総理大臣で中国とも縁深い議員も参加しています。
26日午後からは、劉延東副総理との会見が予定されていました。
こうしたことを総理が知らないはずもなく、自民党の議員からも驚きと戸惑いの声が聞かれました。

中国の政府関係者との会見は、次々にキャンセルとなり、中国に滞在する目的がなくなり、当初の予定を一日早めて帰国せざるをえなくなりました。
近隣諸国との関係など眼中に無いのでしょうか。
総理大臣が海外の日本大使を窮地においやり、与野党の国会議員の外交活動を妨害する、日本の異常さを肌身に感じます。

訪中初日の25日も、重たい空気の会見でした。
外交部副部長の劉振民氏、中日友好協会会長の唐家�氏、侵略戦争への深い反省が両国の関係改善に欠かせないことを強調していました。

それだけに私は、副総理との会見で次のような発言をしようと朝から考え続けていたのです。

�我が党は、日清戦争を含めて、武力による領土拡張や他民族への抑圧は許されないものと考える。
�この立場で、党独自に歴史的資料にもとづいて検証し、尖閣諸島は日本が武力により占領したものではない、日本固有の領土であると結論づけている。
�尖閣諸島の領有権を主張することと、侵略戦争を容認することとは、イコールではない。
�近代史の史実を確認し、共通の認識が得られるよう両国の話し合いが必要ではないか。

会見そのものが不可能となったために、こうした問題提起の場も奪われました。
会見できたとしても、靖国参拝をしてしまったら、�の意見は説得力を欠いてしまうし、�については波風立てているのは日本だと言われてもおかしくありません。

安倍総理は、参拝後、「過去への痛切な反省の上に立って」と談話の中で述べているようですが、それは靖国神社とは相入れないのです。
「中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません」などと述べるに至っては、ナイフで人を傷つけながら傷つけるつもりはないと言うに等しいのです。

日本の外交の最大最悪の障壁は安倍総理の言動だと、おそらく、訪中している全ての議員が胸の内で感じていると思います。